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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
63/134

063 冬の前

「うーん、すっかり積もったな」


朝、起きてみると一面の雪景色

今はやんでるけど


「みんなハンターの仕事には行くの?」

「ううん、雪が降ったら休みだよ、雪に足を取られて危ないからね」

「そうか、モンスター増え放題だな」

「冬眠するモンスターも多いみたいよ、冬のあいだは活動が鈍くなるんだって」


ドラゴンも冬眠するんだって

トロールやミノタウロスは冬眠しないが活動は鈍くなる

代わりに冬しか出没しないモンスターもいる


「ムスタングは冬眠するのか?」

「人に飼われているのでしませんよ、餌も毎日貰えるんですから」

「そっか、エサが少なくなるから冬眠するのか」

「サテンもタカネと一緒に冬眠したいです」

「・・・・・・」


500年寝てたくせにまだ寝る気かよ

冬眠か

何ヶ月もご飯も食べずに寝るだけってすごいよな

冬前に貯め込んでエネルギーの消費を抑えてやり過ごすんだもんな


「だから冬前のこの時期に一時的にモンスターの活動が活発になるんだって」

「脂肪を増やすんだな、貯金期間か」

「まだ冬眠までは少しあるから晴れた日はタカネも組合に顔を出しなよ、みんなで狩らないと追いつかないらしいよ」

「解った」


雪が降ったとは言え30cmくらいだ

日が当たればすぐに溶けるだろう

今日は取り敢えず通り道だけでも雪を片付けるか


「雪は何処に持ってこうかな」

「タカネ、魔法で解かせないの?」

「溶けた水が流れる道も確保しないとグチャグチャになるだけですよ」


そうなのか

・・・雪の上でも俺は普通に歩けるな

以前、砂漠を歩いた時も砂に足を取られなかった

これもダイヤのスイッチの効果なのか


「一輪車に乗せて川まで運びますわ」

「そうか、手伝うよ」

「ご主人様は風邪をひかないよう家の中にいてください」

「そうはいかん、女の子三人に任せて家の中でヌクヌクとか心が痛いわ」

「タカネ様ったら・・・」


みんなでやれば早いじゃん

一時間ほどで通り道の雪を片付けた


「お手伝いも出来ずすみません」

「ジル良いって、お前は外に出られないんだから」

「鍛錬になったら、足と腰が痛いら」


団欒室でくつろぐ

あったかい

雪かきで体が火照ってるから暑いくらいだ


「・・・今日は何すっかな」

「カオリは家の中で鍛錬するよ」

「私もです」

「メアリーもら」

「・・・・・・」


なんだこのやる気は

俺は寝よう

昨日の夜あまり寝れなかったし

ウトウト


「・・・タカネがサボってるうちに頑張らなきゃ」


ウサギとカメか


「メアリーは腕立て30回出来るようになったら」


まだそんなものなのか


「私は常に空気イスです」


クリスティの強さはプレイから来るものなんだな


「あ、暑い、暖炉が燃え盛る部屋でトレーニングは暑いですね」


うん、お前らの熱気で俺も寝られない


ガチャ「お茶をお持ちしま・・・ムワっとするなの!」

「ああ、エリーゼしばらくドア開けとい・・・」


うっすらと目を開きながらそう言うとみんな下着でトレーニングしてた

これなんてエロ・・・


「はしたないの、年頃の女性が肌を露出させて汗まみれになって」

「そうだぞ、エリーゼ言うたれ」

「タカネ様も下着が見えているの」

「お風呂を沸かしましょうか?」

「ありがとうクーリエ、お願いします」

「タカネお湯出してよ、沸かすんじゃ大変だよ」

「んん?仕方ないなあ」


風呂場に行く

半分露天だから少し雪が積もってるな

お湯で雪を流した後湯船に栓をする

寒いから42度くらいのお湯で良いかなぁ


「お湯も出せるんですね、すごいです」

「ああ、俺は毎日居るしお湯は何時でも出すぞ」

「い、いえ、わずらわせるわけには!外でお湯が冷えないよう薪を燃やして来ます」


別に良いのにな

沸かす薪の削減にもなるし

まあ、あまり仕事を盗っても可愛そうか


「ううサムイ、タカネ早くして」

「カオリ、もう服脱いでるのか」


左手で温水シャワーを出してかけてやる

風邪ひいたらどうすんだ


「あったか~い、適温だよ、タカネ」

「もうすぐお湯が貯まるよ、体洗っちゃいなよ」

「自分で?」

「・・・・・・」


贅沢になってるな

人に洗ってもらうのが当たり前になっちゃった

湯船が貯まったので片手でシャワー出しながら洗ってやる

両手使えないと洗いにくいな


「タカネも服を脱いで来てよ、なんか恥ずかしい・・・」

「俺は風呂に入る気無かったんだけど」

「タカネも雪かきで汗かいたでしょ?」


解った解った

カオリは冷えるから湯船で待っててよ


「おーい、みんなー風呂が沸いたぞ」

『はーい』


「うぅ、寒いですね・・・」

「この風呂失敗だったかな、密閉された風呂をもう一つ作るか?」

「ここに屋根作れば?湿気が心配だけど」


取り外し可能な屋根でも作るかな

でも湿気対策で半露天になってるんだろうし・・・

素人考えで余計な事しない方が良いかな


「タカネ、寒くないの?」

「・・・少しは、でも丈夫な体だからかな、そこまで寒くない」

「ずるーい」


クリスティ、メアリー、メイドちゃん達も入って来た


「ジルは?」

「働いて無いので良いそうです」

「そっか」


どうせ夜も沸かすし良いのかな

汗を軽く流すだけで湯船に入った


「メイドちゃん、寒いんだから早く入りなよ」

「で、ですが、綺麗に洗わないとお湯を汚してしまいますわ」

「気にするなよ、シオンのエキスならカオリが大好物だ」

「シオンちゃーん♡」


カオリはシオンが百合だって知らないのかな

変態同士でイチャイチャしてる

需要と供給が合致してるのなら何も言うまい


「クリスティ、風呂でも指輪してるの?」

「はい、一生肌身離さず身に着けると誓いました」

「お、おう、石鹸とか大丈夫なのかな・・・」


まあいいけどさ


「この指輪は素晴らしいです・・・一番大きな指輪を貰ったカオリ様に嫉妬してしまいます」

「・・・ああ、カオリの体はちょっと特殊だからさ、普通は体が持たないと思うよ」


スイッチ持ちの体は丈夫だからな

普通の人だと耐えられないと思う


「でも欲しいなら1カラットで作ってあげるよ」

「そ、そんな贅沢な、す、すみません、図々しい事を言ってしまいました」


クリスティだって大陸12位でドMだから普通より丈夫な体かも知れんな

1カラットで作っておくか

他の人は要らんかな

サテンはまだハンターの仕事では使ってないって言ってたし

メアリーやメイドちゃんにも早いだろう

クリスティの分だけでいいか

風呂から上がる


「ジル、それ何の本だ?」

「ゴーレム練成の本です、そのうち作ってみたいと思ってます」

「へえ、良いかもな、難しいの?」

「はい、まず上級魔法使いでないと無理です、硬い素材のゴーレムほど必要素材も多くなり・・・」


ふーん

土のゴーレムなら術式を書いた羊皮紙でいいらしい

鉄のゴーレムは・・・ベヒーモスの角?

ああ、それで・・・

ミスリルは書いてないな


「ミスリルでゴーレム作るとしたら何が必要なの?」

「み、ミスリルですか?たぶんフェニックスの涙くらいのレアアイテムが必要かと」


良く解らんが頭のコア作るのにレアアイテムが必要らしい


「フェニックスってどこにいるの?」

「・・・この世界でも伝説の鳥ですよ、目撃情報は何十年に一回です」


ジルがこっそりと教えてくれた

この広い大陸で何十年に一回しか出ないとは

お目にかかるのは無理な気がする


「この地方にも伝説のモンスターがいたような、うーんなんだっけな・・・」


ジルがブツブツ言ってるが難しそうな話だったので興味を失った

ゴーレムか

作ってみたいような気もするけど

まあいいや


午後、サイクロプスがホソカワムラで暴れていると言う話を聞いた


「行って来る」


雪道で足場が悪い

俺が一人で全速力で行った方が良いだろう

一刻を争うのでハンター組合にも寄らない

依頼出てるかもしれないけど無視だ

5分ほどで着く


「おお?善戦してるな」


村につくとサイクロプスの回りを多数の村人が取り囲んでた

四方八方から山ほど雪玉を投げられ、サイクロプスの眼を狙ってる

金棒を振り回すサイクロプス

逃げ惑う村人

その背中に雪玉を当てて挑発

振り向いたところに眼に雪玉が当たる

顔を押さえ苦しむサイクロ

苦し紛れに金棒を振り回す


「・・・これは、俺いらなかったかな」

「あんたハンターか?!ずっと膠着状態だ!やっつけてくれよ!」


そりゃそうか

雪玉で討伐は出来ない

しかし躊躇するほどの雪玉の量だ

隙間が無いんだけど

ちょっとサイクロが可愛そうだもの

まあいい、怪我人が出る前に倒そう


一気に前に進みジャーンプ

エストックでサイクロの頭を突く

やっつけた

だが察知能力が消えない

山ほど雪玉が飛んで来てるからだ

エストックで雪玉を弾く

ぶっ、砕けて破片が飛んだ

ムリムリ、弾いても意味ない

諦めて雪玉を全身に受けた

20発くらい食らった


「お、おお、やっつけてくれたのか!」

「このや・・・おお、終わってたか!」

「しね・・・あ、投げちゃった」


ぶっ

最後の雪玉が俺の顔に直撃する

この世界に来て初めて攻撃を受けたわ

ホソカワムラ恐るべし


「だ、大丈夫か?ありがとうな!」

「ビチャビチャじゃないか、何があった?」

「・・・・・・」


うう、寒い

慌てて来たから薄着で来ちゃった

流石に雪をぶつけられると凍えそうだ


村人のお礼もそこそこに聞いて走って帰る

うう、風を切って走ると余計寒いな

身を切るような冷たさだ

5分で家に着いた


「あれ?タカネもう帰って来たよ」

「まあタカネ、私も今向かおうとしたのに」

「タカネ様!ビショビショじゃないですか!誰にやられたんですか?」


寒い、取りあえず風呂に入ろう

風呂に行き、魔法でお湯を出す

あ!魔法でやっつけりゃ良かったんじゃん

気付いても後の祭りだ


「タカネ様、お背中流しましょうか?」

「いいよクーリエ、さっき入ったばかりでしょ?」

「こんなに凍えて・・・洗濯するので服を脱いでください」


濡れてると脱ぎにくいな

重くなった服は更に脱ぎにくい

素っ裸になって風呂に飛び込む

まだ全然お湯が溜まってないけど待ってられない

湯船に入ってお湯を出そう


「ふう、一人で広い風呂に入るのも良いな」


10人くらいは入れる風呂だが独り占め

たまにはいいじゃないか

しかし、数の暴力ってすごいな

土の壁で防げばよかったのかな

後になってから気づく


風呂から上がり団欒室へ


「暖かいな、ここは」

「タカネ、お疲れさま」

「サテンの膝で休んでください」


遠慮なくサテンの膝に頭を埋める


ガチャ「街の近くに狼の大群が出たらしいの」

「ま、まあ!タカネ!ホンダが危険です!」

「お、おう」


皆で準備を始めるが俺は先に向かおう

外に出ると雪が降り始めていた

狼の出現場所に向かう

首都ランバートの西

ヤーインに向かう道すがら


「はあ、本当に冬前は活発になるんだな」


30頭ほどの狼の群れ

すでに4人ほどのハンターが戦っている

足元が悪いので滑って苦戦してる様だ


火の玉を撃ちまくる

避けても無駄だ、俺の魔法は追尾できるからな

物の数分でやっつけた


「怪我は無いですか?」

「アンタ20傑の・・・大したもんだな」

「うーむ、魔法で焦げちまってるな、毛皮を取るのは無理か」

「あ!毛皮が欲しかったんですか?」

「いや、仕方ないよ、命あっての物種だ」


・・・なんか悪い事しちゃったかな

取りあえず怪我してる人にヒーリングかけてそそくさと逃げ帰った

雪が強くなって来たな、また積もるかもしれない


「まあもう終わったんですか?」

「せっかく準備したのにー」


うーむ、責められてるような気分だ

なんか今日は上手くいかないな


「タカネ様、またビチョビチョなの」

「暖炉の前で乾かすよ」

「駄目なの、風邪ひくからお風呂に入るなの」


・・・3回目の風呂

体の油が無くなっちゃいそう


ガラッ「タカネ様、ヤーイン近くでマンモスが出たらしいですわ」

「マンモスいるんだ、草食なんじゃないの?」

「普段は危険は無いですわ、ですがこの時期のマンモスはエサを求めて凶暴になりますわ」

「・・・・・・」

「更にマンモスの肉は冬場の貴重な保存食として珍重され・・・」

「はいはい」


はあ、ゆっくり風呂にも入らせて貰えなくなった

サテン達も向かったの?

どうせすぐ追いつくか

ヤーインに向かう

町を出る前にサテン達がいた


「カオリは指輪で先に行きました、心配なので行ってあげてください」


オレに先を越されまいと指輪をつけて走っていったらしい

雪道でスピード出すと危ないぞ

全速力であとを追う

2分ほどで居た


「タカネ!もう追いついてきたの?」

「ダメだった?俺もゆっくりしたかったんだけど」

「ううぬ・・・被害が出たら困るし先に行っていいよ」


カオリは苦渋の選択をしたようだ

自分も狩りたいのだろうが国民の安全が先決か

冷静な判断が出来るんだな

2分ほど走り橋を渡ってすぐにマンモスが居た

俺を見るなり雄叫びをあげ向かって来るマンモス

頭を一突き終わらせる

おっと危ない、こっちに倒れて来た

危うく潰されるところだ

もう一匹いるな

仲間がやられたのを見て怒ってる

仕方ないじゃないかと思いながら頭を一突き

終わった

・・・これ、どうすりゃいいの?

この寒さなら腐ることもないだろうし放っておくかな

・・・いや、グールが夜のうちに食べちゃうんだっけ

じゃあ運ぶか

取り敢えず2匹いるし1頭はヤーインへ

重たい

やべえ、すげえ重たいぞ

前は15t運べたんだけどな

マンモスはそれより重いらしい

・・・あ、動いた

動き始めれば雪で滑って運びやすいな

止まらないよう一気にヤーインに運ぶ

街の入口に着くと中から人が出てきた


「おお、マンモスを狩ってくれたのか」

「これどうしたらいいですか?」

「街で解体するよ、待ってくれなにかお礼をしたいのだが」


寒いからいいよ

待っているのがツライ

手を振って戻ってきた


さっきの場所に戻るとカオリが来ていた


「どこ行ってたの?これタカネが狩ったんでしょ?」

「ああ、2頭いたから1頭ヤーインに持って行ってきたよ」

「こっちはランバートに持ってくの?」

「橋渡れるかな?すげえ重かったよ」

「目撃情報で橋を渡ってたらしいよ」


そうなのか

たぶん20tくらいあると思うけど行けるのか

じゃあ運ぶか

鼻を持ちまして・・・

マンモスを引きずる

橋は慎重に

欄干あるけど引っかかったら厄介だ

ゆっくりと止まらないよう引きずる

渡り終わった頃にサテン達が来た

ほか多数の街民たちも

手伝う?危ないからいいよ

挟まれて引きずってしまったら厄介だ

このまま俺が運ぶよ

10分ほどで街に着く

もう夕方だ

ふう、流石に疲れたな


「後は街で解体するよ」


街民にそう言われた

じゃあ任せるか

ウチにも後で肉を分けてくれるって

じゃあ帰ろう


「さすがタカネ様、毎年この時期は少なからず被害者が出るんですが」

「いや疲れたわ、これが毎日だと流石にきつい」

「あと半月くらいはこんな感じでしょうか」

「・・・・・・」


マジか

家に帰る

うう、寒いよ、暖炉の前に陣取る


「・・・タカネ、顔色が悪いような」

「あれ?熱があるんじゃない?」

「た、大変!タカネ様死なないで!」


風邪ひいちゃった

ダイヤの体でも風邪ひくんだね

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