025 メオラ
朝、曇ってるな
メオラは良い天気だと良いが
「行って来るよ!」
「ぅぅ、良いなあ」「気を付けてくださいね」
「ムスタングも元気でな」
「クー」
手を振り走り出す
あっと言う間に街を出る
あれ?早すぎない?
以前より全然早い
倍くらい早くなってる
石運びを頑張ったから鍛えられたのだろう
うわ、もう次の街に着いた
メオラの方向を衛兵に聞く
衛兵は突然現れた美女にビックリだ
戸惑いながらも方向を教えてくれる
走り出す
あっと言う間に街が遠くなっていく
あ、盗賊だ
だが今は無視だ
横を全速力ですり抜ける
何が起こったか解らない顔してたな
今度会ったらやっつけるからな
もう次の街だ
早すぎる
また衛兵にメオラの方向を聞く
走り出す
この繰り返し
・・・・・・・・・・
5時間半くらい経っただろうか
「ここがメオラ?辺境って聞いてたけど城塞都市だな」
想像より全然早く着いてしまった・・・
街は高い塀に囲まれていた
モンスターの侵入を防ぐ為だろうか
途中でキメラ見かけたんだよな
無視しちゃったけど
手ごわい敵がゴロゴロ居そうだ
でっかい門の前に行く
衛兵が居ないな
どうやって入ればいいの?
お、塀の上に誰かが居る
見張りっぽいな
こっちを見てるが、開けて欲しいんだけど
門飛び越えていいのかな
いや、それじゃ泥棒か
・・・でっかい門の横の小っちゃい扉から誰か出て来た
「何者だ!何をしに来た!」
「ミスリルゴーレム倒しに来たんですが」
「何ィ!」
すごい警戒されてる
新たに5人ほど出て来た
囲まれ、槍で威嚇される
門の上からは弓で狙われているな
「この街に一人で来るとは!怪しいぞ!」
「美しい容姿、皆、騙されるなよ!」
なんだなんだ
何をそんなに警戒してるんだよ
「・・・モンスターか?」
人間に化けるモンスターが居るのかな
実際人間離れしてるからどうしよう
ヘタな事言えない雰囲気だ
「私はタカネ、王都から来た」
「何をしに来た!」
「さっきも言ったけどミスリルゴーレムを倒しにだ、ハインツに聞いて興味を持った」
「ハインツ?10傑の一位のハインツか!」
「そうだ」
何かコソコソ話し出したな
半信半疑なんだろう
どうすればいいんだろう
証明しようも無いんだけど・・・
「・・・ハインツの妻の名前を言え」
「妻の名前は知らない、娘の名前はティータだ」
「どんな子だ?」
「茶色い肌の野生児って感じだったかな」
「・・・あってるな」
またコソコソ話し出した
「しかし、一人でミスリルゴーレムを?」
「そのつもりです」
「そんな無茶な、やめておきなさい」
「せっかくここまで来たんだから、挑戦くらいさせてください」
「死んだらどうするんだ?そんなに綺麗なのに勿体ない」
「20億になるんでしょ?狩らないほうが勿体ない」
『・・・・・』
「武器はそれだけか?」
「後は魔法です」
「魔法は効かないぞ?」
「隕石なら聞くかもと聞きましたが」
「メテオを使えるのか?」
あ・・・
練習するの忘れてた
どうだろう、使えるのかな
「動きはそんなに早くないでしょ?だったら負ける事はまずありえません」
「そうだが、万が一って事が」
「それはすべての事に言える事です」
「時々お前みたいな無謀なヤツが来るんだよ」
もう、なんなの?
街に入れてくれるのくれないの?
「う、うーむ、まあ取りあえずここで立ち話もなんだな、街に入って貰うか」
俺は衛兵達が出て来た扉から街に入った
「おお、なかなか良い街だね」
「活気があるだろう?」
「ハンター組合はどこですか?」
「待て待て、本当に行くつもりなのか?」
「その為に遥々来たんです」
「うーむ・・・」
「どうする?」
「このまま行かせるのもなあ」
「ハンター登録証を確認した、最上級になったばかりらしい」
「なんと無謀な」
「下級の時にドラゴンやっつけた事あるんだよ?」
「そんなバカな」
「本当なのに」
「一人でか?」
「手負いだったけど、一人でだよ」
「はっはっは」
「ウソじゃないのに」
もうラチが開かない
魔法見せたほうが速いだろうか
でもさっきモンスターに間違われたばかりだからな
人間離れした姿を見せたくないな
「そんな事言って、私にエッチな事する気でしょ」
「な!なにをバカな!」
「どこに連れて行かれるの?何する気?」
「な、何もしない!我々は心配してだな・・・」
「そんな事言って、ホントは・・・」
胸を隠し怯えるような眼をしてみた
街行く人々が何事かと足を止める
助けて!この人達チカンです!
「お、おい、我々はだな、貴方の事を心配して・・・」
「安心させておいて、油断したところを・・・」
「ち、違う!」
「だってずっとさっきから私の胸を・・・」
「み、見ていない!い、いや、ちょっと見たけど!」
街行く人々の視線が冷たくなる
あわあわしだす衛兵達
「と、兎に角!危ない事はするな!無茶な事しちゃいかんぞ!」
そう言い捨て、衛兵達は走って行った
やれやれ
「すみませーん、どこかに良い宿無いですか?」
俺は通行人にそう聞いた
「ふう、まったくもう」
宿に入り、ベットに横になる
風呂がある宿で2000アランだった
結構良い宿だ
本来は2人で泊まる部屋なんだろうな、ベットが2個ある
だから高かったのかな
まだ14時くらいだろうか
時間はあるけど・・・・
なんか疲れたな
どうせ今日は泊まりだ、ゆっくりするか
窓から外を見る
賑わってるな
人口どれくらいだろうか
遠くに壁が見える
全方位壁で囲まれているみたい
・・・やることない
ゆっくりしようをしても寝るか風呂入るくらいしか無いのがこの世界
駄目だ、街に出てこよう
宿でハンター組合の場所を聞く
ついでにソリを貸してくれるところは無いか聞く
土建屋にしか無いらしい
まずはハンター組合に行くか
大きいな
メオラのハンター組合は新しくて随分立派な建物だ
・・・強そうな装備着た人が多いな
依頼のレベルが高いって話だっけ
「なんだぁ、随分綺麗な姉ちゃんが居るぞ」
「へっへっへ、今夜相手してくれよぉ」
ハンターだろうか
首都ならそんな事を言って来る奴も減って来たが、ここではまだ顔が知られていない
めんどくさいな
尻を掴まれそうになったので後ろ手に締め上げた
「いて!いてててて!」
「な、なんだ!どうなってる?」
「折られたくなかったら退いてくれない?」
「わ、解った!解ったよ!!」
ハンターの横をすり抜け組合の中へ
中も綺麗だな
汚らしい恰好のハンターも多いが
壁に依頼が規則正しく等間隔に並んでる
随分几帳面な人が管理してるんだな
おお、上級依頼が4個もある
すごいな、最上級になりたければメオラが近道かもしれない
あ、あった、最上級
紙が少し古くなってるからすぐに解った
ミスリルゴーレム
報酬 10
え?10なの?
最初から売って儲けろって事なの?
受付のお姉さんに聞いてみよう
「最初に依頼を出した方はもうとっくに亡くなってしまいました、ですが名物になってしまったので組合からの依頼として貼り続けています」
ああ、53年前だもんな
最初に依頼を出した人はダンジョンの中の宝が目当てだったのかな
俺がその歴史に終止符を打ってやろう
さっそく受けよう
「今日の午後はすでに挑んでいるパーティが居ます、予約をしてください」
「え?そういうシステムなの?」
挑んでいる人がいるのに依頼は貼りっぱなしなのか
どうせ達成できないからそれでもいいのか
俺は明日の午前中に予約をした
昼を過ぎてしまうと失敗扱いらしい
随分期間が短いな
「希望者が多いので仕方ないんです」
ふーん
受付のお姉さんの話ではミスリルゴーレムは強いが、ダンジョンの前から一歩も動かないので死ぬ危険性も少ないらしい
深追いしてこないって事か
だがまともに攻撃くらうと即死は免れない
遠距離攻撃ならただの的だとか
硬いから弾かれるだけらしいけど
場所はそんなに遠くないって
俺が走れば10分もかからないだろう
どのみち明日までやる事無いのか
仕方ない土建屋行ってみよ
「え?5tのソリあるんですか?」
「ああ、城壁作った時に使ったものが何台かあるよ、馬と人間で押したんだぜ」
「借りる事は出来ますか?」
「ははw運べるならただで貸してやるよ」
「では明日の朝借りに来ます」
随分幅が広いソリだった
横にも長い柱が何本もついていて、人間が横に並び押したのだろう
ソリだけで1.5tはありそう
さて、やる事なくなっちゃったな
午後に挑戦してるパーティでも見に行こうかな
・・・別にいいか
万が一討伐の瞬間なんか見ちゃったら悔しいし
申し訳ないが失敗を祈ろう
食堂に入り、少し早いが夕食をとる
ここに来るまでもナンパだらけだ
食べてる最中もナンパナンパ
久々に感じるうっとおしさ
早くホームに帰りたい
あ、メテオの練習してない
いいか、ゴーレムは動かないらしいし
ぶっつけ本番で遠距離から撃ってみよう
出なかったらどうしよう
それでも色々試してみるか
何か攻略法が有るかも知れない
ご飯を食べ宿へ帰る
ナンパナンパナンパ
宿の中まで着いて来るなよ!
非常識すぎてさすがに怒ってしまった
ふう、やれやれ
風呂に行ってくるか
1階の風呂場へ
先客が居るが気にせず入って行く
「わ、わあ、綺麗な人ぉ」
「す、すごいね、あんな体見た事無い・・・」
2人の若い女の子が居た
俺の体に見惚れている
なんか申し訳ないな
男なんだよな、俺
あんまりそっちの体は見ないから許してね
髪を洗い、体を洗い、その間ずっと視線を感じる
居心地悪いなぁ
「なにか?」
「え?あ!す、すみません」
「み、見過ぎだよぉレアル、怒られたじゃん・・・」
「そ、そんなぁ、ソシエだってずっと見てたでしょ?」
いや、別に怒ってないけどさ
2人共15,6歳くらいかな
胸は小さいが可愛らしい
「わ、私達、ハンターで今首都から来てるんです」
「へえ、私もだよ、名前はタカネ」
「え?そうなんですか?」
「一応最上級になったばかりのハンターなんだ」
「ええ?こんな綺麗な人、組合で見た事無いけどぉ」
「まだ首都に来て1か月くらいだから」
「ああ、なるほど、私達はもう一か月以上メオラにいるもんね」
「はは、お恥ずかしい」
何が恥ずかしいんだろう
「・・・一応、最上級を目指してるんだけどぉ、失敗ばかりで」
「このままじゃペナルティでハンター資格抹消されるかもしれないんですぅ」
そっか、諦めて中級ハンターになるという考えは無いのかな
諦めるにはまだ早い年齢か
「だ、誰か、一緒に上級依頼こなしてくれないかなー」チラッ
「ちょ、ちょっとレアル、露骨すぎ・・・」
「悪いけど実力以上のランクに上がっても良い事無いと思うよ」
「で、ですよね」
「れ、レアルのせいで怒られたでしょ」
いや、怒ってないけどさ
「他にパーティは居ないの?」
「居ますよぉ、男の子2人」
「これが頼りにならなくって」
「でもみんな上級まで上がってるんでしょ?」
「・・・今思えばマンティコア倒せたのまぐれだったよねー」
「ねー」
それが分かったんなら諦めようよ
無理して死んだらどうするんだ
「タカネさんはメオラに何しに来たんですかぁ?」
「ミスリルゴーレム倒しに」
「あはは、またまたぁー」
信じて貰えないな
仕方ないか
さてと・・・
「先上がるね」
「あ、私達も」
「長湯しちゃったね」
脱衣所でもジロジロ見られる
・・・もっと良い下着履いておくべきだったかな
何考えてんだ俺
でも綺麗な人間には綺麗な下着を期待するんじゃないか?
俺がその期待に応えるってのもおかしいけどさ
なんでこんな余計な心配しなきゃいけないんだ
自室に戻る
久しぶりの一人ぼっちだ
ちょっと寂しい
ムスタング元気かな
ご飯食べてるかな
サテンとカオリに迷惑かけてないか心配だ
明日討伐してからどうしようか?
ダンジョンもあるって話だが・・・
宝があるんなら探したいよな
でも時間がかかるようなら諦めようか
20億でも十分といえば十分・・・
まあ、明日決めればいいかな
早起きして頑張らなきゃ
就寝