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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
88/134

088 死闘

次の日、朝からカオリをしごく

疲れては再生の杖、疲れては再生の杖


「もういいだろ?風呂入って準備しろ」

「うーん、強くなった気がする」

「かなり動きは洗練されたぞ」


変化に強い柔軟な動き

隙を見つけると瞬時にそこを付いて来る

カオリが一段階強くなった


「カオリ、ピオリム王子にお願いがあるから機会があったら時間作ってくれるよう伝えてよ」

「うん、解った」


「結局ミヤビさんの弟子は決勝残ったの?」

「3敗2人で延長戦をやって勝ったでござる。ギリギリ進出でござるな」

「おお、おめでとう」

「ですが1回戦の相手がクルセイド人でござる、勝てる見込みは無いでござる」

「そっかあ」


決勝トーナメントは各リーグ2位までの16人で行われる

それでは闘技場へ向かおう


闘技場

今のオッズを見るとカオリは5番人気だな

1位はクルセイド、2位は黒イケメン

無敗の人達がやはり人気が高いか

VIPルームに居こ


「今日はリオナとメイファンか」

「お待ちしておりましたタカネ様、本日もよろしくお願いします」

「よろしくお願いしますアル」

「この部屋とも今日で終わりでござるか、良い部屋でござった」

「あ、次の本大会分のチケットって今から予約できるの?」

「チケット販売は大会の1カ月前からです」

「そっか」

「タカネ殿、またこの部屋を借りるでござるか?」

「解んないけど今大陸12位と住んでるから来る事にはなる気がする」

「クリスティ殿でござるな」

「カオリが20位になったら確定だろうし」

「王族、貴族様にとても人気があるお部屋です、本大会でこの部屋を予約するにはコネも必要かと・・・」

「この後ピオリム王子にコネ作る予定」

「そ、そんな簡単には・・・」

「別におかしな事はしないから安心してよ」


お、第一試合が始まった

カオリと知らない人だ

カオリは2位通過だから相手は1位通過なんだろうけど・・・

余裕でカオリの勝ちだ、おめでとう

こっちに投げキッスを送って来た


第三試合で黒イケメンが出て来たな

危なげないが時間かけすぎじゃないか?

相手が疲れたところを止め

黒イケメンが勝った


第六試合でクルセイド人とミヤビさんの弟子の対戦

クルセイドの力強い攻撃を結構避けては居るが・・・

ああ、くらってしまった、ビキニの前がはだける

あんな恰好で戦うから

胸が丸出しなのに全然恥ずかしそうじゃない

けど負けた


第八試合でピオリム王子登場

開始と同時に相手を瞬殺

・・・たしかに強くなった

これはミヤビさんの言う通り優勝候補かも知れない


「第二回戦まで30分の休憩です」

「ちょっと弟子の所に行って来るでござる」

「行ってらっしゃい」


ミヤビさんは付き添いだから控室行けるんだな

俺は行けないからここで待ってるしかない

慰めに行くんだろうか

叱咤激励に行くんだろうか


「タカネ様、紅茶をお持ちしましたアル」

「ありがとう、メイファン」

「カオリ様強いアル、街で助けてくれようとした時嬉しかったアル」

「ああ、本人に言ったら喜ぶぞ」


ミヤビさんが戻って来て2回戦が始まる


1試合目カオリ、2試合目黒イケメン 3試合目クルセイド 4試合目ピオリム王子

順当に勝った


「カオリは黒イケメンとか、クルセイド人はピオリム王子」

「どっちが勝つと思うでござる?」

「カオリと黒イケメンは解んないなぁ」

「クルセイド人とピオリム王子は?」

「ピオリム王子」

「やはりそう思うでござるか」


クルセイド人は1番人気だが頭一つくらいピオリム王子の方が強く見える

カオリが決勝に進めても相手はたぶんピオリム王子だ


しばらくして準決勝1試合目が始まった

カオリと黒イケメン

死闘になった


黒イケメンはここまで一太刀も受けて無かったらしい

だがカオリとの勝負では2発当てられた

対するカオリもここまで2発貰った

後一太刀受けたほうが負ける

ここまで10分

2人共肩で息をしている

黒イケメンも口を開け、苦しそう

クールさはどこへやら

しかし集中は切れて無いみたいだ


黒イケメンが仕掛ける

カオリがそれを凌ぐ

すぐに距離を取り一休み

もう双方長い間打ち合えない


歓声がすごい

白熱の名勝負だ


お、関係者用の立ち見席でサテンが祈ってる

メアリーは両手を上げ鼓舞

シオンが一番熱くなってるな、ああいう一面もあるのか


カオリが仕掛けた

黒イケメンがそれをいなす

いなしながらカオリに切り込む黒イケメン

カオリがそれを盾で受ける

また距離を取り、肩で息をする


ううむ、手に汗握る膠着状態

ハラハラするぜ


黒イケメンが仕掛ける

いや、フェイントだ

しかしカオリは動じない

解っていたみたい

ゆっくり呼吸を整える

相手のペースに乱されないように


スゥー―っと長くカオリが息を吐いた

仕掛けるのか?

黒イケメンが身構える

来ると感じたようだ

カオリが剣を振り下ろす

黒イケメンがそれを受ける

いや、弾いたな

黒イケメンが疲労の為か受けきれなかった

大きく隙が出来た黒イケメンの胴をカオリが狙う

イケメンも体勢を崩しながら防御に回る

胴に当たる前にイケメンの剣が間に合った

しかし弾き飛ばされるイケメンの剣

カオリの攻撃を受けきれなかった

剣がイケメンの手から離れていく

カオリはがら空きの腰に1発撃ち込んだ


ワアアアアアアアアアアアアアアアア


「おお!勝ったかあ」

「いやはや、すごい戦いでござったな」


パチパチパチパチパチパチパチ


場内が拍手に包まれる

カオリとイケメンは握手

お互いの健闘をたたえ合ってた

イケメン良いヤツだな

負けてもスッキリした顔をしていた


「元17位に勝つとは、これは凄い事でござる」

「たしかに・・・ミヤビさんは元何位だったの?」

「3位でござる」

「それもすごいな」


今は20傑から外れてしまったが自分に制限をしなければもっと上に行ける人だ


「制限をかけたほうがもっと強くなれるでござる、順位にはこだわらないでござる」

「縛りプレイか」

「エッチな響きでござるな」


お、クルセイド人とピオリム王子が出て来た

戦いが始まると同時にカオリが来た


「た、タカネぇ、再生の杖お願いぃ~」

「なんだよ良いとこなのに」

「あ、あのイケメン超しぶといんだもん」


はいはいしょうがないな

カオリに再生の杖をあてる

穏やかになっていくカオリの顔


「ああ、スッキリした!」

「やっぱこれって汚くないか?」

「ピオリム王子だって古傷再生したんでしょ?」


そうだけどさ

メイドのリオナが複雑な顔で見てるぞ?

ドーピングっぽいもんな

リオナは当然ユーメリアのメイドなんだからピオリム王子応援してるだろうし


ワアアアアアアアアアアアアアアアア


ん?終わったのか?

ベランダに出て見る

ピオリム王子が剣を掲げていた


「む、むう、カオリの相手はピオリム王子かぁ、クルセイド人にリベンジしたかったのに」

「ミヤビさん、どんな試合だったの?」

「クルセイド人の猛攻をすべて受け流しての1本勝ちでござった」

「カオリ、より強敵と戦えるんだ、頑張って来いよ」

「うん、じゃあ控室に戻るよ」


カオリが戻って行った


「さてさて、30分後はいよいよ決勝でござるな」

「これで大会も終わりかぁ」

「名勝負を期待するでござる」


30分後

2人が出て来て国王に一礼する

真剣な顔の二人

お互いロングソードと盾だ

戦いの火ぶたが切って落とされた


まずはカオリの先制

ラッシュを放つ

それを盾で受け止める王子

危なげないな

お、カオリがフェイントを入れる

王子は引っかからない

逆にそれを隙と捉えてカオリに突きを放つ

むう、カオリの脚に入ってしまった


体勢を直そうとカオリは離れるが好機と読んだのか王子が詰め寄って来る

王子の攻撃を盾で受け続けるカオリ

どんどん追い詰められていくな

壁まで追い詰められたカオリは壁を気にし過ぎたのか脚にもう一撃食らってしまう

これで0対2か

後が無くなった


ここでカオリの反撃

盾を捨て、両手でロングソードを持ち回転しながらの渾身の一撃

王子は盾で受けようとしたが盾が吹っ飛ばされてしまう

お互い剣のみの攻防となった


身軽になった両者の激しい攻防

カオリの振り下ろしを王子の剣が受け流す

そうはさせまいと無理矢理内側に食い込ませるカオリ

王子の肩に一撃入る

更にカオリの猛攻

突きで王子を攻め立てて行く

王子は防戦一方

だが冷静に状況を分析してるように見えるな

壁に追い詰められないよう円を描きながら下がっていく

ここでカオリがフェイント

と見せかけた攻撃

王子の判断が一瞬遅れた

防御はするものの体制を崩す

更にカオリの追撃

浅くだが王子の肩に入る

これで2対2だ


ワアアアアアアアアアアア


息詰まる熱戦

俺も拳に力が入る

王子が大きく距離を取り、両手で剣を構える

カオリも両手でそれに対峙した


間合いを測っている

両者すり足で少しずつ前へ

どっちが仕掛ける?

どっちが早い?


同時だ

両者同時に一気に前へ

同時に剣を振り上げる

気合いと共に振り下ろされる剣

相手の肩に向かって振り下ろされる

どっちだ?どっちが早い


2人の顔が歪む

双方モロに食らってしまった

相手の攻撃を体で受け止める

先に当ててしまえば勝ちだから、後の事は考えなかったのだろう

双方捨て身の攻撃


両者崩れ落ちる

どちらが早かったか2人は解っているのだろうか


実況は解ってないな

ほぼ同時に見えた

だが一瞬だけ・・・


「私の負けです!王子が一瞬早かった!」


カオリが膝を突きながらそう言った

痛む肩に顔を歪ませながら立ち上がる

王子の前に行き握手を求める


ワアアアアアアアアアアア

パチパチパチパチパチパチパチ


拍手と歓声に湧きかえる場内

いい勝負だった

決勝に恥じない勝負だった

よくやったよカオリ


すぐさま表彰式だが2人共辛そうだ

やっぱり肩を怪我したのだろう

ヒーラーが声をかけるが断っているな

骨まで行っちゃったか

お互い渾身の一撃だったもんな


コンコン


メイドさんが出てくれる


「タカネ様、治療をお願いしたいと・・・」

「はいはい」


再生の杖を持って治療室へ

中に入ると2人共泣いてた


「痛いよぉ、馬鹿力なんだからぁ」

「お互い様でしょお?無茶してもぉん」

「タカネ、先にこっちお願いぃぃ」

「あらぁん優勝者から治すべきだわん」

「王子、男なんだから譲ってあげなさい」

「だれが男じゃ!後で覚えとけよ!!」


2人を治して落ち着いた

もうこの場で話してしまうか

人払いをして貰った

スイッチの事は伏せて事情を話す


「あらぁん、あの村の出来事にはそんな裏側があったのねぇん」

「ヘンリーは国に伝えたって言ってたけど」

「私は聞いてないわぁん、担当官が真に受けなかったのねぇん」

「メイファンには便宜を図って欲しいと言うか」

「そぉねぇん・・・取りあえず私の優勝賞金はお墓を建てるのに寄付するわぁん」


優勝賞金はたしか1000万

必要額丁度だな


「メイファンには情状酌量の余地があるわねぇん」

「そうか、良かった」

「なんのお咎めも無しと言う訳には行かないかもだけどぉ」

「うーん、あいつは一応守ろうとはしたんだぜ?」

「取りあえずは逃げた3人を捕まえてからねぇん」

「ああ、それは私が・・・」

「許せねえ!絶対にとっ捕まえてやらあ!!」


怒りに燃えるピオリム王子

いや、俺がとっ捕まえたいんだけど

スイッチの事バレたくないから邪魔なんだけど


「協力しましょぉう?他国に逃げたとなるとぉ、私の力も及ばないしぃ」

「王子と言う立場上、国際問題はマズいんじゃ?」

「姫って呼んでくれなきゃ嫌っていうか殺す」

「ピオリム姫、私も大事にしたくはないので王族に動かれるのは困ると言うか」

「でもぉ、これはユーメリアの不始末よぉ、ユーメリアが責任取るべきだわぁ」


確かにその通りだ

部外者は俺の方か

・・・だがこれはスイッチの問題でもある


「取りあえず明日の朝までに3人の事は調べておくわぁん、今日はホテルで休んで頂戴ん」

「次は負けないからね、ピーちゃん」

「カオリ、失礼だろう」

「いいのよぉん、もうすでに死闘を繰り広げた戦友よぉん」


VIPルームに戻り、メイファンに経緯を伝える


「そうアルか、国が決めたとうりにするアル」

「まあまだどうなるか解んないけど・・・」

「拙者も協力するでござるよ」

「ミヤビさんは帰らなくて大丈夫なの?」

「大丈夫でござる、拙者は隠密行動が得意なので役に立つでござるよ、ニンニン」

「スイッチのミヤビさんに居て貰った方が良いか」

「今日は弟子と一緒に宿舎に泊まるでござる」


そんな訳でホテルに戻る


「まあ明日一緒に帰らないんですか?」

「カオリも残ろうかな・・・」

「カオリは20傑になれなかったんだからこのタイミングで帰らないと、ペガサスの馬車使えないんだから」

「ミヤビさんはどうするの?」

「聞いてない」

「なにかペガサスの馬車使える方法があるんだよ」

「お前は帰ってエリーゼに10万損させたことを説明しろ」

「う!・・・タカネのせいだもん」

「クリスティさんが会いたがってると思いますが」

「クリスティは来ちゃうと思うよ」

「スイッチ以外が増えてもややこしくなるんだけど」

「3人でなんの話してるら?」

「エッチな話だ」

「穢れてるら、向こう行ってるら」


まあいいや

王子が調べてくれた結果次第では俺も一度帰るかも

全部任せる事になるかもしれないしな

今のとこ何とも言えないか

明日の朝の報告を待つか

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