053 予選終了
大会の中休み
今日はユーメリアを観光しよう
正確にはユーメリア王国の首都エリンザーク
ここユーメリアは永世中立国
他国の戦争に介入しない国
「物価高いな」
「税金が高いらしいよ、その代わり社会保障が充実してるんだって」
医療、教育、福祉
様々な社会保障が発達しているらしい
「教育?学校あるの?」
「中学まであるみたい」
「ピエトロやホメロスにも学校あるのかな」
「初等学校ならあるの、文字や簡単な計算を覚えるの」
ふーむ、教育は大事だよな
だが教育期間が長すぎるのも良し悪しだ
この世界の平均寿命はそれほど高くないと思う
早くに働きだした方が良いのだろう
「王宮もすげえな」
「壁もすべて大理石ですか?」
「贅沢だよね」
「ピエトロは煉瓦なの、冬は暖かいの」
そういやウチも煉瓦だ
その土地土地にあった建築方法があるのだろう
煉瓦だって悪くない
見た目お洒落だし
「あれは教会?」
「ゴシック建築らしいの」
「ほ、ほう、荘厳だなー」
「何?ゴシック建築って」
「俺が知る訳無い」
あ、ナンパだ
どこの国に来ても一緒だな
そんなに俺と付き合いたいか?
エストックでならいくらでも突くぞ
「ペガサス牧場なの」
「おー囲い意味ない、飛び回ってる」
「でもあまり遠くへは行かないらしいの、ちゃんと躾けられてるの」
「すごいな、1頭欲しい」
「ムスタングがまた嫉妬しますよ」
そうだった
勿論俺はムスタングが居れば十分だ
「ミリート川とミリート橋なの」
「橋か、200mくらいあるな、橋げたもいっぱい」
「立派な橋ですね」
「でもタカネの橋の方が立派だね」
現代の橋のイメージで作ってるからな
この時代には早すぎる橋なのだろう
昼になったので昼食
高いな、これが500アラン?
ホメロスやピエトロなら200くらいだ
俺達はこの国に住んでる訳じゃ無いのに、この国の税収に協力してしまったぜ
「昼からどうする?」
「まだ見る物ある?」
「近くは回り切ったの」
「そうか、じゃあパーティまで宿舎で寝てるかな」
「私もそうします、物価が高いので買い物する気が起きません」
「え、エリーゼは図書館に行って来て良いですかなの」
「いいよ、自由にしておいで」
「エリーゼちゃん図書館好きだね~」
歴史やら地理やら調べるのが好きらしい
勉強好きとか羨ましいな
「カオリも着いてくよ、一人だと心配だし」
「ああ、そうしてあげてくれると助かる」
「ありがとうなの」
カオリ達と別れ、サテンと宿舎に戻る
途中ハインツさんに会った
「タカネ、順調だな」
「ハインツさんは調子どうですか?」
「俺はもう駄目だ、4勝5敗だよ」
「あと全部勝っても厳しいんですか?」
「ああ、4敗したらまず勝ち上がれないらしい」
ワッツさんでも9勝4敗が最高らしい
決勝トーナメントに進んだ事無いんだって
「それでも上位陣に一泡吹かせたい、残りも気を抜かず頑張るよ」
「そうですね、私も取りこぼししないようにしなくちゃ」
敗退が決まっていても折角来たんだから自分の糧にして帰りたい
皆、そういう気持ちだろう
明日は予選最終日だけど気は抜けないな
宿舎に戻る
ベットにダイブ
「またタカネったら上着も脱がずに、シワになりますよ?」
「んーめんどくさいんだもん」
「パーティはどんな格好で行くんですか?」
「この格好」
今日の恰好は転生初日に来ていた紺に金の刺しゅう入りの上着に白のミニスカート
パーティに着て行っても大丈夫だろう
「だったら尚更シワにしちゃ駄目じゃないですか」
「解った、脱げばいいんでしょ?」
「メイドさんにアイロンをかけておいて貰いますね」
サテンに脱がされた
いやん
「サテンはどんな服で行くの?」
「フォーマルな物で・・・」
「下着は?いつものエッチなやつ?」
「え、エッチでしょうか」
エッチでしょ
Tバックにガーターとか
すごくエッチだと思います
・・・・・・
zzzzzz
「・・・・・・タカネ、起きてください、準備をしなくては」
「タカネは良く寝るねー」
「・・・・・・ああ、カオリ、帰ったのか」
3人共すでに着替えてた
ちょっとおめかししてるな
俺も顔を洗って服着よう
「パーティはどこでやるの?」
「王宮ですよ、近いので歩きです」
「ナンパ多そうだしエストック持っていくかな」
「帯刀は禁止です」
そりゃそうか
王族も居るだろうしな
・・・王族
嫌な予感して来た
「他国の代表に無茶な事言わないよね?」
「どうでしょう」
「サテンだって気を付けなよ」
「カオリは?」
「サテンは絶世の美女なんだからな」
「ねえカオリは?」
「カオリもエリーゼも可愛いよ」
いつの間にか夕闇だ
街燈ついてるな、そこまで明るくは無いけど
石畳の街を王宮へ向かう
む、イデアだ
従者を3人連れている
こっちを見て睨んで来た
うっとおしいな、先に行けよ
王宮の前で従者が止まる
中には入らないのか
外で待ってるの?なんだか寂しいな
雨とか降ったら可哀そう
・・・奴隷か
王宮に入る
中も豪華だな
壁や天井にまで装飾が施されている
大広間に入る
すでに人でいっぱいだ
112人の代表+付き添い
大会関係者も居るだろう
400人くらいは来てるのかな
「やあやあこれはお美しいお嬢様方、私はFリーグ1位のリックと申す者、良ければお話しませんか?」
早速ナンパされる
ごめんね、断る
がっかりしてどっか行った
ビッフェスタイルなのか
食べた気しないんだよな、こういうの
座ってしっかり腰を据えて食事をしたい
「おう、ねーちゃん達!今夜の相手してくれねえか!」
「断る」
「連れねえ事言うんじゃねえ!無理矢理でも良いんだぞ!」
すでに酔ってるな
見張りの騎士に目配せ
程なく仲裁に入ってくれる
騎士に囲まれドギマギする男
はあ、メンドクサイ
「これって強制参加なのかな?」
「選手はね、付き添いはどっちでもいいらしいけど」
「いつ頃終わるんだろ、すでに帰りたいんだが」
「楽しそうなパーティでは無いですね」
「王様に挨拶するの、礼儀なの」
「うっ・・・」
「タカネ、一応行かないと」
「ミヤビに頭巾借りようかなぁ、その辺に居ない?」
「顔を隠して挨拶とか失礼この上ないの」
そうは言っても忍者は顔見せられないらしいぞ?
あいつはどうやって挨拶してるんだろ
王様がちょっと高い場所に座ってた
王妃様もいるな、少し安心
近付いて挨拶をしよう
「そなたらは・・・」
「ピエトロ王国の代表、タカネとその一行です」
「おお、こんなに美しい娘が代表とは、ピエトロは素晴らしい国じゃな」
近付いてみたらおじいちゃんだった
枯れてると思う
「本日はパーティにお招き頂きありがとうございます」
「堅苦しい挨拶は良い、ゆっくり楽しんでくれ」
ほっ
良かった、なんもなかった
なんも無ければなんも無いで自意識過剰すぎたかなと思ってしまう
さて、じゃあご飯食べてナンパをやり過ごそう
「うふふふふふ、貴方綺麗ねえ、羨ましいわぁん」
男にばかり注意してたら女に・・・
オカマだ!!!!
ガタイの良い顎の割れたオカマに声を掛けられた
「貴方、Eリーグで1位よねぇ、ずっと眼をつけてたのよぅ」
「め、眼をつけてたとは・・・」
「貴方は私とおんなじ匂いがするわぁん、天性の感・・・ってやつかしらぁん」
オカマと一緒の匂いってどんなのだ
オカマと・・・
あ、俺は元男だっけ
あながち間違いでは無かった
すげえショックだけど
「え、えーっとたまに男っぽいって言われる事があります」
「・・・どういう意味ぃ?・・・まさか私が男っぽいとでもッ!!!!」
あ、やばい
すごく怒った
「ふざッけんなッ、ワレ!!表に出んかい!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて、騎士が来ちゃう・・・」
「人の事男っぽいとかどこに目ぇつけとんじゃッ!!」
ざわざわしだす会場
どうみても男にしか見えない人が怒ってるからだ
騎士がやって来た
「どうしました?ピオリム王子」
「姫じゃッつっとるだろうがッバカ騎士ッ!!」
王子?
王子なの?
「こちらは現国王のお孫様のピオリムおう・・・ピオリム姫でございます」
「じゃあ、風呂は女風呂に入るの?」
「当たり前じゃろがッ喧嘩売っとんのかッ!!!」
・・・当たり前かよ
俺は絶対一緒に入りたくないぞ
いや、これって似た者同士になるの?
俺、これと一緒なの?
やるせないなあ、トホホ
あ、イデアに見られた
やなとこ見られたなあ
無表情でこっちを見てるけど
今すぐここから立ち去りたい
騎士になだめられるピオリム
俺、そろそろ行って良い?
タイミングがシビアだ
ヘタに動いたらまた怒らせてしまいそう
「・・・ごめんなさいねぇ、私ったら大きな声出してぇ」
「い、いえ、こちらこそおかしな事言ってしまって、美しさのあまり嫉妬してしまったのかも知れません」
「あらやだッ、そういう事なら許してあげるわよぉん」
俺の明らかなウソに喜ぶ王子
・・・帰りたい
その後、パーティが終わるまですっごく居心地が悪かった
「もう、タカネはすぐに王族と問題起こすんだから」
「なあ、俺が悪いのか?なあ」
宿舎に帰り、やっと一息
「相手はオカマなんだよ?男っぽいって言ったらそりゃ怒るでしょ」
「・・・その辺複雑なんだよな」
自分と照らし合わせて考えてみる
俺は男っぽいって言われても怒らない
気持ちが男だからだろう
「じゃあ、オカマって言われたら?」
「怒る」
「そういう事でしょ」
「え?どういう事?」
あーもーややこしいな
俺何してんだろ
なんでこんなにトラブルに巻き込まれるんだろ
こんな容姿にさせられたから・・・
しょんぼりしながら風呂へ
サテンとエリーゼが気を使って洗ってくれた
あと2日か、急に長く感じて来た
さっさとピエトロに帰りたい
部屋に帰ってすぐに不貞寝
王子どこで見てたんだろ
貴賓席にはまだ誰も居なかったと思うけどなあ
次の日 予選リーグ3日目
「出場者だったのかよ」
Hリーグの1位がピオリム王子だった
そうか、ユーメリアの代表だったのか
うーん、絶対当たりたくない
俺はどこだっけ、Eリーグ?
・・・向こうが2位通過なら準決勝であたるかも
いや、そうなる場合は俺が2位になれば・・・
わざと負けるのか?
なんでそんな事しなきゃならんのか
・・・そんな器用な事出来ないわ
当たったらその時だ
今日は4試合、全力で望もう
1試合目、トリッキーな投げナイフ使いが相手
木のナイフをガンガン投げて来る
それをエストックで弾く
すべて投げつくしたようだ
ナイフを拾いに行くところを後ろから突く
勝ちました
2試合目、弓か
今日は飛び道具が相手なのかな
矢をすべて弾く
矢が切れたらしい、降参して来た
3試合目、あれはなんだろう
モーニングスターって奴かな
木の棒に鎖がついていて、鎖の先はトゲトゲの木の玉
本来あの木の玉は鉄なんだろうな
朝の星・・・
なんでそんな名前がついたんだろ
そんな事を考えているうちに勝った
「タカネ、1敗が居なくなったから一位通過決定だよ!」
「じゃあつぎ不戦敗でもいいのか」
「駄目!相手に失礼でしょ?」
そうだろうか
次の相手が2敗の人ならどうだろうか
俺に3敗目を喫するより2敗のままで居たいのではないだろうか
ああ、良くないな、俺
ちょっと病んできてるかも
そんな心配をしなくても5勝7敗の人だった
難なく勝利
13勝0敗で予選リーグが終了した
ピオリム王子は・・・一位か
良かった、決勝まで当たらない
どこかで負けてくれるといいんだが
宿舎に帰る
忍者が話しかけて来た
「やあやあタカネ殿、この宿舎から決勝に進んだのはタカネ殿と拙者とイデア殿だけらしいですぞ」
初日に風呂で話しかけてきた人駄目だったのか
名前・・・忘れちゃった
まあ代表13人の宿舎だしそんなもんじゃないだろうか
泣いている人が居る
決勝に残れなかったんだな
2日目に俺が戦った女の子だ
俺を見つけ両手で握手を求め、深々とお辞儀をして去って行った
本当に良い人だな
「明日は昼からでござる、寝坊は駄目でござるよ」
「はは、大丈夫ですよ」
明日は15試合しか行われない
4試合勝てば優勝だ
部屋に入り一息つく
「ふう・・・なんか疲れたな」
「肩をお揉みしますの」
「足を揉みましょう」
「じゃあカオリは胸ね」
「魔王になっちゃうからやめろ」
「・・・エリーゼも触ってみたいの」
「ええっ?」
14歳エリーゼ
俺の胸に興味津々
サテンのでも良いじゃないか
「タカネは疲れているので私の胸で良ければ・・・」
「い、いいですかなの、クビにしないでほしいの」
「そんなことしませんよ」
「で、では」
サテンの胸を凝視するエリーゼ
服の上からとは言えサテンも恥ずかしそう
胸の下から持ち上げるように触るエリーゼ
「す、すごいの、全然手に収まらないの」
「サテン、気持ち良い?」
「何を聞いているんですか、タカネ」
「や、柔らかいの」
「じかに触るともっとすごいんだよ」
「カオリ、余計な事を」
「ご、ゴクリなの」
「・・・コホン」
・・・ユーメリアのメイドさんが咳払いした
真っ赤になってるな
俺達は一体何をしてるんだろうね?
紅茶を置いて出て行った
夕食食べて風呂入ってベットに潜り込む
さあ、明日で最終日か
もう一日だけ頑張ろう