049 向上
次の日、大会まで5日
サテンとカオリはハンター業へ
大会について行く事を仲間に言って来るって
俺は朝からメアリーの付き合い
魔法練習、ランニング
腕立て、腹筋も頑張ってた
10回ずつくらいだったけど
回数は徐々に増やせば良い
さて、今日はクリスティも来ないだろうしゆっくり出来るな
そう思ってたら王宮から内政官のバルディさんが来た
「メイド達はしっかり仕事をしておるか?」
「はい、あ、お礼言ってませんでしたね、遅くなりましたが紹介して頂きありがとうございます」
「いやいや、橋が出来てこちらの方が助けて貰ってるよ、順調に物資の移動が進んでいる」
「今日はどうしたんですか?」
「もう一か所、ヤーインの向こう側に崖を挟んで村があるんだが、橋をかけて貰えないかと思ってな」
「いいですよ、もっと早く言ってくれても良かったのに」
「うーむ、実は谷幅が500mあるんだ」
「え?」
「しかも高低差もある、うまく橋を架けられるか?」
300mくらいならいけたけど、500mか
サークレットがあるからいけるかなぁ
取りあえずサークレットを装備して現地へ
「うーん、随分高低差ありますね」
「ああ、向こう岸は50m上だ」
橋の長さが500mで高低差50mか
いつものようにアーチ形にするのは駄目だな
手前が急坂になる
まっすぐな橋にして橋げた作るか
取りあえず向こう岸まで真っすぐな橋を渡す
欄干も忘れずに
崖の下も200m以上ありそうだが橋げた用の土の壁を伸ばしてくる
100mに一本、4本くらいで良いかな
「見事だな」
「どれくらいの重さに耐えられるか解りませんが」
「いや、人口がそれほど多い村でも無いからな、一度に大量に物資を運ぶ事も無いだろう」
10度くらいの坂かな
馬車とか登れるのかな
下りは楽だろうけども
「お礼を渡そう、30万で良いか?」
「いいですよ、また何かあったら言ってください」
「前も言ったが雪が降る前になったら雪崩対策に壁を作って貰いたい」
「解りました」
村の方から人が来た
橋を見て驚いてるな
「藁でも敷いて滑らないようにしなくてはな」
「ああ、なるほど」
冬になると入口に藁敷いてる店あるよなぁ
便利な現代でも変わらない物があるんだな
バルディさんと別れ、家に帰る
「タカネ様、美しいですわ」
「ん?・・・ああ、サークレットか、外すの忘れてた」
「外してしまうのですか、勿体ない・・・」
「付けてみるか?シオン、力と素早さが倍になるよ」
「い、いえ、そんな勿体ない、主人の物を付ける訳には参りませんわ」
「そうか、線引きがあるなら仕方ない」
「エリーゼが付けてみるの」
「こ、これ!エリーゼ!」
「はは、構わないよ」
「すっごく速く走れるのー!」
「おお、ホントだ、客観的に見るとすごいな」
「はあ、はあ、でも倍疲れるような気がするの」
「そうなのか、気づかなかった」
「肉体がついて行かないのでしょうね」
そっか、強力な付加能力に耐えられる強い体も必要なのかもな
「そうだ、ユーメリアの大会に一人ついて来てほしいんだけど、カオリが手が掛かるから」
「もう話し合ったの、エリーゼがついて行くの」
「そうか、じゃあシオンとクーリエは残ってメアリーとムスタングの世話をお願い」
「はい、クーリエにも言っておきますわ」
サークレットはまた金庫へ
昼ご飯を食べ、メアリーの練習
「少しだけ飛距離が伸びたか?」
「7mくらいら」
「魔法も20発撃てたな」
「ヘロヘロら」
団欒室にメアローを置き、ブラブラ
クーリエが居た
「クーリエ、それは・・・」
「はい、ハンターの時の武器防具です、取りに行ってきました」
「へえ、槍を使ってたんだ、鎧もカッコいいね」
「お恥ずかしいですが、武器防具は実力以上の物です、親が心配して買ってくれて・・・」
「そっか、良い親御さんだね」
「・・・我儘言ってハンターになったのに、結局中級で諦めてしまって」
「でも、親御さんは安心したでしょう?いいの?メアリーの手伝いして貰って」
「はい!下級までなら余裕です!中級で狼男に殺されかけて怖くなったんですよね」
「そうか、くれぐれも気を付けて欲しい、依頼は慎重にな」
お茶の時間
「シオンは最初からメイドさんになりたかったの?」
「はい、お給料が良かったので」
「王宮で7万だっけ、五万以下の仕事が多いから良い仕事だよね」
「食事も頂けますし、住む場所も家賃がかからないので私には有り難いお仕事ですわ」
「シオンはこの街の生まれじゃ無いの?」
「はい、ヤーインの向こうのミクレという村の生まれですわ」
「ああ、あの少し高い場所にある」
「よくご存じですわ、何も無い村です」
「今日橋を架けて来たよ、馬ならすぐに帰れると思う」
「ミクレに橋を・・・そうですか」
ん?反応が薄いな
あんまり帰る事も無いのかな
メイドの仕事に余裕がある時は休み回してもいいよな
里帰りでもしたらいいのに
サテンとカオリが帰って来る
「カオリ様のおかえりだよー」
「はいはい、おかえり」
「タカネ、大会中ハンター業を休むことを伝えて来ました」
「ああ、問題無かった?」
「・・・はい」
ん?
・・・なんかあったのかな
俺のせいだろうか
ドラゴンを引きずった時にサテンのパーティメンバーは引いていた
「サテン、もし何かあったのなら・・・」
「タカネは気にしないでください、強い者に対する嫉妬、僻みという醜い感情です、タカネは何も悪くありません」
・・・ああ、そういう事か
オンラインゲームによくあるんだよな
人の装備を羨んだり、課金者の事を羨ましいが故にバカにしたり
人の心の醜い感情
ゲームの中では露骨に伝わってくる
でもそれは本当は現実世界でも一緒なんだよな
口には出さなくても、腹の中では・・・
「カオリがタカネにドラゴン運ぶの頼んじゃったから・・・」
「カオリ、貴方も気にする必要はありません、つまらない感情に支配されている弱い人達に振り回される必要はありません」
サテンは変わったな
こんな事を言うようになるとは
化け物二人と一緒に居てサテンだって醜い感情が生まれてもおかしくないのに
「私は恵まれていると思ってますよ、今は二人より遅れていますが必ず追いついて見せます」
「わ、私はともかくタカネは・・・」
「私だってそのうち1tや2tくらいなら引きずってみせます」
「そ、そっちよりも魔法の方を頑張ろうぜ」
「そうですね、そちらの方が現実的でしょうか、イナズマの魔法が形になって来たんですよ」
解った、サテンが気にするなと言うなら気にしない
俺が心配するまでも無くサテンはもう大丈夫だ
夕飯
「メアリーも1tくらい引きずったるら」
「お、おう、聞いてたのか」
「やってやるら、メアリーを捨てた街の連中を見返してやるら」
「復讐か、すごい力を産むこともあるんだよな」
「もうメアリーを捨てた人達は生きてないでしょ?」
「過去を嘆くのは不毛ですよ、未来を見たほうが・・・」
「それも真理だ」
「モチベーションは大切ら、生きる活力ら」
「その通りだな」
「タカネ、どっちなのよ」
風呂
「タカネはなんでツルツルら?」
「メアリー、捨てるぞこの野郎」
「な、なんで怒ってるら」
「タカネ、大人気無いよ」
「誰が毛が無いってベタな事言わすなよ」
「タカネ、落ち着いてください」
「毛は必要無いから無いんだ、ただそれだけの事」
「丸見えら・・・」
なにがだ
見えて何が困る
メアリーは少し厳しく躾けよう
翌日、大会まであと4日
サテンとカオリはハンター業へ
朝からクリスティが来た
「クリスティ、ハンターの仕事はしてるのか?」
「昨日は一人でトロールを倒しました」
「50万か、ぼろ儲けだなー」
「最近お金が貯まり過ぎです、満たされる事を望んでないのですが」
「一人暮らし?実家か?」
「実家です」
「へえ、なんか意外だな」
「実家はピエトロの貴族です」
「・・・なんでハンターやってんの?」
「生きるか死ぬかの瀬戸際がいいんですよ、えへへ」
変態か
困ったもんだ
つくづく変なのに懐かれちゃったなぁ
メアリーの特訓しよう
「メアリー、イメージしろよ、もっと大きく、もっと遠くへ」
「解ったら」
「火の玉15m、30発くらい撃てればゴブリンくらいは余裕だろう」
「土の壁で窒息死させれば・・・」
「それも悪くないが時間かかり過ぎるからな、それに手札は多い方が良い」
「なるほどら」
「・・・火の玉入れて土の壁で囲えばあっと言う間に酸素が無くなるのは知ってるか?」
「さんそ?」
「この世界ではまだ元素は発見されてないか」
昼食を食べる
クリスティも食うか?
食ったら帰って・・・帰らない?
そうですか
午後、何しよっかね
そういやメアリーのナイフの腕前はどんなもんなんだろ?
クリスティ、稽古してあげてくんない?
クリスティは攻撃禁止だからな
メアリーの攻撃を弾き、受け流すクリスティ
うむ、使えるってだけだ
ゴブリン相手で互角くらいの腕前じゃないだろうか
ナイフももっと鍛えないと駄目だな
お茶の時間
「タカネ様、優勝は間違いないと思いますが、クルセイドの代表にだけは気を付けてください」
「クルセイド?国の名前か?」
「はい、現在20傑に4人クルセイド人が居ます、ハンターのレベルがとても高い国です」
「へえ、おもしろそうな国だな」
「火山のある国で、頻繁にドラゴンが出るそうですよ」
「ほお、行ってみたいかも」
1つの国から1人しか代表にはなれない
4人て事はシードとって毎年トーナメントで生き残ってる結果だろう
112の国と地域の代表で争われる大会だ
その中で勝ち上がり、20個しかない椅子の内の4つを取っているのか
修羅の国なのかな
「一人でドラゴンを狩れる者がゴロゴロいるという話です」
「ふーん、なるほどホメロスが20傑に入れない訳だわ」
「ホメロス?」
「ああ、俺達はホメロスから来たんだよ、俺が代表になったんだけど、引っ越すから辞退した」
「私は今年の大会で始めてランクインしたんですが、予選リーグでホメロスの代表とあたりましたよ」
「ワッツさん?」
「・・・名前は忘れてしまいましたが、そんなに強く無かったような」
ルビーのワッツさんでも印象に残らなかったのか
ワッツさんは魔法も使える万能型だから、剣術特化型の人には敵わないって言ってたけど・・・
剣術特化型でもエメラルドのハインツさんはワッツさんに敵わないと言う
そう考えるとクリスティは本当にすごいな
天性の何かがあるのかな
「私も来年はベスト8くらいに入りたいです」
「そうか、クリスティも強くなってるからいけるだろ」
「・・・10位以内は化け物揃いなので」
でもクリスティは5位になった人に負けて、俺はその人より強いんでしょ?
まあ、俺は化け物だけどさ
今回の大会で優勝して、来年は1位取る予定だけどさ
サテンとカオリが帰って来た
夕飯だ、クリスティは帰って行った
「タカネとクリスティが大陸20傑に入ってくれれば、カオリは来年地区大会で優勝して大陸大会に出られるかも・・・」
「ピエトロで優勝か、まだ11カ月あるしカオリなら出来るかもな」
この前のドラゴン討伐の時に10傑の内6人が居たんだよな
その中にずば抜けて強い人は居なかった
1位のグスタフさんも今のカオリよりちょっと強いくらいだろう
11カ月でいくらでもひっくり返せる
「私も、そろそろ上級を回ろうかと」
「サテン、最上級目指すの?」
「心配だな」
「大会から帰って来たら違うパーティを探します、今のパーティは中級レベルを回るのが関の山なので」
・・・そうか
他にも理由ありそうだが、何も言うまい
風呂入って寝た