048 推薦
次の日
今日からしばらくハンターの仕事は休む予定
だから寝坊した
「おはよ~シオン」
「うふふ、もうすぐお昼ですわ」
「皆は?」
「サテン様とカオリ様はハンターの仕事へ、メアリーさんは家の裏で魔法練習したあと街を少し走って今は団欒室でぐったりしてますわ」
「そうかー」
団欒室へ行く
おお、ムスタングはこっちへ来てたのか
お前はまた大きくなったな
今は体長120cmくらい
最終的には5mくらいになるんだっけ
そう考えるとまだ四分の一なんだな
ソファに座る
メアリーが向かいのソファでぐったりしている
俺に気がつき、目を開けた
「タカネ、メアリーは頑張ったら」
「ああそうか、無理はするなよ」
「午後も頑張るら」
「・・・オーバーワークじゃないか?そんなに焦んなくても」
「必要とされたいら」
「・・・・・・」
500年前、メアリーは必要とされなかったんだよな
気味悪がられてダンジュンに捨てられてしまったメアリー
そのことは大きくメアリーを傷つけたのだろう
今はそんな時代じゃないから大丈夫だろうとは思うが
「タカネ様、メアリーさん、お昼ご飯ですよ!」
「おお、行こうぜメアリー」
「らー」
昼食を食べてゆっくりしてたらハンター組合から人が来た
「空位になったエルベーグ大陸20傑20位の争奪戦が行われます、ピエトロの代表はタカネさんにお願いしたいんですが」
「・・・え?」
「大陸の112の国と地域の代表で争われます、大会は1週間後、時間が無いので地方予選はありません」
「ちょ、ちょっと待ってください、20位の人が亡くなったのは聞きましたが、繰り上げとかでは無いんですか?」
「1か月前に行われた年に一回の大会では変則的なトーナメントで順位決めまでします、でも20位までで21位は決まってません、ですから再度20傑は省いてやり直しの形となります」
「で、でも20傑が亡くなる度にそんな事してたら・・・」
「20傑はハンターにとっても所属国にとっても栄誉です、主催国ユーメリアも期間中の観光客収入があるので何度でもやりたいイベントなんです、ですから誰も困りません」
「・・・何で私が?ピエトロ1位とかを優先するべきなのでは?」
「推薦です、昨日ドラゴン討伐に向かった12人のうち6人がピエトロ10傑の者でした、その全員と大陸12位のクリスティがタカネさんを推薦したので誰も文句は言わないでしょう」
少し詳しく聞こう
地方の十傑と違って、大陸20傑はトーナメントの成績のみで決まるらしい
ハンター依頼を達成したポイントは加算されないって事ね
そして俺が参加できなかった1か月前の大会ではトーナメントで順位決めまでしたらしい
3位決定戦みたいなのを20位までやったって事ね
そして今回の戦いは予選リーグ3日、決勝トーナメント1日の計4日で行われるらしい
「正確には予選2日目の後に一日中休みがあります、決勝まで残れば5日間、移動も含めれば7日間の拘束ですね」
「予選で負けたら決勝は見ずに帰ってきていいって事?」
「そこは自由ですが、今後の為に大抵皆さん残って試合を見届けますよ」
「まあ、出るなら優勝するつもりだけど」
「組合としてもそうあって欲しいです」
「しかし、1週間後って随分急ですね」
「本来はもっと準備期間を置くのですが、もうすぐ冬になるのと主催国の他の行事との兼ね合いで早まりました」
「そうですか、なら仕方ないな」
「あと、優勝すれば賞金が出ます、今回は1000万ですが」
「20位を決めるだけならそんなもんでしょ」
ふーん、まあいいや
降って湧いたチャンスだ
折角だし物にしたい
「解りました、出場します」
「では、6日後にペガサスの馬車が迎えに来ます、帯同は3人までです」
「3人?グリフォンは連れて行っても良い?」
「・・・どうなんでしょう、ペガサスと喧嘩しないと良いですが」
「・・・馬だもんな、天敵になるのかな、今回はやめておくか」
3人か、どうすっかなー
「メアリーは行っても解んないら、お留守番して体を鍛えるら」
「そうか、まだハンターの仕事も始めてないもんな」
じゃあサテンとカオリに聞いてみよ
「タカネ様、すごいですわ、地域の代表だなんて」
「優勝してくるよ」
「い、言い切るんですか?」
「すごい自信なの」
「少なくともクリスティよりは強いもの」
まあよっぽどの事が無い限り余裕だろう
一応油断はしないけどさ
さて、メアリーの魔法練習につきあうか
「メアリー土の魔法は十分だ、火の魔法を強化すると初級と下級では便利だぞ」
「解ったら」
「火の玉は出せるのか?」
「ちっちゃいら、5mくらいしか飛ばないら」
「15mくらいは飛ばしたいなー」
「解ったら、それを目指すら」
火の玉の魔法を飛ばすメアリー
うん、射程距離が短い
5mまで近づくのは危険だよなぁ
15発くらい撃って玉切れを起こす
これが限界か
フラフラになったメアリーを抱え団欒室へ
「ひ、一休みして街を走って来るら」
「そうか、転んで怪我しないようにな」
「お茶をお持ちしたなの」
「ありがとうエリーゼ、エリーゼはユーメリアに行ったことあるのか?」
「無いの、タカネ様が羨ましいの」
「一応、帯同が3人許されてるんだけど、メイドさん一人くらい連れて行きたいんだよな」
「サテン様とカオリ様とメイド1人って事なの?」
「ああ、俺としてはそうしたいんだが・・・ただひょっとしたらクリスティの野郎が駄々こねるかも知れないんだよなー」
「それはあるなの、クリスティ様はタカネ様ラブなの」
「お、おう、やっぱそう見える?」
「どう見てもそうなの」
「・・・そんな訳でメンバーはまだ保留、一応メイドさんの間でもそのつもりで」
「解ったなの」
今日はクリスティ来なかったか、じゃあ明日は必ず来るだろう
推薦してくれたらしいし無碍にも出来ないよな
行きたいって言うなら連れて行かない訳にもいかないか
「そろそろ走って来るら」
「・・・ムスタング、ついて行ってやれ」
「クー」
俺の言う事を理解したのか、メアリーについて行くムスタング
もしメアリーがぶっ倒れたら運んで来れるかな
さすがにまだ無理か、でも呼びにくらい来てくれるだろう
さて俺は一休み
・・・・・・
ウトウト
「・・・タカネ、寝ているのですか?」
「・・・・・・ああ、サテン、カオリ、おかえり」
「タカネ!地域の代表おめでとう!」
「聞いたか?ありがとう、それで、3人まで連れて行けるらしいんだけど・・・」
「カオリは行くよ!」
「サテンも勿論です」
「そうか、じゃあ2名は決まりだな」
あと一人は保留
お、メアリーがぶっ倒れてる
知らないうちに帰って来てたのか
俺の察知能力って危険にしか反応しないんだな
全然気づかなかった
夕飯食べて風呂入ってその日は終わり
次の日
大会まであと6日
サテンとカオリも今日は休みらしい
「シオン、冬の準備で何か必要な物があれば買って来るけど」
「もう買ってありますわ、薪、雪を片付ける用のスコップ、一輪車、防寒具」
「お、おお、仕事が早いね、そろそろ生活費足りなくなってくる頃じゃ・・・」
「サテン様とカオリ様に10万ずつ頂いてます、色々買わせていただきましたが、これだけあれば2カ月は持つかと」
「あ、ああ、2人共準備してたんだ・・・」
生活費も3等分か
キッチリしてるなあ
じゃあゆっくりするか
そう思ったらクリスティが来た
「おう、クリスティ、推薦ありがとなー」
「・・・・・・」
「どうしたの?」
「20傑は帯同出来ないらしくて」
「そうなの?」
「うう、知ってればタカネ様を推薦しなかったんですが」
「おい」
「1週間もタカネ様と離れ離れだなんて・・・」
20傑がサポートに付くと、アドバイス等を送って他の参加者が不利になるので帯同できないらしい
確かにあいつは大陸12位のやつがいたから優勝出来たとか言われても面白くない
今回はクリスティには我慢して貰おう
でもやっぱりついて来る気だったんだな
「で、でも、来年は一緒に大会に出れますね、うふふ」
20傑のランキングは年間固定
そしてシードありで20傑を決める大会に予選免除でトーナメントから出られる
今回のように欠員が出た時は補充される
例えば10位が亡くなった場合は11位が繰り上げで10位へ、以下すべて繰り上げ
で20位が居ないので大会やって補充
そうして補充していかないとシードの大会にも影響あるらしい
まあそんなに20傑が亡くなる事って無いらしいんだけどね
今回は稀なケースだったのか
「あ、クリスティは馬に乗れるの?」
「乗れますよ」
「今日サテンとカオリが休みだから乗馬教えて貰おうかと思うんだよね」
「お供します」
「お、おう」
4人と一匹で街の外の放牧場へ
何時に帰るか解らないから昼は良いと言っておいた
サテンがホンダ、俺がシャネルに乗って練習
「おい、曲がんないぞ」
「もっと優しく引いてあげてください」
「おい、動かないぞ」
「おかしいですね、嫌われてしまったのでしょうか」
「おい、すごい暴れてるぞ」
「振り落とされないのは流石ですが、降りてあげてください」
シャネルに嫌われちゃったみたい
「シャネルは良い子なのに~」
「俺の事睨んでるぞ、何が悪かったのかな」
「胸が重くて嫌だったんじゃない?」
「カオリくらいが丁度いいのか」
カオリにも睨まれた
良いじゃんDカップ
何が不満だと言うのか
「ホンダに乗せて貰って良い?」
「はい、良い子なので安心してください」
ホンダの顔を撫でる
俺の事覚えてるかな
頬を寄せて来る
良い子だ
背中に乗せて貰おう
大人しい、良い子だ
よし、歩いてくれ
・・・・・・
「歩きませんね」
「サテンと同じ体型なのに」
「体系は関係ありません」
その後頑張ったけどうんともすんとも言わない
嫌われちゃったかな
諦めて降りた
突然ムスタングが噛みついて来た
痛い、痛いよどうしたの?
「・・・他の馬に乗るなと言ってるのかも知れませんね」
「ずっと馬を睨んでましたよ」
「それで動かなかったのか」
自分がお前を乗せてやる
他の馬に浮気するな
ムスタングがそう言ってるような気がした
「解った、ムスタングがもうちょっと大きくなるまで待つよ」
そうだな、ムスタングに乗る前に他の馬で練習とか俺が間違ってた
俺が乗るのはムスタングだけだ
早く大きくなってくれよ
「お昼どうする?」
「クリスティ、良い店知らないの?」
「案内します」
ムスタングが入れる店で頼むぜ
お、良い匂いの店に連れて来られた
クリスティの口利きでムスタングも入店
「!!・・おい、カオリ!あれを見ろ!」
「ピザだ!」
窯がある店だった
店員が引っ切り無しにピザ生地を出し入れしている
「こ、この世界に来てピザが食えるんだな!」
「ああ、どうしよ、涎出て来ちゃう・・・」
「ピザ?食べた事ありません」
「美味しいですよ、サテン様」
「『様』はやめてください、クリスティさん」
言わせてやれ
クリスティにとってはご褒美なんだから
それよりピザに集中しようぜ!
注文を取って貰い、待つ
ああ、待ち遠しい
出来立てを食べられる
窯から出てすぐの物を・・・
俺達のテーブルに来た
チーズがプクプクしてる
1片を取る
糸を引くチーズ
ああ・・・
冷めないうちに食べなき
あちっ
だがこの食感、懐かしい
口の中でグニャグニャ
焦げたベーコンがアクセント
トマトソースの酸味
完璧な取り合わせ
「美味しい!美味しいよタカネ!」
「ああ、懐かしくて泣けてくるな」
「まあ、具が全部落ちてしまいました」
「食い方難しいよな」
「・・・まあ、濃厚な味」
「うまいだろ?な?な?」
4人で6枚食べた
ムスタングは昼は食べないのでベーコンの切れ端ちょこっとだけ
ああ、食べ過ぎた
家に帰ってダラダラする
メアリーが頑張ってるのに申し訳ない
俺達は団欒室で横になる
クリスティだけ空気椅子
何と戦ってるんだろうな
「ふう、美味しかったですね」
「ああ、カロリー高い物はウマい」
「え?!太るんですか?」
「ああ、太るな」
「タカネや私は太んないけどね」
「先に言ってください!」
スイッチ持ちの特権だ
サテンも空気椅子やるか?
メアリーが戻って来た
走って来たのか
ソファに崩れ落ちバタンキュー
お疲れさま
クリスティが帰り、夕飯
「シオン、家でピザって難しいよな?」
「簡単な物なら作れますが、窯を使ったものには味は劣りますね」
「家で食べれるようにするのはやめてください」
「サテン、食べた分動けば良いんだぞ」
「太らない人が簡単に言わないでください」
風呂へ
「クーリエ、私太ってませんよね?」
「サテン様、いつもと変わらず美しいですよ」
「どこかたるんでませんか?」
「サテン様は完璧なスタイルですよ!」
「胸を分けて欲しいなの」
サテンも男作る訳でも無いのに随分気にするんだな
「カオリは太らないけどこれ以上胸も大きくならないんだろうな・・・」
「俺らは変わらないだろうね、筋肉もつかないし」
「そっか、夢が無い・・・」
「暴飲暴食できるんだぞ?幸せな事なんじゃないか?」
「タカネ様、体調管理はしっかりして欲しいのですが・・・」
「わ、解ってるよシオン」
「なんで太らないし筋肉つかないら?」
「体質だ」
メアリーはちょっと筋肉ついて来たかも
短期間で凄いな
おやすみ