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前代未聞の異能力者~自ら望んだ女体化だけど、もう無理!~(旧版)  作者: 砂風(すなかぜ)
第四章/杉井豊花【破】
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Episode77/神(後)

(111.)

 目が覚めると、見慣れた天井がそこにはあった。


「宮下くんたちが運んでくれたのよ? だから危ないことに首を突っ込んじゃいけないって言ったでしょ?」


 母親は私を嗜めるように言う。

 どうやら宮下たちが自宅まで運んでくれたらしい。


 ベッドに横たわりながら、さっきの現象を考える。


 ーーあれは直観などではない。


「ちょっとお母さんリビングにいるから、なにかあったら呼んでちょうだい」


 そう言い残して母親は部屋を出ていった。


 その寸刻、私の目の前に私と全く同じ容姿をした人間が現れた。


「え?」

「ああそうさ、私は神だ。私の予言はどうだったかな?」


 神と名乗る私の姿をした人間が、私を無視して会話をつづける。

 私からすれば、自分の姿をした人間が部屋に現れたのだ。驚き以外のなにものでもない。


「私は神だ。どうだ、弱い心の人間に力を与えれば世界に平穏が訪れると思っていたが、結果はどうだ? 半数は力を使い悪事を働く。失敗だ。これでは平和は訪れない」

「神だって? ドッペルゲンガーじゃないのか?」


「ははは」神は笑う。「笑わせてくれるな。神はそこにいるじゃないか」

 神は私の胸を押さえてみせる。


「意味がわからない……」

「鏡のがを抜いてみろ、かがみ、かみ、ほら神だ。我は神、そういう意味さ。神は皆に宿っているのさ」


 わけがわからない……。


「どうして私のまえに現れたの?」


 気になる質問を投げ掛ける。


「地球の崩壊を見ただろう? このままだと地球は破滅を迎える。君は唯一無二、異霊体と会話できる存在だ」

「会話ができるからって、どうしてそれで地球を救うことになるんだ」

「君の存在意義、レーゾンデートルは地球の破滅を防ぐことだ」

 そんなこと言われても、私の力じゃどうにもならない。

「それ、澄が動き出すぞ」


「澄が……なら、神様がどうにかすればいいじゃないか!」

「私は傍観しかできないのだよ。澄を説得して地球の破滅を食い止めて見せたまえ。きみには期待しているよ?」


 その後、神は末恐ろしいことを言い出した。


「まあ、地球が滅亡したら新たに作り直すだけだけどさ」


 神はつづけた。


「異霊体を入れたのは間違いだった。結局弱い人間は暴れる行為につながる。結局弱い人間も力を手に入れたら暴力を振るう道を選ぶのさ」

「待ってくれ! 話の全貌が掴めない!」

「さあ、澄はいま揺らいでいる。あれは地球破壊装置だ。味方にいる間は心強いが、地球の敵になったらどうなるか、楽しみではあるね」

「ちょっと待ってくれ! 私には澄を止める力なんてない!」


 わけのわからぬ事態に混乱してしまう。


「言葉があるじゃないか。きみにはね。では、また会おう。(かみ)よ」


 そう言うなり、神はスーっと姿を消した。


 澄を止めろだって!?


 無理に決まっている!


 力づくじゃ無理だし、会話も成り立たない。いったいどうすればいいと言うんだ。


 とりあえず沙鳥さんに連絡だ。僕一人では手の打ちようがない。

 こういうときにかぎって電話にでない!



 私は急いで愛のある我が家に向かうのであった。

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