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Episode189/神造人型人外兵器No.4の無差別攻撃

(289.)

 風月荘に帰り、柊や瑠衣は一時解散となった。

 澄を除いても、最低でもあと八人は同格かそれ以上の凶悪さを有する神造人型人外兵器は残っているだろう。

 それをどう対処すればいいというんだ。

 私はともかく、もしも神造人型人外兵器が皆、同様に物理攻撃は通用しないとなると足手まといにしかならない。


 ふと、疑問が頭に湧いた。

 いくら精霊操術師とはいえ、火の攻撃も物理的な攻撃に分類されるのではないだろうか? つまり、精霊操術は物理攻撃の範囲外。

 思い立ち、月の間に向かい扉に向かって三回叩く。


「だれ? ああ豊花か。何の用? もしかして、わたしに惚れちゃった? 照れるな~。でもわたしにはアリスや朱音、碧がいるんだよねー。残念!」


 こいつは普段から女の子のことしか頭にないか。

 いかんいかん、本題に入らなくては。


「このあいだ神の創造した神造人型人外兵器ナンバー2を討伐したんだけど、気になることがあるのと、手伝ってほしいことがひとつあるんだ」

「えー。神造人型人外兵器は豊花や瑠衣、柊で解決したって聞いたよ?」

「そのことなんだけど……」


 私は事情を端的に説明した。

 柊のナイフ攻撃では傷ひとつ負わせられずあしらわれた。

 瑠衣の最終的に成長した刃物に等しいロープで幾数回ぶつけてもなにひとつ傷は負わなかった。

 無論、私の隙を見て突いた攻撃も無下にあしらわれてしまった。

 最終手段として覚えたての火の精霊操術のみ相手にダメージを与えることに成功した。


 だが、まだまだ致命傷にはほど遠くて、最終的には豊花じゃないほうのユタカに神殺しの剣という特殊形態になってもらって、その剣で命からがらでどうにか倒すことが出来たんだ。ーーと瑠奈に説明を終えた。


「じゃあ、毎回神殺しの剣でバッサリ切り捨てていけばいいじゃん」

「剣が命中したのはまぐれ当たりなんだよ。相手が力を極限まで溜めている隙を狙って、神殺しの剣を命中させたんだ。だから、これからさきも隙を見せてくれる相手ばかりとは限らないんだよ」


 瑠奈は少し逡巡し、口を開いた。


「つまり、私の精霊操術を用いて相手を倒すか、私のテクニックで相手の隙を見つけて、件の剣で相手を倒すーーって戦法なわけね?」

「柊や瑠衣が弱いとは思えないけれど、相性が最悪なんだ。だからおねがい。ちからを貸してくれ」


 瑠奈は再び逡巡するフリを見せた末、深くため息をついた。


「地球が滅ぼされるのも嫌だし、そこまで頼まれてしまったら協力するしかないじゃん」瑠奈はため息を溢した。「まあ、仕方ないし、いいよ。神造人型人外兵器の実力は未知数だけど、久しぶりに最強と噂される私の全力を魅せることにもなるしね!」


 地球上最強は人物は澄じゃ……?

 なんて突っ込むのは野暮なものだろう。

 口に出さなくてよかった。


「だいたい、わたしは確かに愛のある我が家の正規メンバーだし、風月荘の大家だけど、それ以外にも豊かな生活の仮とはいえメンバーだし、リーダーの言うことは聞くよ」


『じゃないと沙鳥に怒られるし』という言葉は聞かなかったことにしておこう。


「そもそも、次のターゲットは誰なのさ?」

「いや、それが神出鬼没で。最初の目標は日本全国の人類を無差別に殲滅することだって発言していたから、日本国内にいるのはたしかだと思う」


 最初に日本全国を殲滅するといった発言から予測できるのは、アメリカやフランス、中国や韓国、ドイツなども順次皆殺しにする予定だというのが考えなくても窺える。

 今回の件は私の不手際のせいではない。

 神が身勝手に起こした先例のない大事件だ。

 今のところ愛のある我が家は私は被害を被っていない。

 しかし……いずれは私たちも殺害対象に加えられるのだと容易に想像できる。


 と、おもむろに月の間に置かれている何年前に購入したのかと問いたいくらいのレベルの古くさいブラウン管テレビを瑠奈は点けはじめた。

 お金は持っているだろうに、わざわざ地デジに対応修理したもらったブラウン管を置いているのは、なにかの趣味だろうか。それか守銭奴か。


 瑠奈がテレビを点けるとチャンネルを回し、途中で気になる番組で動作を止めた。あまりにも瑠奈が夢中でテレビを見ているのが気になり、私もそちらに瞳を向けることにした。


 中には複数人の見知らぬ男性。そして、中心には席を対面に置かれている。

 片側には顔立ちが少々怖い中年男性と、アラサーほどの痩せ男が腰を下ろした。


 やがて、まさかのまさか、我々に遠からずの内容の議論が始まりを告げた。


『異能力者による無差別殺人が発生しており、犯人の行方は未だに足取りを掴めていません。引き続き市民の方は不要不急の外出を控え、安全な場所で待機するようお願いいしたいものです』


強面の男性が一気に会話をはじめた。


『こうたびたび異能力者が起こす極悪非道な大事件が頻発すると、異能力者全体のイメージも損なわれますし、どうにかならないものですかね? この件について、いかが思いますか森山さん』


痩せ男が言うには、小太り中年男性は、名前は森山というらしい。 


『だから! 私は! 何度も! 何度! 何度もぉ忠告したのだ! 異能力者はひとくくりにし、纏めて隔離施設にぶち込むべきなんだと以前から言っているだろう!? なのに、政府は異能力者たちの驚異をまるで畏怖していない。行動を示さない! これらは問題だと思いませんか? ねえ、どうなんです!?』


 テレビを見ていた瑠奈は地面に拳を叩きつける。

 

「なにが異能力者だ! 今回の騒動は神造人型人外兵器の仕業だっつーの! 勘違いすんな老害がぁぁああ!」

「落ち着いて、落ち着いて。ほら、水」


 瑠奈はイライラがピークに達してしまったのか、オリーブを加えた鳥が描かれたソフトパッケージから煙草を取り出し、先っぽに点火して煙を吐き出した。


「ふぅ~……豊花も一服する?」


 瑠奈から一本だけパッケージから器用に取り出し渡してきたが、あいにくさま、煙草には良い記憶が一度もない。主に瑠奈のせいで……。

 仕方なく、手を前に軽く突きだし、煙草は不要だとアピールした。

 瑠奈は残念そうな表情を浮かべたあと、すぐにテレビに視線を移した。

 私も習って画面を見やる。


『中でも愛のある……なんだったか。ああ、そうだそうだ。愛のある我が家と云われている、現代日本にひとつしかいない女のみで構成されている極悪犯罪組織! 別名、特殊指定異能力犯罪組織。こいつらは何年も前から悪事を働いているのにも関わらず、警察や警視庁、異能力者保護団体までもが問題視すらしていない! 国家ぐるみの犯罪だ! 特殊指定異能力犯罪組織でありながら指定暴力団にも所属している犯罪者の咎人の集まりなんだよ! ああも有名なのに、ただひとりもメンバーを捕まえたとのニュースなんて読んだことがねぇ! おそらく、いや、絶対国家とグルの危険な組織に違いない! 私は国を相手にしても戦いつづける所存だ! どうして一般人はスピード違反程度で捕まるのに、覚醒剤ばら蒔いたりしているやつらを捕まえないっつってんだよ! わかるかこの気持ち!?』


 なんというマシンガントークだ。次から次へと話が進み、内容に追い付いていけない。


『まあまあ、落ち着いてください森山さん。さすがに警察や異能力者保護団体とのコネやグルがあるなんていう話は単なるデマですよ』

『火のない所に煙はたたずと言うではありませんか! 私はこれからも異能力者保護団体や警察関係者、愛のある我が家を追跡して真実を探す所存です』

『はぁ~わかりました。せいぜい陰謀論にのめり込まないでくださいね』


 そこまで議論が進んだのち、瑠奈はペットボトルのジュースをがぶ飲みした。


「こんな事態になっていたのか……」


 たしかに、異能力者が起こした事件や事案は数知れず、真っ当な商売をしているとは俄に言い難い。

 しかし、しかしだ。

 今回の件に関しては、私を含め愛のある我が家メンバーの異能力者にはまるで微塵もこれっぽっちも感じない。

 なんてデタラメなニュースなんだ。

 瑠奈の抱いている不機嫌さは端から見ても察してしまうほどだ。


「もうテレビは消す。不快な気持ちにしかならないんだもん」


 と、そうそうに瑠奈は布団を敷き、中に入ると、数秒足らずで心地よさそうな寝息を立てはじめた。

 私もそろそろ寝るか。

 と、花の間の扉を開いて室内に入っていったのであった。








(290.)

 相変わらず汚い部屋だ。物を置いていないというのに、時折ゴキブリがカサカサと出現するのは勘弁なのだが……?


 眠りに落ちかけた瞬間、珍しく沙鳥からの電話が鳴った。


「もしもし……今から眠るところなんですけど」

『大変な事態が発生しました。多摩区登戸の繁華街に建っているビルの屋上から、老若男女関係なしに、無差別に殺戮を行使しています。討伐班は至急目的地に集合し、敵対勢力を消滅させてください』

「ちょっと待ってよ! こんな深夜に言われても、瑠衣や碧はとっくに眠っているって!」

『……もうひとり、適任者がいるではないですか。彼女を無理やりたたき起こし、迅速に対処をお願いします。それでは、検討を祈ります。居場所は繁華街で一番高いビルの屋上です。では』


 繁華街で一番高い建物といえば、あそこ以外に思い当たる節がない。

 私は急いで月の間をノックし、ノックし、ノックしまくる。

 ものすごく不機嫌そうな表情で、渋々といった感じで瑠奈が部屋の扉を開けた。


「それが、緊急の事態が発生して。今からそれを止めないと、ここら辺一気に焼け野はらになってしまうんだ! だからおねがい!」

「待ってよ。一から順番に説明して。単なる放火魔なら警察に任しておけばいいんじゃないの?

「あ、う……」


 説明するのが煩わしいけど、そうも言っていられない!


 私は端的かつ要領が掴めるように工夫して瑠奈に一から説明した。


「なるほど……神造人型人外兵器との初対決か。燃えるねぇ!」


 瑠奈は下駄箱から自分用のローファーを履き、私にも居場所を知らせるための案内役として付き添うように命令され、駆け足気味に目的地へと二人して急いだ。


 道を走り抜け、さまざまな店が並ぶ繁華街へと辿り着いた。

 一番高いビル、一番高いビルーーあそこだ!


 瑠奈に敵対者の神造人型人外兵器の姿がある場所を指差した。

 見た目はどこにでもいる青年だがーー。

 神造人型人外兵器はさして気にせずに、繁華街を道行くひとを緑の閃光でバラバラ死体や、首なし死体、四肢欠損状態の人間が助けを求めるように蠢いている。

 かくいう私の目の前にいた陽気な青年にも命中し、生首と胴体が分裂してしまった。目前での出来事により、意識とは無関係に武者震いがはじまる。

 神造人型人外兵器とは、なぜもこんなに無差別殺人を楽しんでいるのだろう?

 まだ、上司(神様)の命令で渋々やっているのであれば、少し、ほんの少しは、まだ理解が及んだであろう。


 なのに、彼は“笑っている”。


 殺人を犯すたびに笑みを浮かべ。

 殺害をふるたんびに笑い声を上げ。

 殺戮を振る舞うたびに下卑た嗤い顔を表面に張り付かせている。


 到底許されざることではない。

 しかし、どうやってあの屋上までのぼっていたのだろうか?

 店内のエレベーターには最上階ーー屋上のボタンなんて存在しない。そのうえ、自殺防止のために他の階よりも厳重に施錠されている。

 それが、なぜ?

 あいつはあそこに立っていられるんだ!?


ーーそんなの決まっているであろう。豊花、同体化をするぞ。ーー


 そうか!

 私には切り札が三つあるじゃないか!

・ひとつは直観・感覚・感情・思考といった情報の底上げ。

・ふたつめは、ユタカを経由して扱える神すら殺す威力を持つ神殺しの剣。

・精霊操術師となり火を操り同体化と唱えることになり真の力を発揮する。


「フレア! 頼む!」

『はい!』


 相手が遠目にいる分、詠唱を邪魔されることはない。

 やがて、初日に決めた適当な詠唱を再度唱えることにした。


「我と契りを結びし火の精霊よ 私にとっての光となる炎よ 我にちからを貸してくれ フレア!」


 瞬時、辺りに炎が広がり豊花が目視できなくなくなる。

 次の瞬間、豊花とフレアの特徴が混じった奇抜な容姿に変態する。

 自身では確実に不可能な跳躍力を用いて、神造人型人外兵器の立つビルの屋上で着地した。


「それで? 俺に勝つつもりなのか。笑わせるなよ。三下」

「どっちが吠え面かくか楽しみだね」

「なるほどなるほど。せめてもの情けだ。貴様、名前はなんと申す?」

「杉井豊花だ! いいから一般市民を無差別に殺戮するのをやめろ!」

「私には名はないが、それでは不便だろう。私の仮の名前は神造人型人外兵器ナンバー4だ。あの世に行ったら皆に紹介してくれよ。最強の人外がこの世にいるとな」


 ナンバー1の澄、ナンバー2と来たら、次はてっきりナンバー3だと考えていた。でも違った。つまり、ナンバーの高さは順位で比較できないということだと把握した。


 さきに仕掛けたのはナンバー4だった。

 ナンバー4は手のひらをこちらに向けて、緑色の大きなサイズの閃光を放ってきた。

 危ないと直観し、火の鎧を纏いつつも左側の回るように避けた。


 しかし閃光は軌道を変えて、ビルの真下に落下した。

 地上から鈍い悲鳴が木霊する。


「おまえ……なにをしやがった!?」

「いや、なに。私のターゲットはあくまで人類なのであってな。片時も忘れず人類を抹消するという目的があるのさ。君たちには関係ないだろうがね?」


 地面を一瞬横目でちらりと見てみると、首の失った男性、両足をなくした女性、顔が潰れて性別すらわからなくなっている死骸、他多数の犠牲者がビルの真下に肉片となり散らばっていた。

 無論、新鮮赤赤した色が時を経過し朱、殷色に染まってしまっている。血液がゴミかのように散らばっているのだ。

 思わず嘔吐してしまいそうになるが耐えきって、再度ナンバー4に鋭い瞳を向けた。


「なにを驚いている? 人類だって蟻の巣を無邪気に破壊して楽しんでいただろう? それと俺は同一のことをしているだけさ」

「狂っている! おまえの言動も行動も態度も、すべてがすべておかしい!」

「ねえねえ豊花? 早くこいつをぶち殺したいんだけど?」


 今まで傍観に徹していた瑠奈だったが、ついに怒りがピークに達したのか、今にも手を出しそうな殺気に満ちた雰囲気を放っている。


「いつでも来てもいいとーーさきほどから行っているだろう? 隙を与えたのに理解できなかったか」

「このっ!?」


 瑠奈は相手の手の内がわからないままナンバー4に滑空して接近した。

 左手に風を集め風圧に変換し、その拳をナンバー4に突き立てた。


「おお、痛い痛い。痛いじゃないか」


 しかし、言葉とは裏腹に瑠奈の反撃は、致命傷になっていないどころか、傷ひとつなく軽くあしらわれてしまった。

 ナンバー4の攻撃により、瑠奈は建物の端まで飛ばされてしまった。

 急いで倒れた瑠奈の前に座り込む。


「瑠奈!? 大丈夫!?」

「くそっ……攻撃が通用しない……? 油断した……」


 瑠奈の精霊操術がまるで通用していない!

 だとすれば、私の精霊操術も役に立たないことが容易に想像できてしまう。


 単なるナイフでは……もっとダメだ。瑠奈の風撃以上の威力があるとは到底思えない。

 私の見習い精霊操術は……いや、これも不可能だ。そもそもコピーとはいえ序列一位の魔女の攻撃にも耐えられる相手に対して力尽くしはもはや通用しない。

 最後の希望となる神殺しの剣だが、相手を刺す隙が見当たらない。


 ーー隙が見当たらない?


「瑠奈、頼むから起きて! やってほしいことがある!」

「いつつ……満身創痍なわたしに、まだこれ以上コキ使おうとするわけ?」


 私は作戦の意図を手早く瑠奈に伝えた。

 正直五分五分の戦いだし、私だって成功するかわからない。

 でも万が一、億が一にでも可能性があるなら、このまま無様にやられるよりは有意義なはずだ!


 瑠奈は火傷や怪我を負いながらも、どうにか立ち上がった。


「ほう。根性だけは誉めてやる。だが勘違いするな。これはアニメやゲームじゃねぇ。その窮地から逆転勝利なんてありえない」

「それがあり得るかもしれないよーー」


 直後、瑠奈を中心に瑠奈の回りに円形の魔法円が発現した。



「微風瑠奈の()()いて 風の精霊を喚起(かんき)する 契約(けいやく)(した)がい (いま) 此処(ここ)現界(げんかい)せよ シルフィード!」


 寸刻、以前にも見た風景を目の当たりにした。

 完全に深緑に変色した髪の色、腰まで生えた美しい長髪には、これまた綺麗な光の粒子を纏っていた。元より美少女だった微風瑠奈は、さらなる高みへと成長したのだ。


 瑠奈は変貌した姿になった途端、手のひらを左右に振り暴風を創造した。

 直後、瑠奈は追い風に乗りナンバー4に接近。左手に風の圧を溜めてナンバー4に斬りかかる。

 さすがにまずいと考えたのだろう。ナンバー4は無意識に近く風の刃を避けた。


 ナンバー4はバックステップをしたのち、五指の指をすべて瑠奈に向ける。


「危険因子は排除しなければならない規約がある。悪く思うな」


 しかし、しかし。ナンバー4は瑠奈を凝視している割に、瑠奈は一ミリ足りとも動く、避ける、逃げる動作をとろうとしない。

 ナンバー4の表情を窺うと、どうやら瑠奈は自身のことをあまく見ている。だからこの攻撃を受けても大丈夫だろうとたかをくくっているのだろうーーと、ナンバー4も勝利を確信したかのような表情を浮かべているのが私にでもわかってしまう。


「これで終わりだ。せめてあの世で懺悔しろ!」


 その台詞に体して、瑠奈は笑みを浮かべた。

 なぜだ? という疑問は数秒かからずうちに解決した。


「なあっ!?」


 私が持つ神殺しの剣は、たとえ神造人型人外兵器だろうと難なく突き抜ける。

 瑠奈にあえて挑発させて、意識を瑠奈に向けさせたところで、ユタカを神殺しの剣に変換させたうえ、もっとも周りが見えなくなっているタイミングで突き刺しただけだ。

 静夜の見よう見まねだが、静夜のおかげで静かに接近する方法を習得してきた甲斐があった。


「貴様を滅ぼすのが我が天命なのに、よくも、よくもぉおお!」


 暴言を吐きながら、ナンバー4の処分は無事に解決できた。

 澄はナンバー1つまり最終戦として、現在討伐したのはナンバー2とナンバー4だけだ。澄を除いてまだ七人も存在する。

 死骸が残らず粒子の煌めきになって霧散することによって、死体の後処理の始末の必要がないのだけが、唯一の利点といえよう。


 まだまだ私は強くなるための修行は必要だし、正式なナイフ術も学びたい。





 ーーいったい、私を巻き込む騒動は、いつ終焉を迎えるのだろう……。





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