031 コカトリス
「なにしてんだよカオリ」
夜中、いきなり眼が覚めた
「じゅ、熟睡してたのに」
「なんで胸触ろうとしてんだよ」
隣でサテンと一緒に寝ていたはずのカオリが俺のベットに下着姿で侵入している
熟睡してたらしいが察知能力のせいか起きた
「ムスタングも起きちゃったじゃないか」
「た、タカネが大人しく胸触らせてくれれば起きなかったのに」
「ふざけんな」
「キャア!」
カオリの胸を一つかみしてやった
なかなかのDカップ
「疲れてるんだから大人しく寝かせてくれよ」
「うう、胸掴まれた」
「人の胸触ろうとしてたのに何言ってんだ」
被害者面しやがって
部屋変えようかな
まあでも一つ良い事が解った
俺は寝ててもキケンが近づくと起きるんだな
寝ざめはあまり良くないが、察知能力の効果の強さが解って安心だ
危険な場所でも安心して眠れるな
そんな機会が訪れなければいいけど
zzzzz
朝
「昨日、タカネに胸掴まれちゃった」
「そこだけ切り取って話すなよ」
「そうですよカオリ、寝ている間に私の胸を触るのもやめてください」
「うう・・・」
「カオリだけ別の部屋に隔離するか?」
「ご、ごめんなさい、私が悪かったです」
朝御飯を食べ、ハンター組合に
昨日見つけた財宝を査定して貰う
銀の剣と金の宝飾品が2つ
良く解らない宝石もくっ付いてる
果たして高いのか安いのか・・・
「査定が出ました、50万、210万、220万です」
「剣はそんなものなのか」
「銀ですから、宝石も大したものではありません」
「た、タカネ、十分だよ、480万だよ!」
「そうですよ、もう十分元は取れたではないですか」
むう、銀は安いんだな、当たり前か
金の宝飾品の方がずっと小さいのに200万ちょっと・・・
関係無いけど自分の銀髪を否定された気がした
「じゃあ、タカネの髪はミスリル色って事にしたらいいでしょ?」
「なんだよそれw痛すぎるでしょ」
銀とミスリルに見た目の違いはほとんどない
重さと硬さが違うだけ
ワイン色と小豆色も一緒だけど聞こえが全然違って来るから不思議だよね
480万貰って組合を出る
これぐらいの金額ならすぐに準備出来るんだな
「ど、どうするどうする?」
「山分けで良いでしょ?」
「私がそんなに貰っていいのでしょうか・・・」
「マッピングの大事さが身に染みてるよ」
「そうだよね、サテンはそれくらい貰う権利があるよ」
3人で分けた
じゃあダンジョンに行きますか
ダンジョンに入り、地下二階を目指す
昨日、階段だけは見ておいた
長い階段だった
「け、気配ある?」
「階段の下には居ない」
「そ、そっか」
階段を下り、明かりの魔法を出す
横穴が一つしか無い小さな部屋だ
横穴が小さいな、モンスターが入れなくしてあるのだろうか
横穴から向こうを覗いてみる
すぐに隣の部屋が見えた
部屋って言って良いのかな、細長い廊下のような場所がある
横には無数の横穴が続いてるな
廊下のような場所に明かりの魔法を飛ばす
長い、一番向こうまでどれくらいあるのだろう
長すぎて明かりが届いてないな
3,4個出さないと無理か
あ、ヤバイ、遠くの横穴から何かが出て来た
明かりの魔法で出した光の玉を見つめてる
雄鶏の上半身、ドラゴンの胴と羽、蛇の尻尾
あれがコカトリスか
どうしよ、こっちには気づいてないようだが
遠すぎるな、魔法が届くか不安だ
見られただけで終わりとかムリゲーすぎるだろ
ムスタングを抱き、階段の部屋に隠れる
サテンとカオリも隠れる
今は居なくなるのを待つしかない
・・・ヤバイ、誰かが上から階段を降りて来た
地下一階にはもう財宝は無い、皆気づき始めているのか
男が4人降りて来た
あんまり人相が良くない
マズい予感がする
俺達は取りあえず口に指と持っていき、しぃ~とジェスチャーを送る
だが美人3人を見つけた男達はテンションが上がってしまった
大きな声で声を掛けてくる
「よお、姉ちゃんたち、俺達がボディガードしてやろうか?」
「戦い方を教えてやるぜ、ベットの上でな!はっはっは!」
クエエエエエエエエエエエッ!!!
遠くで何かが鳴く声が聞こえた
ドスッドスッドスッ
・・・何かが近づいて来る
「な、なんだ」
「ほ、ほれ、コカトリスじゃないか?!出るって聞いたぞ!」
「ば、お前達が大きな声出すから!」
逃げ出す男達
だが階段の一番下にいた男の動きが止まった
見られたのか?
どうするどうする
壁の向こうの足音が大きくなる
この部屋まで来るのか?
エストックを構える
横穴の真際で待機
どんどん近くなる・・・
ドスンッ!
横穴から雄鶏の首が出てくる
体は通り抜けられず、引っかかったようだ
俺はエストックを下から突きあげる
雄鶏の顎の下から頭のトサカに突き抜けるように貫いた
仕留めたか?
顔の横に眼がある
視線はどこを向いているのか解らない
仕留めて無ければ終わりだ
エストックを抜く
自分の体は何事も無い
コカトリスがゆっくり倒れていく
気配を感じなくなった
やっつけたか
「ふう、危なかった」
「あ、アンタ達、ふざけないでよ!」
「す、すまない!それより仲間が!」
階段の途中で2人固まってた
石化したのか?
「教会で治るんでしょ?早く連れて行きなよ」
「あ、ああ」
無事なのが2人いるんだから大丈夫でしょ
男一人ずつ抱えられないくらいならこんなとこに来ちゃ駄目だ
それとも石化されて物凄く重くなってるのだろうか
見た目では解らないが
男達が石化された仲間を担ぐ
あれ?関節が動いた
硬そうだが関節を動かしてる
担ぎやすくするためだ
「石化って言っても本当に石になる訳じゃ無いんだな」
「死後硬直みたいな状態になるんですよ」
「へー」
石になったら倒れて割れたりしたらそれまでって感じがするけど
・・・いや、あの状態も危険だな、動けないところをモンスターに食べられて終わりって気がする
「・・・石化されたとか言う3人は救い出されたのかな」
「まだみたいよ、依頼書が出てたもん」
「・・・・・」
2日経ってる
もう手遅れな気がする
「タカネ、どうする?」
「相当危険だ、戻りたい」
「石化された人達はどうするんですか?」
「・・・生きてると思う?」
「・・・解りません」
石化される瞬間見ちゃったから怖気づいたってのが本当の所だ
地下一階から感じた気配が全部コカトリスだったらもう攻略不可能だと思う
「け、気配感じたら戻るって事でどう?」
「前に進めるかなぁ」
仕方ない、ここまで来たんだ、少しくらい進んでみるか
コカトリスの死体を退かして廊下のような部屋に出る
一番近くの横穴に入る
うねり狂った通路
すぐに四方八方から気配がしはじめた
・・・下からも
少なくとも地下3階もありそうだ
「戻るぞ、廊下の反対側行ってみよう」
横道から廊下のような部屋を覗く
・・・何も居ないな
向かい側の穴に入るか
・・・駄目だ、すぐ気配がしはじめた
戻る
じゃあ次は隣の横穴を・・・
「タカネ、ビビリすぎじゃないの?」
「な、なんだとう?」
「察知できすぎるってのも考え物だね」
怖いもんは怖いよ!
でも確かに50mくらいの範囲で察知できるんだ
探索の進んで無い地下二階にはまだたくさんモンスターがいるんだろう
このままじゃ全然進めないよな
「でも実際、出会ってしまったらどう戦う?」
「壁を出して見られないようにします」
「サテン、そんな大きな壁出せたっけ?」
「腕輪してからは2m四方くらいでしょうか」
「全然足りないと思うぞ」
「・・・私はどうしようかな」
「考えなしかよ」
俺はどうしよ
まあ氷の魔法しかなんだけどさ
いや、土の魔法で回りを囲んで出られなくしても良いな
どうせ飛べない鳥なんだ
ふう、改めて横穴を進む
うねってるなあ
先が見えないってのは不安だ
あ、気配が始まった
でも少しくらい進んでみるか
カオリがビビってるとか言って煽ってくるし
そーっとそーっと
音たてるなよ、カオリ
!、何かが通路を前から走って来る
曲がってて見えない、逃げるか?
いや、俺は逃げれるが2人は・・・
足音が近づいて来る、ヤバイ
ギリギリだった
何かの体の一部が見えたところで通路に壁を出した
通路全体を塞ぐ大きな壁を
ドスンと壁に何かがぶつかる音が
壁の向こう側で何かが倒れる音
・・・静かになった
「・・・やっつけたの?」
「いや、気絶してるだけだろ」
「チャンスだよ、やっつけなきゃ」
「で、でも」
「もうタカネ、ビビリすぎ!」
く、くそ!
いきなり起きるかも知れないじゃないか!
「仕方ないなあタカネは離れてていいよ、私がとどめ刺すから」
カオリが壁に近づく
「解除して」
お、おう、じゃあ俺の姿が見えないであろう場所から・・・
壁を解除した
壁に寄りかかって気絶してたであろうコカトリスが倒れ込んで来た
ひぃ
カオリが頭に止めを刺した
・・・ふう、焦ったぜ
「ねえ、タカネ、私が先頭行こうか?」
「カオリは察知できないでしょ?」
「タカネはビビって全然進まないんだもの」
ぐぬぬ
カオリめ、調子に乗ってるな
仕方ない、取りあえず何かあったら壁を出して乗り切ろう
カオリを押しのけ前に出る
「大丈夫なの?」
「任せろ、カオリが石になったら重そうだからな」
「ひどーい!」
出来れば1匹ずつでお願いします
1匹ずつ出てください
1匹ずつ1匹ずつ
・・・・・
部屋に出た
気配は感じない
明かりの魔法を飛ばす
広い部屋だ
一番奥まで俺の察知能力は届かないかもしれない
だが、何も居なかった
横穴だらけ
またこの繰り返しか
「じゃあこの穴に入ってみるか」
「待ってください、地図を書きます」
穴の数を数えている
これ全部調べるのか
進んだ先でまた調べて
たまに通路が枝分かれしてたり
げんなりするなあ
「行きましょう、タカネ」
「はいはい」
次の部屋へ
慎重に慎重に
あ!
「流石に気配を3つ感じちゃったら戻っても良いでしょ?」
「う、うん、3つなら仕方ないね」
「・・・しょうがないですね」
他へ行こう
誰か他の人が倒して欲しい
・・・俺達以外のパーティが地下2階来てるのかな
違う穴へ
またすごいうねってるな
上ったり下ったり
これ地下3階に繋がってたりしないよな?
部屋が見えて来た
気配は感じない
・・・狭い部屋だ
明かりをつけなくても向こう側が見える
でも魔法の明かりを飛ばす
お!木の箱だ!
カオリが走り出す
はやいよw
木箱を開けるカオリ
「なあカオリ、罠があるかもしれないからさ・・・」
「み、見て」
「ん?」
金の延べ棒だ
5本ある
光り輝いてるな
「お、重いよ」
「1本10kgくらいか?見た目より重いな」
「すごいですね」
やったぜ、取りあえずお宝GETだぜ
リュックに入れるとズッシリ来た
さてカオリが走り出したから気づかなかったが、この部屋には入って来た穴しかない
どこもこうなら良いのに
「この穴を壁で塞いで少し休むか?」
「・・・タカネ、ビビリすぎ」
なんだよ、安心じゃないかよ
「まだここで3部屋目ですよ?」
「やる気満々だなーサテンは」
それから何部屋回っただろうか
気配が2つ以上重なってたら引き返し
1つなら慎重に進みやっつけ
あっち行ったりこっち行ったり
ここは全部コカトリスかも知れない
宝はあれ以降見てない
「ふう、今何時くらいだろ」
「解んない、タカネ疲れたの?」
「ああ、正直に言う、神経張り詰め過ぎで疲れた」
「そっか、じゃあ仕方ないね」
「もう一部屋だけ頑張りましょう、次で丁度20部屋です」
あと一部屋か、解った頑張ろう
「19で止まっちゃうと気持ち悪いじゃないですか」
「ああ、そういうのあるかも」
「そう?私は気にならないけど」
カオリはそうだろうな
まあ言わないけど
サテンの指示に従い進む
見えて来た
良かった明かりが点いていない
初めての部屋だ
広そうだな
敵は・・・見えるとこには居ないし気配も感じない
だが奥の方にいるかも知れない
耳を澄ます
何体か倒すうちに気付いたがコカトリスは歩くときに声を出す
本物の鶏みたいに
それが洞窟だと響くので解りやすい
聞こえないな
光の魔法を使う
部屋の中が明るくなる
・・・なんだあれ
向こうの壁際に何か・・・
人間だ
固まってる
石化したハンター3人だ
無事だったか
無事ではないか、ややこしい
「運ぶ?」
「ああ、俺が2人持つよ」
「じゃあ私が1人ね、この人達の武器はどうする?」
「サテン持てるか?」
「はい、今地図をしまいます」
やれやれ、固まってるなあ
腰を持ち、両脇に抱える
カオリ、雑な持ち方だな
まあいいけどさ
「タカネ、エストックも持ちましょうか?」
「帰り道で敵出たら困るから」
・・・両手塞がってるんだよな今
不安だ
眼からビーム出したい
来た道を戻る
出るなよ、絶対出るなよ
・・・ああ、さっきは感じなかったのに気配が
それも2匹だよ
始めの廊下のような細長い部屋の方だ
どうしようかな
近付いてみる
通路から廊下のような部屋が見えて来た
コカトリスは動いてるな
!・・通路の前に来た!
あっち向いてるが・・・
ヤバイ、こっちを向く!!
コカトリスがこっちを振り返ろうとした瞬間・・・
土の壁がコカトリスの下から出て来た
転がるコカトリス
サテンが出してくれたのか
両脇に持ってた石化ハンターを床に置く
氷の魔法を放つ
凍るコカトリス
もう一匹はどこだ?
歩き回ってるのは解る
仲間が凍ったの見てどう出る?
仲間なのかどうかも知らないけど
あまり頭は良くないって話だけど
来るな、来ないでくれ
どっか行け、どっか行け
・・・気配が遠ざかっていく
どこか他の横穴に入ったようだ
良かった
「ふう、助かったよサテン」
「私は今日何もしてなかったので」
「マッピングしてたでしょ」
冷や冷やした
石化ハンターをまた抱え、さっさとダンジョンを出た
「丁度夕方だね」
「ああ、早く帰ろう」
メオラに戻り、ハンター組合へ
ああ、教会持ってけって?
はいはい
石化ハンターを教会に預ける
金かかる?俺が払うの?
一人30万?この人達の仲間に貰ってよ
置いてかれちゃ困る?
血も涙もない教会だな
仕方ない、イヤイヤだが90万払う
後で絶対請求するからな
憤りを感じながらハンター組合へ
石化ハンター回収の依頼を達成させた
報酬150万
安くないか?
仲間の命がこんなもんか?
最後に金塊の査定
2000万
50kgでこんなもんなのか
装飾品が一個200万くらいだったのに
重さにすると100倍以上あるような
くっついてる宝石が高かったのかな
それとも細工がすごかったのかな
「た、タカネ、十分だよ!」
「そうですよ、大金持ちじゃないですか」
「まあいいか」
大金なので2000万は王宮で受け取ってくれって
疲れた、宿に帰る
「もう、タカネは結構がめついね」
「億くらい行ったかと思った」
「5tのミスリルで21億でしょ?50kgの金でそんなに行かないよ」
2100000000アラン
5000000g
ミスリルはグラム420くらいなのか
20000000アラン
50000g
金はグラム400なのか
ミスリルは希少って話だったけど金よりちょっと高い程度なのか
ちなみに銀はグラム80くらいらしい
当然ながら相場は変動するので、いつもこの値段では無い
夕食食べて風呂に入る
「結局コカトリス10匹くらい狩ったかな」
「少しは明日回りやすくなりましたね」
「うう・・・サテンはやる気満々か」
「タカネは嫌なんですか?」
「石化したらカオリに胸触られまくると思うんだよな」
「まあ、それは困りますね」
「・・・ひどいよー」
どっちがひどいんだよ
性犯罪だぞ
さて寝よう
「サテン、そんなセクシーな下着でカオリと寝るのは危険ではないだろうか」
「が、我慢できるかな、私」
「せ、セクシーでしょうか?」
ああ、とってもイヤラシイ黒の上下だ
俺の目にも毒なのだが
「犯罪を助長するから気をつけなきゃ」
「す、すみません」
「は、犯罪・・・」
おやすみ