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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ホメロス王国編
5/134

005 メンフィス

10分くらいで街らしき場所に着いた

背中でサテンの胸が暴れて走りにくかったな

あんまり揺らすと垂れる原因になりかねないので途中からゆっくり走ってきた

それでもサテンは怖がってたが


「ここがメンフィスかな?」

「そうだよ、美人さん」


街の入口の衛兵さんに聞いて見た

ノッティカウンよりは全然栄えているように見える


「靴とか服ってどこで売ってますか?」

「ここから真ん中の道がすぐ商店街だよ」


そうか、まだ朝だが何件かはお店が開いている

少し歩いて見るか

サテンを降ろし、ついて来させる


「あ、あの、ここで何をするのでしょうか?」

「取りあえずサテンの靴と服を買わなきゃ」

「買ってくれるのですか?そこまでして貰う訳には」

「お金持って無いでしょ?その恰好も刺激的すぎるよ」


サテンは裸にポンチョを羽織っているだけ

ポンチョの下からは長い脚が覗いている

街の人の目線が痛い

イヤラシイ目、汚い物を見る目

汚い物を見る目は何でなんだろ

靴を履いてないから乞食に見えるのかな


衣料品があった

靴も一緒に売ってる

さて、今俺は1760アランしか無いんだよな

悪いけどあまり高い服は買えない

極力安い物で揃えていく

800アランで下着上下、靴、シャツ、スカートを揃えてあげた

残り960アランか・・・


「さて、どうした物か」

「なんだか綺麗な街ですね」


・・・そうだろうか

道はジャリが敷いてある

建物もノッティカウンよりはしっかり建てられている

500年前から目覚めたサテンから見ると発展しているように見えるのかな


「タカネは脚が速いんですね、私はびっくりしました」

「ああ、大丈夫だった?」

「・・・少し怖かったです」


結構大きな悲鳴あげてたよな

大分怖かったんじゃないだろうか


街をブラブラしてみる

・・・・・

リュックを見つけた

手ぶらの俺達には必需品のような気がする

しかし高い

一つ500アランか

今は保留にしよう


「何かお金稼ぐ方法ないかな」

「・・・・・私は身を売るしか無いでしょうか?」

「え?!そんな事させないよ」

「ですが、身寄りも無く、タカネに甘える訳にも・・・」


サテンは綺麗だ

金髪、軽くウェーブがかかった長い髪

碧眼、目は大きくパッチリしているが、端が少し垂れているせいか柔らかい印象を受ける

すぅーっと鼻筋が通って綺麗で高い鼻

艶のある唇、色っぽ

体だって相当スタイルが良い

胸は大きく、腰はくびれ、足は細く長い

身売りなんかやれば相当高く売れるだろうが


「心配しなくていいよ、何とかするから」

「はあ、しかし・・・」

「・・・そういう仕事に抵抗ないの?」

「あ、あります、私はその、、経験が無いですし」


生贄になるのは、やはり処女なのか


「サテンは何歳の時に生贄にされたの?」

「18の頃です、不思議ですね、何故歳をとっていないんでしょう」

「不思議だね」


18歳なのか

もっと年上に見えてた


「タカネは何歳なんですか?」

「俺は・・・」

「おれ?」

「あ、えーっとね、ちょっと待って」


俺は17歳で亡くなって転移させられたけど、17歳の女の子って事でいいのか?

いまだに自分の顔見れてないんだよな

あの家の窓ガラスで見てみるか?

・・・・・やっぱり歪んでる、よく見えないな


「17歳だよ、たぶん」

「17歳・・・もっと若いかと・・・」


え?そう見えるの?

でもこの胸だぜ?

結構イヤラシイ体してると自分では思うんだけど


「イッヒッヒ、お前達、俺の店で働かないか?」


誰かに話しかけられた

声のした方へ顔を向ける

明らかに怪しそうな下品な小男が居た


「お前達ならすぐにメンフィスに家が買えるよ」

「まあ、それはすごいで・・」

「サテン待って」


相手しちゃ駄目なのに


「間に合ってるから」

「そんな連れない事言うなよ、イッヒッヒ」

「着いて来ないで」


俺はサテンの腕を取り歩き出したが

小男が後ろからついてくる

めんどくさいなあ


「着いて来ないでって言ってるでしょ?」

「イッヒッヒ」


駄目だこりゃ、衛兵の前に連れて行こう

そう思ったその時、行く手を2人の大男に塞がれた

サテンが怯える

ああ、コイツらグルなのか


「大人しくついてこい、イッヒッヒ、さもなくば・・・」

「断ると言ったら?」

「おい!捕まえろ」


小男が叫ぶ

大男達が動き出す

あ、まただ

動きがゆっくりになった

俺は大男たちの腕を取り後ろに回り込み後ろ手に腕を締め上げた

2人同時に


「いでぇえええ!」「あだだだだだ!」


一瞬の事に何が起こったか解らない男達


「しゃがめ、でないと腕を折る」


細腕の女相手に体がビクとも動かない

大男たちは背筋が凍るものを感じ、素直に膝まずく


「俺は魔法も使える、大人しく逃げたほうが身の為だぞ」

「な、なんだって」「わ、悪かったよぉ」


小男が動かないが


「おい、なんとか言え」

「・・・う、嘘だ、ハッタリだ!魔法なんて使えるやつが、そうそういるもんか!」

「逃げるなよ」


俺は利き手で押さえてた大男にそう呟き、右手を天にかざした

次の瞬間、俺の右手から滝が逆流したかのような水柱が空に向かい放たれる

雲を貫いた


「どうだ?」

「ひ、ひぃぃぃ」「ゆ、許してくれぇえ」「ま、まさか・・・」


左手の抑えてた大男の手を離してやる

逃げ出す

3人の男達


水滴が落ちてくる

魔法で出した水か

雲を刺激したから雨が降り出したか

辺り一帯が大雨になった


-------------------------


「タカネ、魔法も使えるだなんて」

「魔法ってこの世界じゃ珍しいの?」

「この世界??」


俺達は近くにあった食堂に入った

丁度お腹も空いてきた

50アランの定食を2つ頼む


「もう面倒だから全部話すね」


信じて貰えるか解らないが

俺は違う世界から来た事

元々は男だと言う事

神から特権貰った事

その他モロモロ全てを話した


「にわかに信じがたいと思うけど・・・」

「そうですか、それで魔法やあんなに足が早かったんですね」

「信じてくれるの?」

「ええ、水神様ともお話出来るようでしたし、私が眠りから覚めることが出来たのも、その特別な力のお陰なのでしょう」

「そうなるのかな」

「・・・元は男性だったと言うのは、聞きたくありませんでしたが」


赤くなるサテン

ああ、裸見ちゃったもんね

綺麗な体だった

バッチリ見た


「今は女だから、変な事しないし出来ないからね」

「は、はい」

「で、話戻すけど・・・」

「はい、魔法ですね、私も使えます」


え?

何だよ

ありふれた物なのか


「使える人間は珍しいですよ、それにタカネのようなすごい魔法は使えません、わ、私は、そ、その昔、一応神童と呼ばれてまして・・・」


水神様に捧げる生贄として、村で一番優秀であり、処女であったサテンが選ばれた

勿体ない気もするが、それが水神様に対する礼儀として村では考えたと言う


「だからこれくらいは出来ます」


サテンは左手を差し出し、光の玉を作って見せた

明るいな

左利きなんだね


「へえ魔法かい、珍しいね」


お店のおばちゃんが料理を持って来てそう言った


「危険は無いのかい?」

「はい、明かりの魔法ですから」

「凄く明るいんだね、便利だねえ」


お店の人はそういいながら戻って行った

魔法は珍しいのか

明かりの魔法、俺も出来るのかな?

昨日の夜あれば便利だったのに

試してみたいが店の中では心配だ

まだ上手くできる自信が無い


「食べよう」

「はい」


味は普通だった


「美味しい・・・」


サテンは気にいったようだ

500年ぶりの食事か

仮死状態だったから、昨日の事のように覚えているのかな?

どうなんだろう


「魔法があるだけで生きていく事には困らないかな」

「そうですね、どこかの屋敷にお仕えして明かり係として雇って頂けるかも」


そんなのがあるのか

明かり係か

地味だなあ

もっと有効的な使い方が出来ると思うが


「他にはどんな魔法が使えるの?」

「後は火をおこす魔法と水を出せます」

「水出せるんだ?それなのに生贄にされちゃったの?」

「はい、大量に出せる訳ではありませんので」


畑を潤すとなると大量に出せなければ無理か

まあ雇ってもらうにしても都会の方が良いだろう

金持ちも多いだろうし


「メルホースってどこにあるんだろ?」

「さあ、聞いた事もないですね」


500年前なら名前も変わってるのかな


「村もノッティカウンという名前ではありませんでした、私が生まれた頃はミルズという村で・・・」


そっか

そりゃいろいろ変わってるよな

お店のおばちゃんに聞こう


「すみません、メルホースまではどうやって行けば良いですか?」

「メルホース?首都だね、行った事もないけど、馬で3日くらいかかるはずだよ」

「方角はどっちなんですか?」

「東だけど回り道しないと行けないよ、取りあえず南東のコスターに行くといいよ、馬で3時間くらいかかるはずだけど」

「解りました、行ってみます」

「・・・アンタ達、ひょっとして女2人で行くつもりかい?盗賊がたくさん居るから気を付けなよ」

「はーい」


食堂を出た、雨が止んでいる

道はぐちゃぐちゃだが、空には晴れ間が覗いていた


「サテン、コスターに向かうけど良い?」

「は、はい、ですが歩いて行きたいのですが」

「盗賊多いらしいよ?大丈夫?」

「タカネには申し訳ないんですが、あのスピードだと、こ、怖くて」

「そっか、長旅になるなら途中でお金も稼がないと、最終的にメルホース向かうって事で良い?」

「私の事を考えてくれてるんですか?タカネが私の世話をする義理も無いでしょうに」

「水龍様に頼まれちゃったからな、放ってはいけないよ」

「・・・ありがとう、タカネ」


じゃあ南東へ向かうか

どっちなんだろう?

適当に歩いてると街の外れまで来た

ここは街に入って来た場所とは違うな

立ってる衛兵に聞いて見る


「コスター行くにはどうしたらいいですか?」

「コスターならこの道まっすぐだけど・・・女2人で行くのかい?」

「はい」

「やめときな、アンタらみたいな美人さん、すぐにさらわれちまうよ」


衛兵さんは心配そうに顔をしかめた

良い人そうだ


「魔法使えるから大丈夫です」

「そ、そうなのか、それでも気を付けていくんだぞ、歩きだと半日くらいかかるからな」

「ありがとう」


適当に歩いてたら方向あってたか


「タカネ、方向は太陽を見れば解るんですよ」

「そうなの?」

「まだ朝なので太陽が東にあります」


ああ、そうだっけ

太陽見て方角を知る、か、やはり相当文明が遅れてるのかな


「まあいいや、行こう」

「はい」



-------------------------------------


街を出て20分

いきなり盗賊に囲まれる

下卑た顔でこちらを見る盗賊達

怯えるサテン

だから言わんこっちゃない

俺達を捕まえようと近づいてきた一人を水の魔法の水圧で吹っ飛ばす

盗賊達の目の色が変わる

逃げようかどうしようか

間合いを取りながら迷っている

ボスみたいなヤツが叫んだ


「こ、これだけ上玉で魔法つかえりゃ高く売れるぞ!なんとしても捕まえろ!」


やるのか、仕方ない

サテンを後ろにやり、水の魔法連射

数が多いので少し大変だ

順番に片づけて行くが、間に合うのか?

左からサテンを狙うヤツが

慌てて左手をかざしてしまった

左手から勢いよく水が出る

なんだ左手でも魔法使えるのか

だったら話は早い

俺は交互に手をかざし、盗賊達をあっと言う間にやっつけてしまった

残りはボスだけ

後ずさるボス

油断せずに周りに気を配る


「ま、参った、ゆ、許してくれ」


その場に平伏し、盗賊のボスが降参した

俺はどうしようか迷う

このまま放っておけば、また同じことを繰り返すんじゃないか?

だったら・・・


「こ、これをやるから」


あ、お金が入った袋だな

丁度心細くなって来てたんだよな

くれるって言うなら拾うより後味悪くない


「解った、立ち去れ、もう悪い事はするなよ、次はタダじゃ置かない」

「ひ、ひぃぃぃいいいい」


盗賊達はスタコラサッサと逃げていく

・・・歩いた方がお金稼げるんだな

袋を拾い上げる

結構重いな

中身を見て見よう

あ!これ金貨だよな

沢山の硬貨の中に多きさの違う2種類の金貨が混じっていた

まあいいや、お金は後で数えよう


3時間ほど歩いた

すでに盗賊と4回会った

なんて治安の悪い世界だよ

結構儲かったけどさ

リョック一つでも買って置けば良かった

すでにお金が持ちきれない状態だ

サテンが持ってくれてるが大変そう

どうしたもんか


「ポンチョの穴を閉じて包みます」

「うん、でも相当重いでしょ?」

「は、はい、でもこのくらいはさせてください」


サテンがポンチョの穴の部分を縛り、簡易風呂敷みたいな状態にした

そこに盗賊達の献上品を包んで肩に担ぐ」


「よいしょ」

「大丈夫?」

「はい、まだまだ持てますよ」

「もう出ないで欲しいけどなあ」



すぐに出た

なんなのもう

少しウンザリして来た

しかもボスらしき男は馬に乗っている


「大人しく・・・」


面倒なので話を聞かずに水でボスをぶっ放した

馬から落ちる盗賊のボス

子分共は素早い判断で逃げ出す

地面に落ちて頭を振っているボス

打ちどころが悪かったのか?

俺は近づき、右手を向けた

敵がそれに気が付く


「ひぃぃぃいい、ま、魔法が使えるなんて、た、頼む、この馬をやるから見逃してくれ!」

「馬?お金じゃなくて?」

「ほ、ほれ、金もやるから!」


催促しちゃった

だって馬貰っても乗れないし


「解った、もう二度と悪い事はするなよ、約束しろ」

「あ、ああ、解った、許してくれ・・」

「行け」

「ひい!」


ボスは逃げて行った

・・・馬を置いて

どうしよう

サテンがお金の入った袋を拾いながら馬を見上げる


「タカネ、とても良い馬ですよ」

「・・・そうなの?」

「上等な鞍を付けています、おそらくは誰かから奪った馬でしょうけど・・・」

「でも俺乗れないよ」

「私は乗れます、タカネ、後ろに乗ってください」


そう言うと、サテンは軽やかに身を翻し馬に跨る

馬は落ち着いたものだ

さっき魔法使った時も逃げなかったもんな

俺は走って行こうかな

馬も負担が少ない方が良いだろう

で、でも、サテンの腰に抱きつくチャンスだな

い、いや待て、俺は今は女だからな

そう思いながら馬に乗っちゃった

け、結構高いな、大丈夫かな


「しっかり捕まってください」

「サテン、腰細いね」

「タカネも似たようなものでは無いですか、あ、あん」

「変なとこ触っちゃった?」

「い、いえ、大丈夫です、行きますよ」

「解った」


俺はサテンにしっかり捕まった

柔らかい

馬を発信させるサテン

勢いよく馬が走り出す

掴んだ腰の上で胸が揺れてるのが解る

あんまり揺らしちゃ駄目なのに

胸、押さえてあげようかな

親切心で

・・・たぶんこの俺の親切心は解って貰えないな

有難迷惑ってやつか

親切って難しい


俺達はスカートをなびかせ、馬で駆け抜けて行った

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