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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ホメロス王国編
19/134

019 単眼

「ムスタングはどうするの?」


次の日の朝、カオリに聞かれた

どうすっかな


「散歩がてら連れてこかな」

「上級依頼に?さすがダイヤさんは余裕ですわね」


嫌味言われたわw

上級依頼があるかどうかも解らないじゃないか


ハンター組合に行く

ムスタングがトコトコ着いてくる

あった、ミノタウロス2匹だって

報酬30万か

・・・なんと、人間の男をなぶり殺し、女は凌辱する悪いヤツらしい

絶対許せん、退治しよう


「しかも目撃情報が近いよ、すぐ退治しなきゃ」

「そうだな、被害出る前に行こう」

「1匹ずつね!」


カオリは大丈夫かな

昨日のグリフォンには対応出来て無かったけど

さっさと1匹やっつけてサポートに回るか


10分後、居た

洞窟を好むらしいが森に居た

人間の女を追いかけていた

牛の頭に人間の体

筋肉隆々で2m50はありそうだ

ムスタングが唸り声を上げる

こっちに気付いた

涎を垂らし突進してくるミノタウロス

デッカイ斧を持ってるが、こちらも突進

瞬時に間合いを詰め、エストックで心臓を貫く

ミノタウロスは唸り声をあげ、斧を振り回した

危ない、長い刀身が奥まで刺さり過ぎたせいか、抜くのに手間取る

間一髪斧が届く前に距離を開けることが出来た

暴れるミノタウロス

だが徐々に動きが鈍くなる

膝をつき、前から倒れ込んだ

心臓突いてもしばらくは動くのか


おっとカオリはどうした

ミノタウロスの斧を避けながら、隙を見て剣を入れている

俺はムスタングのそばに戻り様子を見るか

カオリの剣は致命傷にはならないが、徐々にミノタウロスの体力を奪っている

このまま押し切れるかな

ミノタウロスは力が強いが結構小回りの利く攻撃をしてくるな

だがカオリは読んでいるようだ

ミノタウロスが斧を振り下ろす

頭が空いた

カオリが隙を見逃さない

飛び上がり頭に一撃

しかし角で受けられた

・・・いや、受けきれなかった

角を折り、カオリの剣がミノタウロスの頭に食い込む

力が無くなり倒れ込むミノタウロス

終わったか


「・・・隙が出来たと思ったけど、最初から角で受ける気だったんだね、この剣じゃなければ弾かれてたかも」

「なかなか強かったな」

「タカネ、苦労したの?」

「いや、心臓を一突きしたけど、しばらく暴れたよ」

「生命力が強いんだね」


念の為、俺が倒したミノタウロスの頭に止めを刺す


「牛って心臓4つあるんだっけ?」

「胃でしょ?」


馬鹿な事を言ってしまった

追いかけられてた女性はどこへ行ったんだろ

・・・居ないな

無事街に帰ってると良いが

俺達もハンター組合に戻ろう


報酬を受け取り、掲示板を見る

もう上級は無いな、どうしよう


「ムスタング落ち着いてたな、偉かったぞ」

「小っちゃいのに逃げなかったね」


俺は襲い掛かって行ったらどうしようかと思っていたんだが

まあどっちにしろ良かった


「可愛いねえ、アンタ達のかい?」


ベスだ

俺達と同じ上級

俺が最初に腕試しで勝負した人

ムスタングの事を言ってるらしい


「ああ、昨日グリフォンやっつけた後に卵から出て来た」

「すごいね、私も上級だけどグリフォンには挑めないねぇ」


ベスは上級で止まってるらしい

ミノタウロスは4人でやっつけた事があるらしいが、相当苦戦を強いられた

今回は2匹居たので見送ったそうだ

普段は下級、中級の依頼をこなして生活してるんだって

ベスは28歳、バツイチ、子供はいない

お尻が半分出てるセクシーな鎧を着ている

ムスタングを抱えるベス

ムスタングは大人しくしている


「いいねぇ、私も猫でも飼おうかねぇ」

「いいんじゃない?癒されるし」

「でも、自分がいつなんどき死んでしまうかもしれないと考えるとねぇ・・・」


俺が軽くこなしているから伝わらないが、ハンターの仕事は命がけだ

実際亡くなる人も多いようだ

ベスも仲間の死を幾度となく見てきているらしい

一人身だと余計な物は背負いこむ気にはなれないかもな


「この子も1か月で手放す予定なんだ、大きくなるから王宮で面倒みてくれるって」

「そうかい、5mくらいになるからねぇ」

「個人で飼うには難しいよね」

「飛ぶからね、グリフォンは」


王宮で面倒見て貰うにしてもどうするんだろうか

鎖で繋がれたりしたら可哀そうだな

しかし飛び回ってたら国民が恐怖かも知れないし・・・


「馬の代わりに働いて貰うんだろうねぇ」


そうか、飛べるからどこ行くにも早いもんな

エサ貰えるんだからそのくらいは活躍して欲しい


「タカネ、上級は無いけど最上級が追加されたよ」

「どうせ行けないからなあ、でもまたドラゴンが出たの?」

「ううん、サイクロプスだって、ハインツさん達が狩りに行くらしいよ」

「近いのかな、夕方までに帰って来れるなら見て見たいな」


移動に歩きで3時間かかるらしい

帰りはカオリおぶって走って来ればいいから余裕かな


そういう訳で見学に行く事に

ハインツさんの50mくらい後をついていく

ティータがチラチラ振り返ってるな

敵意なのか対抗心なのか

ハインツさんのパーティは4人だ

ホメロス王国十傑1位のハインツさん

3位と4位も居て、10位がティータ

十傑ってどうやって決めるんだろうね

ティータに勝った時点で俺は十傑に入れないんだろうか


「まずパーティは何人でも良いらしいよ、多くなるほど取り分は少なくなるけど」

「そうだろうな」

「10傑は闘技大会があるらしいよ、それに依頼成功のポイントも含めて決められるらしいよ、ちなみに魔法は使用不可だって」

「そうか、魔法は駄目なのか」

「当たると死んじゃうからね」

「闘技大会も木刀使うって事?」

「そうなんじゃないかな」


ふーん、いつ行われるんだろ

賞金出るなら出てみたいな


「4位の人綺麗だね、ハインツさんの奥さんらしいよ」


そうなのか

3位の人はごついモヒカンのおじさんだが4位の人は確かに綺麗だ

亜麻色の髪に茶色い肌

ティータの遺伝子は奥さんからの物なのか


「まあ、タカネやサテンほどでは無いけどさ」

「そう?ありがとう」


綺麗って言われても全然嬉しくないけどな

それを言うと嫌味に聞こえるらしいから言わない

ん?何か居るな

ハインツさん達も気づいた

道を外れ林の中に入って行く

まだサイクロプスに出くわすには早いが

・・・気配が消えた

ハインツさん達が何かをやっつけたのだろう

また道を戻り先を急ぐ

なんだったのかな?

俺達も先に進み確認

・・・なんだあれ?

狼?


「狼男だね、中級の獲物だよ」


そうなのか、依頼で見かけたことはなかったが

ハインツさん達の敵では無かったか

依頼が出る前にやっつけちゃうんだな

報酬よりも被害が出ないことを優先するのは好感持てるな


「勿体ない・・・」


カオリは報酬優先らしい


結構歩いたな

2時間くらいは経っただろうか


「ムスタング、疲れてないか?」

「クー」

「もう自分の名前を理解してるのかな」

「賢いね」

「クー」


ムスタングもまだまだ大丈夫そうだ

歩く、歩く、歩く

荒野に出た

あ、あれだ

デカいからすぐ解った

ムスタングを抱える

ハインツさん達が戦闘態勢に入る

サイクロプスが気づいた

立ち上がる

でっか・・・

縦に5mくらいある単眼の巨人

でっかい金棒持ってるな、鉄だよなアレ


「武器を自分で作るらしいよ」

「へえ、器用なんだな」


自分の体と同じくらいの金棒を軽々振り回すサイクロプス

ハインツさん達は間合いを取り、身構えている

ティータが走り出した

チョロチョロと走り回り、サイクロプスの注意を引く

ハインツの奥さんが弓を構える

・・・眼を狙ってるな

いかにも弱点っぽいもんな

射った

みごと命中

暴れまわるサイクロプス

3位の人が弁慶の泣き所に棍棒を叩きいれる

膝をつくサイクロプス

ハインツさんが斬りかかる

胸を大きく斬り裂かれサイクロプスが呻き声を上げる

危なげないな

最後の力を振り絞って金棒を大きく横に振るサイクロプス

一斉に避けるが3位の人にちょっとかすったようだ

ハインツさんが飛び上がり、頭に止めの一撃を入れる

終了か

サイクロプスが倒れ、地響きが起こった


拍手

ハインツさん達が手を挙げて答える

ティータだけはそっぽ向いてた

3位の人、攻撃かすってたけど大丈夫かな

あ、ハインツの奥さんがヒーリング使えるようだ


「ヒーリングってすっごく難しいらしいね、魔法使える人が珍しい中で更にヒーリング使えるのは一握りらしいよ」

「ふーん」

「ほら、それに時間かかってるでしょ?」


確かに、そんなに酷い怪我だったのだろうか


「普通はタカネみたいに高速で治せる訳じゃないんだよ」


そうだったのか

骨は無理だったがドラゴンに噛まれた傷をものの数秒で治せたが


「ダイヤさんはすごいね」


称賛なのか嫌味なのか解らない声で言われた

再三言うようだが、俺は女の体にして欲しくなかった

例え絶世の美女であったとしてもだ


「・・・帰るか」

「うん」


ムスタングをカオリに抱っこさせ、そのカオリをおんぶする

ムスタングが挟まれ無いように注意しながら

俺はゆっくり走って帰って行った


「帰りは30分だもんなぁ」

「サテンはまだみたいだな、待つか」

「ねえタカネ、あと上級8回こなせば私達も最上級だけどさ」

「うん」

「私はまだ最上級は厳しいかもしれない、中級、上級を回るパーティ探そうかと思う」

「そうか、自分でそう思うならそれがいいかもね」

「一人にするのは心配だから、タカネもパーティを探して欲しい」

「取り分減るからな、それにムスタングも居るし大丈夫だよ」

「・・・過信は禁物だよ?」

「ああ、解ってる」


カオリも色々考えてるんだな

でもまあ後上級8回はカオリと一緒に行こう

ヒーリング使える俺が居る状態で上級に慣れてくれた方が安心だ

良いパーティが見つかると良いけど


サテンとテスタさんが帰って来た


「今日で中級に昇格しました、ですがもうしばらく初級と下級を回ろうかと」

「あっはっは、サテンちゃんはすごく成長してるよ、オークなら戦えるだろうけどね」


オークは行けるがマンティコアみたいなのは無理らしい

と言うかテスタさんもマンティコアは倒した事無いんだって

重装備だから動きについていけないかもな

オーク10回倒せば上級に上がれるのかと思いきやそうでもないらしい

マンティコアを倒せないと中級卒業出来ないそうだ

マンティコアは中級の中でずば抜けて強いもんな

卒業試験扱いなのか


「オーク10回倒して上級に行っても死ぬだけだよ」


その通りだと思う

カオリですらグリフォンには成すすべが無かった

本来はこんなに早く昇格するもんでも無いのだろう

狼男も戦っておきたかったな

経験の少なさで足元すくわれるような事もあるかもしれない


帰りに武器屋へ寄る

サテンが弓を強化したいらしい

安い弓だったもんな

大きさは一緒だがよりしなる弓を買ってた

矢も強化

鋭く硬い矢尻の物を買っていた

しめて2万アラン

サテンは魔法が主体だが、これからの事も考え弓だけで戦ったりもして行きたいらしい


夕飯の材料を買う

ムスタングには牛肉と豚肉を買おう

肉だけでいいのかな

野菜食べさせてお腹壊しても困るしな・・・

ナンパをいなしながら帰った


夕飯を食べ、風呂に入る

そう言えば明日は新しい風呂が出来て来る日だっけ

楽しみだな


寝床に入る

ムスタングがベットに上って来る

今日は駄目だ

一人で寝る事に慣れて貰わねば

ムスタングを木箱の上に戻す

ク~と寂しそうな声を出す

・・・仕方ないな

一緒に寝てあげた

明日からは別々だからな

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