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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
40/134

040 新生活

ホメロス王国、首都メルホースを出て10日


「タカネー、今日は街で泊まれそうだよ」

「ああ、出来れば風呂に入りたいよ」


この10日間、いくつかの街を経由してピエトロに向かっている

大金持ってるのでそれを宿屋に持ち込むにしてもセキュリティのしっかりしてない宿はスルー

さらにムスタングを持ち込める宿となると限られてしまう

大きな街なら宿も見つかるが小さな街ではまず無理だ

仕方なく野宿と宿泊を繰り返している


「次の街は大きいからね、宿も見つかると思うよ」

「苦労かけるね」

「この分だとピエトロまであと20日くらいかかりそう」


丁度1か月くらいか

馬車だから仕方ないよな


「あ、盗賊だ」

「任せてください」


サテンが魔法を放つ

逃げていく盗賊

これで何度目かなー


「・・・タカネ、今日からみたいだよ、大陸闘技大会」

「そっか」


出たかったなぁ

はあ、何でこんな事になっちゃったんだろ


「迎えはペガサスの馬車なんだって、すごい早いらしいよ」

「へえ、そんなのがあるんだ、乗ってみたかったな」


大会も出たかったし、河川工事も終わらせたかった

メオラの迷宮も最後まで攻略したかったのにな

色んな物を中途半端で放り出して来なければならなかった

あーあ、心残りだ


「サテン、馬車の操縦変わろうか?」

「まだ大丈夫ですよ」


俺も馬車の操縦くらいは出来るようになった

馬車乗ってるだけじゃヒマで仕方ないからな

・・・しかし移動でだけで1か月か

道が整備されていて、車だったら3、4日の距離なんだろうな

不便だが仕方ない、そういう世界なんだ

仮にムスタングに乗れるようになって、荷物が無ければ1日で行ける距離なのかもしれない

直線距離で飛べるってのは大きい

ムスタングも1mくらいまで成長した

すくすく育ってる、大きくなれよ


「あ、また盗賊だ」

「今日は多いですね」


サテンが火の魔法を馬車上から放つ

慌てて逃げていく盗賊達

・・・ヒマだなー

ガタガタと揺れる馬車の中でウトウトする日々

まだまだ目的地は遠い



10日後

ホメロスを出て、国を2つほど経由した

次の国がピエトロだが、まだまだ遠い


「この国は道悪いね」

「あまり整備されてないな、また土の壁出そうかな」


何日か前に川を越える際、土の壁を横向きに出して橋にした

魔法は本当に便利だ

湖を凍らせれば道が出来るし、水を出せるから飲み水に困る事も無い

でも、魔法で出した水なんて飲んでも大丈夫なのかな

カオリなんて美味しそうに飲んでるけど

お湯も出せるから野宿でもシャワーを浴びれる

1か月の旅で清潔で居られるのは嬉しい

出来れば宿取って風呂には入りたいんだけどね


「わー見て、変な動物が居るよ」

「本当だ、牛なのかな」


内地に入り、少しずつ標高が高くなっているのだろうか

変わった動物を見かける事も多くなった


「あ、ゴブリンだ」

「任せて」


馬車上から魔法を放つ

絶命するゴブリン

道沿いにはあまりモンスターは居ないのだが、20日も旅してれば何回か見かける事になる

野宿してればモンスターが近寄って来るけどね

そんな時も土の壁で回りを囲んでしまえば安心だ

30mくらい高くすれば鳥型のモンスター以外は入れなくなる

夜行性の鳥型モンスターなんてあまり居ないので、ほぼ安心して過ごせる


「次の街で馬車点検してもらおう、保存食も買わないと」


道が悪いので馬車の痛みが心配だ

壊れてしまうと足止めを食らう事になる

ホメロスの王宮から貰った丈夫な馬車だが、長旅なので念には念を入れる


「街が見えて来たよ」

「泊まれる宿があるといいな」


目的地、ピエトロの首都まであと三分の一

まだまだ遠い



10日後

そろそろ目的地に着くはずだ

ピエトロの首都はランバートと言う名前らしい

流石に皆の顔に疲労の色が見える

1か月も旅してれば当然だろう


「でも、のどかで景色も良くて良い国ですね」


サテンはピエトロに入ってからそればかり言ってる

よっぽど気にいったみたい

高原の国、ピエトロ

女王が治め、治安も良い

道も良く整備されていて綺麗だ

ここが安住の地になればいいが

ん?前から馬が走って来る

騎士団か?5頭くらいいるな

俺達の馬車の前で止まった

女だけの騎士団だ


「旅の者か?」

「はい、ランバートに行きます」

「女3人か?うわ!グリフォン?」

「人間に馴れてますよ、良ければ撫でてやってください」

「なんと、餌付けに成功したのか」


騎士団の先頭に居た人が馬から降り、緊張しながらムスタングに触れる

優しく撫でて貰い気持ちよさそうにするムスタング

騎士の手に頬を寄せる


「か、可愛いな!」

「そうでしょ?」

「皆も降りて撫でて見ろ」


部下なのかな

他の4人も馬から降り、ムスタングに触る

こうして見ると皆、綺麗だ


「ピエトロの騎士団の方ですか?」

「ああ、そうだぞ」

「ランバートに住むつもりなので、よろしくお願いします」

「どこから来たんだ?」

「ホメロスです、1か月前に出ました」

「なんと、あんな遠い国から女3人で来たのか」

「魔法使えるので危険は無かったです」

「なんと!魔法使いなのか!」


少しざわざわした

魔法使いは希少な存在だ


「私達は最上級ハンターなんですよ!」


魔法を使えないカオリがアピールした

ごめん、そっちを言えば良かったな


「しかし、何故ピエトロへ?」

「治安が良くて女王様が治めていると聞いたので」

「確かに君主は女王だが・・・それが重要なのか?」


ホメロスでは王様にしつこく相手をしろと言われたから嫌だったんだ

ざっくり経緯を説明する


「なるほど、それは災難だったな、貴方達は女性の私から見てもハッとするほど美しい」

「騎士団の方々もお綺麗じゃないですか」

「女王の意思により『女性は気高くあれ』と言われている、容姿にも気遣っているんだ」


なるほど、だったら女性の権利も保証されているだろう

良い国なんじゃないか?


「良かったら、街まで案内するが」

「どこかへ行く途中だったのでは?」

「いや、見回りだ、ピエトロ騎士団は日々の警戒を怠らない」

「立派ですね、それでは案内をお願いしようかな」


俺達はピエトロ騎士団の護衛の下、首都ランバートまで行く

街の入口まで付き添ってもらい、そこで手を振って別れた

坂が多いが綺麗な石畳の街だな

取りあえずどうしよう


「俺はこの国気にいったけど2人はどう?」

「とても良い国だと思います」

「カオリも好きだよタカネ」

「だったらもう住むとこ決めちゃおうか、それとも2,3日宿に泊まって様子見る?」

「住むとこ決めちゃって良いんじゃない?」

「不動産屋へ行きましょう」


不動産屋へ

ムスタングは荷物の番をしててね


「お風呂は必須だよな」

「ホメロスより物価が安いですね」

「でも賃貸だと良い物件が無いかも・・・」

「買ってしまうか、金ならあるしな」

「買うの?すごいね」


物件の間取りをざっと見ている

一番高い物件に眼が行く

2階建て15部屋

岩風呂、庭が広い

12000万か


「そんなに部屋があっても困るような」

「買えない事は無いですが」

「でもここを見て欲しい」


地下1階、金庫有り


「ああ、金庫あるのは安心だね」

「取りあえず物件見に行ってみない?」

「そうですね」


不動産屋を連れ、物件へ

坂の多い街の中の最も高い位置に高級住宅街がある

物件はその中の一つ

5mくらいの高い塀に囲まれた横長の大きな家だった

煉瓦で作られていて丈夫そうだな

煙突があるって事は暖炉があるのかな

すごくお洒落な物件だ

庭がとても広い、ちょっとした公園くらいある

倉庫兼馬小屋みたいな大きな付属の建物もあるな

あそこに幌馬車入れれば丁度いいんじゃないか


玄関を入る

エントランスが吹き抜けで広い

中も立派な作りだ


「風呂は薪風呂です、水は井戸からポンプで汲み上げ式です」

「うーむ、家事は増えちゃうな」

「温泉は便利だったね」

「トイレは1階と2階に二か所、タンクに水を貯めて水洗で流れるようになっています」


水道はこの世界にはまだない

温泉もこの近くには無い


「この部屋狭いな」

「住み込みの使用人部屋ですよ」

「あ、メイドさん雇えるね」

「使用人部屋は3部屋あります」


岩風呂は半分露天でしっかり塀で囲んである

薪って事は外で火の番が必要なのか?

お湯は魔法で出せるから何とでもなるけど


1階は応接間、団欒室、書斎、食堂、厨房、使用人部屋等含め9部屋


2階は6部屋

どの部屋も15畳くらいあり、クローゼットが備え付け

全室バルコニー付きでバルコニーは繋がってる


「広くていいね」

「6部屋ですか」

「こんなには要らないけど・・・」


そして地下

階段を下りると金庫の扉があるだけだ

大きな扉

中に入ると天井の高い15畳くらいの空間が広がっていた


「うん、十分な広さだ」

「壁床天井はすべて石、丈夫に作ってあります」

「夏場もヒンヤリしてそう」


「どうする?」

「高台で見晴らしも良いですね」

「良いんじゃないかな」

「ここ、買うなら俺が全額出すけど」

「カオリ達は居候?」

「え?いや、そういう意味じゃ」

「駄目です、3等分で共同名義にしてください」

「む、むう」


しかし3等分だと一人4000万だぞ

サテンもカオリも6000万以上持ってるみたいだが


「家が高い買い物なのは当たり前です」

「一度買っちゃえば、家賃の心配しなくて済むし、良いんじゃない?」

「そ、そうか」


そんな訳でこの家に決めた

契約書にサインを交し、家の鍵と金庫の鍵を貰う

馬車から荷物を下ろし、お金は金庫へ

各自の荷物は2階の自室に

家具が全く無いが、今日はもう夕方だ、明日買いに行こう


所持金


タカネ 21億6000万

サテン    2010万

カオリ    2320万


「ホンダとシャネルはどうしよう、馬小屋はあるけど」

「庭は広いけどね」

「それでも街の外の囲いで放牧した方が幸せでしょう」


ホンダとシャネルを街の外へ

街の中は危ないから走らせることが出来ない

サテンがホンダに乗り、シャネルの手綱を持ち、引いて歩かせる

カオリもシャネルに乗る練習したかったみたいだけど、鞍が無いんだよな

落ち着いたらこの街で作ればいい

俺とカオリとムスタングは歩いてついて行った


街の外の囲いの放牧は年間2万

ホメロスと一緒だな

カオリとサテンがそれぞれ払う

払ってあげたいが断られるだろう

2人の馬だからな


帰りに夕飯を食べて帰ろう

ムスタングを連れて入れるお店を探す

初めての街だからナンパも多い

ムスタング連れてるのにみんな勇気があるな

しかし、しつこくされない、下品な対応もされない

ここは女王が治める国

女性に対して敬意を払ってる様だ


夕飯を済まし、家に帰る

真っ暗だな、魔法の明かりをすべての部屋に灯した


「家具が無いと寂しいね」

「今日どうやって寝る?」

「屋根があるだけで満足です、寄り添って眠りましょう」


1か月の旅が終わった

落ち着ける場所が出来た事に3人共安堵の息を漏らす

今日は風呂は入れないか

掃除してからの方が良いだろう

明日、落ち着いたら沸かしてみよう


翌日、朝御飯を食べに行き、掃除道具を買って来た

3人で朝から家の掃除だ

窓をすべて開け、箒で掃き、いらない布で拭きあげる

午前中一杯かかってしまった


午後から3人で家具屋さんへ

ベットやらタンスやらテーブルやら

使用人を雇う事も視野に入れ一通り揃えた

ホメロスには無かったソファもあった

これで前よりくつろげる

しっかりした物を選んだためか、全部で200万

カオリのウィンクで180万

結構高くついちゃったな

支払いは3等分にする

家具は夕方持って来てくれる事になった


「薪ってどこに売ってますか?」

「雑貨屋だな、廃材で良いなら家具と一緒に持っていくよ」

「助かります」


取りあえずは廃材で風呂沸かそう


さて、次は日常品

鍋やら皿やらタライやら

一度に揃えるとなると結構な荷物だ

重さは苦にならないが、壊れ物だから慎重に運ばないと

家に2往復程して買い物を終わらせる


夕方までもう少し時間があるな

求人出して来ようか


「メイドさんですよね?どんな求人出すのですか?」

「・・・住み込みで経験者?」

「可愛い子がいいなあ」


カオリの意見は無視しよう

どうせセクハラが目当てだ


一応、職業案内所に行ってみる

メイドさんメイドさん・・・

住み込みだと月5万くらいが相場か

なかなか高給取りの部類になる

でも3人くらいは欲しい


「不用意に募集して素性の解らぬ者が来ても・・・」

「確かにな、ここは慎重に選びたいな」

「可愛い子・・・」


相場が解っただけでも収穫だ

食料を買って、夕方になったし帰ろう


家に戻ると丁度家具屋が来てた

早速家具を家の中に運び入れる

取りあえずエントランスに置いておく

俺の力に家具屋は眼を丸くしていた

1時間ほどで運び終えた

暗くなって来たので家具の設置は明日

サテンが夕食を準備してる間に俺とカオリは風呂の準備


「お湯を魔法で出すよ」

「追い炊きは出来ないよね?」

「・・・湯船に火の玉の魔法でも撃ってみる?」

「やめて、廃材を少しだけ燃やして温度が下がらないようにするよ」


その辺の微調整難しそう

まあいいや、慣れればなんとかなるさ


「夕飯が出来ましたよ」


おっとダイニングテーブルをエントランスから持って来なきゃ

椅子と共に食堂に運ぶ

食器棚も厨房に持ってきた


「新しい家での初めての食事だな」

「お腹空いたー」

「ムスタングもいっぱい食べろよ」

「クー」


ムスタングも鳥なら2羽くらい食べるようになった

スクスク育つ可愛い奴め

いつまで家の中で飼えるかな


食事が終わり風呂へ

温度を確かめる

ちょっと温いかな

まあいいや、ゆっくり入ろう


「やっと日常が戻って来たねー」

「ああ、これで元通りだ」

「落ち着けますね」


長旅の疲れが癒えてゆく

ゆっくり1時間くらい浸かっていた


エントランスからベットとタンスだけ各部屋に運んだ

あとムスタングが寝るようの籠

残りは明日やろう

取りあえず寝る準備だ

ベットはカオリのご希望で天蓋付きだ

メルヘンチックだな、と思いながらも俺も興味があったのでそれにした

サテンも同じものをチョイス

各部屋にセッティングして、長旅の荷物を広げる

洋服をタンスに入れる前に干した方が良いのかな

まあ明日また出せばいいか


一段落してベットに身をゆだねる

ああ、気持ち良い

今日からこの部屋で生活するんだな

服を脱ぎ散らかし、眼を閉じる

このまま眠ってしまいそう


コンコン

ん?


「はーい」

ガチャ「まあ、こんなに脱ぎ散らかして」


サテンだった

セクシーなネグリジェに着替えたサテン

俺が脱ぎ散らかした服を拾って畳んでくれる


「どうしたの?」

「・・・広すぎて落ち着きません、今日は一緒に寝て良いですか?」


仕方ないな

確かに殺風景で落ち着かない

明日家具をすべてセッティングすれば少しは見栄えが良くなるだろう


ガチャ「あーズルーい、カオリも一緒に寝るー」

「次からノックしてね」

「はーい」


結局3人で寝る事に

大きなベットだから余裕だ

長湯したからポカポカだ

眼を閉じるといつの間にか寝ていた

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