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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ホメロス王国編
35/134

035 闘技大会

「闘技大会?」

「はい、ホメロス十傑を決める大会です、タカネさんとカオリさんは出ますか?」


ハンター組合に来た

受付のお姉さんが近々行われる闘技大会に出ないかと言って来た

最上級、上級の者のみで争われ、賞金も出るらしい


「賞金はいくらなの?」

「優勝賞金は500万です、準優勝でも200万出ますよ」

「ふーん、私は別に良いかな」

「出ないのタカネ?私は出るよ」


言っちゃ悪いが優勝するって解ってる物に出ても

モチベーションが上がらないよ


「優勝者は大陸20傑を決める大会の出場権を得る事が出来ます」

「え?なにそれ」

「大陸大会の優勝賞金は1億ですよ」

「出ます、闘技大会」

「タカネー出ないでよー、カオリの優勝がぁ」

「2人共気をつけてくださいね」


そういう訳で闘技大会に出る事になった

優勝してもすぐに10傑1位になるわけではないらしい

依頼達成の数なんかも関わって順位が決まるんだって

俺なんて石ばっかり運んでるから優勝してもたいして上に行けないかもしれない

それでも大陸大会の出場資格が手に入るならって事で出てみようと思う


「タカネ、出るのか」

「ハインツさん」


十傑1位ハインツさんに話しかけられた

3位のモヒカンのおじさん、4位のハインツの奥さん、10位のティータも居る

すべてハインツさんのパーティだ


「大陸大会というのに興味があるので優勝狙いますよ」

「そうか、我々も簡単に優勝させる気は無い・・・と言いたいところだが、難しいだろうな」

「胸をお借りします」

「冗談は良してくれ、まだ十傑2位の者に期待した方が良い」


そうなの?

聞けば2位の人はホメロスでの闘技大会で8年連続優勝しているらしい

ハインツさんじゃないんだね

依頼達成の数でハインツさんが1位にはなってるけど、実力は2位の人の方が上だとか


「そいつが依然話していたスイッチ持ちだ、ルビーのな」

「ルビーの?ホメロスにルビーのスイッチ持ち居たんだ」


以前ハインツさんは他にもスイッチ持ちを3人知ってるって言っていた

一人は死んだらしいが2人は生き残っている

その内の一人が2位の人って事か


「普段は田舎住まいでな、闘技大会の時だけ上京してくる、名前はワッツ、地球じゃない違う異世界からの転移者だ」

「おお、そうなんですか、ちょっと会ってみたいな」

「好青年だぞ、善人ガチャに選ばれただけの事はある」

「それは私達もでしょ?」

「そうだったな」


なるほどね

さて大会の事をもう少し詳しく話しておこう

ホメロスの大会はこの首都で、トーナメント制で64人で争われる

最上級が先にエントリーして、余った席を上級に回すシステム

簡単だな

大陸大会はもう少し複雑みたい


「って事はサテンも出れるのか」

「嫌です、絶対に出ません」

「そ、そうか」


サテンは弓だが大会に出るとしたら先の尖ってない矢を使う事になるのだとか

相手の頭か心臓に当てれば1発勝利、他の部位なら3発で勝利になるらしい

他の武器はそれぞれ木で出来た物を使う

剣なら木刀、槍なら木の棒

それでも危険なので毎年怪我人続出なんだって

王宮に回復魔法を使える魔法使いがいるので治療はしてもらえる

大会は一週間後、俺はそれまで石運びに従事しよう


採石場


「さてさて下流の第7ポイントまで運びきったんだっけ」

「上流も第9ポイントまで進んでるが、まだまだだな」

「大きいだけあって大変ですね」

「それでもすごいスピードで工事が進んでるんだぞ」


まあそうなんだろうけど

早く終わらせてゆっくりしたい

石をソリで運ぶ

相変わらず混雑してるなあ

広い場所に出て、馬ソリを抜けし始める

途中で逆方向へ、俺は下流に向かう

川の中では人足達が大勢で川の成型作業

泥をかき、形を整えている

川のあちこちで何千人くらい居るのかな

本当にすごい工事だ

その日は16往復、80tの石を運んだ


「ふう、下流から上がって来てるから少しずつ採石場に近くなってはいるんだけど・・・」

「一つのポイントに120tだからな、全然進まない気分になるだろうが頑張ってくれ」

「はーい」


その後5日間で440t運んだ

下流のポイントは11まで進み、上流は13まで進んでいる


「やっと4分の1くらいまで来たのかな」

「ああ、この分だと2カ月ちょっとの工事かな」

「そうですか、明日は闘技大会なので休みます」

「解った、頑張って来いよ」


ムスタングを連れ、家に帰る


「タカネ、カオリ、明日は頑張ってくださいね、今日はご馳走にしました」

「お、うまそうだなー」

「き、緊張してきた、私大丈夫かなぁ」


カオリは固くなってた

今日寝れると良いけど


「ご飯食べたら公園で手あわせでもする?」

「やだ、自信失うだけだもん」

「そ、そうか」


実際カオリと手あわせなんかした事も無いけど

どうなんだろな

俺は技術とかあるのかな

スローモーションになるから必要ない気もするけど


「それよりお風呂入ろうよ、タカネにリラックス出来るマッサージをしてあげるよ」

「それは俺が嫌だ」

「なんでよー」

「カオリのマッサージは胸中心だからな」


贅肉をマッサージしてどうするのか

意味不明だ

普通にお風呂に入って寝た


翌日


「こんな場所があったんだな」


俺達は闘技場へ来ていた

直径50mくらいの円の闘技場

回りを塀で囲んであり、その上は客席だ

3000人くらいは見れるようになってるんじゃないだろうか


「お客さんは貴族が多いみたいよ、入場料も結構高いんだって」

「へえ、そこから賞金出すのかな」

「詳しい事は解んない」


娯楽が少ない世界だ、人が戦っているのを見て楽しむのだろう

王様が見るであろう特別席も見えるな

王様どんな人だろうか、元気な人とだけ聞いてるけど


俺達は選手控室へ

一人一人個室を与えられるみたいだが、カオリと同じ部屋にして貰った

ハインツさん達も一緒の部屋にしてた

どれくらい時間かかるか解んないけど、話し相手居たほうがいいよね

選手が試合を見れる場所もある

さっき闘技場をそこから見てた

立ち見だけど近くて良い場所だったな


「タカネ、カオリ、闘技場はどうでした?」


サテンとムスタングは付き添いとして着いて来て貰った

少数なら付き添いOKなんだって

俺とカオリで付き添いがサテン1人とムスタング1匹なんだから文句あるまい


ガチャ「タカネ殿、1番手です、すぐに準備をしてください」

「え?もう?」

「タカネ殿はミスリルゴーレムキラーとして今回の大会の目玉です、不甲斐ない戦いはせぬように」


・・・・・

なんか期待されているらしい


「応援してるからね!」

「頑張ってくださいね」


闘技場に向かう為、衛兵が付き添い長い廊下を歩く

暗い廊下だな、松明を灯してある

魔法の明かりを出してあげようかな


「試合では魔法の使用は禁止だからな」

「解ってます」


突き当りまで来た

扉がある、ここを出れば闘技場なのだろう


「武器をこの中から選んでくれ」


木刀、木の棒、木の矢

木刀も色んな長さと太さがあるな

エストックみたいな長さの物もあるけど、今回はもっと短いのでいいか

ショートソードのような木刀を選んだ


「・・・盾はいらないのか?有ると無いとじゃ大違いだと思うが」

「使った事無いんで良いですよ」

「まずは国王に一礼してくれ、それから合図があったら試合開始だ」

「はい」

「相手の急所に当てるか、他の部位に3回、もしくは参ったと言わせれば勝ちだ」


単純なルールだな

1回戦どうしようかな

様子見たいけど不甲斐ない試合するなとも言われたし

あ、扉が開いた

衛兵にうながされ、闘技場へ出ていく

ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

うお、一回戦なのに歓声がすごいなあ

向こうからも出て来た

小柄だが、逞しそうなおじさんだ

中央まで行き、国王に向かって一礼する


「第一回戦はあの!メオラのミスリルゴーレムを倒したタカネの登場です!」


な、なんだ、実況がいるのか

声高らかに叫んでいる


「見てください!あの美貌!あのスタイル!美しい髪は仲間内でミスリル色と呼ばれているとか!」


な!!!・・・お、俺の銀髪がミスリル色の髪?か、カオリの野郎だな!

選手の立ち見席を見る

カオリがピースしてた

痛いから嫌だって言ったのに!

あいつ絶対殺す!

く、くそお、もう客席見れない

絶対笑われてるような気がする

早く終わらせて帰りたい

相手の紹介もあったみたいだが、俺の耳には入って来なかった


「それでは両者構えてください!」


10mほど間隔を置き、身構える

相手は盾を持ってるな

なるほど、隙が無い

心臓の前で構えられては当てるのは至難の技だろう

ただしそれは前方からの話だ


「では、始めッ!!」


俺は高速で相手の背後に回る

相手はすぐに俺を見失った

そのまま背中側から心臓の位置を軽く突く

相手の動きが止まる

冷や汗を出しながら「ま、参った」と言った


「な、なんと!音速、音速です!音速のミスリル乙女、タカネ!第一回戦を突破しました!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!


変な通り名追加していくなよ!

ああもう恥ずかしい、出るんじゃなかった

カオリは後で殺す

俺はそそくさと闘技場を後にした


------------------------------------


「カオリ!てめえ!!」

「ど、どうしたの?そんなに怒って」

「見事でしたよ、何も見えないうちに試合が終わりました」

「お前もセクハラ指圧師とか訳わからん通り名で呼んで貰うからな!!」

「それだけは勘弁してくださいお願いします」

「まあカオリ、そんなに床に頭をつけてまで」

「・・・・・」


くそっ!

土下座までされたら仕方ない

許さんと自分が小さく思える

汚いなあ、もう


「ですが、客席では好評のようでしたが」

「そ、そうだよ、みんなタカネに見惚れてたよ」

「近くの貴族のご令嬢も「カッコいい・・・」って言ってましたよ」


むう、現代日本なら笑われるところだがこの世界ではそうでもないのか?

なんか納得いかないんだけど

カオリ、ドヤ顔をやめろ、腹立つ

もうすでに敵は対戦相手では無く身内になってるんだからな、俺の中では

カオリを睨んだら眼を逸らされた


カオリが呼ばれた

心の中で負けろと願った

勝ちやがった、いっちょまえに

つまんねーの


「やった!これでベスト32に入った!」

「良かったねー」

「タカネ、心が篭ってないよ・・・」

「カオリ、素晴らしい立ち振る舞いでしたよ」


しばらくして1回戦がすべて終わったようだ

試合が半分終わったのでお昼休憩らしい


「お昼食べますか?」

「俺はいいや、眠くなるし」

「私もいいかな」

「せっかく作って来たのに・・・」


サテンがサンドイッチを作って来てくれてたようだ

じゃあせっかくだし食べようかな

軽いから負担にもならないだろう


「首も急所らしいですよ」

「首か、確かに」

「心臓、頭、首を狙えばいいの?」


腹とか斬られても戦闘不能になりそうだけどな

心臓ばかり狙っても対応されるかもしれない

色々織り交ぜて行こうかな


午後の一番手はまた俺らしい

闘技場に向かう

武器をショートソードはやめてエストックにした

リーチ長い方がやっぱり使いやすい


「来ました!音速のミスリル乙女!タカネ!」


ぐぐぐ・・・

黄色い声援が飛んでいるがやっぱり嫌だ

早く終わらせて帰りたい

相手は20代後半の男だ

俺に見惚れている

こりゃ楽勝だ

開始と同時に首を突くように軽くエストックを当て終わらせる

会場が歓声に包まれた


「ふう、嫌になるぜ」

「・・・・・」

「カオリ、緊張しているんですか?」

「う、うん、そうかな」


俺のご機嫌を伺ってるんだよ、カオリは

もしカオリと当たったらどう料理してやろうか

優しく止めを刺すと思うなよ?


カオリが呼ばれる

試合見に行ってやるか

醜態晒せばいいのにと思いながら立ち見席へ


「タカネさん、前の2試合お見事でした」


背の高い20代半ばの男に声を掛けられた

誰だろ

ここに居るって事は出場者かな?


「申し遅れました、僕はワッツと申します」

「ああ、8年連続優勝の」

「ええ、ですが、それも終わりのようですね、まさかダイヤのスイッチ持ちとは」

「ハインツさんから聞きました?」

「はい」


なんだ、ルビーなのにもう勝つ気が無いのか

少しは期待してたんだけどな


「大陸大会にも8年出てるんですよね?スイッチ持ちは他にもいるんですか?」

「ええ、大陸大会にはたくさん出て来ますよ、半数はそうじゃないでしょうか」

「それでも半数なんですね、スイッチ持ちで埋めつくされているのかと」

「みんながハンターになる訳でもないですからね、商人になったり魔法使いになったり、色々なんじゃないでしょうか」


そりゃそうか

ハンターなんて命がけの仕事だ

平穏無事な人生を選ぶ人も多いんだろうな


「大陸大会は強い人多いんですか?」

「そりゃもう!僕なんて魔法も使えるバランス型なので、剣術特化型の人なんかには歯が立たないですよ」

「剣術特化型・・・?」


ワッツさんの話ではルビーでも魔法も剣術も使える万能型や、魔法特化型、剣術特化型、他にもいろいろあるらしい

ハインツさんやカオリは剣術特化型だが、エメラルドにも魔法特化型が居るんだって

万能型はエメラルドでは会った事無いとか


「それでも万能型のワッツさんは剣術特化型のハインツさんには勝っちゃうんですね、エメラルドとルビーには埋められない差があるのか・・・」

「技術ではハインツさんの方が上ですよ、でも能力があるので」

「ああ、なるほど」


俺もカオリには無い能力をいくつか持っている

この差は大きいよな


「おや、ご友人が勝ったようですよ」

「え?ああ、本当だ」


知らない間にカオリが勝ってた

苦戦した様だな、肩で息をしている

全然見てなかったけど


「それでは、対戦時はお手柔らかに」

「はい、お互い頑張りましょう」


ワッツさんは去って行った

もうちょっと話聞きたかったけど試合前だ、遠慮しよう



「や、やった!これでベスト16」

「良かったね」

「た、タカネ!許してよお!」

「2人共すごいですね」


カオリが泣きわめいているが無視だ

しばらくしてベスト16が出そろった

十傑は順当に勝ち進んだみたい

あと俺とカオリと良く解らん4人


あと4勝で優勝か、油断は禁物、頑張ろう

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