Episode225╱焼肉
今回からしばらくは短めなEpisodeが増えると思います。
最終決戦に向けて、しららくほのぼのとした話が続くんじゃ~。
(337.)
「いらっしゃいませ」
私たちは今、焼肉屋に来ていた。
それも、大人数で予約を入れてーー。
「予約していた嵐山です」
「わかりました。えっと12名でお越しの嵐山様、席は六人がけですので、二組に別れてください」
愛のある我が家のメンバーである私、沙鳥、舞香、六花、瑠奈、朱音、鏡子、香織、都の9人。
愛のある我が家ではないものの協力者であるアリーシャ、みこ、宮田さんの3人。
計12人で焼肉屋に押し掛けているのだ。
「どうやって別けるの?」
瑠奈がスンスン焼肉の匂いを嗅ぎながら沙鳥に訊く。
「あなたが焼肉屋に行きたいと騒いだんですから、あなたが決めてください」
「じゃあ、まずは愛のある我が家の古参メンツと食べたい。古い順から舞香、沙鳥、ゆき、朱音、わたし、豊花の六人で」
それを聞いた鏡子がしゅんと悲しそうな表情を浮かべる。
今なら何となく理由がわかる。
おそらく愛のある我が家の古参としてカウントされないことに対して悲しんでいるのではなく、単純に私と一緒に食べられないことが悲しいのだろう。これは自意識過剰でもなんでもなく事実だろう。
皆、各々の席に着く。隣には瑠奈と朱音が着席し、向かい合わせにゆき、舞香、沙鳥が座る。
近いながらも別席にされた鏡子たちは、ぎこちなく着席する。あちらのメンバーは、鏡子、アリーシャ、みこ、宮田さん、香織、都が座る。こちらと違って最低限にしか会話を交わしていない雰囲気しか漂っていない。
沙鳥は視線をこちらに移す。
「それでは、適当に楽しみますので、最終決戦のまえに鋭気を養ってください」
「養うねぇ……」
まだ豊かな生活にはなにも伝えていないし、風月荘の掃除も終わらせていない。
焼肉がはじまり、みんな美味しそうに次々と平らげていく。
いまに限りにこの体を呪いたい。男性時の半分しか食べられていない!
……。
…………。
…………………。
ーー残る神造人型人外兵器はただ澄ひとりだ。
澄の実力は不透明。まだすべての技を見抜いたわけではない。
こうして、のんびり暮らす余裕なんてあるのだろうか?
と、悩み事をしていた私の口になぜか別の席にいる鏡子が肉を無理やり食わせんとばありに、カルビを唇に押さえ続けていた。
「あふあつ!」
「……余計なことは……後で……考える……今は、単なる焼肉……」
鏡子はそれだけ言うと元の席に着いた。
まあ、鏡子の言うことにも一理ある。
最終決戦がいついかなるときに襲撃があるかもわからないんだし、今はいまのままたのしもうじゃないか!!
こうして、深いことは考えず焼肉パーティーを存分に楽しんだのであった。
まだ風月荘は半壊ーー特に内部は酷い状況だけど、しばらく少しずつ掃除していけば間に合うだろう。




