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前代未聞の異能力者~自ら望んだ女体化だけど、もう無理!~(旧版)  作者: 砂風(すなかぜ)
第七章/杉井豊花【急】
183/264

Episode175/総白会vs最神一家①

(283.)

 あれから数日が経過し、ようやく休日の土曜日がやってきた。

 いろいろな出来事があったせいか、普段より長く感じた一週間であった。


 きょうは自宅でゆっくり休もうーーそう考えた矢先、沙鳥から連絡が来たのである。

 十中八九、仕事の内容だ……。

 怠くても出ないわけには行かない。

 仕方なく、私は通話ボタンをタップし耳に当てた。


『豊花さん、緊急事態です。私たちの上の極道ーー総白会の幹部が最神一家が抱えている異能力犯罪組織に殺害されました』

「そ、総白会? 大海組じゃなくって?」


 大海組や赤羽組、敵対している組なら竜宮会くらいは聞き覚えがあるけど、総白会やら最神一家はあまり馴染みのない名前だ。


『はい、総白会です。そもそも舞香さんが所属している組は大海組と考えてください。その上に総白組、一番上の組が総白会なんです。ですから、私たちの組織が関わっている組では一番上位に位置すると考えてください』

「いまいちピンと来ないけど……」ヤクザの構成なんて調べたことすらない。「じゃあ最神一家というのは?」

『総白会と犬猿の仲のライバル、敵対している組の上位の組織です』


 なるほど。

 稀に聞く総白会総白組大海組内愛のある我が家というのは、偉い順に所属を口にしているのか。

 つまり相手も総白会と同程度の規模を持つヤクザ組織ーー最神一家、名前からして恐ろしい。


『で、問題はここからです。総白会の次期会長と目されていた方が、最神一家の手先である異能力犯罪組織ーー通称“輝く星”のメンバーに殺害されてしまったのです』

「ええ……じゃあ私は最神一家を倒すってこと?」

『いえ、最神一家のほうは総白会の現組長が話をつけるか、抗争が勃発するのかはわかりませんが、そちらは豊花さんは手出ししないで結構です』


 え?

 だったらわざわざ私に連絡してきた理由とは?


『豊かな生活の面々には、相手の異能力犯罪組織である輝く星のメンバーの処分をお願いします』

「そういうわけか……相手の居場所や人数、名前や異能力とか、判明しているの?」


 なにも前情報なしで異能力者複数人相手にするのは流石に無茶が過ぎる。


『はい。無論です。今回は赤羽さん含め総白会所属の筋者は皆、必死になって相手を探しましたからね。居場所は我々みたく特定の隠れ家があるわけではなく、皆それぞれ別の場所に潜伏しています。アパートやマンション、暴力団事務所やホテルなど』

「ひとりずつ相手にできるってことか……逆に助かるかもしれない」


 沙鳥はつづけて知るかぎりの相手の情報を述べ始めた。

 香織と鏡子のちからによって、比較的に安易に情報を集められたらしい。


 相手ーー輝く星に所属している異能力者の人数は全部で四人。

 それぞれの居場所や顔写真は、後にファックスで情報を書いた紙を送ってくれることになった。


 輝く星のメンバーの内容は以下のとおり。


 一人目の名前は、綺羅星(きらぼし)。男性、20歳。

 リーダーであり、異能力の内容は生き霊を飛ばし遠隔から様々な事柄を見られることなく覗き見ることができるらしい。


 二人目の名前は、辻堂(つじどう)。男性、18歳。

 異能力の内容は自然治癒力の増強。主に怪我人の治療役として所属しているのだろう。


 三人目の名前は、栗落花(つゆり)。女性、19歳。

 どこかで聞いた気がすると思えば、異能力の世界に所属していた子と同じ珍しい名字だ。

 異能力の内容は複数の刃物を自由に操り左右前後から刃物を穿つ。

 今回、総白会の幹部を殺した実行犯はこのひとらしい。


 四人目の名前は、(あきら)。女性、16歳。

 異能力の内容はナイフや日本刀などの刃物を無限に創造できる能力。どうやら栗落花の補助として幹部殺害の際に一緒に行動していたようだ。


 一人ひとりの異能力の内容を聞くと、そこまで危ない異能力とは思えない。これなら豊かな生活だけでも対処は可能だろう。


『問題は、最神一家と総白会が抗争になった場合です。一応、我々の愛のある我が家も総白会総白組二代目大海組内に所属している組織ですから、警察にも暴力団としても扱われているんです』

「抗争になったらまずいの?」

『考えてみてくださいよ。我々は総白会側の人間として当然扱われます。となると、普段から最神一家やその枝の組織から命を狙われる羽目になるんです。普段どおりの仕事に支障が出ますし、なにより愛のある我が家の枝である豊かな生活の面々ーー瑠衣さんや柊さん、碧さんや三島さん、そして豊花さんまで常に危険に曝される羽目になるんですよ?』

「え……? ちょ、ちょっと待ってよ! 私はともかく瑠衣たちは関係ないでしょ!?」


 たしかに私は愛のある我が家に所属している。

 だけど瑠衣たちは愛のある我が家に所属しているわけではないじゃないか!


『落ち着いてください。そうならない為にもまずは報復として輝く星の面々を処罰し、復讐を終えておあいこになった状況下で、両者最上位に位置する総白会と最神一家の組長や幹部同士で話をつけるんです』

「……本当に話し合いで解決するのか疑問なんだけど?」


 だって、いくら敵対組織だからといって、いきなり組の重鎮を殺害されたら、話し合いなんか生ぬるい方法で解決するとは思えない。


『まあ、心配するのも理解できます。ですからーー交渉が決裂した場合は最神一家含め敵対する組の組員らを皆殺しにします。その際は無論、こちらも瑠奈さんや舞香さんも連れて全力で倒しにかかります』

「皆殺し……」


 物凄い物騒な言葉が聴こえた気がするんだけど……。


『とりあえず今から輝く星の情報を送りますので、その間に豊かな生活の討伐班を集めて待機しておいてください』

「わかった。とりあえず今すぐ収集をかけるよ」


 それだけ言うと、私は震える手で通話を切った。


 あまりにも今までと規模が違う争いに、無意識ながら緊張してしまっているのだろう。



 ひとまず、さっそく私は瑠衣と柊を呼ぶため電話をかけることにするのであった。

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