027 水門
こっち書くのが楽しくなってます
貴族の方はもうしばらくお待ちを
朝早く宿を引き払う
首都に向かって走り出した
5時間くらいで着いた
また脚が速くなってる
ミスリルゴーレムとの戦闘は俺を大きく飛躍させたのかな
取りあえず王宮へ
衛兵に話しかけた
「ああ、聞いてるよ、すげえなアンタ」
伝書隼とかいうのがすでに着いていたようだ
「今担当の者を呼んでくる」
誰か来た
「どうも、財政課のハムエルです、取りあえず中へどうぞ」
王宮に入り、部屋に通される
「メオラから伝書隼が届いています、こんなに早く取りに来られるとは思ってませんでしたが」
「大急ぎで帰って来ました」
「お金はすぐに準備させますが、大金なので王宮に預けておかれても結構ですよ」
「預ける事も出来るんですか?」
「はい、個人で管理するには余りにも大きな金額なので」
どうしようかな
確かにあの家に大金置いておくのは不安かもな
高級住宅街だとはいえ・・・
「じゃあ取りあえず21億預けます、半端の200万だけ持って帰ります」
指紋を取られた
お金を引き出すときに必要らしい
半端の200万を貰い王宮を出た
武器屋に行く
「おや、欠けちゃったのかい」
「治りますか?」
「ああ、5万だ、3日くれ」
5万払い、エストックを預ける
さてどうしよう
まだ昼だけど、風呂に入りたいな
昨日汚した服も洗濯しなきゃ
家に帰るか
「あれ?早かったね?」
「ああ、カオリ、今日休みなの?」
「うん、で、どうだった?」
「すごく強かった、だが倒したよ」
「すごーい」
「タカネ、怪我はありませんか?」
「ああ、でもエストックが欠けちゃった」
「怪我がないなら良かったです」
サテンに抱きしめられる
「ムスタング、元気だったか?」
「クー」
「そうかそうか」
「クー」
風呂に入る
「ふう」
「お疲れさま」
「カオリ、なんで昼から風呂に入ってるの?」
「い、いいでしょ」
「そうですよ、服は洗っておきますね」
「ありがとう、サテン」
リビングでゆっくり
「に、21億?」
「すごいですね・・・」
「もう当分ハンターの仕事は良いかな」
「い、一生遊んで暮らせるよ」
「ムスタングと一緒に暮らせる家買おうかな」
「えー!ここ出て行っちゃうの?」
「そんな・・・」
「いや、ここも気にいってるんだけど、広くは無いからな」
「駄目だよ、許しません」
「で、でも」
「サテンも許しません」
「・・・・・」
ムスタングはもうすぐ王宮に預ける予定だけど、出来れば一緒に住みたいんだが・・・
「お、王宮みたいにさ、メイド雇いたいんだけど」
「お風呂で体洗わせたいんでしょ」
「私達ではご不満ですか?」
「いや、洗濯して貰うのも悪いしさ」
「タカネの下着を他の女に洗わせると?」
「ど、どうしちゃったのサテン」
サテンの下着に対する情熱は何なんだろう
俺の下着の匂いとか嗅いでないよね?
カオリとはまた違う変態なのだろうか
ムスタングが羽をバタバタしている
話では1か月くらいで飛ぶ事が出来るようになるらしいが・・・
まだ早いけど練習させた方が良いのかな
「ちょっとムスタング連れて散歩行ってくるよ」
ムスタングの速さに合わせ走る
早くなったよな
街を出て、街の回りを走る
時々羽をバタバタさせる
助走つけて飛ぶ練習かな
疲れたみたいだ
なんだかんだ言ってもまだ生後20日くらいだからな
無理させても仕方ないか
ムスタングを頭に乗せ戻る
どうだろう、飛ぶ感覚に似ているのではないだろうか
羽をバタバタさせているな
自力で飛び上がる日も近いのかも知れない
家に帰った
「タカネは明日からどうするの?」
「うーん、河川工事かな」
「大金持ちなのに偉いね」
乗り掛かった舟だからな
最後までやり通すよ
次の日、採石場へ行く
「おお、あんたか、一番最初の川が今日最終点検だよ、明日には魔法の解除を頼まれるかもしれない」
「そうですか」
「次の現場にもすでに360t石を運んで居る、あんたはこのポイントに運んでほしい」
2番目の川の河川工事の準備だ
次の川は石が4000t必要になる
ポイントを100か所に分け、すでに上流から数えて第9ポイントまで運びきったらしい
1つのポイントに必要な石は大体40t
今度の現場は近いので馬ソリも一日4往復は出来るらしい
俺も頑張って前の倍くらいは往復したい
「俺達も頑張って積み込んでおくからな」
現場近い分引っ切り無しに戻って来る事になると思う
負担かけるがよろしくお願いします
ムスタングをソリの石の上に乗せ走る
今日は順調だと良いな
・・・と思ったらひっくり返っているソリが居た
渋滞起こしてる
馬も暴れて大参事だ
「怪我は無いですか?」
「馬が足をやっちまったかもしれん」
可愛そうに
取りあえずヒーリングをかけてやる
馬が大人しくなる
「・・・大丈夫みたいだな」
「骨に異常無くて良かった」
「あんたが居てくれて助かるよ」
ソリを起こし石を積み直す
石だって適当に積んだらバランスが悪くなる
左右まんべんなく積んであげないと
馬が頬を寄せて来た
お礼だろうか
頑張って働くんだぞ
馬ソリが走り出す
後ろから押して少し勢いをつけてあげる
止まる事無く進んでくれよ
他の馬ソリも押してやる
動かし始めが大変だからな
あ、あの馬ウ○チした
踏ん張り過ぎたのかな
広い場所に出て、馬ソリを抜かし始める
ノロノロしてたから爽快だ
風を切って走るのは気持ちいい
現場について石を降ろす
20kgの石を大量に
みんな腰を痛めないと良いけど
ヒーリングで治るのかな
外傷しか治した事無いけど
カオリが筋肉痛の時に試してみれば良かった
空になったソリを引きずり帰る
「腰の痛みは無理だよ、骨も無理だが」
「そうなんですか」
「あんた凄いのに基本的な事知らないんだな」
違いが良く解んないけどな
見えない部分の回復はイメージ出来ないからだろうか
今日は28往復、全体で260t運んだ
上流から15ポイントまで終わった事になる
ムスタングを自走させ帰った
「タカネ、おかえりなさい」
「サテン、ホンダには会ってるの?」
「ええ、最近は2日に一回は会ってますよ」
「そうか、元気かな」
「タカネもたまには会ってやってください」
ムスタングにかまけててホンダに最近会ってないな
まあでもサテンの馬だしなあ
「私もペット欲しいな」
「どんなのがいいの?」
「犬」
そうなのか
カオリ自身は猫っぽいのに
「ケルベロスを刷り込み出来ないかなぁ」
「・・・・・」
どっちにしろこの小さな家で飼うのは無理だと思うぞ
次の日、王宮から内政官のユングさんが来た
「工事は滞りなく終わった、礼を言う」
「いえいえ」
「それでは湖の氷を溶かして欲しい」
現場に行く
「ああ、結局水門作ったんですね」
「お前の言う通りにな、上手くいくと良いんだが」
湖の湖尻が四角く成型され、くぼみを作り、木がはめ込んであった
じゃあ、魔法を解いてみるか
水が一気に流れ出すと重量が一気にかかる
少しずつ魔法を解いていこう
まず外側の凍ってる部分を少しずつ解除
内側には土の壁の魔法で補強して有る
そこまで水が来るようにしてやろう
氷を全部溶かし、次は壁か
少しずつ土の壁の背を低くしてやる
湖の水が壁の上から流れ始め、少しずつ水門との間に水が貯まって行く
少しずつ少しずつ、壁を低く
時間をかけ壁をすべて取り除いた
水門は大丈夫のようだ
木で水を支えている
「上手くいったか」
「これで水量調節出来れば氾濫を押さえる事が出来ると思いますよ」
「素晴らしいアイディアだな」
水門が耐えれる事は解った
今度は木を取り外し、水を流してみる
乾ききった川に潤いが戻っていく
街からは一番近い川だ、みな待ち望んでいただろう
石で補強された川
大丈夫かな
工事に抜かりは無いだろうか
ユングさんは馬で、俺は走って下流まで行ってみる
・・・長い川だ
これを工事したんだな
凄い事だと思う
「うむ、完璧ではないだろうか」
「氾濫が無くなると良いですね」
「これもタカネ殿のお陰だ、ありがとう」
いえいえ、どういたしまして
「約束では報酬は200万だったが、石運びに尽力してくれたから増やそう、400万だ」
「ありがとうございます」
「工事期間も予定の半分だった」
正直報酬はいくらでも良かったが
21億入ったばかりだし
でも自分でも頑張ったと思う
遠慮なく貰っておこう
「さて、次の川の上流を凍らせてくれ」
工事は2本目の川に
上流を上り、湖の湖尻に行く
今度は10mくらいの湖尻だな
ここも水門作るのかな
途中に2個くらい柱作ればいけると思うが
湖をえぐるようにアーチ形に凍らせる
その外側に土の壁を出し補強
一番最初に凍らせた湖面がまだ溶けていない
ここも工事が終わるまで魔法が解けないといいけど
「相変わらず見事だ、ここの報酬は400万で良いか?また石運びを頑張ってくれたら上乗せしよう」
「解りました、大丈夫ですよ」
そう約束しユングさんと別れる
もう夕方だ、大分時間食ったな
川の下流まで往復したからなあ
今日は石運びはやめておくか
家に帰ろう
「タカネ、おかえりー」
「ただいま、そういえばさ、メオラにダンジョンがあったんだよね」
「へえ、ゲームみたいなの?」
「いや、中には入らなかったからどうなってるのか知らない、でも強い敵がウジャウジャ居たらしいよ」
「ふーん、ちょっと興味あるなぁ」
「財宝が一杯って噂なんだよね、俺も時間出来たらまた行きたいよ」
「ええ!早くしないと取られちゃうよ!」
「心配だよなw」
河川工事があるからなかなか行けないけどね
21億儲けたし、そこまでガツガツする理由も無くなった
金があると余裕が出るんだな
「サテンは貧乏です」
「下級頑張ってても結構貯まって行くと思うけど」
「今35万くらいでしょうか」
「十分稼いでると思うけどな」
「タカネが稼ぎ過ぎなんです、羨ましい」
この期間でそれだけ貯まってれば十分なのにな
サテンは服や下着をよく買うし、浪費も多い
それなのに貯まってるんだから
身近に稼ぎ過ぎの人が居れば羨ましい気持ちは分かるが
「カオリは今230万くらいあるよ」
「十分でしょ」
「タカネが言うと嫌味になるからやめて」
「・・・・・」
だったら何で金額発表したんだよ
めんどくさいなあもう
次の日、武器屋にエストックを取りに行く
「聞いたぞ、メオラのミスリルゴーレムをやっつけたんだってな」
「ええまあ」
「それでエストックが欠けたのか?こんな細い武器でよく欠けただけで済んだな」
倒した方法説明するのもな
あまりスマートなやり方ではなかったし
「まあいい、治ってるぞ」
ミスリルのエストックを受け取る
ミスリルゴーレムに止めを刺した俺の相棒
こうして見ると愛しく見えるな
久々に首都のハンター組合に行ってみるか
「タカネ!まさか本当にミズリルゴーレムを倒すとは!」
ハインツが話しかけて来た
「ミスリルゴーレムの事教えてくれてありがとう、手ごわい相手でした」
「どうやって倒したんだ?」
みんなやっぱりそれが気になるのか
ミスリルゴーレムの事教えて貰った恩もあるし、詳しく教えるか
「メテオ30発で土に埋めて動けなくして炎で柔らかく・・・真似出来るものでは無かったか」
ハインツさんはガッカリした
「落とし穴掘っても良いんじゃないですか?5tの自分の体を持ち上げるのも大変そうでしたよ」
「なるほどな・・・」
またミスリルゴーレム出たらやってみればいい
・・・そんなもんが2度と現れる訳無いか
「しかしダンジョンが開いたのか、我々もメオラに行ってみるかな」
「私も行きたいんですが、所用が多くて」
「早くしないと、財宝を全部貰ってしまうぞ」
ぐぬぬ、ハインツさんがダンジョンに挑むのか
気持ちが焦ってしまうぜ
・・・俺も行きたい
だが河川工事を早く終わらせ国民の生活を安定させることも大切に思える
川の水が止まっているだけで色々弊害が出てくるだろう
生活に必要不可欠なはずだ
・・・残念だがダンジョンは後回しだな
はあ
その後採石場へ行き、石を運んだ
今日は20往復、全体で220t
昨日はこなかったが上流から23ポイントまでの石運びが終わった
現場が近いから進みが速いな
石を敷き詰めるのはまだ始まって居ない
川底をさらい、成型しているようだ
昨日水を止めたばかりだから仕方ないか
ムスタングと一緒に帰る
「タカネ、今日は土のゴーレム倒して来たよ」
「みんな上級に上がったの?カオリ以外中級じゃなかったっけ」
「とっくに上がってるよ、このカオリ様がいるんだから」
「あんまり無理させちゃ駄目だよ」
「うん、タカネに着いて行こうとして無理してた経験は忘れてないよ」
やっぱりそうだったのか
カオリもそれが解ってるなら安心か
「しばらくはミノタウロスか土のゴーレムしか行かないよ、それも1匹じゃないと行かない」
「それなら安心かな」
カオリは俺と一緒にトロールとケルベルス狩ってるから、そのうち最上級になってしまうな
しかし、自分達で狩れるようになるまでは最上級に挑戦する気は無いらしい
慎重になったもんだ
良い事だとは思うけど
「私もテスタさんから離れ、新しいパーティで戦っているんですよ」
「そうだったの?全然ハンター組合に行ってないから知らなかったな」
「たまにですが中級依頼を受けています、もう4回消化しました」
「そうか、マンティコアだけは気を付けて、もし挑戦するなら心配だなぁ」
「なにかコツはありますか?」
「そうだな、走って来たら目の前に土の壁出してぶつけて、苦しんでる所を急所攻撃かな」
「土の壁は便利ですよね、一番使い勝手が良いような気がします」
そうなのかな
パーティ組んでるとそうなのかも
連携向きの魔法なのかもな
「でもやっぱり心配だな・・・」
「無理はしませんよ、みんな自分の力は解っています、テスタさんの教えがありますので」
サテンのパーティは全員テスタさんの卒業生らしい
上級に挑戦する事を諦めたテスタさん
自分の力を見極めての事だろう
弟子にもしっかり受け継がれているようだ
ご飯を食べ風呂に入る
「タカネ、また脚を広げて・・・」
「湯船の中なら見えないでしょ?」
「お行儀悪いよ、タカネ」
「あぐらが楽なんだけどな」
長すぎるんだよこの脚
内側に折り曲げれば邪魔にもならないじゃないか
3人で風呂に入って足を伸ばせれば一番良いんだけどさ
王宮のお風呂は良かったな
「やっぱり広い風呂がある家に引っ越すかな」
「ちょっと注意したくらいでそんな事言わなくてもいいじゃないですか・・・」
「ひどいよタカネ!」
「え?ち、違うよ」
なんでそうなるんだよ
2人共見捨てられるような気分になるんだろうか
もうそれぞれ立派に自分の脚で立っているのに
罰として胸を触りまくられた
なんでだよ