014 ドラゴン
下級依頼
古城に近づくものすべてを攻撃してくるガーゴイルを退治しろ
報酬30000
俺達は古城にやってきた
移動に1時間半くらいかかっちゃったな
門らしき跡の中を入る
「ギーー!ギーー!」
何かの鳴き声が聞こえた
翼の生えた何かが集まってくる
空中でホバリング
8匹くらいだな
見た目はゴブリンにコウモリの翼が生えたような
古城にあったものだろうか、ボロボロの剣を持っている
一斉に襲い掛かって来た
俺達は構える
サテンが魔法を撃ちだした
突っ込んで来た1匹が避けきれずにモロに当たる
魔法を撃てると思ってなかったようだ
どれくらいの知能かも解らないが
致命傷には至らず墜落し暴れまわる
取りあえず放っておいて他の7匹をやっつけよう
2匹が俺に向かって突っ込んで来る
はい、スローモーションになった
前に出ながら剣を二振り
ガーゴイルを2匹やっつけた
カオリが2匹と対峙してるな
俺は空中にいる3匹に狙いを定める
用心して手が届かない場所でホバリングしてるな
サテンが2発目の魔法を撃つ
空中に居るガーゴイルは避けた
避けたところに俺が飛ぶ
あれ、勢いが
1匹斬り裂く
だが飛び上がり過ぎだ
ジャンプ力が・・・
15mくらい飛び上がってしまった
皆からは俺のパンツが丸見えだろう
ジャンプ力もこんなに上がっているのか
全然気づかなかった
着地地点の近くにいた最初にサテンが魔法をぶつけた1匹を斬る
カオリも1匹目を退治し2匹目を追い詰めているところだ
俺のジャンプ力に驚いていた空中の2匹
その内の1匹にサテンの魔法が当たる
墜落して転げまわる
俺は飛び上がりもう一匹を攻撃し斬り裂いた
カオリが2匹目を処理し、サテンが魔法を当てた最後の1匹に詰め寄る
上から剣を振り下ろし終了
静寂が戻った
「城の中にも居るのかな?」
「隠れる習性は無いみたいよ、本人達はガードマンだと思ってるみたい」
「それで古城に近づくものすべてを攻撃か」
「終わったのなら帰りましょう」
「そうだな」
俺達は古城を後にした
ハンター協同組合
報酬の3万を1万ずつ分ける
「どうだった?」
「余裕だったよ」
「私はやはりもうちょっと初級の方で頑張りたいです」
「そっか、、、良いパーティ見つかると良いけど」
パーティ募集の貼り紙を見てみる
魔法使い募集は多い
これ、女だけのパーティかな?
駄目だ中級募集だ
これは・・・
体力ある人募集、駄目だな
受付のお姉さんに聞いてみよう
「すみません、初級で女の子だけのパーティ探してるんですけど」
「ああ、テスタのパーティが良いですよ、初心者支援のパーティです」
「そんなのがあるんだ」
「中級で止まってしまった人ですが、初心者が怪我しないよう丁寧に指導してくれます」
「へえ、いいね」
「呼んだかい?」
振り向くとフルアーマー重装備の小っちゃいおばちゃんが立ってた
肝っ玉母ちゃんって感じだな
「ハンター初心者かい?今他にも下級が1人と初級を1人指導してるよ、あんたもどうだい?」
「えと、私では無いんですが、魔法使いが一人いまして」
「へえ、魔法使いかい、珍しいけど大丈夫だよ、一人前にしてあげるよ」
「サテン!」
サテンがいそいそとやって来た
「2人共すごい美人だね、私の若いころにそっくりだよ」
この人たぶん嘘つきだな
どうしよう
「女の子しかパーティに入れないんですか?」
「ああ、特に女の子にとっては危険な仕事だからね、私ももう上に行けないし、慣れるまでサポートしてあげてるんだよ」
「サテン、どう?」
「ほ、パーティの他の方は・・・」
「あっちに居るよ」
指さす方を見ると、一人が片手を挙げ、一人が立ってお辞儀をした
見た目は良さそうな人達だ
「わ、私もお世話になりたいです」
「良いかな?テスタさん」
「構わないよ、これからコブリンを退治しに行くところさ、来るかい?」
「はい!」
「私が盾になるからね、怪我するんじゃないよ」
うん、任せて大丈夫そうだな
自分から盾を申し出るってのがいいよね
でもおばちゃんなのに大丈夫なのかな
「任せて置きな、中級くらいまでは育ててあがるからね」
・・・育てるのが趣味なのかな
頑張って来いよサテン
「サテン、先に終わったらここで待っててよ、ナンパには気を付けてね」
「は、はい」
「あっはっは、私がついてるから大丈夫だよ」
任せたぞ、肝っ玉母ちゃん
さて、俺達はどうするか
「カオリ、報酬はどうでも良いから近い場所に行こうよ、さっさと中級に上がりたい」
「そうだね、今日あと2つは行きたいかな」
どうせ2人なら報酬2等分だ、安くても良いだろ
俺達は場所が近い2つの依頼を受けた
サンドワームと大サソリか
砂漠が近くにあるんだな
サソリは毒が心配だな
道具屋に行って毒消しを買う
いざ参ろう
サンドワームはでっかかった
まあ、でっかいミミズでした
旅人を襲うため、定期的に狩らなければならないらしい
旅人の心配するなら盗賊をどうにかしたらいいのに
モンスターの被害より多そうだけどな
続けて大サソリ
文字通りデッカイサソリ
尻尾の毒針を処理してしまえば怖い相手では無いな
砂漠で足を取られるのが心配だったが、俺もカオリも危なげなくこなす
これも能力なのかな、平地とあまり変わらぬ動きを再現できた
夕方だ、ハンター組合に戻ろう
サテンが居た
「どうだった?」
「とっても良くしていただきました、教え方も丁寧で、戦いやすかったです」
戦いやすい・・・
俺やカオリはガンガン前行っちゃうからな
サテンにとってどうなんだろう
「あっはっは、魔法のお姉ちゃんもよく頑張ってくれたよ」
「そうでした、サテン、頑張ったんだね」
「え、えへへ」
褒められて照れるサテン
可愛い
俺やカオリと一緒じゃ褒められる機会が少ないもんな
自分にあったレベルでやる方がやはり良いのだろう
「じゃあ明日もよろしくね、明後日は休みだよ」
そう言ってテスタは帰って行った
明後日は休みか
俺達はどうすっかな
買物をして家に帰る
「テスタさんは敵を引きつけるのがすごく上手なんですよ」
「フルアーマーだからかな、そういう動きは俺には無理かなぁ」
「私は練習してみようかな、連携取れたほうがいいよね?」
「じゃあ明日は俺が遠距離から魔法撃ってみようか?」
「そうだね、いろいろ試してみようよ」
次の日
「タカネ、一撃でやっつけちゃうと連携も何も・・・」
「む、難しいな、水の魔法にしてみるか」
「吹っ飛んで気絶しちゃったね」
「強すぎたかな」
「雷の魔法・・・」
「痺れてる敵を刺すだけのお仕事・・・」
「土の壁ならどうだ」
「いたっ!急に出すからぶつかったでしょ!」
そんなこんなで依頼を4つこなす
「連携って難しいな」
「タカネは単独先攻タイプだもんね」
そうだったのか
「この分だと最上級とかでもタカネ一人で行けるんじゃないかな」
「最上級ってどんな依頼何だろうな」
「ドラゴンとからしいよ」
ドラゴン?
水龍なら知ってるけど、あいつ良い奴だったぞ
「それはたぶん古の龍だよ、ドラゴンはもっと小さくて頭も悪くて凶暴らしいよ」
「どこで聞いたの?」
「タカネに会う前に色々とね、小さいって言っても10mくらいはあるみたいだけど」
10mのドラゴンか
戦ってみたいような見たくないような
夕方なのでハンター組合に帰る
サテンが居た
何やら騒がしいな
「近くにドラゴンが出たそうです、今から最上級パーティが討伐に行くらしいですよ」
「へえ、見ていたいな、見学は出来るのかな」
受付のお姉さんに聞いてみた
「危ないので推奨はしませんが・・・」
「後学の為に見ておきたいんですが」
「私がついていくよ、近くには寄らせないから大丈夫さ」
テスタさんがついて来てくれるそうだ
最上級パーティの50mくらい後をついていく
全員男だな
4人の歴戦の勇者と言った風貌
あたりは暗くなって来たな
「サテン、ごめんね付き合わせて、興味無かったでしょ?」
「いいえ、でも危なくなったら守ってくださいね」
「あっはっは、ドラゴンから守ってくれってのもすごいね、そんなに強いのかい?」
「タカネもカオリもすごく強いんですよ」
他にも見学があるな
俺達の後ろからついてくる
「あいつらは上級の奴らだね、いいねえ、いつか狩ってやろうと思ってるんだろうね」
「よく出るんですか?ドラゴン」
「ホメロス王国では1カ月に一回くらい出るかねえ、メルホースの近くでは久しぶりだよ」
ふーん
結構出るんだな
「あいつらで大丈夫かねえ、今はハインツのパーティが地方に行ってるから」
「ハインツ?」
「ホメロス王国10傑の一位さ」
ああ、そんなのがあるって話だったな
「でも彼らも最上級なんでしょ?」
「ああ、だがドラゴンともなるとよく人が死ぬからねえ、ハインツ達ならそんな事も無いんだが」
「そうなんだ」
テスタさんは心配そう
優しい人なんだな
1時間くらい移動しただろうか
もうあたりは真っ暗だ
これでドラゴン見えるのかな
ん?最上級の人達が止まった
警戒してるな
なにか気配感じる
大きいと言う話だったが姿は暗くて見えない
わ、炎だ
暗闇からいきなりすごい炎が出た
ドラゴンが吐いたのだろう
パーティが炎に包まれたが大丈夫か?
「大きいね、炎で一瞬だけ姿が見えたよ」
火に包まれ慌てふためくパーティ
おいおい大丈夫なのか?
「た、タカネ、見えないよ~」
「光の魔法使ってもいいかな?」
「あんたも魔法使えるのかい?使ってやりな、このままじゃ不利だ」
光の玉を出しドラゴンが居るあたりに飛ばして止める
・・・デカイ
デッカイ首の長いトカゲに角と牙
凶悪そうな目
赤い肌
強そうだなー
ついでに水の魔法を使って火を消してやった
パーティの一人が片手を挙げてこっちにお礼
こっち見なくていいよ、目の前の敵に集中してくれ
ドラゴンを囲む
細かく炎を吐き威嚇するドラゴン
徐々に間合いを詰め一人が飛びかかった
ドラゴンが素早く尻尾を振る
モロにぶつかり吹っ飛ばされるハンター
今の大丈夫か?
10m以上吹っ飛ばされた
生きてはいるが起き上がれないな
2人が一斉に飛びかかる
1人はフェイクだ
それにつられドラゴンが構える
片方の攻撃が背中に当たる
だが弾かれた
ドラゴンはちょっと気にしたが、たいしたダメージも無い
硬いんだな
もう一人が槍で突進
これは刺さった
暴れるドラゴン
その衝撃で吹っ飛ばされる
槍を持ったハンターが転がる
そこへドラゴンが突進し口を開き・・・
やばい
噛まれた
血が噴き出す
他の2人が必死に背中を攻撃
ドラゴンからも血しぶきが上がる
呻き、ハンターを口から離す
生きてるか?動かない
ドラゴンが後ずさりする
動ける2人が引きつけようとする
ドラゴンが大きく炎を吐く
避ける2人
一人が避けながら背中の傷口に攻撃
ドラゴンが大きくうなり声を上げる
尻尾で攻撃したハンターを薙ぎ払った
ふっ飛ばされるハンター
木にぶつかり気を失う
おいおい、大丈夫かこれ
もう立ってるのが1人だぞ
「ああ、これはひどいねえ、生きてるかねえ」
テスタさんが心配そうだ
「援護したら駄目なの?」
「出来るのかい?出来るなら早く助けなきゃ、全滅しちまうよ」
どうしよう、火の玉飛ばしてみるか
ボンッ
この距離でも当たった
横への動きは苦手らしい
大きく呻くドラゴン
振り向き逃げ出した
走るの結構早いな
コモドドラゴンみたい
残ってるハンターも追いかけない
諦めたのか
ガックリヒザをついた
テスタさんが走り出す
俺もついて行こう
「早く、早く手当しなきゃ」
「回復魔法使えますよ」
「ほ、本当かい?!」
一番酷そうな噛まれた人から
・・・虫の息だが生きている
牙が食い込んだんだな、キズが深い
血もたくさん流れている
傷を治す
見る見る回復していく
気は失ってるが、顔が穏やかになった
1番最初に吹っ飛ばされた人が起き上がって来た
「大丈夫ですか?」
「あんたヒーラーか?ありがとう」
「傷はないですか?」
「骨が折れてる、ヒーラーでも無理だ」
そうなのか
取りあえず見える部分の傷は治してあげた
最後に木にぶつかった人の元へ
気絶してるな
取りあえず見える部分の傷を治す
「運ぶよ!皆手伝ってくれ!」
見学に来た上級の人達も集まって来た
動けない2人を運ぶ
骨折った人は一人残った最上級の人に肩を貸して貰い歩く
俺とサテンとカオリは後方警戒
ドラゴンが戻ってきたら大変だ
1時間半ほどかけ、街まで帰った
ハンター組合に戻る
失敗か
気を失ってた2人も意識を取り戻しガックリ
1人は血色が悪い
たっぷり血が流れたからな
手負いのドラゴンはどうするんだろ?
明日、他のパーティが依頼受けるだろうと言う話だった
テスタさんが最上級パーティに近づく
「この子が居なけりゃアンタ助からなかったよ、しっかりお礼言っておきな」
一番血が流れた人か
フラフラだし今は良いよ
それでも立ち上がり頭を下げた
他の3人もそれにならう
邪魔しちゃったかなとも思ったけど、命を拾った事に素直に感謝してる様だ
ハンター組合を後にする
すっかり遅くなった、今日は外食にしよう
適当な食堂に入る
「うーん、強かったねえ」
「そうなのかな、よく解んなかったけど」
「タカネは余裕だね」
「あんな怖い生物、戦いたくありません」
そこまで動き早くもない
剣も通らない事も無い
一人でもいけそうだという印象だった
「倒せば素材も高く売れるらしいよ」
「剥ぎ取るんですか?」
そうなのか
もし倒したら引きずって持って帰ろう
「火を噴くドラゴンは氷の魔法に弱いんだって」
いつの間に聞いたんだよ
氷の魔法?
使った事無いな
今度練習しよ
まあ、見学だけどいい経験になったな
今度は倒してみたい
早く最上級にならないとな
ナンパが5件
こいつらも退治出来れば良いのに
やれやれ




