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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
94/134

094 謝罪

「こ、これが、タカネ殿のマッサージでござるか」


ホテルに戻り、皆の労をねぎらう

ミヤビさんが体をよじって悶え震える


「ミヤビさんはふんどしなんだね、食い込みがセクシー」

「あ、ああ・・・あふん!そ、そこは駄目でござる!」


そう言わずにしっかり筋肉の疲れを取らないと

再生の杖?道具に頼りすぎるのは良くないよ


「だ、駄目っ、な、泣いちゃう、もう」

「キャラ変わってるよ」

「だ、だって・・・ああんっ!!!!」


大きく仰け反り耐えるミヤビさん

涙目で歯を食いしばり耐える


「・・・うああっ!!」


不意に体から力が抜ける

一気に脱力するミヤビさん

楽になったのかな

肩で大きく息をしながらぐったりした


「次はクリスティ、その次はメイファンな」

「は、はい」ドキドキ

「メイファンもアルか?」


・・・3人共ぐったりした

疲れていたのだろう、このまま寝かせよう


「ムスタング、明日はたくさん飛んで貰うからな、お前も休んでおくんだぞ」

「ケーン」



次の日

サテンから手紙が来た

へえ、メアリーが上級になったのか

じゃあ俺もサテンに手紙を書こう

明日からはユーメリアに手紙送ってね、と

さて、王宮にイゴールを引き取りに行く


「グラハム将軍、魔法水晶の研究を止めてしまうのは心苦しいんだけど」

「ゲフンゲフン、ま、まあ気にするな、今度こそ優秀な魔法使いを雇って続きをやらせるさ」

「・・・そっか」


出来ればこのまま放棄して欲しい所だが、そんな事も言えない


「イゴール暴れるな」

「ぺっぺっ、離せこの野郎!」

「きたねーな、唾飛ばすなよ、かかったらどうしてくれる」グイ

「い、いててっ!お、折れる!」


面倒なので頭にイナズマ落として痺れさせた

ユーメリアに着くまで起きないで欲しい


「メイファン、今日はムスタングに乗ってくれ、賢い子だから大丈夫だよ」

「解ったアル」

「ケーン」


馬車はイゴールと見張りの俺、ミヤビさん、クリスティ

王子は愛馬、メイファンはムスタング

さて、戻りますか

クルセイドの首都を飛び立った


いきなり翼竜に襲われるが馬車の窓から氷の魔法で撃ち落とす

その後はなんもなく休みながらユーメリアへ



「うーん、着いたー」

「イゴールを拘留してくるわぁん」

「ヘンリーの元へは明日?」

「そおねん、でもイゴールは反省してないから気を悪くさせるだけかもしれないわねぇん」

「・・・そうだな」


捕まえる事は出来た

ホセとゾイゾイは反省してるがイゴールは馬鹿だ

余計ヘンリーを怒らせることになる気がしてならない


「その後はどうなるの?」

「裁判にかけるわぁん、4人共ね」

「当然だがメイファンもか」

「まあメイファンは死刑になる事は無いだろうけどぉん、他の3人は解らないわねぇん」

「113人を犠牲にした罪か」

「ヘンリーは4人共許せないでしょうけどねぇん」


死刑か

重いな

ホセの奥さんの泣き顔が頭に浮かび上がる

しかしヘンリーにも奥さんと子供がいたのだ

ドラゴンに食いちぎられてしまったのだ

4人共、殺しても殺したりない相手だろう


「メイファン、ムスタングはどうだった?」

「可愛いアル、とても賢くて大好きアル」

「・・・メイファン、貴方もいらっしゃぁい?今から拘留する事になるわぁん」

「解りましたアル」


・・・当然そうなるのか

裁判までは監視下に置かれる事になるのか


「ふう、すこし疲れたな」

「タカネ殿、マッサージしてあげるでござる」

「え?ああはい」


うう、ミヤビさんうまいな

え?そんなとこまで?

そ、その動作は必要なのだろうか?

ちょ、そこばっかり責めないで・・・

ぐったりして夕食


「そうだピーちゃん、俺にコネをくれよ」

「コネ?どういう事なのぉん?」

「今後10年くらい闘技大会のVIPルームの優先予約権が欲しい、ついでに高級ホテルのスィートを大会期間中だけ10年予約しときたい」

「んー良いわよぉ、でもそれだけでいいのぉ?」

「ん?十分だよ、我儘聞いてくれてありがとう」

「さっき大陸美女20傑の提案をしてきたわぁん、好感触で恐らく実現されると思うわぁん」

「うわー、それも見たいな!」

「開催されるとしたら、ペガサスの馬車があるユーメリアしか無いと思うのよねぇん」

「そっか、他の国じゃ集められないもんな」

「だから実現されたら招待するわぁん、クリスティちゃんの一言から始まった事だしねぇん」

「ありがとう、なんかいろいろ失礼な事言ってごめんね」

「いいのよぉん、美女大会で私が優勝する姿を見て欲しいものぉん」

「それは無いな、もしあったらやらせの大会じゃん」

「てめえ!!!勝負しろゴルァア!!!!!」


はいはいぶっ飛ばす

恩を仇で返して今日は寝た


次の日

本日は馬車2台で移動する

1台目は俺、クリスティそしてイゴール、メイファン

2台目はミヤビさん、王子そしてゾイゾイ、ホセ

ムスタングはお休み


移動と言ってもヘンリーの集落に行くだけ

1時間かからないはず


「イゴール、暴れるならまた痺れさせるからな」

「ひっ!」

「・・・少しは反省してるのか?」

「な、なんでルビーの俺が・・・」

「それは関係無いだろ、だからバカって言われるんだぞ?」

「お、お前も・・・す、スイッチなのか?」

「俺は馬鹿じゃないから言わない」

「お、俺だって、ば、馬鹿じゃない!」

「馬鹿だよ・・・それが解らないからお前は馬鹿なんだ」


馬鹿が自分の事を馬鹿だと思ってる訳ないんだ

解ってるなら直そうとするはずだ

気付いてもいないから馬鹿なんだ


「み、みんなで俺を馬鹿にして!」

「なんだ?それでお前はおかしくなったのか?」

「り、リーダーになれば馬鹿にされる事も無くなると思ったのに!」

「そういう安易な考えが馬鹿なんだよ、肩書きに尊敬が付いて来る訳じゃ無いんだ、行動なんだよ」

「バカバカ言うなよ!」

「言わなくなったら諦めた時だ、お前の仲間は諦めたのか?」

「・・・・・・」

「仲間の気持ちが解らなかったんだな、なんとか理解させようとしたんだろうが」

「私達も言い方が悪かったアル」

「でも、ルビーだから偉いとか言っちゃう奴が相手だとどうしようも出来ないよな?」

「正直どうすれば解ってくれるか解らなかったアル」

「・・・子供みたいだ、喧嘩が強ければ偉いと思ってる小学生のような」

「うっ・・・」


・・・どのみちもう手遅れか

この世界やユーメリアの法律に詳しくは無いけど恐らく・・・


「解った、もう何も言わない」

「え?・・・ど、どういう事だ?」

「理解する必要はない」

「あ、諦めたのか?俺を無視するのか?」

「・・・・・・」

「お、おい」

「・・・静かにしろ、すぐに着く」


イゴールが俯いてしまう

顔面蒼白

そこまでショックだったのかな


「お、俺は、元の世界で・・・」

「ん?」

「元の世界で、無視され続けたんだ」

「・・・イジメか?」

「イジメなんかじゃない、無視だ、まるでそこに居ないかのように」


空気が読めない

馬鹿な事を言う

イゴールの周りの人は諦めてしまったんだな


「悪気なんか全然ないんだ、そ、それなのに、俺がしゃべると皆固まって」

「TPOってもんがあるんだ、その場に有った適切な回答と言う物がな」

「わ、解らないッ、解らないんだよ!」


何が悪いか解って居れば直す事も出来たのだろう

しかし、それを把握する事がイゴールには出来なかった


「せ、せっかく人生をやり直す事が出来たんだ、今度こそは、今度こそはって思ったのに!」


ところが分不相応な力を与えられてしまった

何も解決しないまま違う世界に放り出され、過度な力を与えられた結果は更なる大きな悲劇を生んだ


「誰だって小さな失敗の1つや2つはあるよ、時には取り返しのつかない失敗をする事だってある」

「俺は、きっと気づいてない所でも、きっと失敗ばかりで」

「・・・それに気づくのがもうちょっと早ければな」

「も、もう、やり直せないのかな?ま、また、違う世界で」

「最初に妖精が言っていた、次は消滅だと」

「そ、そうか・・・も、もう、やり直せないんだ・・・」


俺がスイッチなのはもう隠す必要も無いだろう

かすれるような声

もう、すべての望みが消えてしまったかのような

失ってしまってから初めて気付くこともある、か


「俺にとってはNPCノンプレイヤーキャラだったんだ、この世界は・・・現実味がなかった」

「みんな生きてるんだよ、弱くても生きているんだ、力を持ってしまったからその辺も麻痺してしまったんだろうな」

「・・・そうか、俺は113人も殺しちゃったんだな」

「・・・最後くらいは間違わないでくれ、逃げたんだから捕まったら自分がどうなるかくらいは解っているんだろ?」

「・・・・・・」


イゴールは何も言わない

何を考えているのか解らない

長い沈黙が続く

返答が得られないままヘンリー達の集落に着いた


4人を馬車から降ろす

ヘンリー達が来る

顔を真っ赤に怒りに打ち震えた顔


「こいつらだ・・・見間違えようが無い、こいつらが・・・!」

「・・・4人はこれから裁判にかけられる、言いたい事は山ほどあると思うが司法に任せて貰えないか?」

「ふっ、ふざけるな!!メイファンはともかく他の3人は・・・こ、この手で!この手で殺してやらなければ気が済まん!!!」

「お、俺が・・・」


イゴールが土下座した


「お、俺が全部悪いんだ!!俺が村の方角に逃げたんだ!最初から村を巻き込むつもりで!」

「なんだと・・・?」

「他の3人は悪くない!俺がリーダーだったんだ!ヒーラーがやられて俺がそう判断した!他の3人はパニックになって俺に着いて来ただけだ!!」


拳を震わせ怒りに燃えるヘンリー

歩み寄り拳を振り上げたところでハーネスがヘンリーの腕を掴んだ


「ハーネス!何故止める!」

「ここでお前が手を出してしまえばこいつも被害者だ、裁判の結果に影響があると思うぞ」

「そんなもん知るか!ここで殺してしまえば一緒だ!!」

「それだとお前が殺人犯になるじゃないか、こいつと同類だ」

「知るか!俺は妻と子を!仲間達を殺されたんだぞ!」

「ここでこいつを殺してしまえば気が済むのか?」

「・・・済むわけない、それくらいで俺の怒りがッ・・・」


失った者が戻って来る訳じゃ無い

どうしたってやるせない思いは残るだろう

何をしたって不毛だ


「俺は・・・どうあがいても死刑だ、こ、ここで殺されてもいい!だ、だがあんたはそれでいいのか?」

「ど、どういう意味だ!」

「じ、人生を、やり直せなくなってしまう」

「・・・人生を?人の人生を無茶苦茶にしといてよくもそんなッ!」

「俺は・・・出来る事ならやり直したい!失敗する前に戻りたい!すべて無かったことにしてしまいたい!」

「な、無かった事にだと、村を一つ潰しておいて無かった事になんて出来るか!」

「ああ、出来ないんだよ、取り返しがつかないんだ、引き返す事はもう出来ないんだ」


人生を惜しむ

やり直したいと思った事は誰にでもあるはずだ

俺達はその機会を得る事が出来た

でも結局失敗ばかり


「お、俺は、たくさんの人の人生を無茶苦茶にした!仲間にも迷惑をかけた!これ以上・・・これ以上は、もう・・・」

「・・・だから俺にもお前を殺すなと言うのか?」

「・・・これは俺の我儘だな、今頃になって俺はそれが解るようになって」

「信用できるか、少しでも長く生きていたいからそんな方便を言ってるようにしか見えん」

「・・・その通りかも知れない、例え獄中でも死刑になるその時まででも俺は生きていたいんだと思う」

「散々死なせておいて、そんな我儘が通用するか!」

「・・・そうだよな、たくさんの人の人生をいきなり終わらせてしまった・・・ムシの良すぎる話だった」

「・・・・・・」

「解った殺してくれ、馬鹿な俺を終わらせてくれ」

「・・・スッキリしたような顔をするな!1人で納得して、1人で結論を出して!」

「・・・俺はまた空気を読めてなかったか、申し訳ない、これの直し方は解らない」

「お前が絶望してなければ俺にだって意味が無いんだ!お前が苦しんでないと俺の気持ちが晴れないんだ!」

「一つ、提案をしてもいいかしらぁん?」

「・・・なんだ?」

「彼は童貞らしいのよぉん、笑ってあげてくれないかしらぁん」

「なっ!」

「・・・は、はは、お前童貞なのか?そうか良い歳をして童貞なのか」

「くっ!」

「女を知らないまま死んでいくんだな、は、はは、こりゃいい」

「しかも、ここに居るタカネちゃんに『俺の童貞奪ってくりゅ~』とか言っちゃってんのよぉ?」

「は、ははは、痛いな、どうしようもない」

「くっ・・・恥ずかしい、死んでしまいたい」

「ははは、い、いや待て、まだ死ぬなよ童貞、童貞イゴール」

「ば、馬鹿にしたけりゃいくらでもしてくれ!」


強くて魔法も使えるのに童貞

いや、魔法を使えるから童貞なのか?

なんの話だ


「ふはは、そうか、じゃあ牢獄に入れば女を見る事も無く悶々と過ごす事になる訳か」

「そぉよぉん?なんなら毎日面会に来て女の素晴らしさを説明してあげたらぁん?」

「ははは!そりゃいい!すこし遠いが毎日行くぞ!こいつが悔しがる姿を見たいからな!」

「うぐぐ、俺は手も拘束されたままなんだぞ」

「ははははは!!!解消も出来ず悶々とした毎日を過ごすが良い!!!」


・・・なんとかなったのかなこれ

こんな変な終わり方か

最後はピーちゃん独り舞台だったな


「タカネ様、クリスティは22歳で処女なんですが大丈夫でしょうか?」

「知らん、俺だってこのまま行くとずっと処女だぞ、ピーちゃんはオカマなのに童貞じゃないの?」

「マジでぶっ殺すわよアンタ」


怒られた

俺の素朴な悪意の無い疑問だったのに

うーむ・・・

あ、男の後ろに?

これ以上はヤバイ気がするので終了

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