051 クルセイド人
5時間後、闘技大会が行われるユーメリアに着く
ありがとうな、ペガサス
首のあたりを撫でてお礼を言う
「ふう、やっと体が伸ばせるな」
「遠くから来る人は大変だね」
「きっとペガサスでも泊りがけじゃないと無理だよな」
「ここがユーメリア!美しい街なの」
石造りの家、石造りの道
道はまっすぐだな、キチンと整備されている
おや、街燈のような物が立っているが、あれはどうやって光らせるのだろうか
夕方なのでまだ点いていないが
「あれは魔法水晶をエネルギーとした街燈なの、魔法使いが水晶の中にエネルギーを蓄えるの」
「普通に光源魔法で良いような」
「エネルギーの源は一か所にまとめられているの、いちいち移動して魔法を使わなくて済むの」
ふーん、発電所みたいな場所があるわけね
そこにエネルギーを蓄えると、夜街中の街燈が点くようになっているシステムらしい
まあピエトロ、ホメロスよりも発展していると言って良いだろう
「ピエトロの代表タカネ様とそのご一行様、お待ちしていました」
「貴方は?」
「ユーメリア闘技大会運営委員のレンドルです、よもやこんな美しい方々がいらっしゃるとは・・・」
はいはい、そういうのもう飽きた
さっさと案内をお願いしたい
空から続々と各国の代表がやってきている
混雑する前にこの場を移動したい
「宿舎があります、そこで大会が終わるまで過ごして頂きます」
「112の代表全員同じ場所ですか?」
「いえ、宿舎は5か所あります、タカネ様ご一行は全員女性なので女性専用の宿舎になります、4人部屋ですが広さは十分あるので安心してください」
「タカネ様、エリーゼも一緒の部屋なの、メイドだから申し訳ないの」
「メイドさんも連れて来られたのですか?一応一部屋につき1人メイドを準備してますが・・・」
「エリーゼも休暇だと思って楽しめよ、街を見て回りたいんだろ?」
「まだ雇ってもらって10日ほどなのに申し訳ないの」
確かに早すぎる休暇だが良いじゃないか
それなりに用事も頼むかもしれないし
宿舎に案内される
2階建ての大きな建物だな
各部屋、食堂、大浴場、トレーニングルームがあるらしい
「今回女性の代表は21人です、男女混合で来ている方も多いのでこの宿舎に泊まるのは13組だけですが」
「それでも50人くらいと一つ屋根の下か」
「まあ1人で来ている方も居ますが・・・他の参加者とのトラブルは避けてください、最悪失格になります」
「喧嘩売られた時はどうすればいいの?」
「女性騎士が常駐しています、報告をお願いします」
女騎士があちこちに居る
ハンターは荒くれ者も多そうだからな
トラブルも絶えないのかも知れない
取りあえず部屋に案内される
メイドさんが部屋の前に待機していた
「それでは私はこれで、女性専用の宿舎なので失礼します」
「ありがとう、レンドルさん」
レンドルさんは帰って行った
「初めまして、大会が終わるまでお世話をさせて頂くメイドのシェリーです」
「よろしくね」
基本は部屋の前で待機、用があったら言ってくれって
お風呂で背中流すサービスは無いらしい
結構可愛い子だから残念
部屋に入る
30畳くらいの部屋にベットが4つ、テーブル、ソファが2個
ベランダもあるな、各部屋で独立している
取りあえずソファにドカっと座る
メイドさんが紅茶を入れてくれる
「エリーゼ、遠慮せず座って」
「はいなの」
「エリーゼちゃんはカオリの横ね」
「気を付けろエリーゼ」
「タカネ、疲れたでしょう?私の膝を枕に横になっていいですよ」
「ありがとうサテン」
出場者なので気を使ってくれているな
遠慮なく横になる
サテンの太腿が柔らかくて心地よい
「お食事は食堂がありますが、言ってくだされば部屋で取る事も出来ます、それでは部屋の外に居ますのでゆっくりおくつろぎください」
メイドさんが出て行った
食事か、まだいいな
取りあえず今はサテンの太腿だ
「112の代表のうち、女は21人か」
「ホメロスの代表は誰かな?」
「ワッツさんじゃないか?」
「た、タカネ、太腿を撫でないでください」
「タカネ、イヤラシイよ」
「カオリ、今俺の右耳の下にはサテンの太腿があり、左耳の上にはサテンの巨大な胸がある」
「すごいパーツに挟まれてるね」
「ああ、もうここから動きたくない」ナデナデ
「あ、あん、た、タカネ・・・っ」
しばらくサテンの脚を堪能した
良い時間なので食堂へ行こう
20人ほどが食事をとっている
俺達が行くとすこしザワついた
女同士でも俺達の容姿には眼を見張るのだろう
無視してテーブルへ
バイキング形式なのか
じゃあもう一度立って食事を取りに行く
「普通の食事だな」
「贅沢では無いね」
「これ、二人とも、失礼ですよ」
「中休みの懇親パーティでは豪華な食事が出ると思うの」
「王宮でやるのかな?」
「たぶんそうなの」
予選3日の決勝トーナメント1日の4日間
だが2日目が終わった後中休みが入る
その夜に懇親パーティがあるのだとか
適当に食事を済ませ、部屋に戻る
お茶を淹れて貰い一休み
そろそろ風呂に行くか
脱衣所にも女騎士が立ってるな
そんなにトラブル多いんだろうか
服を脱ぎ、風呂場に入る
10人ほど入っていたがまたざわつく
俺とサテンのイヤラシイ体に釘付けですわ
「タカネ、久し振りに私が洗ってあげます」
「カオリ様はエリーゼが洗うなの」
遠慮なく洗ってもらう
お返しに洗ってあげようと思ったら断られた
俺は選手なんだからゆっくりしろってさ
じゃあ湯船に入らせて貰うか
すぐに隣の女に話しかけられた
「よう、私はランぺルの代表のピアーズだ」
「・・・ピエトロの代表のタカネ、よろしく」
「そんな細い腕で代表なのかい?」
「魔法の方が得意だけどね」
「魔法使いで闘技大会の代表?・・・スイッチって解るかい?」
ああ、この人そうなんだ
どう答えようかな
あまり言い過ぎるとトラブルの元だと思い始めてるんだよな
「・・・スイッチだよ、貴方も?」
「ああ、エメラルドだよ、剣術特化型で1か月前の大会でも良いとこまで行ったんだが・・・今回は優勝を狙う」
「そう、頑張ってね」
「ピエトロって言うとクリスティって人がこの前の代表だったよね?12位に入ったからアンタが次の代表か」
繰り上げ代表だと思ってる様だ
残念、俺はクリスティより強いからな
でもエメラルドか
この人も体型変わったのかな
顔はそこそこ、体も良い体してるけど
俺やサテンには遠く及ばないが
サテン、カオリ、エリーゼも風呂に入って来た
その時、風呂の入口にある一団が
自然に眼が集まる
褐色の肌、黒い髪、背が高い、端正な顔立ち
強そうだな、180cmくらいあるんじゃないか?
引き締まった体、腹筋がはっきりと6つに割れていた
従者を3人連れている
褐色の女は3人の従者に体を洗って貰い、風呂に入って来た
「クルセイド人だな」
「ああ、あれがそうなの?20傑に4人居るとかって言う」
「彼女は5人目を狙っているだろうな」
クルセイド人がこっちに近づいて来る
俺達の前に仁王立ちになる
「お前、美しいな、私の従者にしてやろう」
「え?何を言っているのですか?」
「おい、サテンは俺の連れだ、何言ってんだお前」
「・・・お前も口が悪いが美しいな、従者にしてやろう」
「してくれって頼んでねーよ、勘違いも甚だしいんだけど」
突如現れたクルセイド人
常識が違うのかメンドクサイ奴みたい
「良いから立て、さっさとこっちに来い」
サテンの腕を掴もうと手を伸ばすクルセイド人
俺は素早く立ち上がりその手を締め上げた
「くっ!な、何をする!」
「こっちのセリフだ、嫌だっつってんだろ」
「は、離せ!こんな屈辱許さんぞ!」
「トラブル起こすなって言われなかったか?ここでお互い失格になるか?」
もみ合いになりクルセイド人が足を滑らす
頭から湯船に突っ込むクルセイド人
その時脱衣所に居た女騎士が風呂場に入って来た
「何を騒いでいる!」
「このクルセイド人が俺と連れにちょっかい出してきて」
「ブハっ!な、なんという屈辱!許さん、絶対に許さんぞ!」
「どういう事だ!説明しろ!」
女騎士の言葉に皆だんまり
巻き込まれたくないのかな
このクルセイド人めんどくさそうだもんな
いっそ2人共失格になってくれとか思ってるかも知れない
女騎士が困ってクルセイド人の従者に話を聞こうとする
そいつは主人の都合の悪い事は言わないだろう
この女騎士バカだな、話がややこしくなるからせめて中立の人間に聞けよ
・・・しかし、中立の奴も本当の事言うかどうか解らないな
「拙者!見ていたでござる!湯船の中ですべて聞いていたでござる!」
変なのが出て来た
湯船のお湯の中から頭巾を被った変な女が
素っ裸なのに顔だけ隠してる
ずっと潜っていたのだろうか
「くノ一のミヤビ殿!何故お湯の中に?!」
く、くノ一らしい
そしてミヤビ・・・
絶対日本人だと思う
ああだこうだと騎士に説明するミヤビ
嘘は言っていない、騎士も説明に納得する
「クルセイド人のイデア!警告する!次問題を起こしたら失格だ!」
「な、なにぃ!」
「お前は誇り高きクルセイド人だろう?失格などになって祖国の名を穢すな!」
「くっ!」
イデアと呼ばれた女が歯噛みし、拳を握りしめ打ち震える
こちらを一睨みし、踵を返して風呂場を出ていく
その後を従者が追いかけて行った
誇り高きクルセイド人ねえ・・・
印象は傍若無人という感じだったが
強さゆえに他者を見下しているような感じだった
「それではこれにて、ドロン」
・・・ミヤビは湯船の中に戻った
良く見たら竹筒みたいなのの先端が水面に出てる
あれはいいのか?
すごく不審な行動に見えるが
日本人ならすこし話もしてみたかったんだけど・・・
邪魔しちゃ悪いか、そっとしておこう
「あの、ミヤビってのは一度20傑に入った事のあるやつだ」
ランぺル代表のピアーズがそう言う
「今回も狙っているだろうな」
ふーん、まあ20位は俺のもんだけどね
「しかしあんた、クルセイド人を締め上げるとは・・・」
視線が俺に集中している
すっかり注目を浴びてしまった
あーあ、めんどくさいな
「タカネ、私の為にすみません」
「サテン気にするな、悪いのはあのイデアとか言う奴だ」
「タカネ、立ったときにツルツルの下半身がカオリの目の前に」
「お前はこんな時でもエロに走るのか」
「タカネ様、何も出来無くて申し訳ないなの」
「エリーゼも気にするな、あれくらいなんでも無い事だ」
やれやれ、初日からトラブルかよ
美しさは罪とは良く言ったもんだ
なんも悪い事してないのに絡まれるんだもんな
しばらくして、風呂から上がる
さっさと部屋に戻って寝ようぜ
ベットにダイブ
気持ち良いベットだ
サテンの太腿には負けるけどね
「タカネ、もう寝るんですか?服は脱いでください」
「ああ、脱がしてよサテン」
「しょうがないですね」
サテンとエリーゼが上着とスカートを脱がしてくれる
下着姿になってシーツに潜り込む
まどろみの中でみんなの話し声が聞こえる
明日から大会か
油断せずに頑張らなきゃな
そんな事を考えながら、いつしか眠りについた