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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ホメロス王国編
29/134

029 腕輪

「よし、行くぜムスタング」

「クー!」


朝、ご飯を食べた

戸締りは済んだ

メオラに向かって走り出す

ムスタングは飛ぶ

せっかくだからムスタングに合わせて走ろう

疲れたら抱えて走れば良い


一度通った道

ムスタングは俺に着いて来る

バタバタして上昇、そこから滑空

またバタバタして上昇、滑空

その繰り返し

地上から1m~2mの間を行き来している

もっと高く飛んで滑空した方が良いのかも知れないが、俺からあまり離れないな

あんまり離れても心配だ


1時間くらいでムスタングが疲れた

よく頑張ったな

抱えて走り出す

あまり衝撃を与えないように、優しく走る

全速力では無いが、今日中には着くだろう

道中でサテンとカオリに会えなければ、ハンター組合で待ち合わせだ

宿の手配は任せてある

ペット可の宿泊施設でお願いした


良い天気だな

走るには丁度いい天気だ

風が気持ちいい

オールバックになる俺の髪

こんな事ばかりしてて生え際が後退しなければ良いけど

現実的な事を考えてしまった

丈夫な体だ、毛根も丈夫だろう


おっと、道を間違える所だった

変な事考えてるからだ

む、旅人が盗賊に襲われている

カオリは何をやってるんだ、盗賊が残ってるじゃないか

炎の魔法を撃つ

盗賊が逃げ惑う

お金を置いて逃げてった


「大丈夫ですか?」

「助かりました」


近くの街まで送ってあげる

少しロスしたな

また走り出す

ムスタングも休んだお陰かまた飛びたがった

仕方ない、合わせて走る

また1時間ほどで疲れる

抱えて走る


今は昼だ、出発から4時間、半分くらい来たかな

今日は8時間ペースか

メオラに着けばいい、ダンジョンは明日からで良いだろう

お、清流の音が聞こえる

ムスタングが喉乾いてるかも

行ってみよう


小さな川があった

ムスタングを降ろす

すぐにおしっこをした

我慢してたのかな

気付いてやれなくてごめん

川の水をおっかなびっくり飲むムスタング

ちょっと流れが速いから怖いのかな

慌てなくていいからゆっくり飲むといい


一休みして走り出す

途中でムスタングを飛ばせながら

疲れたら抱えながら

ただひたすら走る

2時間ほど走っただろうか

お、馬車が止まってるな

あらら、車輪が壊れてる

替えはあるのか?

おじさんがハゲた頭を掻いてるな


「直るんですか?」

「ん?おわ!ぐ、グリフォンじゃないか!」

「大人しいので大丈夫ですよ」

「そ、そうか」


替えの車輪があるようだ

手慣れた手つきで治し出す


「メオラまで行くんだよ、今ハンターが集まってるから商売のチャンスだ」

「へえそうなんですか」


荷台の荷物は武器とか防具らしい


「あんたもすごい武器持ってるな」

「ええ、ミスリルのエストックです」

「綺麗だな、素晴らしい一品だ」

「一人ですか?盗賊も多いのに」

「ワシも弓には自信がある、走ってる馬車には近づけさせんよ」


そうか、じゃあせめて馬車を直している間くらいは盗賊に襲われないよう守ってやるか


「あんたこそ一人か?良く見たらすごい美人じゃないか」

「ムスタングが居るので大丈夫です」

「なるほど・・・ってまだ小さいじゃないか」

「クー!」


落ち着けムスタング


「まあ、こう見えてそこそこ強いんですよ、一応最上級のハンターです」

「へえ、本当に見かけによらないな」


・・・ヒマだな


「商品見せて貰っていいですか?」

「ああ、いいよ」


布をめくる

おお、いろいろあるな

ん?貴金属もあるぞ

腕輪とネックレス・・・


「これは?」

「・・・ああ、それはオリハルコンで出来てる、魔法使い用の装備だ」

「装備するとどうなるんですか?」

「魔力が上がるよ、約1.5倍にな」


マジか

凄いんじゃないだろうか


「試してみても良いですか?気にいったら買うんで」

「魔法使えるのか?凄いな」


腕輪をはめる

空に手を広げる

おじさんも見つめてる

火の玉を撃ってみるか

最大出力で


ボワワワワ!!!!

出た!

直径20m以上の火の玉

回りの木々も焦げちゃった

空高く飛んでいく

見えなくなるまで

飛距離も凄いな

あ、馬が暴れてる

ごめんごめん、驚かせちゃった


「す、すごいなアンタ・・・」

「いや、この装備が凄い」


前は直径10mくらいだった気がする

あれから成長してるとは言え、こんなにパワーアップするとは

・・・まあオーバースペックだけどさ

俺はいらないがサテンにあげるか


「これ、いくら?珍しい物だよね?始めて見た」

「ああ、希少価値の高い金属だ、300万だぞ」

「はい、どうぞ」ジャラ

「お、おう、ありがとう」


思わぬ拾い物だな

高いけどそれだけの価値はあると思う

デザインも良いしサテンに似合うだろう


「目玉商品がいきなり売れたか」

「客寄せにしたかった?」

「いや、まだネックレスがあるし、売れ残るほうが嫌だよ」


うーむサテンの胸の谷間に埋もれるネックレス

そっちでも良かったかな

でもネックレスって鎖切れて無くなりそうだからやめといた

お、馬車が直ったようだ


「乗ってくか?メオラまでだろ?」

「いえ、走ります」

「走る?」

「ええ、道中気を付けてくださいね」


ムスタング、かなり時間を食ったから急ぐぞ

超特急で走り出す

あっと言う間に馬車が見えなくなる


「はあ・・・大したもんだな」


馬車のおじさんがぽつりとつぶやいた


走る走る走る

おや?もうメオラの近くだなこれ

ムスタング、ここがメオラだぞ

夕方になる前に着いたか

ムスタングを降ろす

ここからは走らせよう

門が見えて来た

今日も閉まってるな


「すみませーん、開けてくださーい」

「おお、お前は・・・それはグリフォンか?」

「人間に馴れてるんで大丈夫でーす」


門の横の小さな扉が開く


「ここから入ってくれ」

「はいはい」


また戻って来たか

相変わらず活気があるな

更にハンターも増えている

より一層の賑わい


ハンター組合に向かう

建物の中に入る

おう、サテンとカオリだ

どうした?


「あ!タカネ!こいつがサテンのお尻を触ろうとしたんだよ!」

「なんだと!!」

「お、お前は!!」


相手を睨む

許せん奴だ

どっかで見た事あるような無いような


「あ、あんたの知り合いだったのか!許してくれ!」

「?・・・誰だお前」

「お、覚えてないのか、数日前にアンタの尻を触ろうとして締め上げられたんだよぉ」


・・・ああ、この前メオラに来た初日にそんなヤツがいたっけ

懲りないなあ


「懲りてないなら手を切り落とす」

「ひぃぃぃ!ゆ、許して!二度としない!」

「出てけ」

「う、わああああ」


逃げてった

何だよアイツ


「もう、首都ならこんな事無いのに!」

「俺と一緒に居れば大丈夫だよ」

「すでに畏怖の目で見られてるんだね」


・・・まあそうかも

ミスリルゴーレムやっつけたからな


「ホンダはどうしたの?」

「街の中で預かって貰ってますよ、ここの囲いは随分狭いです」

「そうか、1週間我慢してもらおう」

「それより遅かったね」

「遅れてごめんな、そのせいで余計なトラブルに・・・」

「いいですよ、カオリが守ってくれましたから」


宿は取ってあるらしい


「・・・ここしか無かったの?」


広い

一番良い宿の一番良い部屋


「見て見て!お部屋にお風呂付だよ!」

「・・・6泊でいくら?」

「30万」

「私は止めたのですが・・・」

「どうせ財宝見つけるから良いでしょ?」


確定してるんだ

・・・まあペットOKならいいか


「あ、ムスタングは別料金だって、6万ね、フンは庭でさせろって」


さ、36万かよ

勿体ないなあ

窓を開ける

バルコニーがあるな

ここは4階だ

あ、ムスタングが飛んだ

庭に降り立つ

フンをした

戻って来る

4階まで飛ぶの大変そう

近くまで上がって来たが力尽きそう

手を伸ばし、掴んでやる

ホッとするムスタング

庭に誰か来た

フンを掃除する白髪の執事さん

こちらに一礼し去って行く

何事も無かったような綺麗な庭が後に残った

プロだ


「まあいいよ、良い宿みたいだし」

「でしょ?」

「私には高すぎます・・・」

「いいよ、俺が出すよ」

「やったー!」「ありがとうございます」


はあ、財宝の一つくらいは見つかると良いけど

競争率高そうだしなあ


「そうだった、新たに800万相当の金塊と300万相当の財宝が見つかったらしいよ」

「もう残ってないんじゃないか?」

「地下2階の階段も見つかったらしいよ、今日ハインツさん達が降りてるらしい」

「出遅れちゃったなあ」


「そうだ、サテンこれをあげる、魔力が1.5倍になるって」

「まあ高かったんじゃないですか?」

「サテンだけズルイ」

「300アランだよ」

「ならいいや」

「おもちゃじゃないですか」


本当は300万アランだ

本当の事言ったらサテンが気にしそうだし、カオリも五月蠅いし

カオリにもそのうち何か買ってやろう


「ねえお風呂入ろうよ」

「広い風呂だな」

「3人足を伸ばせますね」


服を脱ぎ、風呂に入る


「サテンのお尻を触ろうとするなんて」

「きゃ!カオリ、そう言いながら触らないでください!」

「カオリの尻を触っておけばいいのにな」

「どういう意味よ」


カオリに尻を撫でまわされた

酷い、訴えてやる


「広いよな、リビングは30畳くらいあるんじゃないか?」

「寝室2個、ベットは4つあったよ」

「とても大きなベットでした」

「お風呂の隣にトイレもあったよ」

「食事は?」

「持って来てくれるよ」


すべて事足りるじゃないか

ゆっくりしたいな


「ムスタングの為に籠も持って来てくれたよ」

「いいね、気にいってくれるかな」

「ホンダにも泊まらせてあげたいです」

「そ、それは無理じゃないか?」

「ムスタングだけズルいです」

「・・・・・」


ふ、風呂から上がろう


「ズルいです」

「さ、サテン、足を掴まないで」

「ズルい~」

「カオリ!尻を触るなよ!」


何なんだよ一体

旅行で良い部屋に泊まって舞い上がってるなこいつら

観光に来た訳じゃ無いんだぞ


服を着てリビングで落ち着く

コンコン

ん?


「はーい」


メイドさんが3人入って来た


「お食事をお持ちしました」


おお、高そうなお食事・・・

ムスタングにも上等なお肉が・・・

ちょっと火を通してあるな

生肉で良いのに

サテンとカオリが風呂から上がって来た


「わあ、すごぉい!」

「ホンダにも・・・」


ホンダは草しか食わんと思うぞ


「お酒をお持ちしますか?」

「要りません」

「わ、私は飲んでいいですか?」

「サテン、飲めるの?」

「・・・いえ、せっかくなので、飲んでみたいと」


この世界の飲酒解禁年齢は何歳なんだろう

どっちにしろ二日酔いになられると困るんだが

ん?サテンはひょっとしてダンジョンに入る気ないのかな

ただ着いて来ただけとか


「いえ、入りますよ、私でも少しはお役に立てるかと・・・」

「だったら酒はやめておいて、そんな生ぬるいダンジョンじゃないと思うよ」

「はい、すみません・・・」


シュンとしちゃった

カオリは苦笑い

なんだろうか、浮かれてるからだろうか

最近余裕が出て来て油断してるのだろうか

うーん大丈夫かなー


「せっかくの食事だし冷めないうちに食べよう」

「そうだよ、サテン元気出して」

「は、はい、そうですね」


ちょっと変な空気になっちゃったけど切り替えて楽しく食事をした


「うまかったなー」

「贅沢でした」

「王宮の朝御飯思い出しちゃった」


ああ、あれはウマかった

でも朝御飯だったんだよなー

夕飯だとどんな料理が出てくるんだろう

機会があれば是非食べたい

メイドさんがやって来た

食器を下げる

食後のお茶を入れてくれる


「やっぱりメイドさん雇いたいな」

「良いものですね」

「贅沢だよねえ」


掃除も洗濯もしなくていいなんて

まあ今俺やってないけどさ

のんびり優雅な夜を過ごした

そろそろ寝るかな


「・・・ベット4つあるのに」

「良いでしょ、広いんだから」


サテンとカオリは一緒に一つのベットで寝るそうだ

俺はその隣で一人


「ムスタング、気にいったか?」


宿で準備して貰った籠に収まるムスタング

・・・いつもより寝心地が良いようだ

木箱はやめて籠を買うか


「明かりの魔法消すよ」


高級な宿だが流石に魔法使いは居ないらしい

普段はランプを使ってるみたい

ランプの光も幻想的で良いとは思うが

俺達はもう光量が多い事に慣れてしまっている

暗いと眼が悪くなりそうで嫌だし


明日は頑張らなきゃ

おやすみなさい

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