表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全部神様が悪い  作者: 無二エル
ホメロス王国編
32/134

032 夢魔

「うう、いやだなあ」


ダンジョン探索4日目の朝

起きたけど行きたくない


「タカネ、やる気を出してください」

「だって、精神的に疲れるんだもん」

「早くしないと財宝取られちゃうよ?」


はあ、そうだな

あと2日しか回れないんだ

取れるだけ取った方が良いのかもな


朝御飯を食べ教会へ

昨日の石化ハンターの様子を見に行く

まだ石化解けてないみたい

だが、一人だけ助かったと言う仲間ハンターが居た

立て替えた治療代90万を請求する

デレデレしながら払ってくれた

俺の美貌が無ければゴネてたかもしれない

なんとなくそう感じた


ハンター組合へ


「おお、タカネ、俺達も財宝を見つけたぞ」


ハインツさん達だ、ティータが石化されたのに懲りずに潜ったのか

夜潜ったのかな?

俺達がコカトリス減らした後を


「1500万の財宝が見つかったぞ、他のパーティも1000万の財宝を見つけたらしい」


ううむ

コカトリスが居るから誰も先に進めないだろうと思っていたが甘かったようだ


「あの明かりの魔法はタカネか?随分明るいし、長持ちしてるから助かってるよ」


・・・俺の魔法を踏み台にして、皆頑張ってるのか

消した方が良いのかな?

今更それもやらしいか

ハインツさん達も5匹くらいはコカトリスをやっつけたらしい

だったら進みやすくなってるかもな


ダンジョンヘ行く

中に入り地下2階へ

・・・戦う音が聞こえる

すでに何組か入ってる様だ

頑張ってコカトリスをやっつけてくれよ


サテンの指示に従い、昨日引き返した場所から探索していく

うん、順調だ、昨日より全然気配を感じない

下からの気配はビンビン感じるが

地下三階はどんな敵なんだろな

コカトリスより手ごわいなら諦めたい


新しい部屋を10部屋程見つけたところで地下3階への階段を見つけた

どうしよう


「まだ地下2階の探索が終わってません」

「うん・・・そうだな、どんな敵がいるか解らないし」

「ええ!?行きたいよ~」

「せっかくコカトリスが減って回りやすくなってるんだから、地下2階回っちゃおうぜ」

「うーん、そうだね」


カオリも納得してくれたようだ

そして改めて地下2階を回り始めてすぐだった


「コカトリス1匹だね」

「見ろ、向こうの壁を」

「あ!木の箱!」

「ば、バカ、声が大きい!」


それと同時に氷の魔法を出す

コカトリスは凍ってしまった

走り出すカオリ

・・・相変わらず財宝となると早い


「み、見て!タカネ!」

「おお、宝石だな」


色とりどりの宝石が20個ほどあった

粒も大きい

これは高く売れるかもしれない

荷物にもならなくていいな


その後、空の木箱を1個見つけた

誰かが回収した後だったのだろう

カオリは残念がったが仕方ない

本日の探索は終わりにした


「部屋は54部屋まで確認しました」

「コカトリスは7匹やっつけたな」

「宝石いくらで売れるかなー」


ダンジョンを出てハンター組合へ

宝石を鑑定してもらう


「4000万ですね」

「タカネ!!4000万だって!!」

「ですが宝石は首都に持って行った方が高く売れると思います」

「そうですか、じゃあ首都に持っていくか?」

「どのみちここで4000万は受け取れないのでしょう?」

「はい、小切手を出す形になります」


そういう訳で宝石は換金しなかった

代表で俺が持つことになった

・・・まあ荷物にならないし良いけどさ

宿に戻り、ご飯食べて風呂へ


「ふう、明日で最後か」

「カオリはもうちょっと潜りたいよー」

「サテンもです・・・」


うーん、俺は河川工事があるからな

2人だってパーティ抜けて来てるんだからさ


「タカネが帰るなら仕方ないけどさ・・・」

「・・・そうですね」


元気無くなっちゃった

2人だけ残って無理するような事はしないで欲しい


「お、ムスタング、飛ぶの上手くなったな」

「クー」


ムスタングも4階の部屋と庭の往復を難なくこなすようになっている

庭に行くのはトイレをするためだ

ムスタングをナデナデ

頬をくっ付けて甘えてくる

可愛い奴め


最終日に備えて寝る

おやすみなさい



次の日の朝


「今日で地下2階終わるかな?」

「多分終わると思いますよ」

「地下3階にも行きたいね」


いや、俺は別に行きたくはない

どんな敵が居るか解んないし

誰か地下3階まで降りてるかな

ハンター組合行ってみよう


「タカネ、地下3階には降りたのか?」

「降りてません」

「そうか・・・」


ハインツさんがガッカリした

この分だと降りてないのだろう

皆、慎重になってるな

地下2階を彷徨い、新たに1200万の財宝が見つかったそうだ


ダンジョンへ行き、地下二階へ

横からの気配を全然感じない、コカトリスはすべて狩られてしまったのだろうか

3時間ほどで地下2階すべての部屋を探索しつくした

結局部屋数は67部屋だったらしい

財宝はもう無かった

ガッカリする俺とカオリ

地下2階のマップが出来上がって満足顔のサテン


「こ、このままじゃ帰れない!地下3階へ行こうよ!」

「え?う、うーん」

「行きましょう、タカネ」


サテンが新しい紙を出している

マッピングする気満々だ

・・・仕方ない、行くか


地下3階への階段を慎重に降りる

慎重に、慎重に


「またタカネのビビり癖が始まった」

「う、うるさいなあ」

「何が居るか解らないので仕方ないじゃないですか」


ムスタングをギュっと抱きしめ降りていく

実際怖いんだよな、腰が引ける

気配は感じないけどさ


地下3階に降り立ち、明かりをつける

そこまで広い部屋では無い

部屋には横穴が一つあるだけ

長い通路が続いていた

進んでみる

うねり狂った長い長い通路

途中、下と横から気配を感じる

地下4階もあるんだな

進行方向からは何も感じないが・・・


広そうな部屋が見えて来た

何も居ないか?向こう側が見えないが

明かりの魔法を飛ばす

ヤバイ、何か居た

宙を飛んでるぞ、そこまでは大きくないが

何だろうアレ、人間に翼が生えたような・・・

コウモリの羽?矢印型の尻尾と羊みたいなグルグル巻きの角も生えている

良く見たらやたら露出の多い服の女だ

空中でホバリングしながらこっちを見ているな

攻撃してこないな、アレはモンスターなのか?

あ、逃げた

横穴に入り、見えなくなった


「何だアレ?」

「強そうでは無かったね」

「あれはひょっとして・・・」


ん!戻って来た!

いや、また違う奴らだ

さっきの女が逃げて行った横穴から3人の人間型の生物が出て来た

仲間を呼んだのか?

今度は男だ

やはりコウモリの羽、羊みたいなグルグル角、矢印型の尻尾が生えている

上半身裸の美形

下半身も露出多いな

何だよコイツら、気持ち悪い

10m程先でホバリングし俺達を見ている

・・・カオリが倒れた

なんだ?何かされたのか?!

カオリを抱きかかえ、謎の生物を睨む

謎の生物は空中でホバリングしたままだ


「どういう事だ?サテン」

「アレはインキュバスかも知れません、女を眠りに誘い、淫らな事をするという・・・」

「え?!俺やサテンもヤバイじゃん!」

「タカネは男に興味無いでしょう?だったら影響を受けないのかも」


よくみるとサテンも具合が悪そうだ

男が怖いサテンだが、少なからず影響を受けるのかな

カオリをサテンに預け、立ち上がり睨む

俺の姿に動揺するインキュバス

顔を見合わせ、どうしてアイツは元気なんだって顔をした

次の瞬間襲い掛かって来るインキュバス

氷の魔法を3発出す

たちまち凍るモンスター

弱いな、強さはそれほどでもない


「サテン、いったん出るぞ、歩けるか?」

「は、はい」


俺達はカオリを抱え、慌ててダンジョンを出た


---------------------------------------



「サキュバスとインキュバスが居るのか」


ダンジョンを出たところでハインツさん達に会った

他、多数のパーティも話を聞いている


「参ったな、あいつらは魅惑の幻術を使って来るんだよな」

「魅惑の幻術?」

「眠らせて夢を見させるんだ、その間に人間に淫らな事をして、最終的には精気を吸いつくしてしまう」


ふーん、怖いね

俺はあまり脅威には感じなかったけど

コカトリスに比べれば全然楽だ

サキュバスの方がちょっと怖い

遠くで良く見えなかったけど、魅力的な容姿だったのでは無いだろうか


「駄目だな、俺達は諦めるよ」


ハインツさんは諦めるようだ

綺麗な奥さんと何か話し、戻って行った

むう、ホメロス王国十傑1位が簡単に諦めるとは

そんなに怖い敵なんだな


「カオリ、起きてくれ」


カオリの頬を軽く叩く


「・・・・・タカネぇ?タカネぇ~」


カオリが抱きつき俺の頬にキスをしてきた


「うぉぉ!しっかりしろ!」

「タカネぇ~、しゅき~」


駄目だこりゃ

仕方ないのでカオリを抱きかかえ街まで戻った


「これって治療必要なの?」

「いえ、時間が経てば戻るはずです、私もダンジョンを出たらスッキリしました」

「タカネ~♡」


困ったな、取りあえず宿に戻るか

部屋に入り、カオリの鎧を脱がせ、ベットに寝かせる

・・・なんだよその、これから何をされるの?ドキドキって顔は

何もせんわ、大人しく寝てろ


「ふう、参ったね」

「タカネ、カオリにキスされてましたね」

「ああ、右頬にいっぱいされた」

「・・・・・」


サテンが何故かモジモジしている

・・・え?したいの?まさかね?


「わ、私も左頬にしましょうか?バランスが悪いので」

「・・・意味が解んないんだけど」


サテンが泣きそうになる

なんでだよ、意味解んないよ

眼をウルウルさせてこっちを見て来る

サテンにもまだ魅惑の幻術残ってるんじゃないか?

・・・はあ


「解った、お願い」


俺は左頬を差し出した

嬉しそうに俺の横に座り、顔を赤くしながら頬に口づけしてくる

・・・何やってんだろ、女同士で


「・・・何やってんの?」


正気に戻ったカオリに見られた


カオリに事情を説明する

途端に顔を赤くするカオリ

自分の行動を覚えていないようだ

別にいつもの行動とそこまで違う訳でも無いんだけどね

カオリは基本が変態だし


「女の方からキスだなんて、私がそんな事をしたとは・・・」

「おいおい、サテンの事ディスってるぞ?」

「酷いです、私だって恥ずかしかったんですよ?」

「でも、なんでキスしてたの?」

『・・・・・』


解らん、バランスがどうとか

サテンに聞いてくれ


さて、今は14時くらいだろうか

どうしたもんかな


「もうダンジョン諦める?」

「わ、私はもういいや」

「・・・私はもうちょっと潜りたいのですが」

「サテンは大丈夫なの?」

「近づく前に弓で処理します」

「そうか、じゃあカオリはムスタングと待っててよ」

「行くの?気を付けてね」


ダンジョンに戻り、地下3階へ

サキュバスは基本逃げていく

女には興味ないからだろう

インキュバスは向かって来る

俺の魔法とサテンの弓の餌食だ

うん、全然強くない

中級依頼のモンスターと変わらない強さだ

魅惑の幻術が厄介なだけなんだと思う


お、木箱だ

罠とか無いよな?

開けてみる

何かの金属の塊が入ってた


「・・・これ、オリハルコンじゃないか?」

「オリハルコン?」

「ほら、サテンの腕輪と一緒の金属」

「・・・本当ですね」


15kgくらいの塊だ

サテンの腕輪は200gくらいだろうか

300万だったんだよな

15kgなら22500万くらいになるのかな?

成型する手間もあるから単純計算では無理があるか

商人の儲けもあるだろうし


結局15部屋ほど回って終了した

インキュバスはたくさん倒したな

木箱は一個しか見つけられなかった

ダンジョンを出る


「サテン、名残惜しいかもしれないけど今回はこれで終了だ」

「はい、残念ですが」

「一個お宝見つかったし良かった」

「・・・ですが、最後の収穫がオリハルコンでは」


・・・あ、そうか

サテンには腕輪は300アランだって言ってあったんだっけ

安いと思ってるんだな


「サテン、実は・・・」

「・・・え?!」

「カオリには内緒だぞ」

「は、はい、そんな高価な物をだったなんて」


サテンが腕輪をギュっと握りしめる

その腕輪がサテンの役に立ってくれるなら安いもんだ

危険な仕事だからな、サテンの事を守って欲しい


ハンター組合に着いた

オリハルコンを査定して貰ったら7500万だと言われた


「今丁度詳しい商人がこの街に来ています、ひょっとしたらその商人の方が高く買ってくれるかもしれません」


ああ、俺が道中で出会った商人かな

もう暗くなってきたが商人の元へ行ってみる

露店で商売していた


「どうも、こんばんわ」

「・・・おお!この前の!」

「腕輪、役に立ってますよ」

「そうかそうか・・・そっちの人もすごい美人だな、あんたのお姉さんか?」


やっぱそう見えるのか

身長もスタイルも一緒だもんな

違うとだけ伝えて本題へ


「これ、買い取るとしたらいくらになります?」

「・・・これ、オリハルコンか?こんなに大きな塊始めて見た」

「ダンジョンで見つけました」

「・・・純度もすごいな、一度精製してあるみたいだ」


熱心に鑑定する商人

ほーとかへーとか言っている


「・・・1億と言いたいところだが、そんなに金が無い」

100000000アラン

    15000g

オリハルコンはグラム6666くらいなのか

すごく価値が高いんだな


「そっか、旅先だもんね、仕方ないか」

「小切手で良いなら切れるが・・・」

「小切手で良いよ、どうせ首都に帰るし」

「そうか、では首都の私の口座から1億引き出してくれ」


1億の小切手を貰った

商人も嬉しそうだ

よい取引だったのだろう

聞くと商人で首都に口座を持っている者は珍しくないらしい

この商人は首都出身では無いのだが、大金を田舎の自分の店に置いておくのも危ないからだろう

だから仕入れなどは小切手で商売する事も多いのだとか


「ミッシェルという人がこのシステムを作ったんだよ」

「ミッシェル・・・」


フランス人っぽい名前だな

なんとなくピンと来た

エメラルド以上のスイッチ持ちじゃないだろうか


「その人は・・・?」

「もう亡くなったよ、随分前だったと思う」

「そっか」


残念

一度くらい会ってみたかった

商人に手を振り宿へ戻る


「お、遅かったね、心配したよ?」


カオリが泣きそうな顔でしがみついて来た

俺達がインキュバスの餌食になったのかと心配していたらしい

よしよしとカオリの頭を撫でてやる


「それより見ろ、1億だ」

「ええ?!私も行けばよかった!」


カオリは宝を見つけた時立ち会ってなかった

だから取り分貰えないと思っているようだ

俺がそんな薄情なヤツに見えるのだろうか

・・・一応サテンに了承を得て、3等分する事に決めた

カオリはバンザイして喜んだ

カオリの犠牲があったから、俺達は安心して潜れたんだしな

そういう事にしておく


これで小切手が1億と2000万の2枚

他に4000万以上の宝石と480万の財宝を見つけた

あと、石化ハンターの救出依頼で150万

十分じゃないだろうか


「うん、十分だよね」

「はい、十分です」


2人共満足してくれたようだ

俺達のダンジョン探索は大成功で終ったと思う


「でも1億の財宝ってどんなのだったの?」

「・・・・・」


適当に誤魔化しておいた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ