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Episode228╱澄はいつ襲撃に来るのか?

(339.)

 少し、いや尚更ボロくなってしまった風月荘に入り込み、私、瑠奈、みこ、都、宮田がそれぞれ別の部屋に入る。


 私は気にせず花の間に入るが、そこにはカサカサと動く艶々した黒い虫が部屋を横切った。


「うひゃぁぁあ!!」


 思わず悲鳴を上げて出入り口まで逃走を企てる。

「どったの?」


 瑠奈がすっとんきょうな声をあげながらも、Gを捕まえようと激しく接近していく。


「瑠奈、危ないってーー!?」


 私の言葉も虚しく、瑠奈は素手でゴキブリをふんづかまえていた。そのまま窓ガラスの外へと逃がしてしまった。


 私内歴代最大のピンチだったかもしれないーー……。

 しかし、更なる衝撃を私は目の当たりにした。

 まだいた二匹目のゴキブリを凄まじい速度で接近。ゴキブリの前方を意識したまま、ゴキブリを素手で鷲掴みにしようとする瑠奈がいた!


 ーー結果。


 瑠奈は誇らしげに素手でゴキブリを鷲掴みにして、本日の戦果とばかりにゴキブリを高らかかに掲げているのだ。


「敵将撃ち取ったり~」


 と微笑みを絶やさず、ゴキブリを窓の外へ放り曲げた。


「ゴキブリが出たくらいで大騒ぎすぎじゃない?」


 いやいやいやいや、瑠奈のようにおかしなメンタルを持つ人でなければ、ゴキブリを素手で直に捕まえたりしないだろう。

 それとも、愛のある我が家には、瑠奈のほかにも同じ事ができるメンバーがいたりするのだろうか?


「コツは簡単なんだよ。ゴキブリの退路に手を翳して囮で裏から追跡、真っ直ぐに逃げてきたゴキブリを構えていた手で鷲塚む。ね? 簡単じゃん」


 瑠奈の謎理論をきいても、まったくもってやろうという気概は0だ。

 

 澄問題があるというのに、勝率1%にもみたらない相手との最終決戦があるというのに、いまいち愛のある我が家に緊張感なない気がしてならない。


 沙鳥は相変わらずリーダーとして資料をまとめ保管してくれている役割を全うしてくれている。でも、それはあくまでも愛のある我が家のシノギを重要視しているようにしか思えない。澄の危機が迫ってくるかもしれないときにも、沙鳥たちは余裕だといいたげにスルーした。

 騒動があってからも、緊急時以外はポーカーフェイスでなにを考えているかも理解できない……こちらの心は駄々漏れだろうけど。


 瑠奈も瑠奈だ。たしかに神造人型人外兵器たいしては積極的に戦った。しかし、澄とは付き合いが長く、全力で立ち向かうとなり殺し合いになった場合、相手に対する旧友というフィルターがかかり全力では戦えないだろう。そもそも全力を出したとて、澄に勝てるビジョンが一切頭に浮かんでこない。


 残す頼みのつなは、イレギュラーで加入したみこと、死んでなければなんでも再生まできる回帰の異能力を担う煌季さん辺りか。


 それでも果して、遥か格上の澄に対して、尚且つ澄を殺害せずにみこの願いを叶えることなんてできるのだろうか?


 ……少なくとも、私は不安だ。


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