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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
132/134

132 心配

次の日、大陸全土にポスカの意思表明の伝令が放たれる

先の戦争で勝てたのは魔王の働きがあったからと言う事

魔王と共に共存していく事

文書には魔王に各国と敵対の意思は無いと言う事も一応書かれた

信じてもらえるかどうか解らないけどね


ノルウィー国の騎士団が帰って行く

一応心証良くする為に見送りに行った

なんか媚びすぎって感じもするけど仕方ない

皆様に愛される魔王を目指さなければ


「タカネさん、私もそろそろニルギスに行こうと思います」

「そうかジル、元気でやるんだぞ?」

「私がキチンと紹介するから大丈夫よぉん」

「魔王様の事も誤解が無いよう話しておきますので」


うーむ、ジルにも苦労かけるけど甘えようかな

ニルギスは大きな国だから正直敵に回したくない

よろしくお願いします


ペガサスの馬車で旅立つジルとピーちゃんを見送る

ニルギスがジルに取って安住の地になれば良いが

おっと、人の心配してる場合じゃないか

皆と今後の事を話さないと


「ポスカの正式発表が出たことにより、魔王である俺がピエトロのタカネだと言う事が正式に発表されました」

「どうすんの?メイドちゃん達がちょっと心配かも」

「俺は戻る訳には行かない、この国の行く末に責任がある」

「ではクリスティも」「サテンも」

「まあまあ待ってくれ、確かにメイドちゃん達が心配だし、サテンはピエトロ代表で美人大陸1位だし、クリスティだって剣技12位だ」

「サテンはピエトロに未練は・・・無いと言ったら嘘になりますが、タカネのそばに居る事が一番です」

「ホンダはどうするの?」

「・・・それが一番の心残りですね」

「クリスティは貴族なんだから簡単に国を変える訳にもいかんでしょ」

「私は後継者では無いので・・・ですが別に国籍を変えるわけでは、ピエトロ国籍でタカネ様のお尻の下在住と言う事で」

「おかしいけどそういう事も可能なのかな?ピエトロ代表でポスカ在住と言うか」


構わないらしい

その辺この世界は緩いというか弊害を考えてないのだろう

ピエトロには国勢調査があったけど、ゆるゆるだったもんな

だったらジルもニルギスまで行かなくても良かった気もするが

あいつは他に目的もあるんだっけ


「メアリーはムっちゃん連れて帰るら」

「ムっちゃんは帰りません」

「がーん」

「コニーちゃんはこのままここに居て良いんでしょ?」

「うーん、ずっと王宮で世話になってていいのかな」

「魔王城でも作ったら?」

「そんなもん簡単には・・・」


街に家でも借りようかな

でも魔王が引っ越して来たらご近所さんに迷惑だよな

うーん


ああ、問題山積み

どれから片付けていけば良いんだろう


プルルルルルルルルル


携帯がかかって来た


「もしもし?」

『タカネ様、エリーゼなの、王宮に伝令が来たらしいの、内政官のバルディさんが事情を聴きに来たの』

「もう?早いな伝書隼は」


俺が魔王の件だろう

伝令はすでにピエトロまで伝わったのか


『今シオンが相手してるけど、外も兵士が一杯なの』

「だ、大丈夫か?俺のせいで大変な事になってすまない」

『だいじょ、あっ』

『なんだこれは?誰と話している』

「バルディさん?私です、タカネです」

『タカネ殿か?!どういう事なんだこれは!!』


事情を説明した

相手の顔が見えないのは不安だ

電話の向こう側でどんな顔をしてるんだろう

エリーゼ達は大丈夫なのだろうか


『タカネ殿が魔王で間違いないのだな』

「・・・はい」

『・・・・・・』

「申し訳ありません、ピエトロにも迷惑がかかってしまうでしょうか?」

『ピエトロから魔王が産まれてしまったんだ、各国から説明を求められるのは間違いないだろう』

「・・・申し訳ありません」

『女王様はカンカンだ、すぐに帰って来て拘束させて貰えないだろうか?』

「それは・・・出来ません、今はポスカを離れる事は出来ません」

『・・・・・・』


不安だ

何を考えているのだろう

俺の代わりにメイド達が処罰されたりしないよな?


『・・・何故だ?タカネ殿が何故?!私にはまだ信じられない!』


悲痛な叫びのように聞こえる

信頼してくれていたのだろう

それを、裏切ってしまった


「・・・私は」ガッ


あ、カオリに携帯を取られてしまった


「バルディさん?私達が帰って説明します」

『カオリ殿か?サテン殿やクリスティ殿もそこに居るのか?』

「はい、皆で一度帰ります」

「か、カオリ、私は」「クリスティはこのまま」

「2人共、タカネを本当に助けたいと思ってるなら今はタカネの代わりに事情を説明しに戻るべきだよ」

「・・・」「・・・」

「バルディさん、すぐに戻るのでメイド達の無事を約束してください」

『・・・魔王の関係者だ、この家の者は全員魔王の仲間としての疑いがかけられる』

「カオリはタカネの仲間です!でも魔王の味方と言う訳ではありません!タカネが悪い事をするなら止めます!」

『・・・何故魔王になるのを止めなかったんだ?』

「守りたい人が居たから仕方が無かったんです」

『ピエトロの名に泥を塗ってでもか?』

「タカネは自分が犠牲になったんです!ピエトロもタカネに優しくなかったじゃないですか!!」

『・・・・・・』

「とにかく今すぐ戻ります、メイド達に危害を加えたら私もピエトロを一生許しません」

『・・・解った』


カオリが電話を切る

・・・守りたい物があったのは確かだ

でもうまくいかないもんだな

仲間もメイド達も守りたかった

大事な人達を一番に考えるなら魔王になるべきでは無かっただろう

目先の問題を片付ける為に、不用意な決断をしてしまったのかも知れない

結果的に今は迷惑をかけてしまっている


「サテン、クリスティ、タカネと一緒に居たいのは解るけど・・・」

「いえ、戻りましょうカオリ、タカネの代わりに、私達がタカネの大事な物を守ってあげないと」

「クリスティが我儘でした、お許しください」


サテン達が帰る準備をする

・・・よろしくお願いします


「ムっちゃん、タカネの事は任せたら」

「キュピィーン」

「コニーもお願いら、タカネを助けてあげて欲しいら」

「帰るの?せっかく仲良くなれたのに」


あれ?お前ら喧嘩して無かったっけ?

メアリーとコニーはいつの間にか仲良くなっていたみたい


「メアリー、ごめんな俺の尻拭いさせて」

「何を言うら、タカネにはたくさん世話になったら、恩を返すチャンスら」

「メアリー・・・」

「メアリーに任せて大船に乗ったつもりでいるら、タカネが立派に魔王を頑張ってたって言っておくら」


お、おう

出来れば説明はサテンとカオリに任せてくれ


帰り支度が澄んだらしい


「じゃあねタカネ、ピエトロの事は心配しなくて良いから」

「・・・すまないなカオリ、ポスカを頑張って建てなおすよ」

「うーん、あまり背負わない方が良いよ?タカネはダイヤとは言え18歳の女の子なんだからね」


そうだな、ゾイドさんにも言われた事だ

国を建てなおそうなんておこがましいか

おっとサテンが後ろから抱きついて来た


「タカネ、名残惜しいですが・・・」

「ごめんなサテン、最近随分負担かけてる気がするよ」

「負担だなんて・・・タカネは正しい事をしたんですよ?他の誰にも出来ない事をやり遂げたんですからね」

「・・・・・・」


ポスカが助かったのは良かったけど

・・・・・・


「クリスティ、みんなの事を頼むよ」

「魔王様の命令とあらば!」


ペガサスの馬車で皆が帰って行く

手を振りながら考える

次はいつ会えるのかな

寂しいな・・・


「魔王のクセに、みんなに愛されてるのね」

「コニー」

「正直焼けちゃうわ?どうして私は親にも愛されなかったのかしら?」


・・・魔物と話せたからだろう

特異なる力は恐怖の対象だ


「強い力は貴方も一緒じゃない」

「そうだな、俺は運が良かったのかも知れない、理解ある仲間に巡り合えた」

「私は運が悪かったのね、奇異の目で見られるうちに性格が歪んで行った気がするわ」


自分でそこまで解ってるのか

生まれつきの物ではないと言う事か


「メアリーも言ってたわ、500年前は受け入れて貰えなかったって」

「俺はお前を受け入れるからな」

「それもなんだか化物同士で傷の舐めあいと言うか」

「言い方悪いなw」

「良いのよ、今更自分を変えてまで好かれたいとも思わないわ?面倒だもの」


媚びてまで好かれようとするのは疲れる

一度歪んでしまった者にとっては苦渋の選択になるだろう

結局は歪んだ者同士でつるめば楽なのだが


「だからそれは嫌よ!傷の舐めあいじゃない!」

「別に悪い奴らと付きあえとは言わないけどさ」

「私は我儘でいいけど、他人が我儘だと許せないのよ!そんな奴らと一緒に居るのはごめんだわ!」


そ、そうか

まあ魔王の立場で我儘は良くないとも言えませんわ

しかし理解してもらう努力はしろよ


さて、俺はどうしよっかな

取りあえず街の復興でも手伝おうか

あ、そう言えば・・・


「ゾイドさん、ウミセフという団体の事しってます?」

「ああ、表向きは非営利の慈善団体だ、しかしその実態は謎が多い」

「先日のソビキトの使者がかなり寄付をしてそうだったんだよね」

「うーむ・・・」

「世間知らずっぽかったから心配というか」

「・・・タカネ殿、次から次へと背負おうとするな、八方塞がりになりそうで心配だ」


確かに

今はもっと心配すべきことがたくさんある


「謎の多い団体だが慈善活動をしているのも事実だ、敵に回せば魔王の評判はことさら悪くなるだろう」


ピンハネの実態はあっても慈善事業をしているのも事実

表向きの活動だけを見れば、支持者も多いだろう

助けてもらった人たちは感謝してるだろうし

厄介な相手だよな


「今は魔王の動向を各国が懸念しているはずだ、誤解されるような行動は慎んだ方が良い」

「・・・そうですね、人の心配してる場合じゃありませんでした」

「そうだ、イスターク教にも動きがあったぞ」


え?

100年前の魔王のイスターク

死後も信者が秘密裏に活動をしているみたいだが・・・


「魔王の誕生により、各地で動きが活発化しているそうだ」

「え?・・・・・・それはひょっとして私を新たな象徴として動き出したという事ですか?」

「まだ解らない、しかしそう考えても不思議では無い」


・・・そうか

新たな魔王の誕生はイスターク教にとって希望の光なのかも知れない


「困ったな、イスターク教が問題を起こしたら、これもすべて魔王タカネのせいってなりますかね?」

「あり得ない事では無いな、なにか予防策をうっておいた方が良いかも知れんな」

「うーん、魔王タカネはイスターク教とは一切関係がありません的な伝令を各国に・・・」

「やっておいて損は無いだろう、しかしどこまで信じて貰えるか・・・」

「・・・・・・」

「魔王の影響力は計り知れない、これからもどんな弊害が出てくるか予想も出来ない」


魔王と言う肩書きの重さを再度痛感する

自分の居ない所で勝手に動く虚像

そんなもん制御しようがないじゃないか


プルルルルルルルル


電話だ

もう、重要な話をしている最中なのに

空気を読まないのが電話の悪い所だな


「もしもし?」

『ジルです、ニルギスに着き・・・』

『ちょっと変わって、貴方なんで通信鏡を持ち歩かないのよ!』

『・・・・・・えーと・・・・・・アリアナ、だっけ?』

『わ、忘れてたわね、私の事』


ええまあ

ジャミロの後継者であるスイッチのアリアナ

プライドをかなり傷つけたみたいだ


『さすが魔王ね、極悪だわ』

「それには色々深い訳がありまして」

『いろいろ聞いたわ、すべてを信じた訳では無いけどジュリエットという優秀な人材をニルギスに送り出してくれた事には感謝するわ』

「ジルの事、受け入れてもらえるのか?」

『勿論魔王のスパイなんじゃないかと疑う者も居るわ?でも本人は美人コンテストに出るのが一番の目的みたいだし、こちらとしても拍子抜けと言うか』

「携帯電話で解って貰えると思うけど、優秀な事には変わりないぞ?」

『ええ、魔法水晶作りには一切協力しないと言う条件も尊重してあげるつもりよ、テレビを作ってくれるなら我々としても大歓迎だし』

「その為の協力もしてやってほしい」

『図々しいわね』

「魔王ですから」

『・・・いいわ、どのみちニルギスが発展する事に違いは無い訳ですからね』

「よろしくお願いします」

『・・・どうして魔王になんてなっちゃったの?』


深い深い訳がありまして

理解して貰えないだろうなぁ

だが意外と警戒心が薄い

ジルとピーちゃんが上手く説明してくれたのだろうか


『ちょっと変わって貰っていいか?私はハワードだ』

「ニルギス大統領ですか?何から話せばいいやら」

『一応ニルギスとしてはポスカとの同盟を解除する事を検討中だ』


やっぱそうなるよな

申し訳ないな

ん?ゾイドさんが電話変われって

もう、肌の脂を携帯につけないようにしてね


「ニルギス大統領、伝令を読んで貰えたと思うがポスカの意向は魔王と共存してゆく事だ、他国に同盟を解除されてもそれは変わらない」

『ゲルマニーやソビキトを押し返す軍事力をポスカが手にしたと考える事も出来る訳だが』

「我々に野心は無い、しかしそれは口ではどうとでも言える事だ」

『・・・・・・』

「抑止力としてゲルマニーで開発された兵器は今後わが国でも開発する予定だ、これも野心と受け取られても仕方のない事だと思っている」

『開発者を捕虜にしたそうだな、同盟国として兵器の情報提供を提示した場合はどうするのだ?』

「例え同盟国と言えど兵器の情報提供は出来ない、あんな物が開発されてしまった事は不幸としか思えないが、生まれてしまった以上は関わらない訳にもいかない」

『・・・ふーむ、ゲルマニーでは今も開発中と言う事らしいな』


ああ、シェリルはレシピを教えてしまったのだろう

ゲルマニーでは今も兵器を増産中との事

どれくらいの期間でどれくらい作れるものなのだろうか


『取りあえずニルギスとしてはよく検討して答えを出させて貰う』

「それで構わない、ポスカとしては継続を求めるが、我儘を言うつもりもない」


話は終わったようだ

あ、ほら、脂でベタベタじゃん

こっそり服で拭う


「もしもし?今誰が電話口に出てます?」

『ジルです、タカネさん、この国ご飯が美味しくないです』

「お前は呑気だな」

『でもなんだか懐かしい気分になれるんです』


ジルの元の世界での生まれ故郷はイングランド

ニルギスに行ったのは故郷に似てると感じたからだっけ


「・・・元気でやれよ」

『はい、あ、アリアナさんが自分用に携帯作ってくれって言ってるんですが、タカネさんの番号教えて良いですか?』

「駄目に決まってんだろ、教えたら魔王の捌きが下されるからな」

『解りましたw』

『ちょっと聞こえたわよ!』

「じゃあなジル、ハワード大統領にはくれぐれも敵意は無いと伝えてくれ」


切った

アリアナと上手くやれるのかなあいつ

おっとまた人の心配か

自分の心配しなきゃ


「エストが携帯を持ってたがワシにはくれんのか?」

「ええ?ゾイドさん欲しいの?」

「欲しいに決まっとるだろ、便利じゃないか」


うーん、もう一台余ってはいるけどさ

出来れば可愛い女の子にあげたかった

そんな事も言ってられないか

国の重要人物だし、渡しておいた


プルルルルルルル


お、エストからかかって来た


「もしもし?エスト?」

『わ、繋がってる、あ、なんか皆見てる』

「どうした?」

『す、すみません、かけておいてなんですが凄く注目浴びていて恥ずかしいので切ります』プッ


なんだよあいつ

まあ回りは電話の事知らないんだ

あの子なんで独り言言ってるの?ってなるか

使う場所は慎重にな


その後エストが走って来て兵士達にお風呂の準備をお願いされる

なんだよ、用件ってそれだったのか

それくらいならすぐに言えば良いのに

使い慣れない物だから慌てちゃったか


「エスト、一緒に風呂に入ろうぜ」

「サテンさんの番号聞きましたよ、浮気したら伝えるよう言われてます」


む、むむう

電話って便利だけど不便でもあるよね

どこにいても束縛されるもんなあ


・・・サテン達はまだ帰路の途中だよな

距離的に明日にはピエトロに着いてしまうだろう


心配だ

サテン達は上手く説明できるだろうか?

メイドちゃん達は大丈夫だろうか


「・・・タカネさん、辛そうな顔をしていますよ」

「ああ、仲間に迷惑をかけてしまった事にやるせない気持ちだ」

「それも、ポスカの為だったんですよね、なんとお詫びしたらよいか」


ああ気にさせちゃったか

大まかにはこれで良かったんだよ

戦火が広がれば世界大戦が起こってたかもしれないんだから


本当にそうなったのかな

起こらなかった未来には確信が持てない

未然に防げたとか気休めにしかならない


「え、エストが一緒にお風呂に入りますから」

「・・・ああ、気を使わせたか?仲間を心配する俺を見てエストが心配してたら堂々巡りだ」

「・・・サテンさんには内緒にしておきますから」


そうか、じゃあ仲間が心配だけど遠慮なく

エストとイチャイチャしながら風呂に入った

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