081 捜索
朝、俺は西のキリング王国に飛ぶ
昨日の夜、近い国で発展してる国をメイドちゃん3人に聞いてみた
西のキリング王国と東のリンフォード王国ならピエトロより発展しているらしい
リンフォード王国は諸事情により却下
西のキリング王国に行く事にした
「行くぜムスタング!」
「ケーン」
俺を乗せ飛び上がるムスタング
もう助走も必要ないくらい育っている
こんな遠出は初めてだ
何時くらいに着くだろうか
最悪泊まりになるかもしれない
火を焚いて壁出せばいいから野宿でもいいや
これというのもカオリの野郎が5カラットのダイヤを買って来いとかほざくからだ
まあ約束だし仕方ない
いくらくらいだろう
3カラットで410万だっけ
・・・へたすりゃ1000万超えるよね
よく考えたらなんでカオリの為にそんな大金を使わなきゃいけないんだろ
はあ、いやだいやだ
でもまあカオリも少しは良いとこがあるし・・・
あんまり思い出せないけど
「仕方ない、ムスタング、思いっきり飛んでいいからな」
「ケーン」
3時間ほどでついた
思ったより早かったな
その代償としてものすごいオールバックになった
生え際後退しないと良いけど
街に降り立つ
「ぐ、グリフォンだぞ!」
「ファンキーな頭の美女も一緒だ!」
「はいはい、人に馴れてるんで大丈夫ですよー」
街の中だ、引いて歩こう
だがあっと言う間に人だかりになった
「すいませーん、宝石店探してるんですが」
ざわざわざわざわ
聞いちゃいないな
あ、兵士が来た
「なんの騒ぎだ!お前はどっから来た!あ、可愛い!」
「ピエトロから宝石買いに来ました」
「私が案内しよう!どけどけ!愚民共!」
「キタネェぞオスカー!引っ込んでろ!」
「うるせえ!刺すぞこら!」
・・・なんかすごい街だな
オスカーってこの兵士の名前だろうか
ハタチくらいの若い兵士だ
「人に馴れたグリフォンか、カッコいいな!」
「危険は無いですから」
「お前もすごく可愛いな!結婚してくれ!」
「嫌です、ごめんなさい」
「フラれた!今日もまた!」
またなんだ
モテそうもないもんな
「宝石店は2軒あるぞ!1つはぼったくりだからやめておけ!」
「・・・ぼったくりって解ってるなら捕まえちゃえば」
「いくらで売ろうが宝石屋の自由だ!無理矢理売ってる訳じゃ無いから捕まえる訳にはイカン!」
「まあそうか」
「宝石なんて元々何の役にもたたないのにクソ高いじゃないか!なんで女はあんな物欲しがるんだろうな!はっはっは!」
ほんとだよな
何で俺が宝石なんか・・・
「おっとスマンスマン!俺はデリカシーが無いとよく怒られるんだ!」
「いえ、私もその通りだと思いますよ」
「気が合うな!けっこ・・・」
「嫌です」
「はっはっは!」
・・・早く宝石店に着かないかな
「おや!今日は休みのようだぞ!」
「ええ?参ったな」
「オスカー!何の用だ!」
上の方から声がした
「おい!美女を連れて来たぞ!店開けてくれ!」
「うそつけ!グリフォンしか見えねーぞ!何企んでやがる!」
店の人だろうか
俺の位置からは見えないな
姿を見せてやるか
「うお!どこで捕まえて来たんだ!」
「物凄い美人だろうが!平伏せ愚民!」
「すぐ店開けるからな!逃げるなよこの野郎!」
なんか無茶苦茶ガラ悪いんだけど
大丈夫なのか?
ぼったくりの店の方に連れて来られたんじゃないよな?
・・・不安だ
「あははは、かぁわいいなぁ」
ムスタングの事だった
いつの間にか仲良くなってやんの
ガラッ「開店だ!持ってけ泥棒!」
「えーと5カラットのダイヤ探してるんですが」
「5カラットだと?!8カラットならあるぞ!」
8?
そんな大きいの要らない
「カットして5カラットにしてやれよ!」
「そんな勿体ない事出来るかバカ野郎!」
「ち、ちなみにいくらなんですか?」
「1800万だぞコンニャロメ!」
「たけえ!180万にまけてやれよ!」
「出来るかバカ!大まけにまけて1600万だ!」
8で1600万?
・・・11カラットの買い取り価格が3200万だって言ってたよな
売値はまた別で5000万くらいになるとして・・・
8で1600万は結構安いんじゃないだろうか
「見せて貰えます?」
・・・曇りの無い美しいダイヤだ
気泡も全然無いクリアなダイヤ
うーん、希望の大きさじゃないけど買おうかな
カオリも5カラットに慣れたらもっと大きいの寄越せって言うだろうし
5カラットから11カラットじゃ飛び過ぎだし・・・
「5カラットは無いんですよね?」
「ああ、次に大きいのは3.6カラットだ!」
「うーむ、それだと中途半端なんだよな・・・」
「姉ちゃんみたいに可愛いならダイヤなんか要らねえだろ!こんなのはブスが着けて汚ねえ面に眼が行かないようにする道具だ!」
む、無茶苦茶言ってるよこの人
よく商売が成り立ってるな
「そうだよな!こんなに綺麗なんだからダイヤなんか買うのやめちまえ!こんな店ツブれちまえばいいんだ!」
「なんだとこの野郎!表出ろオスカー!」
「上等だ!」
「や、やめてくれ!」
「嬢ちゃんが言うなら仕方ねえ!命拾いしたなオスカー!」
「こっちのセリフだこの野郎!死ね!」
・・・・・・
ひどい国だ
もうさっさと帰りたい
「8カラット買います、石だけで良いんで」
「こんなもん買うのか!金持ってんのか?!」
「心配しなくても持ってるよ」ドサッ
「まいどありいいいい!!!」
はあ、一応2000万持って来て良かった
でも残りは400万だ
これでは5カラット探しても買えないだろうな
「ありがとな!オスカーに気を付けろよ!」
「黙れこの野郎!店燃やすぞ!」
「・・・もう帰りますね」
「もう良いのか!5カラットが欲しいんだろ?!」
「もう一軒はぼったくりなんでしょ?」
「ああ!多分5カラットで2000万は取るよな?!」
「ああ!あの店はそんなもんだ!」
全然足りないし
もし5カラットがあってもそんな値段じゃ買わない
「400万じゃ無理だな!ウチだって5カラットがあっても800万だ!」
「たっけえ!原価いくらなんだよ!」
「程度の良いものなら700万だ!」
原価言っちゃってるよ
上乗せが100万だけなら良心的なお店だな
・・・接客がひどいけど
「その8カラットだって1500万で仕入れたんだぞ!」
「じゃあ100万も儲けたのか!ボロ儲けじゃねえか!」
「い、いやいや、良心的だよ、経費とかかかるんだから」
「そうだぞ!お前は公務員だから物の常識知らねえんだよ!」
「言ったなこの野郎!せっせと働いて税金バカスカ納めろ!」
「わ、私帰りますね」
「おととい来やがれ!」
・・・・・・
もうこの国に来ない
3時間後
「それで8カラット買って来たんだ、5カラットは?」
「うるせえ!ぶっ殺すぞこの野郎!」
「え?!・・・ふぇぇぇ」
「キリング王国に行くとみんなこうなるの」
おっと影響を受けてしまったようだ
ごめんカオリなでなで
「でも、キリング王国に無いとしたらもうリンフォード王国しかありませんわ」
「北と南は望み薄なの?」
「北に2か国、南に1か国ありますが、裕福な国ではありません、5カラットのダイヤなんて需要無いですよ」
「まだ国を一つ飛び越えてユーメリアに行った方が確実ですわ」
「でも、ユーメリアは物価が高いですよ?それこそ2000万くらい飛んでいくんじゃないでしょうか」
8カラットを1600万で買っといて5カラットが2000万じゃな
・・・なんで俺がこんな金使わなきゃならないんだよ
「た、タカネ、ごめんね?も、もういいから」
「カオリ様がすっかり怯えてしまったの」
「悪かったよカオリ、変な国だったんだよ」
「リンフォードも変な国だけど、キリングよりはマシなの」
「・・・国王がマゾだって聞いたけど」
「ほぼ国民全員がマゾなの」
「なんだよそれ」
「タカネ様、ですからクリスティがプレゼントした衣装を着ていけば赤字同然の値段で物が手に入りますよ」
「国民全員がクリスティとかクソみたいな国だな!」
「きゅうん!!た、タカネ様!!」
おっと、また火がついちゃった
クリスティ、足を舐めるのをやめろ
「はあ仕方ない、明日リンフォードに行ってくるか」
「タカネ、お手紙が来ましたよ」
「ああ、ユーメリアの話かどれどれ・・・部屋もチケットも取れそうだ」
・・・更に350万飛んでくのか
「うぅタカネ、ごめんねごめんね?」
「悪かったってカオリ、元に戻ってくれ」
「お、お金は全部カオリが払うから許して?」
「おいおい調子狂うって」
カオリがすっかり弱気だ
こんな調子で大会は大丈夫だろうか
「カオリ、良いから今は大会の事だけを考えてくれ」
「う、うん、タカネがそーゆーなら」
乙女みたいな顔しやがって
本当に大丈夫かな
次の日
「タカネ様!クリスティが差し上げた衣装を!」
「いらねえっつってんだろ!引きずりまわすぞこの野郎!」
「きゅーん」
あんな衣装来て他の国行くくらいなら2000万出した方がマシだ
まずはハンター組合に行って350万渡しユーメリアの宿と闘技大会のチケットを取って貰う
こんなサービスもしてたんだね
ムスタングに乗り一路リンフォードへ
ごめんなムスタング、2日連続で遠出させて
はあ、一応3000万持って来た
3時間半後
「親方!空から女の子が!」
「美しい!グリフォンに乗った天使だ!」
リンフォードの首都に降り立つ
何故かみんな土下座してる
・・・・・・
「宝石店どこですか?」
「なんと!天使様が宝石をご所望だ!」
「皆の衆!家から宝石を持って来るのだ!」
「い、いや、欲しいのは5カラットのダイヤだから、ちゃんと買うから」
「なんと、5カラットのダイヤとは・・・」
「うう、私は持っていません、この責任は全裸で逆さ吊りになる事で」
「やめてくれ」
来た瞬間帰りたい
ホメロスやピエトロがまともな国に思える
宝石店まで道が開く
道の両脇は土下座の民衆で大名行列みたいだ
宝石店
「これはこれはよくぞいらっしゃいました!このような汚らしい店に貴方様のようなお美しい方がいらっしゃるとは!」
「十分綺麗な店だと思いますが」
「とんでもございません!今すぐ店を壊して新築しなおしますのでしばしお待ちを!」
「い、いや、急いでるんで、5カラットのダイヤを探してるんですが」
「ははぁ!ちょうど今5カラットのダイヤが一つだけございます!」
「見せて貰えますか?」
「ただいま!ですがその前にこの店の消毒を!」
「いいから早くしろよ!」
「ズッキューン!今すぐに!」
何なんだよいちいち・・・
「こちらでございます」
「・・・良いダイヤですね、いくらですか?」
「本来でしたら900万の所をお客様でしたら800万にさせてもらいます!」
意外と普通だった
無茶苦茶安くされてこっちが気を使ってめんどくさい事になると思った
「ただ、この国の正装をしていただければ400万に・・・」
「いえ、800万で良いです」
「に、200万にしますので是非とも」
「800万で良いです」
「ダイヤと200万こちらから払うのでお願いします」
「嫌だっつってんだろ!」
「ドッキューン!」
さっさと800万払う
おまけ要らないって!金銀財宝つけようとすんな!
とにかく早く帰らせろよ!
ガラッ「こちらに天使様が舞い降りたとか」
「これはこれは王宮の・・・」
「天使じゃないよ、ピエトロから来たんだよ、で、急いでるから今すぐ帰る所だ」
ヤバイ
王宮関係者のようだ
「これはこれは美しい、是非とも我が国の王に会って行って欲しい」
「絶対嫌だ!」
「な、なぜそのように嫌がるのか」
「・・・失礼ですが、おかしな性癖を持ってると聞きました、絶対に会いたくありません」
「むう、おかしな性癖とはこれいかに」
「国民も同じみたいですが、虐げられるのが好きなんでしょ?」
「それのどこがおかしいのだろう、店主、解るか?」
「天使様の崇高な考えを私のようなドブネズミが解るはずもございません」
「そういうとこだよ、過剰にへりくだりすぎだ」
「ふうむ、よく解らんが天使様がお怒りだ、是非私共に罰を与えて欲しい」
「ほらあ、もうおかしい」
もう嫌だ
帰らせてよ
「罵られるのが好きならキリングにでも行ってきなよ、四方八方から罵ってくれるよ」
「むう、我々の嫌いな国の名前を出すとは、天使様もお人が悪い」
「嫌いなの?キリング」
「奴らは下品なだけです、顔も美しくない、我々が屈するに相応しくないのです」
「そ、そうなんだ」
いろいろあるんだな
但しイケメンに限るってやつか
「ピエトロが間に居なければとっくに滅ぼしてる国ですよ」
「物騒な事はあまり言わない方が」
「いえ構いません、リンフォードとキリングが仲が悪いのは公然の事実ですので」
ふーん、で、帰っていい?
「次にお越しの際は国を挙げて歓迎しますので!」
「いらん!二度と来るか!」
「ハキューン!」
ムスタング待たせたな
おかしな国ばかり連れて来てごめんな
帰り道で5カラットに魔力注入
う、魔法石にはなったけどかなり魔力持って行かれたな
ごめんムスタング、ピエトロまでよろしく
3時間半後
ピエトロに着き宝石店で台座付けてもらう
「ここまで大きいともう埋め込み式の指輪では厚みが大きすぎて邪魔になると思います」
「うーん、どんなアクセサリーなら良いですかね?戦闘中に使うので壊れにくい物が良いんですが」
「では、埋め込み式でブレスレットにするとか、チェーンタイプでなければ壊れにくいと思いますが」
ブレスレットか
指輪はサイズがあるから面倒だったんだよな
ブレスレットなら応用効くから良いかも知んない
「ミスリルで装飾も美しい物がおすすめです」
「・・・いくらになります?」
「40万ですね」
・・・まあいいか
出来上がりは明日だそうだ
疲れたから帰って寝た