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合法ショタになるそうです

次に気がついた時には、土壁だろうか?知らない天井が目に入った。


俺は無事転生できたのであろうか?


辺りから艶かしい声が聞こえたので、体を起こす。


暗がりの中、蝋燭が焚いてある少し離れた場所で、年齢は12歳ほどだろうか?茶髪でツインテールの髪に幼い顔をした女の子と、端正な顔立ちに耳が尖ったロングヘアの金髪イケメンが絡み合っていた。


事案だああああああ!!

金髪イケメンが、幼気(いたいけ)な少女を襲っている!!


愕然とした表情で俺がそれを見ていると、こちらに気付いたのか、イケメンが少女を襲うのをやめて、慌てふためいている。


「あ!ミリー!エミリオが起きてるよ!」


「え!?やだ!!」


絡んでいた体を離して、いそいそと衣服を着る2人。


それを呆然と見ていると、眠気がきたのか、それとも事案を目撃して心にショックを受けたからか、俺の意識は沈んでいった。




朝、目を覚ますと部屋の隅にある台所で、昨夜見かけた少女が何か料理を作っていた。


起き上がり少女の元へと近づく。


「あ・・。エミリオ、おはよう」


少女が俺の名前を呼んで挨拶をした時、俺はこの体が“覚えている事柄”を認識した。


目の前の少女に見える人は俺の母親であるミリー。昨日絡み合っていたイケメンは、父親のエルリオだ。母親がドワーフで父親がエルフだったな。


そして俺は息子のエミリオ。5歳になったばかりだ。


元の記憶と今の記憶が融合しているのがわかる。記憶喪失状態から記憶を取り戻したとでも言えばいいのか?この世界で5歳まで育った記憶があるのも俺だし、前世の記憶を持っている今の状態も俺だ。


因みに、言語は日本語では無いのだが、ちゃんと理解が出来ているようだ。


挨拶を返さない俺を不審に思ったのか、母さんが焦りながら声をかけてくる。


「えっと、き、昨日の事は気にしちゃダメよ?エミリオにはまだ早いからね?」


まだ小さな息子とはいえ、情事を見られるのは嫌なものだろう。


ここは大人の対応をしておくか。(キリッ)


「なんのこと?」


これぞ大人の対応、すっとぼけるである!


「え?えっと、何でもないよ!それじゃ、お外で顔を洗ってきて?お父さんもいるから」


「はーい」


俺が寝ぼけて覚えていない事に胸を撫で下ろしたのだろう、あからさまにホッとしていた。


そんな母さんを尻目に、記憶にある共用の裏庭へと続くドアを開ける。しかし、5歳だから、まだ声が高いな。


因みに住居スペースは1ルームだ。大きめの部屋がひとつあり、そこがリビング、ダイニング、台所、寝室を兼ねている。


他にも店舗と繋がっている扉があり、そちらでは父さんは薬師として、母さんは錬金術師として、ポーションなどを売ったりする雑貨屋を営んでいる。


裏庭へ出ると、父親のエルリオ、隣で宿屋を経営している猫獣人のダンさんが、共用の洗面台で顔を洗いながら談笑している所だった。


「おはよー」


挨拶をしながら2人の元へと近寄る。


「おはようエミリオ」


「エミリオくん、おはよう。君は朝が早いね」


2人とも柔かに挨拶を返してくれた。


父さんに至っては、母さんと違い、昨日のことなど何もなかったかの様に振る舞っている。


正直、その対応をしてくれるのが1番ありがたい事なので、特に俺からは何も言わずに、ダンさんと話をする事にした。


「はやく起きちゃった」


なるべく5歳児に見える様に心掛けながら言葉を返す。


まぁいつまで5歳児らしく振る舞えるかは分からないが。転生者とバレた時は、バレた時よ!!(適当)


俺の受け答えを聞いたダンさんが笑いながら頭を撫でてくる。


「わはははは。うちの娘の様にいつまでも寝ているよりは、随分とマシだよ!早起きはいい事だからね」


ダンさんの娘は、同じく猫獣人のモニカといい、俺よりも9歳年上の14歳の子だ。モニカは宿屋の後を継がずに、1年前に冒険者になった。因みに冒険者は13歳からなる事が出来る。


ダンさんが茶トラ柄の髪と猫耳、尻尾をしているのに対して、モニカは髪も猫耳も尻尾も全部真っ黒である。


「そうなの?」


俺が父さんに聞く様に、首を傾げて父さんの方へ向くと、うんうんと頷いていた。


「そうだぞ。早起きはいい事だぞ。それじゃ顔を洗いなさい」


そう言って父さんが共用の木でできた桶に、洗面台に備え付けられている魔道具から水を汲んでくれた。


どうも魔道具は高いものらしい。


以前、俺の記憶が戻る前に、魔道具が欲しくて、おねだりした様なのだが、高いからとあっさり断られた記憶がある。


だから平民は基本的には近所でお金を出し合って、共用で魔道具を使っているらしい。


この辺は後でオモイカネに聞いてみるとしよう。おそらくこちらの世界のことも、彼ならば誰かを転生させると決まった時点で調べ上げているだろうからな。


父さんが汲んでくれた水で顔を洗おうと近づくと、水の中に俺の姿が映った。


顔は可愛い系で髪は少し長いか?髪色は根本は茶色だが、先の方になるにつれて金色になっている様だ。


うん。イケメンだな。まぁ両親ともに美形なのが幸いしている。


じっと水面を見つめている俺に、父さんが不思議に思ったのか声をかける。


「どうした?」


「なんでもない」


俺は誤魔化す様に桶から水を掬い、顔を洗う。記憶通りなら、季節的にはまだ春になったばかりな筈なので少し水が冷たい。


顔を洗い終えると、ダンさんと別れて、父さんと自宅へ戻ろうとするが、その前にトイレに行きたくなったので、共用の水洗トイレへと向かった。


記憶によると、魔道具のお陰でトイレも水洗らしいが、やはり魔道具が高価なため、共用でトイレを作ってトイレの小屋の上に水が出る魔道具を設置して、タンクを作り、個室を幾つか作って水をタンクから引いているらしい。


その後下水道を通って下水タンクへと溜まり、そこで洗浄の魔道具で綺麗にした水を川や海に流す仕組みだそうだ。


魔道具が安くなれば、各家に着きそうだがな。いつか作ろう。


しかし、記憶が戻る前になぜなぜ期が来ていて良かったぜ。意外と色々な事を教えてもらっているようだ。


トイレを終えて、外で待っていた父さんと一緒に今度こそ自宅へと戻った。


家に入ると、テーブルの上には既にオートミールが人数分並べてあった。


貧困なわけでは無いが、朝の食事はこんなものだ。


「それじゃ、食べようか」


父さんが母さんに声をかけて、俺たちに椅子に座る様に促す。


それぞれの席について朝食を食べ始めた。


うちの家では朝食にお祈りをしないらしい。何かお祝い事があった時の夕食でお祈りをすることはあるようだが。それと、昼食は食べる習慣がないようだ。


正直言って、かなり味気ない食事を終えると、両親はお店を開け始めた。


俺はいつもなら家で、父さんが作った文字の練習用の木の板を読んで言葉の練習をしたり、手先の器用な母さんが作った木製のおもちゃで遊んだりしているようだが、今日は記憶が戻ったばかりだ。頭の中の記憶を色々と整理しなければいけない。


何よりも、ステータスも確認しなければいけないしな。


ステータスと唱えれば目の前に半透明のボードが出るらしい。記憶が戻る前までは固有スキルの欄には何も書かれていなかったのを覚えている。


実際、固有スキルが発現する年齢は0歳〜10歳までの間で、人によって違う。


俺が、最初に父さんからステータスを唱える様に言われてボードを出した時には何も書かれていなかった。


その時に残念がる俺を見て先程の説明をしてくれた記憶がある。


因みに10歳までに固有スキルが発現しなければ、ボードの固有スキル欄も消えるらしい。


さて、それじゃ早速確認するか。


「ステータス」


俺が小さな声でステータスボードを呼び出すと、目の前に半透明のボードが現れたので、覗いてみる。


ーーーーーーーーーー

【名前】エミリオ

【種族】ハーフ&ハーフ

【年齢】5歳

【レベル】1

【HP】10/10

【MP】50/50

【STR】E-

【DEF】E-

【INT】A+

【DES】C-

【AGI】C-

【スキル】

【スキルポイント】1

【固有スキル】

・スクナビコナ

・オモイカネチャット

ーーーーーーーーーー


やはり、記憶が戻った事で、固有スキルが表示されたな。知力の高さは前世の記憶があるからだろう。日本の教育万歳。


表示されたのは良いけどさ。

種族がハーフ&ハーフってw

ピザじゃん!

それとスクナビコナってド直球のスキル名よw


もうちょっとさ、こう、どうにかならなかったわけ?


それに固有スキル2つ表示されるとめんどくさい事になりそうなんだよなぁ


貴族に囲われるとか国に軟禁されるとかさ。


こう言う時こそ。

教えてオモイカネ!!


俺が心の中でオモイカネに教えて欲しいと願うと、目の前にステータスボードとは別の半透明なボードが現れた。


半透明な板の上の方には、オモイカネチャットと日本語で書かれている。


お?オモイカネチャットのスキルが発動したな。でもこれってどうやって使えば良いんだ?


次の瞬間チャットに文字が映し出される。



ーーーーーーーーーー

エミリオ

どうやって使えば良いんだ?


オモイカネ

ほっほっほ。久しぶりじゃの〜。今みたいにスキルを使って心の中で念じれば良いのじゃ。


エミリオ

うぉ!?通じてる!てか、久しぶりだな。


オモイカネ

うむうむ。お主が記憶を取り戻すまで5年掛かっておるからのぅ。無事記憶が戻って何よりじゃ。


エミリオ

他の奴らは元気か?


オモイカネ

うむ。元気じゃよ。ところで聞きたい事があったのでは無いか?


エミリオ

そうだった。固有スキルなんだけどさ。これって他の人に見えなくなるとか、表示名を変える事は出来ないのか?


オモイカネ

うむ。スキル名を根本から変える事は出来ぬ。だが、それを隠すための偽装の魔道具は、そちらの世界にあるのぅ。


エミリオ

そんなのがあるのか?


オモイカネ

うむ。国の重鎮がお忍びで視察へ向かったり、休暇へ行く時に、それを使ってステータスを書き換えたりする事があるらしいのじゃ。


エミリオ

どうすれば手に入る?


オモイカネ

お主は生産チートスキルであるスクナビコナの持ち主じゃ。自分で作るのが早いであろう。


エミリオ

そもそもスクナビコナのスキルって、どこまでの事が出来るんだ?


オモイカネ

生産に分類されるスキルを消費MP無しに全て使えるのじゃ。

それとスクナビコナでしか作れない材料の組み合わせもあるのじゃ。

後、土地に干渉する能力が使えるのじゃ。これもこちらのスクナビコナの権能のひとつじゃな。

但し土地に干渉する能力に関しては、そちらの神との契約がある為、制限されておる。

制限の内容に関しては、そちらの神に教会へ会いに行き、聞いてみるのじゃ。


エミリオ

そうなのか。それでスクナビコナの使い方がいまいちわからないんだが。


オモイカネ

このスキルと同じで、念じれば別途スクナビコナ用のボードが出てくるわい。そして作りたいものを大雑把にでも良いから思い浮かべると、出来上がるものと、その効果、材料が表示されるんじゃ。


エミリオ

なるほど。ありがとう!早速試してみる。

他にも質問なんだが。ステータスはレベルが上がると上昇するんだよな?


オモイカネ

HPとMPは分かりやすく数値で上がっていくが、他の【STR】などは一定のレベルまでいくと表記が変わるのじゃ。

それとレベルが上がるまでに行ってきた行動でも上がり方が違うのじゃよ。


エミリオ

なるほどな。

後、種族名はどういうことなんだ?


オモイカネ

うむ。ドワーフとエルフの間に生まれたとしても、種族はどちらかの種族となる。

しかしお主の場合、スクナビコナの権能を持って転生したため、ドワーフの低身長にエルフの美形というハイブリッドな種族となったのじゃ。要は合法ショタだの。

種族名がはっきりとせんからドワーフ半分エルフ半分のハーフ&ハーフになっておるのじゃ。ピザじゃないぞい?

因みに声変わりもせんぞ。


エミリオ

え?じゃあスクナビコナみたいな感じになるって事か?


オモイカネ

そうじゃ。合法ショタじゃ。


エミリオ

なんでやねん!!身長低いとか、俺は嫌だぞ!


オモイカネ

よく考えてみるのじゃ。合法ショタという事は、その性癖の者には辛抱たまらん状態なのじゃ。モッテモテじゃよ?


エミリオ

マジ?


オモイカネ

マジじゃ。


エミリオ

・・・・。

おーけー!!想像したら小さい体でエロい事出来る合法ショタは《《あり》》だな!!オモイカネ!ありがとう!!


オモイカネ

ほっほっほ。良いって事じゃ。それじゃあ、また何かあれば聞いてくるといいぞい。


エミリオ

ああ。またな。


ーーーーーーーーーー


オモイカネとのチャットを終わらせたため、自然とチャットボード(今命名した)が消えた。


しかし、月読が最後に言いかけた『君の体』ってそういう事だったのか。


たしかにエルフに寄って、身長が高くなる方がカッコよくなりそうだし、最初は合法ショタなんて嫌だと思ったが、これはこれでありだと思う!


確か、公衆浴場が有るからな、何歳になっても女風呂に入れるぜ。桃源郷だな!


そんな邪な考えをしながら、次にスクナビコナスキルを試してみる事にした。

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