人族のルール
街の城門をくぐると
騎士が綺麗に整列し、これから祭りでも始まるのかと思ってしまうような
喧噪に包まれていた
住民も一目、龍を見ようと大勢集まっている
「ようこそ銃の街へ、龍族の長。
私はマズル・セイブス。この街の領主をしている
レム君達もご苦労だった。報酬は色を付けてギルドに渡してある
後で忘れずに受け取って欲しい」
帰還した俺達を出迎えてくれたのは
まさかの領主様だった
と言うかマズルさん、そんな名前だったのか
「基本的に十当主の皆様は英雄と同じお名前を名乗っているそうです。
先祖の偉業を後世に伝える為とか
その身に英雄を降ろす為など諸説あるそうですが」
俺の疑問顔を見て何か悟ったのかデイジーがこっそりと教えてくれた
『手厚い歓迎、感謝するマズル殿。
我は龍族の長オロチじゃ、よしなに。
しかし、我らは謝罪をする為に参った身。
罵倒されることも甘んじて受けるつもりであったが
このような歓待をして、問題はないのか?』
「確かにそこで伏している龍の処罰は厳格に行って頂きたい。
が、だからと言ってオロチ殿。
貴方に全ての責任を求めるつもりはない。
それを求めると言う事はこの街で起きた犯罪全ての
責任を領主が背負ってしまうことになります。
罪は全て犯した者が償わなくてはならない」
『それが人族のルールか・・・。
その言葉有難く受け取らせて頂くとしよう。
では我らも人族に合わせるとしよう』
マズルさんとオロチさんの難しそうな会話をぼうっとして聞いていると
またオロチさんの魔力が湧き上がり、輝き始めた
暴走龍も同じように輝いている
光が収まると二龍が立っていた場所に
身体付きががっしりした偉丈夫と
ボロボロになった少年が立っていた
恐らく偉丈夫がオロチさんで少年が暴走龍だろう
魔力的に間違いなさそうだ
「先程は頭上から失礼した。
改めてオロチじゃ。よろしく頼む」
ちなみにまだ暴走龍は気絶中だ
いい加減生きているのか心配になってきた
マズルさんとオロチさんは罰則について詰めるそうで
屋敷に向かった
俺達は報酬を受け取る為にギルドに向かう
暴走龍に関しては一切をマズルさんに任せてある
これだけの領民に慕われる人だし
悪いようにはならないと信じている
「レムさんおかえりなさい~。
すいませんでした。情報が誤っていたそうで・・・」
珍しくシルがしゅんっとしている
「気にするな。それより龍族の長のオロチさんから聞いた話なんだが
喋れるドラゴンは皆、龍族と言う別の種族だそうだ。
ドラゴンは魔獣。俺達で言えば猿かな?
これをギルドから周知してもらえないか?」
「わかりました!
龍族の方は目撃情報が少なく、公の場に出て来られることがなかったので
今回の件は新発見ですよ!
これから龍族の方との交流も進んでいくといいですね~」
シルはそう言って元気よく立ち上がり駆けていった
うーん、この切り替えの早さがシルの良いところだな
明日は鍛冶屋に行って武器の感想を言わなければいけないんだが
どうしたものか・・・
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