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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
64/134

064 風邪

「うーん、俺死ぬのかな」

「軽い風邪なの、死なないと思うの」

「名医はまだか」

「今の所呼んでないの、暖かくして汗をかけば大丈夫なの」

「うう、俺が死んだら遺産はみんなで分けてくれ」

「ありがとうなの」


エリーゼが困った人みたいな顔で見てるけど

普段元気なのに具合悪くなるとなんでこんなに不安になるのかな


「え、エリーゼ、風邪が移ったら困る、ずっとここに居なくても良いぞ」

「シオンが口移しで風邪を移して貰って治すって言ってたの、だからここに居るの」

「離れないでくれエリーゼさん」


エリーゼの手を握りしめる

小っちゃいけど暖かい手だなぁ

ホっとする


「みんなは?」

「タカネ様の代わりにモンスター退治に行ってるの、カオリ様は大張り切りなの」

「俺の弔い合戦か」

「死なないの、大丈夫なの」


冷たいタオルをおでこに置いてくれる

ああ、気持ち良いなぁ


「さっきマンモスの肉が届いたの、ホソカワムラからもお礼の品が届いたの」

「お礼の品?」

「チーズとか保存食いろいろなの、あとトリュフを貰ったの」

「トリュフ?高級品じゃん」

「美味しいの、保存がきかないから早く元気になるの」

「解った、ちょっと寝るよ」

「おやすみなさいなの」


このまま眼が冷めなかったりして

うう、不安だよう

・・・・・・zzzzzz





「いやー治ったわ、すげー体が軽い」

「汗をたくさんかいたみたいですわ、水分の補給をどうぞですわ」

「ありがとうシオン」

「・・・なんなら口移しで飲ませてあげますわ」

「別に良い」


さて、もう夕方か

ずっと寝てたな

夜眠れるだろうか

みんなが帰って来た


「うぅ、大変だったよぅ」

「カオリ、返り血浴びてるぞ、風呂に入って来い」

「イノシシの大群にはねられちゃったんだよね」

「数の暴力か、俺も昨日体験した」


「私は熊を狩って来ました」

「一人で行ったの?クリスティ」

「いえ、メアリーさんとクーリエさんも一緒に、凶暴ですがモンスターに比べれば・・・」

「そうか、足元悪い時は気を付けてよ」

「熊の胆を取って来ました、乾燥させて皆で使いましょう」


なんだっけ熊の胆って

薬になるんだっけ


「高級品なの、他の国に持って行けば高値がつくの」

「へえ」

「本来は冬眠明けの熊の胆のほうが効果が高いんですが・・・」

「へえ」


いろいろあるんだな


「サテンは川の中州に取り残されていたタヌキを助けてあげました」

「お、おう、心温まるエピソードだな」

「昨日の雪が溶けて川の水が増量したみたいです」

「タヌキは結構凶暴だから気を付けるんだぞ」


・・・それぞれ頑張って来たみたい

まあいいや


夕飯


「今日はトリュフのオムレツですよ」

『わーい』

「メイドちゃん達も遠慮せず自分の賄いに使えよ」

「で、ですが」

「こんな高級品食べたことありませんわ」

「たくさんあるんでしょ?美味しいうちに食べないと」

「ありがとうなの、味わっていただくの」


風呂


「タカネ様、病み上がりなのですからあまり長湯しては駄目ですわ」

「うーん、そうだな、今日は早めに上がるか」

「体をお拭きしますわ」

「いいよ、温まってて」

「メイドなのですから遠慮なさらなくても」

「俺らは風邪ひいても寝てればいいけどメイドちゃんは風邪ひくと無理しちゃうでしょ?だからいいよ」

「タカネ様・・・」


シオンは拭きたかっただけかもな




翌日


「タカネは病み上がりなんだから無理しちゃ駄目だよ」

「でもこの時期忙しいんじゃないの?」

「うん、でも依頼2個くらいにしておきなよ」

「そうですよ、サテンのパーティも頑張るのでタカネは無理しないでください」


そうだな、あまり依頼を取り過ぎても悪いか

留守の間ジルとメイドちゃんが心配だし早めに切り上げよう

取りあえず皆でハンター組合行こうぜ


ハンター組合

久々に来るなあ

注目を浴びてる


サテン、カオリはそれぞれのパーティへ

メアリー、クーリエ、クリスティは一緒に行動


「タカネ様も我々と行動しませんか?」

「4人で?たまにはそれもいいか・・・」

「タカネはクリスティと見てるら、メアリーとクーリエに任せるら」

「メアリーはまだ新しいパーティ見つからないの?」

「まだら、向上心があるパーティが良いら、なかなか難しいら」

「そうか」


実質中級を2人で回ってるようなもんだから、そこそこ強いんじゃないだろうか


「オークの大群があったら」

「大群ってどのくらいなんだろ」

「20匹以上ら」

「クーリエは大丈夫なのか?」

「に、20は無理です」

「うーん、まあ放っておくのもアレだし行こうぜ、俺とクリスティで減らすよ」

「お願いします」


中級依頼のオークを受けた

報酬30万

大群のせいか良い報酬だな

依頼場所に向かう


「クリスティは指輪付けてるよな」

「はい、もう能力アップに慣れましたよ」

「他の2人はつけてるの?」

「付けてますよ」

「付けてないら、感覚が鈍るら」


それぞれなんだな


「察知能力は凄いら、指輪を付けずに発動できるようになりたいら」

「・・・出来んのかな、そんな事」

「指輪に頼ってたら出来ないと思うら」


そこを目指すとは

若さゆえの無謀のような・・・


「そろそろ・・・うわ、一気に察知した」

「言っちゃ駄目ら、メアリーが感じ取りたかったら」

「ご、ごめん」


森の中の50m先

すでにちらほらとオークが見える

向こうも気付いたな

お、一気に来た

30匹くらい居るかな

火の玉連打

半分くらいに減らす

向こうも警戒し止まってしまった


「こんなもんで良い?」

「く、クーリエはまだきついです」

「食らうらー」


メアリーが火の玉を撃つ

距離は30mくらいかな?

避けられた

クリスティが走り出す

15匹に囲まれる


「もっかい食らうらー」


クリスティの方を向いていたオークにあたった

致命傷では無いな

クリスティが2匹処理した

メアリーが土の壁を出す

2匹閉じ込めたか

更にクリスティが2匹処理した

クーリエが走り出す

見えてるオークは9匹か

まだ多いかな

俺が壁を出し5匹閉じ込める

4匹か、ちょっと様子見て見よう


「クリスティ、2人に任せてみよう」

「はい!」


クリスティを警戒しているオークを後ろからクーリエが槍で刺す

一撃か、お、横から1匹来たぞ

オークの攻撃を盾で受け止める

いや、重い一撃に体勢が崩れる

メアリーがそのオークに火の玉を当てた

炎に包まれるオークをクーリエが刺す

残り2匹か

2匹ともクーリエに向かって来る

これはきついか?

いや、メアリーが小さい壁を出して1匹転ばせた

クーリエはもう一匹と向かい合う

隙を見つけ、一気に心臓に槍を刺す

すぐに転んでいるオークの元へ

立ち上がる所を顔面を盾で殴る

苦しんでいるところを槍で刺した


「クーリエ、なかなかやるな」

「はあ、はあ、緊張しました」

「息整ったら壁解除してみるか」

「は、はい」

「え?」


メアリーが自分で閉じ込めた二匹の壁に水を入れてた

天井も塞いで溺れさせるやつか

えげつないなあ

いいよ、そのまま続けて

まだ俺が閉じ込めた五匹がまだ残ってる


・・・そろそろ解除するか

準備はいいか?

はい、解除

メアリーの火の玉が飛ぶ

いきなり壁が無くなり飛んできた火の玉をモロに食らうオーク

更にメアリーは火の玉を撃つ、撃つ

五匹が炎に包まれる

クーリエが手前から槍で刺していく

一匹、二匹

お、一匹苦し紛れに棍棒を振り回して来たな

横に転がりながら避けるクーリエ

槍と盾持ってるのに器用に転がるもんだ

落ち着いてオークを処理する

残り二匹か

メアリーがナイフで飛び込んで行った

大丈夫か?

心臓にナイフを刺し、すぐに飛びのいた

ナイフが刺さったままオークが倒れる

丸腰になったメアリーは残りの一匹に炎を放つ

クーリエも槍で攻撃

最後のオークは炎に包まれながら息絶えた


「はあはあ、疲れたら」

「い、いつもはもっと慎重に行くんですが」

「ごめん、無理させちゃった?」

「一匹ずつおびきだしたりして数を減らしていました」

「スパルタら、無茶な戦法ら」


うん、俺連携できないんだよね

一匹ずつおびきだすとか凄い時間かかりそうだな

みんな苦労してるんだな・・・


「慎重に越した事はないら、タカネも余裕ぶっこいてるとその内痛い目に会うら」

「うーん、そうかもな」

「クーリエは心配です・・・」

「解った、少し気を付けてみるよ」


たしかに力を過信して余裕ぶっこいてたかもしれない

緊張感が無くなるとその内しっぺ返しを食らうかも

ハンター組合に帰る

報酬30万を山分け


「75000ら!大金ら!」

「一度にこんなに稼いだのは初めてです」

「オーク30匹の割に安いな」

「タカネはガメついら」


おや、もう昼か

今日はもういいかな

メアリーとクーリエがそこそこやれるって解ったし

後はクリスティに任せて帰るか



「ただいまー」

「おかえりなさいなの、タカネ様、ヤーインからお礼の品が届いたの」

「・・・ああ、マンモスのお礼か」

「燻製がたくさんなの、一冬持ちそうなの」

「そっか、みんなで食べようぜ」


ふう、団欒室で一休み

ジルが居た


「ジルはいつこっちの世界に来たの?」

「4年くらい前でしょうか」

「そうか、16の時か」

「最初は大変でした、魔法を使えることが解らなくて」

「あはは、妖精は説明不足だよなー」

「はい、ひどい妖精でした」


「・・・それで貴族の明かり係を経験してから、自分の店を持つようになって」

「お店ほっぽりだして来たのか」

「はい、薬を作ってたんですが」

「胸がデカくなったりするヤツ?」

「そういうのも作ってました」


ふーん、薬屋だったのか


「ここに居る間も金を稼ぎたければ必要な物準備するけど」

「いえ、匂いが凄いのでご迷惑をかけるかと」

「ああ、そういやそうだっけ」


ホメロスの魔法使いの工房もすごい匂いしてたもんな


「しかし、今後どうするかな」

「・・・私はもうイシュタルには帰れません、違う土地でやり直したいんですが」

「連れて行ってあげる事は出来るよ、ペガサスの馬車を呼べるからな」

「・・・でも、やはり一人になるのは不安なんです」

「匿うのはいいけど、ずっと外に出られなくて窮屈じゃないか?」

「今はやっと落ち着かせて貰えてホっとしてます、しばらく逃げるような生活でしたから」


そうか、まあしばらくは居てくれていいぞ

出来れば何か仕事させたいんだけどな


夕方

みんなが帰って来た


「メアリーもお金が貯まって来たら、家賃を払いたいら」

「そうか、いくらにすっかな」

「今40万くらいあるら」

「うーん、月5万・・・は高いか?」

「平気ら、ご飯も貰えるのに安いくらいら」


もう中級に行けるんだから5万は高くないか


「でも無理はするなよ?死んじゃったら意味が無いんだからな」

「解ってるら、タカネももっと慎重に戦うら」

「お、おう、そうだったな」

「そうだ、新しいパーティが見つかったら、中級の2人ら」

「そっか、クーリエもそろそろ役目を終えるのかな」

「寂しいら、背中を預けられる頼もしい存在だったら」


メアリーがしみじみと言った


「クリスティ、メアリーが新しいパーティに入るみたいだが」

「はい、同年代の子たちです、中級ですが素質のある子達だと思いますよ」

「知ってるのか、だったら安心かな」

「また少しの間付き添います」

「頼むぞ」


クリスティに任せておけば安心だろう

でもいつまでも付き添わせる訳にも行かない

自立させないとな


夕飯


「クーリエ、明日からは・・・?」

「メアリーさんも立派に育ったので私はメイドに戻ります」

「そうか、面倒見てくれてありがとうな」

「いえ、私もたくさん稼がせて貰いましたから」


メアリーが40万くらい稼いだならクーリエもそれくらいいっただろう

メイドの給金も勿論払ってるし良い副収入だったのかな

いや、それでもクーリエはメイドの仕事を選んだんだ

いくら稼げても命には代えられないよな


風呂


「また夜半から雪が降りそうですわ」

「解るのか?シオン」

「はい、空気が澄んでいます、こういう時は雪になる事が多いです」

「そっか、暖かくして寝ないとな」

「タカネ、一緒に寝ましょう」

「た、タカネ様とサテン様が一緒に・・・見に行っても良いですか?」

「駄目だぞシオン」


寝室


「・・・なにかの遠吠えが聞こえるな」

「狼ですか?サテンには解りません」

「何かは解らないが結構遠くだ、見ろ、ムスタングも気にしてる」

「・・・不安ですね、ホンダとシャネルを放牧場に置いておいても大丈夫でしょうか?」

「解らん、なにか悲し気な遠吠えにも聞こえるが・・・」


なんだろう?

サテンの胸に顔を埋め考える

悲しみを湛えた切ない悲鳴

なんとなくそう聞こえた

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