020 成長
今日は新しい湯船が来るので家にいよう
サテンは中級に上がったが今日はテスタさんと他の人のサポートらしい
カオリはサテンを送り、ついでに自分にあったパーティを探してくるって
一応上級依頼無いか見てきてもらう
俺はムスタングとお留守番
段々と3人の行動が別々になって来たな
少し寂しい
午前中に湯船が来た
設置して貰い古い方の湯船は引き取ってもらう
ちょっと腐って来てるのに、それでも使う人はいるんだって
勿体なかったかな
「どうしよ、2人には悪いが先に入っちゃおうかな」
服を脱ぎ捨て体を洗い風呂に入る
ああ、新品の香り
肌触りも良い、やっぱり新しくしてよかった
ん?だれか来たな
ベランダの柵から顔だけ出し下を覗く
騎士アズバーンだ
やれやれ、バスタオルを巻き下に降りる
ガチャ「何か御用ですか?」
「むむ!入浴中だったか!す、すまん」
アズバーンは後ろを向いてしまった
俺の胸の谷間とバスタオルの下から覗く長い脚に一瞬釘づけになったよな?
刺激が強すぎる恰好だったか
「こ、この前の件で話がある、至急王宮まで来てほしい」
「・・・ああ湖凍らせるって言う」
「では頼んだぞ!」
アズバーンはこちらを振り向かず馬に乗って帰って行ってしまった
気まずい状況だよな、俺も配慮が足りなかった
やれやれ、仕方ない、服を着るか
ムスタングがブラジャーを被って遊んでた、駄目だぞ
戸締りをし、ムスタングを連れ歩き出す
抱えて走れば早いがアズバーンより早くついても面倒だ、ゆっくり行こう
お、ムスタングがナンパよけになってるな
こんなに小っちゃくてもグリフォンが怖いのか
助かるぜムスタング
王宮に着いた、衛兵と話をし中に通される
中に入るのは2回目だな、首都に来た初日に泊めて貰ったんだよな
良い体験だった、メイドさんに風呂で体洗って貰ったり・・・
俺もメイドさん雇おうかな
でもそこまで広い家では無いしな
住み込みは絶対無理だ、通いになってしまうが・・・
・・・そこまで仕事無いよな、退屈しちゃうだろう
もっと大きな家に引っ越した時にでも考えよう
「よく来てくれた、湖を凍らせることが出来ると聞いたが」
「はい、ドラゴンも一撃で凍らせたので余裕です」
「聞いておる」
今話してるのは内政官のユングさん
40代くらいのおじさんだ
俺の顔と体をチラチラ見ながら話を進める
「アズバーンから聞いていると思うが下流の川で氾濫が多い、大規模な工事をしたいんだが、3つある川の湖尻を順番に凍らせてほしい」
「解りました」
「工事が終わったら褒美をとらせよう」
現地に行く
「まずはここだ、一番小さな湖尻だ」
幅は5mくらいだな
「どうせなら水門も作ればどうですか?」
「水門?」
「湖尻を四角く整形して、くぼみ作って太い角材でもはめ込んでいけば、水が流れる量を調節出来ますよ」
「なるほど、しかし角材でもつのかな・・・」
やった事が無いから半信半疑か
それも仕方ない
とりあえず湖の湖尻を湖側をえぐるようにアーチ形に凍らせた
一応その内側に土の壁を出し補強
「うーむ、見事だ」
「どれくらい持つか私にも解らないんですが」
「向こうに見える湖面はお前が凍らせたんだろう?あれが消えたら3日後にここの魔法も消えるという事だ」
やば、そういえばこの前の魔法解除してなかった
まだ凍ったままだ
しかし目安として使ってくれるらしい
じゃあそのままにしておくか
「消えそうになったらまた魔法をかけ直してくれればいい、ここの報酬は200万でいいか?」
「構いませんよ」
「助かる、なるべく工事を急ぐからな」
国民の生活もあるからあまり長い間水を止めておくことも出来ないだろう
頑張って工事を進めて欲しい
「重い物運びたい時は手伝いますよ、引きずるんでいいなら10tくらいはいけます」
「らしいな、ドラゴンを引きずって来たとか」
「石とかどうやって運んでるんですか?」
「採掘場からソリに乗せ馬で運んでいる」
「だったら私でも出来ます、丈夫なソリを準備して貰えれば・・・」
「そうか、運搬が一番時間がかかるんだ、協力して貰えると助かる」
後日、手伝う事になった
上級依頼が無い日は手伝おう
うーむ土建屋か
ハンター以外の仕事を探してはいたけどちょっと理想と違っちゃったな
「どうせなら王宮に仕えないか?月50万は払うが」
「いえ、以前側室に誘われたんですが、それも断らせていただきました」
「そ、そうだったか、それは失礼な事をした、これほどの者が側室ではな・・・」
高く評価してくれたようだ
王宮の暮らしは魅力的だが、ハンターでも結構稼げるしな
50万は好条件なんだろうが、今は別にいいや
内政官ユングさんと別れ先に帰る
馬より早いんだから帰りはその方が良い
ユングさんは感心してたな
こんな人間離れした者を見て恐怖とか無いのかな
時折現れるエメラルド以上のスイッチ持ちが一般人を慣れさせてしまっているんだろうか
それならそれで好都合、面倒事は無いに越した事は無い
家に着いた
「タカネ、どこに行ってたの?」
「カオリ、副業だよ」
「そんな事してたの?いかがわしい仕事じゃないでしょうね~」
「なんでだよ、治水工事の手伝いだぞ」
詳しく説明した
カオリは納得してくれたようだ
「上級依頼はあったの?」
「なかったよ」
うーむ、やっぱりそう頻繁にある訳じゃ無いのかな
最上級になってしまえば気が楽になるのに
「タカネ、お風呂には入ったの?」
「ああ、でも途中でお客さんが来ちゃってゆっくり出来無かったよ」
「ズルイよ、一番風呂」
「24時間湧いてるのに一番風呂って言うのかな」
「タカネが買ったお風呂だからいいけどさ」
拗ねるなよ
あとでサテンと3人で入ろうぜ
「今日どうする?夕方まで3時間くらいあるよな?」
「休みで良いんじゃない?」
「・・・俺しばらくは上級と狩った事の無いモンスターだけで良いかな、空いた時間は川の工事手伝って来るよ」
「そう、じゃあ私は中級1人で行こうかな」
「気を付けてよ」
「うん」
カオリも強いがマンティコアだけは心配だな
この前一撃で倒してたけどさ
油断ならないモンスターだ
他の中級モンスターはカオリなら余裕だろうと思う
「タカネ、腕立てするから上に乗って」
「解った」
カオリが俺を乗せ腕立てをする
全然腕が太くならないよな
「成長してる?」
「うん、200回くらい出来そう」
「へえ、すごいな」
公言通り200回こなすカオリ
「ふう、ふう、お、降りて」
「ああ」
人を乗せて200回か、大したもんだ
その後、剣を持ち素振りを始める
「グリフォン、には、全然、敵わなかった、から」
「・・・・・」
カオリも力不足を感じていたか
向上心が高いな、俺もトレーニングしようかな
・・・疲れないからやった気がしないんだよな
張り合いが無い
どうせ石を運ぶんだ、それがトレーニングになるか
「走って来る」
「行ってらっしゃい」
カオリが鎧を着て走りに行った
あの鎧はどれくらいの重さなんだろ
カオリの体にピッタリフィットしていながらも、動きが窮屈にならないハーフプレート
見た目よりも軽いみたい
・・・俺は夕飯でも買っておくか
ムスタングを連れ夕飯のお買い物
俺達の食事分とムスタングには鶏肉と豚肉を買うか
沢山食べて早く大きくなって欲しい
買物を終え、家に帰る
カオリはまだ帰ってないな
ちょっと早いがサテンを迎えに行くか
ムスタングを連れハンター組合へ
あれ?カオリが居た
カオリもサテンを迎えに来たのか
「タカネ、トロールが追加されてるよ、受ける?」
「近いの?」
「タカネなら10分かな」
「受けよう」
カオリにムスタングを抱かせ、おんぶしてダッシュ
10分なんてあっと言う間だ
あ、エストック持って来てないや
魔法でいいか
日の当たらない森の深く
・・・居た
カオリを降ろし、カオリがムスタングを降ろす
唸り声を上げるムスタング
身長は3mくらい
すごい巨漢だ
頭悪そうな顔だなー
切り株みたいな棍棒を持ってる
こっちを見た
?って表情だ
・・・襲って来ないな
「なあカオリ、トロールって害はあるの?」
「・・・遊びで人間を引きちぎるらしいよ」
「力加減とか解らなそうだもんな」
辺りをキョロキョロ
もう一度こっちを見た
まるで始めて見つけたかのような表情
今度はこっちに向かって来た
「タカネ、先に戦わせて」
「・・・解った」
カオリが向かって行く
トロールが一歩歩くたびに細かい地響きが起こる
棍棒を振り上げた
動きは鈍いな
棍棒を振り下ろす
遅い、あれなら絶対当たらない
カオリが背中に回り、剣を突き刺す
む、骨に当たったのか、根元まで入らなかったな
剣を抜き距離をとるカオリ
・・・トロールは素知らぬ顔だ
痛覚が無いのか?
トロールがカオリの方を向く
背中がこちらに向く
・・・傷が治って行く
再生能力があるのか?
戸惑うカオリ
トロールがまた棍棒を振り上げる
その手を狙ってカオリがジャンプした
腕を斬り裂き、棍棒とともに地面に落ちる
トロールは自分の腕が落ちた事も気づかず、だれも居なくなった場所に無くなった腕を振り下ろす
?って表情だ
横に落ちてる自分の腕を見つけた
自分の腕を拾い、千切れた場所にくっ付けようとする
・・・頭悪いな・・・あれ??くっついた!!
指も動いてる、すごい再生力だな
怒ってる、さすがに怒り出した
ちょっと動きが速くなったがそれでもカオリは捕まらないだろう
でもカオリの動揺もすごいな、どうしていいか解らないらしい
心臓を狙いたいみたいだが・・・
心臓の高さは2.5mくらいかな
剣を逆手に持ちジャンプして頭の上から振りかぶり突き刺せば当たるだろうが確信が持てなくて迷っている
贅肉がすごい腹も邪魔なんだろうな
刺した後の隙も大きくなりそうだ
そろそろいいか、トロールに魔法の雷を落としてやった
動きが止まるトロール
体から煙が上がる
カオリがそれを見て心臓に剣を突き刺す
すぐ抜いて距離をとる
・・・キズは治らない
トロールがゆっくり後ろに倒れ、地響きが起きた
「やったのか?」
「わ、解らない」
「・・・ムスタングが警戒解いてるな、死んだんだと思う」
「こ、怖かった~」
俺の察知能力でも何も感じない
俺の雷で死んだのかカオリの止めで死んだのか解りにくかった
しかしすごい再生能力だったな
とんでもないヤツが居たもんだ
「帰ろう」
カオリとムスタングを乗せ来た道を戻った
「トロールを狩ったのかい?心臓以外弱点は無いのに」
サテンとテスタさんが帰って来てた
「うん、ちょっと焦っちゃった、下調べしないと駄目だね」
「カオリ、あまり無茶をしては駄目ですよ」
「うん、上級は油断できないね」
トロールの報酬を貰う
50万だったのか、どうりで手ごわい訳だ
取りあえずこれで上級3回、あと7回で最上級か
家に帰ろう
家に帰り夕飯を食べ風呂に入る
「ふう、新しいお風呂は気持ちいいですね」
「タカネは先に入ったらしいよ」
「根に持つなよ」
やれやれ、風呂くらいゆっくり入ろうぜ
「罰として胸触るね」
なんでだよ
まあいいけどさ
しばし俺の胸を堪能するカオリ
後ろを向き、俺の胸に寄りかかり頭を乗せて来た
「わあ、気持ちいいよ」
「人の胸を枕にしやがって」
「ふふふ、楽しそうですね」
そうでもないけどな
早く上がりたい
「ああ、今日はトレーニングやらトロールやらで疲れたよ、このまま眠りたい」
「駄目だ、そろそろ上がろうぜ」
「タカネ、抱っこして」
「・・・仕方ないな」
カオリをお姫様抱っこして、風呂から上がる
カオリの頬が赤いのは風呂のせいかな?
脱衣所に連れて行き、体を拭いてやる
「ふう、王宮を思い出すね、タカネ、私のメイドにならない?」
「嫌だよ、手が掛かりそうだし」
「ひどーい、あっ」
上から拭いていく流れで股間を拭いてしまった
マズったなあ、気付かないフリをしよう
カオリが更に赤くなる
「・・・俺にメイドになって欲しい?」
「・・・やっぱいいや」
カオリは自分で下着を付け自分の部屋へ行った
俺も体拭いてさっさと寝よう
「ふう、良いお湯でした」
「サテン、長湯になって来たね」
「疲れが癒されるような気がして」
「最近頑張ってるもんな」
サテンがエロい下着をつけ始める
それで寝るのか、色っぽいな
・・・・・
「た、タカネ、そんなに見ないでください」
「いや、サテン筋肉がついて来たね」
「ふ、太くなりました?」
「ううん、引き締まって来てるよ」
元々良い体だが引き締まってカッコ良くなってきている
頑張っている証拠だ
「私は明日は休みです」
「そっか、俺は上級依頼あるか見てくるよ、早く最上級になりたい」
「そうですか、私は一人で魔法の練習してきますね」
「大丈夫?ナンパあしらえる?」
「私ももう中級ですよ?いつまでも怖がっていられません」
頼もしくなってきたな
自信もついて来たみたいだ
・・・良かった、最初の頃はどうなる事かと思ったが
自室に入る
ムスタングが木箱で寝ていたが俺に気付いて顔を上げた
「良い子だ、今日からそこで寝るんだぞ」
「クー」
ムスタングも今日は疲れたのかな、頭を下げ眼を閉じる
おやすみムスタング
俺もベットで眼を閉じ、すぐに眠りに落ちた