千年振りの休息
初めまして
多くの作品を読み、いつか自分の妄想を書きたいと思い
思い切って投稿しました。
何番煎じかわかりませんが楽しんで頂けると幸いです。
プロットもなにもなく見切り発車の上
不定期ですが続けていきたいと思います。
地上に空いた大きな穴
そこは暗い世界、『闇』に呑まれ希望の一つもない世界
そんな救いようがない世界で
神に攫われ闇が溢れる奈落で永遠と戦う宿命を負わされた青年
彼は神から詳細を聞かされるもなく、それまでの生活から離され
様々な武器と防具、それらを活用する知識
それらのみを与えられ奈落に放り込まれた
彼が解放されるのはこれから千年後になる
結局の所、世界は保たせることは出来なかった
最初の頃は多少『闇』が漏れ出していたが
数百年を超えた辺りから全くと言っていいほど無くなった
その間に地上の『闇』は駆逐され平和を謳歌していた
しかし人の業か、彼等の次の敵はかつての友
同種同士の戦いに傾倒していった
彼等が目を付けたのは『古の怪物』の召喚、使役だった
お互いに競うように『古の怪物』を召喚し、互いの国を焼いた
『古の怪物』達もお互いを喰らい大きく成長していった
やがて片方の国が滅び、勝者の国が全てを蹂躙し、全てを手に入れた
『古の怪物』は国の象徴となり崇められた
そして勝利を祝うかの如く怪物は咆哮を上げた
衆民は万雷の拍手を持ってそれに応えた
『古の怪物』が数百年前まで種の存続をかけて争った相手だとも知らずに
彼は戦っていたはずの『闇』が突然消え困惑していた
穴と地上の間には神の張った次元の壁のようなものがあり
まだ消えるようなものでもなかった
見上げてみると次元の壁が確認でき、『闇』が抜け出した形跡はない
不思議に思っていると彼の前に千年前に自分を攫った神が現れた
即座に剣を抜き、切り裂き、突き、両断する
当然のことだろう神であろうと誘拐犯であり、彼は被害者だ
神もそうなることはわかっていたのであろう
障壁を張り、その剣戟から辛くも逃れたようだ
神はこの世界を救う為には仕方なかったと開き直り
謝る事を良しとしなかった
そこで話を終えることなく現在の世界の状態を説明し始める
世界の人々によって『闇』は現世に召喚され
自分の繋がりを利用し地上に残りの『闇』を引き摺り込んだ
またもや世界は滅亡に瀕し今度は彼を地上に送り込みたいということらしい
そんな事は彼からしたらどうでもいいことだ
これまでの彼の千年に声は必要ではなかった
心も欲も必要ではなかった
ただただ攫った神に対する報復と
原因である『闇』への恨み
この二つを持って生きてきた
その片方が今この時叶うと思えば神の言い分など気にしている暇はない
次元の壁を超えられる訳が無いと安心している神は
「私が渡した能力で私が殺せる訳がなかろう?
いくら戦闘以外の知識をほとんど持っていないにしてもお粗末すぎるな」
原因が自身にあることを棚に上げ嘲り笑った
彼はそのことに怒りを抱かずただ笑った
「ついに壊れてしまったか?
まぁ奴さえ始末出来れば良い」
神は彼を地上に送る転送陣を用意した
「さぁ入りたまえ。これが最後の戦いになるだろう
人類は死に絶えたがまた作り直せばいい。
だが奴には地上に住み着かれると少々困るのでな」
ふと思い出しように神は笑みを浮かべた
「だが私に剣を向けた罰は与えねばな」
彼は自分の身体からここに送る際に神に与えられた能力が無くなっていることに気付いた
「・・・自分の力だけで『闇』を殺せって事か?」
「当然であろう?私に剣を向けたのだ。
今までの経験があれば勝てるだろう。さっさと行くがいい」
この神の横暴にも彼は笑みを崩さず神に向かい剣を構えた
「その花畑な頭を取り外してやるよ」
『闇』と初めて対峙した時を思い出す
あれは思念と言えるようなものであったと
奴は斬るんじゃ駄目だ
世界から切り離すつもりで剣を振る
幸い武器は取られてはいない
その尋常ではない様子に神は慌てて武器を回収しようとするが
戦闘センスを経験のみにされた彼にはそれがトリガーになったように斬りかかる
「世界に寄生する虫が・・・お前の時代は終わりだ」
そう言った彼の手には剣は握られていなかった
「ハハッ間に合ったようだ・・な・・・?」
神の頭は身体から切り離され床に落ちていた
神の権能も使えず意識が無くなっていくのがわかる
剣を回収出来たわけではなかった
神の権能で造られた物であった為、消えてしまっただけであった
自分がなぜ剣のようにすぐ消えないかはわからないが
そんなことはどうでも良かった
「俺も消えるだろう。『闇』の奴が人の振りをするのかこれからの世界に興味もない
流石に疲れた・・・」
千年寝る間もなく『闇』と戦い続け
ついに怨敵を討ち滅ぼした
彼は千年振りの睡眠を穏やかな笑顔で楽しんだ
ここまで読んで下さった方ありがとうございます。