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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
52/134

052 20位争奪戦

次の日、エルベーグ大陸20傑20位争奪大会開催日

朝食をとり、すぐに闘技場に集められた


「でかい闘技場だな」


ホメロスの大会は3000人くらいが観戦できたが、ユーメリアの闘技場は1万人観戦できるらしい

いまんとこ半分も埋まってない

まだ予選リーグだし、今回は20傑20位決めるだけだし満員にはならないかもな


「でも観戦チケット5000アランらしいよ、決勝トーナメントは1万」

「そんなの富裕層しか買えないじゃん」

「娯楽が少ない世界だからそれでも結構売れるらしいよ」


満員になったとして5000アラン×観客1万人=5000万

それを3日で15000万

決勝は1億

4日で2億5千万集まるのか

優勝賞金1000万、運営費を差っ引いても結構残りそうだな

ユーメリアにとって美味しいイベントなのが解る


「やあ、タカネ」

「ん?ああ、ハインツさん、ホメロスの代表はハインツさんなの?」

「ああ、ワッツが辞退してね、俺とって初めての大陸大会だ」

「そうなんだ、優勝は譲れないけど」

「解ってるよ、俺だって出来るとは思っていないが出てみたいと言う夢は叶った」

「おめでとう、誰と来たの?」


ハインツさんはパーティで来たらしい

男女混合なので違う宿舎なんだって


「しかし、荒くれ者も多くて参ったよ、ティータが怯えてしまった」

「やっぱり?私も昨日クルセイド人に絡まれた」

「なに?クルセイド人?平気だったのか?」


クルセイド人はスイッチ持ちで無くてもすごく強いという評判だそうだ

ドラゴン1人で狩る者がゴロゴロ居るんだっけか

あ、そうだ


「ハインツさん、私がだいやのスイッチ持ちだとあまり言わないで欲しいんだ」

「どうしてだ?」

「嫉妬と僻みの怖さを最近実感して来てね」

「・・・そうかも知れないな、解った、ワッツにも口止めしておこう」


プラチナ以下には記憶がないんだからエメラルドが嫉妬や僻みに晒される事は無いだろう

ダイヤやルビーにも悩みはあるんだぜ?

ハインツさんと別れ、選手控室へ

1人ずつ割り振られている

10畳くらいの部屋に俺とサテンとカオリとエリーゼとユーメリアのメイドさん

もうちょっと広いと良いんだけどな

112もの代表がいるんだから仕方がない

20傑の控室はもっと広いらしいけど

今回は20位だけを決める大会なので使わないのかもな


「タカネ、リーグ戦のやり方聞いた?」

「ううん」

「カオリ様が聞いておいてあげたよ」


カオリ様が言うには、112人を8つのリーグに分けるそうだ

1リーグ14人で総当たり戦

そのうち上位2名が決勝トーナメントに勝ち抜け


「おい、1リーグだけで90試合って事か?8つで720試合」

「それを3日でやるみたいね」

「いや無理でしょ」


1日240試合消化するのか?

1試合5分だとしても1時間で12試合、10時間やっても120試合

客だってそんな長い時間見てられないだろう

選手だって待ちくたびれちゃう


「同時に3試合やるらしいよ」

「え?」


闘技場は直径50mの円状だ

出来ない事は無いかも知れないが・・・

弓とかの流れ弾が心配なんだが


「タカネは今日5試合、明日4試合、3日目が4試合ね」

「そうか、解った」

「で、予選は余裕でしょ?カオリはエリーゼちゃんとデートに行ってきます」

「ああ、せっかく来たのにずっと缶詰じゃ可愛そうだ、行っておいで」

「申し訳ないの」

「気にするな、カオリと離れるなよ」


カオリとエリーゼは出かけて行った


「サテンも明日は出掛けたら?」

「いえ、私はここにいます」

「そうなの?折角だし観光して来たら良いのに」

「中休みがあるのでその日だけで十分ですよ」


中休みは夜に懇親パーティがあるが、昼間は自由時間だ

俺もゆっくり羽を伸ばすつもり

あ、呼ばれた、俺の出番か

長い廊下を係員とともに歩く

木のエストックを選び、闘技場へ

歓声が一気に五月蠅くなる

まだ6割くらいか?席は結構空いてるな

貴賓席もだれも座ってない

ユーメリアも王国だから王様が居るんだよな

それらしい席はあったが空席だった

決勝トーナメントから見るのかな


他の2組が戦ってる

あ、あのくノ一の人だ

木のクナイが飛んでくる

それをエストックで弾く、危ないなあ

俺はあっちか?対戦相手が待ち構えている

当然だけど予選リーグは実況が無いんだな

そんな事する余裕ないか

ロングソードと盾を持った男の前へ

強そうだが俺に見惚れている、余裕だろう


「準備は良いですか?では始めッ!」


高速で相手の後ろに回り込む

すでに俺を見失ってる

後ろから心臓のあたりを軽く突く


「しょ、勝負ありッ」


はいおしまい、控室に帰ろう

歓声が凄いけどどの試合に対しての物か解らないな

まあいいや、声援に答える必要は無いか

お、くノ一も終わったみたい

勝ってこっちの様子を見てたか

どうだった?昨日はありがとうな

軽く手を振り闘技場を後にした


「サテン、見てた?」

「いえ、関係者用の立ち見席も混雑してたので・・・絡まれるのも嫌なので戻ってきました」

「そうだな、クルセイド人が居ても厄介だ、気を付けてくれ」

「はい、勝ったんですか?」

「勿論だ」


サテンに膝枕して貰う

うーむ王様気分で癒し効果抜群

太腿をなでなでして休憩時間を過ごした


1時間半後、呼ばれる

客席は8割方埋まってた

20位決めるだけなのにすごい人気だ

俺の相手はあいつか、レイピア持った優男

糸目で眼線が読めない、眼を開けてるのかな?


「準備は良いですか?・・・始めッ!」


糸目の男がいきなり突きを撃って来る

はい、スローモーションになった

ヌルゲーだ

横に50cmかわし、心臓にエストックを入れる


「勝負ありッ!」


冷や汗を垂らす糸目の男

何が起こったか解らないか?

チートが発動したんだ

なんか申し訳ない

闘技場を後にする


その後3試合、危なげなく終わらせる

カオリ達も戻って来た


「5勝0敗がタカネ、4勝0敗が一人いるね」

「初日4戦の人もいるんだろ、全勝は2人か」

「どうなの?余裕?」

「ああ」


初日はこんなもんだろ

明日からはマークがきつくなるかもしれないけど

警戒されるとワッツさんやハインツさんのように防御を固められて一瞬で終らすのは難しい

それでも余裕な事に変わりは無いが


宿舎に帰る

食事を取り、部屋で一休み


「カオリとエリーゼはどこに行って来たの?」

「買い物と図書館」

「図書館?カオリが?」

「エリーゼがユーメリアの歴史を知りたいって」

「我儘を聞いてくれてありがとうなの」

「カオリだって昔は本をたくさん読む方だったんだよ」


昔ってのは元の世界の話か

その辺聞いた事無いな

俺も男だった頃の話は聞かれないから話してないけど

もうこの世界で生きてるんだ

過去の話は別にいいよな


風呂へ行く

今日は浴場にも騎士が立ってた

昨日あんな事があったからだろうか

湯船に竹筒が・・・

また潜ってるのかくノ一

今日はクルセイド人は入って来なかった


部屋に戻るとエリーゼが口を開く


「昨日のクルセイド人の従者は、たぶん奴隷だと思うの」

「奴隷?奴隷なんているの?」

「ほとんどの国では禁止されているの、でもクルセイドには奴隷制度があるの」


そういや体洗うだけで湯船には入って来なかったな

メイドさん的な人達かと思ってたけど

いや、そこまで深く注目して無かったけど


「・・・国の問題だ、俺達がどうこう言う事じゃ無いよ」

「でも、何か嫌だね」

「同じ人間でそんな・・・」

「クルセイドは力がすべての国なの、弱くて権力もお金も無い者は奴隷になってしまうの」


ふーん、そんな国に転生させられなくて良かったぜ


「考え方の違いだからな、良い事では無いんだろうけど」

「養ってもらえる事に変わりは無いから悪い事ばかりでは無いの、でも自立する力を無くしてしまうの」

「うーむ、じゃあ結局国力が弱まるような・・・」

「変な話をしてしまったの、タカネ様は大会に集中して欲しいの」


そうだな

俺がどうするって話でも無いよな

事情を良く知りもしないのに興味本位で首を突っ込むのは危険だ

今は大会に集中しよう


大会2日目

今日は4戦か

朝御飯を食べ、闘技場へ向かう


「今日はみんなどうする?」

「私はタカネと一緒に居ます」

「今日はカオリもここに居るよ」

「エリーゼも居ますなの」

「いいのか?」

「明日は中休みなので夜まで皆で出掛ければ良いじゃないですか」

「そうだな」


呼ばれた

闘技場に出る

お、となりでクルセイド人が戦ってるわ

イデアとか言ったっけ、でっかい剣を持ってるな

向こうも気づいた、こっちを見ながら相手の剣をいなしている

余裕だな

後ろからの殺気も感じつつ、俺も対戦相手のところへ

イデアに手の内見せたくないな、少し手を抜こうか

それは俺の対戦相手に失礼か

姑息な真似するのも嫌だ


俺の相手は大男

しかも体がすっぽり隠れるくらいの盾を持っている

あれって小回り効かないんじゃないの?

対戦が始まり俺はすぐに高速で後ろに回り込む

後ろに回ったのに気づいたな

しかし盾は間に合わない

作戦ミスだよ、頭を突いて終わらせる

大男はガックリ膝をついた


イデアが見てたな

自分の対戦を終わらせずっと見てた

ずっと殺気を出していた

無視して帰ろう


「タカネ、見てたよ、お見事」

「カオリ、見てて楽しいか?俺の試合」

「ん?・・・あんまり」


つまんないよね

圧倒的な力の差

俺だってつまんないもの


「やっぱ出かけてこようかな」

「それがいいよ、エリーゼも行っておいで」

「じゃあ、この街に詳しくなって明日案内しますなの」


カオリとエリーゼは出掛けて行った

俺に気を使ったんだろうが気にしなくていいのに

俺はサテンとイチャイチャするんだから

今日もサテンの膝枕で休憩


「タカネ、寝てしまっては駄目ですよ」

「ああ、眼を瞑ってるだけ」

「気持ちいいですか?」

「そりゃもう、サテンは脚痺れない?」

「タカネは頭が小さいので大丈夫ですよ」


頭が軽いと言う意味だろうが、頭がからっぽみたいだな

うつ伏せになり、顔面でサテンの太腿を堪能する


「た、タカネ!くすぐったい!」

「いい匂いだ、クンカクンカ」

「だ、駄目!メイドさんが見てますよ」


そうだ、ユーメリアのメイド、シャリ―が居たんだっけ

顔を赤くして下を向いている

俺達のアツアツっぷりを思い知ったか

あ、呼ばれた

はいはい、頑張ってきますよ


闘技場に出る

お、相手は女の子だな

今回の大会で初めてだ

カオリと同い年くらいかな

緊張しているみたいだ、表情が硬い

ショートソードと盾を持っている

風呂場で見かけたような・・・

まあいいや


勝負が始まった

手を抜くわけでは無いがちょっと様子を見て見るか

慎重に間合いを測る女の子

打って来た

ヒョイと避ける

すぐに体制を整える女の子

こっちから打ってみよう

ジャブのようにエストックを繰り出す

盾で受ける女の子

リーチが全然違うから防戦一方になる

右腿に一発当てた

続いて頭を打つ振りをしてまた右腿

2回で女の子も右腿に隙があると気づいたらしい

だが今度は右腿に集中し過ぎだ

左肩に3発目を入れる


「勝負ありッ!」


急所じゃないけど体に3発入れたので俺の勝ち

女の子は肩で息をしながら深々と礼をし、ありがとうございましたと言った

気持ちのいい子だな

まだ若いから強くなって欲しい

そう思いながら控室に戻った


その後、危なげなく2試合こなす

カオリとエリーゼが戻って来た


「タカネは全勝?あと1敗の人が1人、2敗の人が1人か」

「すごいの、さすがタカネ様なの」

「二人は今日どこ行った?」

「王宮とか有名な教会とか噴水とか」

「立派だったの、ピエトロはいろいろ負けてるの」

「あとペガサス牧場に行って来た」

「いっぱいペガサスが居たの」


112の代表集めなきゃいけないんだから、そりゃいっぱい居るよな

飛ぶから管理するのも大変そう


「大陸の中心に近いのと、ペガサスがいっぱい居るからユーメリアで大会を開催するらしいよ」

「そうか、立地と交通手段か」

「端っこの国は2日かけて来るらしいけどね」


往復4日か

ペガサスも大変だな

莫大な儲けがあるからそれでも美味しいんだろうけど


「今回は予選5000アラン、決勝1万だけど、本大会は予選1万、決勝1日目が3万、決勝2日目が5万らしいからね」


すべて満員なら11億か

本大会は優勝賞金1億だっけ?

街への経済効果もあるだろうし、運営資金差っ引いても相当儲かりそう


「タカネ、お金の事ばかり考えてないで帰ろうよ」

「お、おう」


闘技場を後にした

宿舎に戻りご飯を食べ、風呂に入る

忍者に話しかけられた


「やあやあ、タカネ殿、順調なようですな」

「ど、どうも、風呂で頭巾は脱いだ方が良いのでは?」

「顔を見られるのは忍びの恥、どうかご容赦くだされ」


・・・ビチャビチャのまま脱衣所に行くのかな


「ところで・・・名前から察するに日本人ですかな?」

「そうだけどスイッチの事は話したくない、嫉妬と妬みの対象なので」

「いやはや、気持ちは分かりますぞ、拙者も幾度となく感じた事があります故」


って事はルビーなんだろうな

エメラルドならそれを感じる事は無い


「というか、なんで忍者なの?現代人だよね?」

「それは拙者の能力に・・・いや、これ以上は勘弁くだされ」

「うん、私も話したくないのでいいですよ」


能力に関係があるのか

どんな能力なんだろうなあ


「お互い全勝同士、決勝での戦いを楽しみにしております」

「そうですか、お手柔らかに」

「それではドロン」


・・・お湯の中に帰って行った

水面に揺れる全裸のくノ一

シュールだな

あ、サテンが気が付かず忍者のお腹踏んだ

ビックリするサテン

微動だにしない忍者ミヤビは流石と言うか変態と言うか・・・


風呂から上がってさあ寝よう

明日は休みだ、何しようかな

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