073 騎乗
本日のダンジョン探索はお休み
4人は朝からゆっくりする
「ジルは後で街を見て見たいんですが・・・」
「クリスティがお付き合いしましょう」
ジルは社会復帰リハビリ期間と言えばいいだろうか
一人で外には出たがらない
魔法水晶を作ってしまったので1人で外には出せない理由もある
「私はタカネに手紙を書いて来ます」
「カオリは休んでいるよ」
一人でハンター組合へ
お尻を触ろうとするハンターに掌底
後で手を洗わないと
タカネ、今日はお休みです
地下4階はケルベロスのフロアでした
昨日は5500万査定の王冠を一つ手に入れました
地下5階の階段も発見したので頑張って攻略したいです・・・っと
さて、サテンも少し街を見てみようか
前回来た時はお土産買ったくらいしか見れなかった
燻製、テスタさんが喜んでくれたっけ
・・・会いたいな
今は同じ国に居るんだから会いたい
最上級になれた事を伝えたい
すべて貴方のお陰だと伝えたい
「お嬢ちゃんどうしたんだい、ぐっへっへ」
「俺達が慰めてやろうか?うひひ」
ああ、感傷深くなって涙ぐんでしまった
そこをいやらしそうな2人組に付け込まれてしまった
「結構です、放っておいてください」
「つれねえ事言うなよぉ」
「慰み者・・・慰めてやるからよ!」
小さな炎の魔法で攻撃する
びっくりして逃げていく2人組
ふう、この街は治安があまり良くないのかな
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ホンダとシャネルを見に行き、ビックフットに会いに行くメアリーを見送る
タカネは家でぼーっとしていた
「クー」
「ん?ムスタングどうした?」
また大きくなったなムスタング
今は160cmくらいかな
そろそろ乗れるんじゃないだろうか
鞍を見に行ってみるかな
馬具専門店
「すみませーん、この子に合う鞍を作って欲しいんですが」
「おおムっちゃんじゃないか、いよいよ騎乗デビューか」
・・・なんでムスタングの事知ってんだろ
まあいいけどさ
ムスタングの鞍を注文した
「まだまだ成長するんだからこまめに鞍は取り換えるんだぞ、合わない鞍じゃムっちゃんが可愛そうだ」
「解りました、その時はまた来ますね」ニコっ
ポッ「こ、今度デートしてくれよ」
「お断りします」
3日後に出来上がるらしい
それまで騎乗はお預けか
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カオリはホテルの部屋でぐったりしていた
今は誰も居ない
サテンのスキンシップが凄い
タカネが居ないのでカオリが代わりに引き受けている
昨日も胸を揉もうと思ってサテンのベットに忍び込んだら、逆に揉みまくられてしまった
後、物足りなそうな顔をされた
ひどい
空中に手をやり、わしゃわしゃと指を動かす
ああ、タカネの胸が揉みたいな
涙が流れる
ホームシックになって来た
でも、帰ってもピエトロは雪だしな
稼げるときに稼いでおかないと
鍛錬にもなるし
春には行われるであろう大陸20位争奪大会
それに向け、強くなっていかねば
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クリスティとジルは街を見て回っていた
ジルは顔を隠しているがクリスティがやたら絡まれる
美人だから仕方ないが大陸12位だという事に皆気づいて無いようだ
写真がある訳でもないこの世界では仕方が無い事なのだろうか
ジルは考える
ああ、甘いザッハトルテと苦めのストレートティが飲みたいな
元の世界ではイングランドの名門の家に生まれた
何不自由ない暮らしを送っていたはずなのになんでこんな事になったのか
転移して来たこの世界でも始めは苦労したがやっと自分の店を持てるまでになったのに
自分の不始末で国を追われる事になってしまった
安住の地はあるのか
これからずっと顔を隠して生きていかなくてはならないのか
今は少し落ち着いている
強い人達に囲まれ安心感を得ることが出来た
変わったところもあるが基本は良い人達だ
一人で逃げている時は夜もまともに眠れなかった
人に怯え、モンスターに怯える日々
カオリは胸を触ろうとするのが困るが頼りになる
先陣を切って進んでくれるのが心強い
サテンは見惚れる程美しくとても優しい
慎重で落ち着いて状況にあった最適な行動を取る
クリスティは大陸12位、これだけで頼もしい
かなりのMッ気があるが私に実害は無い
今は一緒に居ないがダイヤのスイッチ持ちのタカネ
圧倒的な能力
皆を受け止める包容力
サテンと双璧となる美貌
この2人に囲まれれば自分の美貌も霞んでしまう
身を隠すにはこれ以上ない環境のように思える
メアリーも自分を庇ってくれた
(なんとかずっと一緒に暮らせないかな・・・)
家から出られない不自由さはあるものの、やっと手に入れた安らぎの場所を手放したくない
(が、頑張って役に立って頼りになるとこを見せないと)
自分の体力の無さが恨めしい
ここでついて行けないようでは見捨てられるかもしれない
明日からまた頑張らなくては
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3日後
「出来上がったか」
馬具専門店に来ている
「鞍の下に色々クッションも入ってるんですね」
「背骨痛めちゃうからな、手綱も合わせるよ、ムっちゃん大人しくしててな」
手綱が顔に装着される
嫌がるなよムっちゃん
首を振っちゃ駄目
抵抗も虚しく装着完了
ムスタングがちょっと元気なくなった
「さっそく乗ってみるかい?」
「いきなりですか?操作できるかな」
外に出て跨る
・・・まだ背中が低い
足が地面に余裕でついてしまうな
「パンツ見えてないですか?」
「み、見えてないよ」
ウソをつくな
視線で解るんだぞ
「足乗っける場所が無いですね」
「ああ、引きずっちゃうから閉まってある、そこを引いてみてくれ」
・・・ああこれか
スライド式になってた
「着地時に足上げないと引きずって危ないからな」
「解りました」
「両手で手綱を同時に軽く引いてみろ、飛ぶから」
よ、よーし
行くぞムスタング
準備はいいか?
チョンチョンと手綱を引く
ムスタングが羽を羽ばたかせる
・・・あれ?
一生懸命羽ばたいてるけど浮かないな
「飛ぶ瞬間が一番力を使うんだよ」
「そうなんですか、あ!」
ムスタングの頑張りもあって上半身が浮き始めた
うおっ、羽ばたきながら後ろ足だけで走り出す
助走つけてんのかな
スピードが乗ったところでいったん前足を降ろし反動をつけジャンプ
ムスタングが飛び上がった
「首がガクンってなったよムスタング」
痛かったんだが
毎回これだときついな
まだ人乗せて飛び上がる力が足りないだけだと思うが
もっと大きくなれば苦も無く飛び上がるだろう
「・・・さむい」
冬の空を結構なスピードで飛び回るムスタング
無茶苦茶寒いな
ちょっと右の手綱を引いてみる
右に曲がった
左の手綱を引いてみる
左に曲がった
簡単だな
「降りるときどうすればいいんだろ」
聞いてなかったな
まあムスタングは頭のいい子だから大丈夫・・・か?
「あ、ムスタング、家だぞ降りてくれ」
「クー」
我が家の庭に降り立つムスタング
良かった、解ってくれたか
手綱いらないかもな
「タカネら、飛んで来たら」
「おう、ムスタングに乗せてもらった」
ムスタングから降りてナデナデ
ありがとうな
「メアリーも乗ってみたいら」
「乗せてくれるのかな」
「友達ら、裏切られたら切ないら」
・・・俺が他の馬に乗ったら怒ったけど
ムスタングは誰でも乗せるようなヤツなんだろうか
メアリーを乗せあっさり飛び立つムスタング
俺より軽いから助走無しで飛び上がってやんの
くそ、裏切られた気分だ
『すごいらー、でも寒いらー』
「風邪ひくなよー」
鞍と手綱の付け方を後で教えよう
次からはムスタングに乗ってビックフットに会いに行くといい
飛ぶとあっと言う間だからな
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「カオリ!右から来てますよ!」
「いた!数が多すぎるよ!」
「笛は効きません!」
「左の一団を重力で落とします!」
「クリスティさん!ジルさんの後ろを守ってください!」
4人は地下5階に降りていた
そこは数の暴力が待ち受けていた
「どこから湧いて来るの?このハーピーの群れ!」
「ほ、炎で焼き払えれば楽なんですが」
酸素が無くなると困るから出来ない
「向こうの通路に逃げましょう、壁を作って足止めします」
通路に逃げ込み、隙間を作らないよう壁を作る
何体か付いて来てしまったがカオリとクリスティが素早く処理した
「前からは来ない?」
「今の所は」
「皆さん、守って貰ってありがとうございます、怪我を治します」
やっと少し落ち着くことが出来る
ハーピーは強さはそれほどでもないがあんなに一気に来られては
気配を察知したと思ったらあっと言う間に囲まれた
「はあ、何匹くらい処理した?」
「30匹以上はやっつけたはずです」
「まだまだ居たよね?」
「100匹以上居ましたよ、まだまだ居るかも」
この3日で地下4階を攻略し、宝箱も2つ見つけた
罠も2か所あったが
地下5階をちょっとだけ見てみようという事になり、降りてみたらこのザマだ
「今何時くらい?」
「たぶん夕方です、カオリ様」
「どうやって帰りましょう・・・」
「少しだけ壁を開けてちょっとずつ処理しましょうか」
そうと決まれば壁に隙間を開ける
・・・静かだ
「来ないね」
「どこかに行ってしまったのでしょうか?」
カオリが隙間から覗く
「・・・居ない、1匹も居ない・・・・・・あ、後ろから来るよ!」
回り込んで来たのか
すぐに後ろにも壁を出す
壁に何匹かがぶち当たる音がする
「こ、この隙に上に戻りましょう」
前の壁を取り除く
走り出すとまたハーピーがわんさか出て来た
「い、急いで!!」
「ひええええ」
「ジルさん早く!」
「はあはあ、クリスティさん、ご迷惑を・・・」
クリスティがジルの手を握り走ってくれた
急げ急げ、階段の部屋へ
しっちゃかめっちゃかになりながら、階段の部屋へなだれ込み、壁を作る
・・・はあはあ、助かった
「た、大変だったね」
「ど、どうしましょう」
強くは無い、数を減らせば全然脅威では無い
だが無限とも思えるほどに湧いて来る
「せめて風の魔法が使えるならジルもお役に立てるんですが」
「重力も役に立ってましたよ」
「取りあえず今日は帰ろうよ、明日休んで対策を練ろう?」
「そうですね、今日は疲れました」
ダンジョンを出て街に戻る
取りあえず地下4階までのマッピングは完成した
明日はゆっくり休んで英気を養おう
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「ムスタング、今日は疲れたろ?一杯食べるんだぞ」
「クー」
メアリーの後にエリーゼも乗ってみたいと言い出したのでムスタングはしばらく飛び続けた
「凄かったの、それ以上に寒かったの」
「顔が無茶苦茶寒いよな」
「滑降中とか肌が切れるかと思ったの」
そういうのもあるのかな
カマイタチみたいな
「眼を開けてられないの」
「風除けでも付けれないかなぁ」
ムスタングが不格好になっちゃうか
ゴーグルでもあれば良いんだけど勿論ない
「タカネ様、お出かけ中にサテン様からお手紙が届きました」
「お、また財宝見つけたのか、すごいな」
どんだけ荒稼ぎする気なんだろ
羨ましい
あーあ、俺も行きたかったな
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4人は宿に戻り、夕飯と風呂を済ませ休んでいた
「通路を塞いで1本にすれば・・・」
「あっと言う間に回り込んで来ましたよ、それともあれは新手だったのでしょうか」
「通路は何本あったんですか?」
「広い部屋だったので奥の方は見えませんでした」
地下5階の攻略法を模索している
ハーピーは強くはないが動きが早い
何より数が多すぎた
「正直どうしていいか解りません」
「・・・諦める?」
「無理するくらいならその選択肢もあるでしょう」
「・・・今日はもう休もう、明日考えてアイディアが出なかったら諦めようよ」
「・・・そうですね」
疲れがたまっている
4人はベットに入るとすぐに眠りに落ちた