084 応援
本日はカオリが大陸20傑の20位を決める剣技大会に出る為にユーメリアに行く
俺は付き添いというか応援と言うか
そもそも20位を返上したのが俺と言う何ともおかしな状況なんだよな
ペガサスの馬車がやって来た
カオリ、サテン、メアリー、シオンを乗せて飛びあがる
ユーメリアまで5時間くらいだっけ
いってらっさーい
「タカネ様は行かないんですか?」
「行くよ、でも気ままな一人旅だからさ」
「ケーン」
「ごめん、ムスタングも一緒だったな」
忘れ物は無かったっけ
再生の杖も持ったし・・・
「クリスティ、留守を頼むぞ」
「はい、お気を付けて・・・クリスティの事を忘れないでくださいね」
「ケツ1発蹴っておくか?」
「是非!」
バシーーン
クリスティはマゾヒストだ
ケツを蹴っておけば馬車馬のように働く
留守の間ジルとクーリエとエリーゼを頼むぞ
「じゃあ行って来る!」
クリスティとクーリエとエリーゼに手を振られムスタングが飛ぶ
ジルも家の中からカーテン越しに手を振ってるな
気を付けろよ、誰かに見られたら大変だ
高く飛び上がり人が豆粒になる
うーん、まだ春先で少し寒いな
でも我慢出来ないほどじゃない、ムスタング思いっきり飛んでいいからな
俺は一路ユーメリアへと向かった
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「迷子だな、これ」
「ケーン・・・」
取りあえずユーメリアの方向、北西に飛んできゃなんとかなるだろと思ってたけど迷ったわ
ムスタングの速さがペガサスの馬車と比べてどれくらい違うのか解んなかったから、予測が出来なかったんだけど
でももう6時間以上飛んでるよな
・・・これは通り過ぎたかもしれないと不安になって来る
お、あそこに何人か人が居るな
ちょっと降りて聞いてみるか
・・・様子がおかしいな
戦ってるみたいだ
女戦士と男魔法使い
囲んでいるのは盗賊か?
ん?魔法使いが怪我してるな
対して盗賊は8人
女戦士が強いので劣勢でも無いみたいだが
・・・助けるか
ムスタングが華麗に降り立ち盗賊達がビビる
イナズマ魔法を発射、盗賊達は痺れて気絶した
「大丈夫か?」
「すまない、連れが怪我をしてしまった」
ひどい怪我だな
パックリ割れて骨まで見えてる
「回復魔法使うよ、骨に異常は無い?」
「あ、ああ、大丈夫だ、回復魔法を使えるのか?」
骨は大丈夫だったか
不謹慎だがちょっと残念
再生の杖使ってみたかったな
傷を魔法で治してあげる
「こんなに早くキズが・・・何者だ?」
「それは言いたくない、勘弁してくれ」
「グリフォンも手なずけて・・・」
「ヘンリー、助けてもらったんだから詮索するな」
ヘンリーと呼ばれたのが魔法使い
ガリガリのやせ細ったヨレヨレの40代くらいの男だな
この女戦士は30歳くらいだろうか
180cmくらいあるな
露出が多い鎧を見に付けているが色っぽいと言うより元気いっぱいって感じ
「助かったよアンタ、私はユーメリアの戦士ハーネスだ」
「ユーメリア?ここユーメリアなの?」
「ああ、大分はじっこの方だが・・・」
「首都行きたいんだけど」
やっぱ大分行きすぎてたみたい
やれやれ、逆戻りか
「じゃあそろそろ行くよ、もう大丈夫か?」
「ああ、普段なら盗賊などに後れを取らない、不意を突かれて怪我をさせてしまった」
「もう暗くなるけど行くあてあるのか?」
「心配するな、近くに集落がある」
「そうか、じゃあな」
・・・ヘンリーが睨んでいる
なんだよ一体
助けてやったのに
「お前はスイッチなのか・・・?」
「・・・・・・」
「ヘンリーやめておけ」
無視して飛び立とう
はあ、また余計な事したのかな
おかしな奴を助けてしまったみたいだ
スイッチの事を知ってるおかしな奴を
ああ、もう夕方だな
今日は野宿にしようかな
でもサテン達が心配するよな
仕方ないから首都を目指す
どんどん暗くなって来た
すっかり真っ暗だな
ムスタングも慎重に飛んでる
ムスタングが夜飛べるのはすでに確認済み
でもゆっくりになる
あ!明かり見えた!
あれだよな?
ユーメリアは街燈あるもんな
夜の方が解りやすいんだな・・・
広場に降り立つ
危険は無い事を伝え、回りを見渡す
見覚えのある風景
間違いなくユーメリアだ
良かった、ホっとした
「すみませーん、○○ホテルどこですかー?」
なんとか宿にたどり着くことが出来た
「で、なんでお前らがここに居るんだよ」
「だって宿舎より豪華なんだもん」
やっとの思いで宿について部屋に案内されたらカオリ達ががくつろいでいた
「タカネ、遅かったじゃないですか、心配しましたよ」
「サテン、お前まで」
「こんな贅沢な宿に一人で泊まるなんてズルいです」
部屋は最上階とその下の階が吹き抜けになった贅沢な作りだった
リビングだけで30畳以上あるんじゃないだろうか
壁は金ピカ、装飾が眩しい
バルコニーも広いな、屋根付きのバルコニーで雨の日でもゆったり出来そう
「タカネ様、紹介が遅れました、ご宿泊の間お世話をさせて頂くランです」
「ベスです」
「マリーです」
メイドちゃんも3人付いて来た
3人共可愛い
これから6日間、俺の世話をしてくれるらしい
風呂は?洗ってくれるの?
マジか、すぐ入りたい
「タカネ、その前に食事ら、すごく美味しいら」
「なんで食ってんだよメアリー」
「贅沢なお味、帰ったら参考にしたいですわ」
「シオンまで」
「いやあ良い風呂でした、ニンニン」
「ミヤビさんまでwww、何でいるんだよ!」
前回20位を決勝で争ったミヤビさん
「宿舎で会ったから連れて来たんだよ」
「ミヤビさんは今回も代表なのか」
「いや、拙者は付き添いでござる、今回は拙者の弟子が出るでござるよ」
「へえ・・・」
弟子が居るのかミヤビさん
スイッチ持ちなのかな
「クルセイドの代表も今回は男だったでござる」
「へえ、結構変わっちゃったんだ」
「拙者としてはタカネ殿が20位を返上した事に驚き桃の木山椒の木なのですが」
「なにその言い回し」
ミヤビさん結構歳行ってるのかな
頭巾を被っているので顔は見た事無い
眼だけが見えているが美しい顔立ちだとは思う
「まあいろいろ弊害を感じまして、目立つ肩書が邪魔になったんですよ」
「そうでござったか、まあ苦労があるのは解るでござる」
ミヤビさんもルビーのスイッチ持ち
強いと言うだけで色々な感情にさらされる
多かれ少なかれ苦労はしてるはずだ
「そんな訳で今回は弟子に出場権を譲ったでござる」
「へえ、どんな子なんですか?」
「それは秘密でござる、ニンニン」
手の内を明かさないのが忍者だっけ
まあ大会のお楽しみとして取っておくか
「ムスタング、トイレか?」
「ケーン」
「トイレは中庭でお願いします、すぐに片付けさせて貰いますので」
メイドさんがそう言った
メオラの宿と同じ方式か
バルコニーから飛んで中庭に降り立つムスタング
体が大きくなったからフンも多いな
終わって飛んで戻って来る
すぐに執事さんが3人出て来てフンを片付ける
ありがとう
「じゃあ、俺もご飯食べよっかな」
「ただいま準備します」
「1人で泊まる予定だったのになんか悪いね」
「構いません、元々8人くらいでお泊り頂く部屋ですので、材料も準備して有ります」
そうなのか
じゃあベットも8つあるのかな
「寝室は右の部屋と2階にございます」
「風呂も2階?」
「はい、外の景色を見ながらゆっくりお入り頂ける造りになっています」
いいね
後でゆっくり入るか
「カオリも泊まって行こうかな」
「宿舎に居なくても大丈夫なのか?」
「大丈夫でござる、宿舎が嫌で知り合いの家に泊まる者もいるでござる」
「そっか」
まあ一人で泊まるには広すぎるし別に良いけどさ
ミヤビさんも泊まってくの?
連れの弟子は良いのかな
「良いでござる、一人でゆっくり瞑想させるでござる」
「2人きりで来たって事なの?」
「忍びは群れをなさないものでござる」
「ふーん」
まあいいけどさ
お、ご飯が出来たようだ
・・・うん、美味しい
流石最高級ホテル
「メイドちゃん、美味しいよ」モグモグ
「ありがとうございます」
「でも俺が来る前にこいつらを部屋に入れちゃうのはどうかと思うよ、最高級ホテルとして」
「も、申し訳ございません」
セキュリティの緩さがこの世界の弱点だ
個人情報もダダ漏れ
ご飯が終わって風呂に入る
おお、3人で俺を洗ってくれるの?
うひゃひゃ、そんなとこまで?
あ、カオリ入って来るなよー
メイドちゃんが2人カオリのとこに行っちゃった
もう、至福の時だったのに
「タカネ様はシオンが洗わせて頂きますわ」
「うん、じゃあ前を頼むが変な事すんなよ」
「いつもながら素晴らしいお胸ですわ」
「そうだろ?カオリのショボイ体なんてほっといてみんなで俺を洗うべきだ」
「なにおー!」
カオリが怒ってるが無視だ
湯船に入ろう
シオンは入って来たがホテルのメイドちゃんは湯船に入らない
一緒に入りたいがそういう教育をされてるんだろう
うーん、無理強いしても仕方ないか
「ふう、タカネどいて」
「痛いなぁ、広いんだからそっちに行けよ」
「カオリは真ん中で入りたいの」
俺が金を出したホテルなのに
まあいい、カオリが大会に出場するんだしな
「タカネ、胸をここへ」
「はぁ?揉みたいのか?」
「早くしてよ、カオリちゃんのご所望よ?」
仕方ねえな、その代わり大会頑張れよ
「むう、生意気な胸め、こうしてやる」
「強く揉むなよ、形が崩れるだろ?」
「はぁはぁ、ね、ねえ、感じる?」
「何聞いてんのこの人w」
カオリが俺の胸を揉みしだくのを不思議な目で見るホテルメイドちゃん
すまないな、こいつは変態なんだ
サテンが入って来た
サテンの体に見惚れるホテルメイドちゃん
「カッコいいよね、鍛えられたエロボディ」
「カオリ、皮肉を込めるなよ」
「あまり見ないでください」
サテンの体を3人がかりで洗うメイドちゃん
隅から隅まで綺麗に洗ってやってくれ
国宝級のボディなんだからな
「ふう、カオリ、そんなど真ん中で足を広げて入らないでください」
「はーい」
「大理石ですか、素敵なお風呂ですね」
「そうだな、贅沢な気分だ」
「お家の岩風呂も良いけどこれもいいね」
「ああ、ホメロスの木の風呂も良かったなぁ」
木の風呂は匂いが良かったな
岩風呂は風情があって良い
大理石は高貴な気分になれていいよな
「それにこの夜景だ」
「贅沢ですね」
「ユーメリアは発展してるよねー」
風呂に入りながら夜景を見る
最上階から見おろす夜景は素晴らしいな
先に風呂からあがる
メイドちゃん3人で寄ってたかって俺の体を拭く
うーん、悪くない、とてもいい気分だ
「メアリーも風呂入れよ」
「ご飯が美味しいら」
「どんだけ食ってんだよ」
寝室は右の部屋と2階だっけ
右の部屋はベット4つか
2階はどうだろ
やはりベット4つ
・・・もう一部屋あるな
ここは・・・
おお、ひときわ大きなベットがある
4人は寝れそうなキングサイズ
俺ここで寝よう
ムスタングおいで、ここで寝るぞ
下着になりベットへダイブ
おわあ、ふっかふか
腰悪くなりそうなくらいフカフカだなー
ああ、眠くなって来た
もうこのまま寝ちゃうか
zzzzz
ガチャ「ニンニン、おや、もう寝たでござるか」バタン
・・・・・・
ガチャ「タカネ寝ちゃったの?ま、マッサージして欲しかったのに」・・・バタン
・・・・・・
ガチャ「タカネ、一緒に寝ませんか?・・・長旅でお疲れみたいですね、ゆっくりおやすみなさい」バタン
・・・・・・
ガチャ「あーメアリーがこの部屋狙ってたのに取られたら」バタン
・・・・・・
ガチャ「タカネ様、まあお腹を出して・・・風邪をひきますわ」
「これでよし・・・っと、おやすみなさい、タカネ様」バタン
まどろみの中で皆の声が聞こえる
今日は疲れたな
明日からはゆっくり観戦か
ダラダラと過ごせるなぁ
カオリは勝てるだろうか
俺の代わりに20位取って欲しいような
そうでもないような自分もいる
俺も嫉妬してるのかな
羨ましいんだろうな
普段は自分が晒される感情
カオリもそれを背負って幸せなのだろうか
重荷だと思う事は無いのだろうか
俺は投げ捨ててしまったけど
複雑な事情があって手放してしまったけど
シンプルな状態で狙えるカオリが羨ましいな
俺だって今年の本大会では1位を狙いたかったのに
俺なら取れる可能性があるのに
こんな力があっても、何も役に立ちはしない
俺には使いこなせない
俺は何も得られない
・・・つまんないよな
いっそ、好き放題やってしまおうか
魔法水晶作りまくって
金を稼ぎまくって
大陸1位にもなって
水晶を軍事利用?
そんな風に使おうとするヤツが悪いんだ
俺は悪くない
俺は・・・
ああ、眠い状態で物を考えるとロクな事が無い
正確な判断など出来ない
やめよう、今は何も考えずに、ただひたすら寝よう
せっかくの良い宿だ・・・
ゆっくり・・・
zzzzzzzzzz