129 来訪
「ムっちゃん!会いたかったら!」
「キュピィーン」
サテン達が来た
いらっしゃい
「皆さん、調書を・・・」
「タカネ、約束通り胸を揉ませて貰うよ!」
「はいはい」
「ああ、久し振りだねタカネ」モミモミ
どこに挨拶しているのか
エストが困ってるじゃないか
「タカネ、怪我は無いですか?」
「ああ、サテン、久し振りだな」
「タカネ様、お着替えを持って参りました」
「お前それタンスの奥に封印したヤツじゃないかよ」
「魔王っぽくて最適かと」
ボンテージスーツだった
クリスティめ、人の部屋から勝手に持ってきおって
人のタンスを勝手に開けちゃ駄目
とんでもない物が入っていたらどうすんだ
「タカネさん、魔法水晶の交渉はしてくれましたか?」
「買えないって、5億でも無理だって」
「そうですか・・・」
「2億とかでも無理らしいぞ、ポスカも復興でお金が居るし厳しいんだろう」
ジルもさすがにそんなに安くは売れないだろ?
これからニルギスに行くんだっけか
新生活、お金は少しでも多くあった方が良い
「ねぇ、今魔法水晶って言ったのぉん?」
「おう、ピーちゃんいらっしゃい、6億で買わないか?」
「今5億って・・・」
「ケチケチするなよ」
「うーん、私としては戦力の均衡化を図るために魔法水晶の無い国に売りたいんです」
「貴方の物なのぉん?」
「はい、私が一人で作りました」
ジルももう顔を出してる
隠す必要が無くなったんだろう
「一人で?すごいわねぇん」
「魔王様程ではありませんよ」
「タカネちゃんも一人で作れるのぉん?」
「それは想像に任せるよ」
「ま、魔王様、ポスカの為にどうか一つ」
「エスト、その話は偉い人とするから」
ちょっと落ち着こうぜ?
まずポスカを救った英雄にねぎらいをだな
「タカネ様、どうぞクリスティにお座りください」四つん這い
「・・・相変わらずだな、座るけど」
「え?・・・い、一体」
「エスト、この下に居る女は剣技大陸12位だからあとで訓練して貰うと良いぞ」
「ええ?!」
「20位も居るわよぉん」
「そういやピーちゃんはどうして来たの?」
「心配してに決まってるじゃなぁい!」
そうか、心配をかけてしまったか
申し訳ない
「そして美人大陸一位のサテンだ」
「始めまして、タカネの浮気相手ですか?」
「違うって」
「す、すごいメンバーですね」
「・・・ピエトロ剣技代表は出る幕ないかな」
「ピエトロ美人5位も肩身が狭いら」
さりげなくアピールするなよw
充分凄いからさ
「賑やかねぇ、どうしたの?」
「コニーか、人が多すぎるな」
「・・・・・・ねえ、私もその椅子に座りたいわ」
相性いいかもな、お前等は
「うわ!すごい美人!」
「あらあら可愛らしい、タカネの浮気相手ですか?」
「サテン、手当たり次第に喧嘩売るなよ」
「ちびっこら、メアリーの手下にしてやるら」
「む」
「皆落ち着け!収拾がつかん!」
なんというガラの悪い連中だ
魔王も真っ青
「えー、まずは皆さんいらっしゃい、心配をかけてごめんなさい」
「無事でよかったです」
「ポスカってどんな国?」
「ピエトロと同じくらいの発展度と見たら」
「こっちはコニー、サテンとメアリーと同じような身の上だ」
「灼熱の緋眼コートニーちゃんよ!」
「不思議な偶然だね」
「ツルツルな気がするら、タカネとお揃いら」
「タカネ、いつ帰って来るんですか?」
「うーん、今すぐと言う訳には・・・ポスカも復興しなきゃいけないし」
「タカネ様がそれに協力するんでしょうか?」
「魔王と言う立場もある、ピエトロに戻ったら各方面に迷惑をかける気がしてならない」
『・・・・・・』
不確定要素すぎて皆何も言えない
どうなるとも想像つかない
「だったらサテンもここに残ります」
「お前は今やピエトロの最重要人物だぞ?あまり離れるのも・・・」
「クリスティも残ります」
「お前だってピエトロの英雄じゃないか」
「メアリーはムっちゃん連れて帰るら」
「だからお前んじゃねーだろ」
「タカネちゃん、ミヤビちゃんが魔王を暗殺するからペガサスの馬車を出してくれて言って来たんだけどぉん」
「げ!お、俺、殺されるの?」
「魔王がタカネちゃんだって事を知らなかったからよぉん、手紙で事情を送っておいたわぁん」
「ほっ」
俺が知る限り、今んとここの世界で一番の強敵はミヤビさんだ
絶対に敵に回したくない
・・・しかし、各国の反応の一部を垣間見た気がする
魔王は討伐対象
単純にそう言う事なんだろうな、現時点では
「その為もあっての出入り調査なんですよ?暗殺者を国に入れない為の」
「エスト」
「東と西はタカネさんが壁を建ててくれたので見張りだけですが、北の海、南の国境付近でも厳しく入国審査を行っています」
「空を飛んでこれば簡単に入れるけどね」
「で、ですから調書を、タカネさんのお知り合いみたいですから簡単にで良いので」
外国人の調書を徹底
俺を守る為でもあったのか
そういう事だ、協力してあげてくれ
クリスティには厳しくしてくれていいぞ
その方が喜ぶ
「スリーサイズは91・53・84」
「エスト、そんな情報も必要なのか?」
「サテンさんの分だけ大臣が聞いて来いと」
「趣味になってるじゃないか、調べるならちゃんと調べろよ、ピーちゃんの性別とか」
「どおいう事ぉん?どうみても女でしょぉん?」
「・・・え?」
「なんじゃわれ、文句あんのか」
可哀そうなエスト
顎の割れたオカマに詰め寄られ泣きそうだ
「可哀そうでしょピーちゃん!他国で問題起こしちゃ駄目だよ!」
「あれはカオリだ、Dカップだ」
「はあ、特に聞いて来いとは・・・」
「大臣どこ?話があるんだけど」
落ち着けカオリ
魔王みたいな顔はやめろ
「ジュリエットです、イシュタル出身でこれからニルギスに行きます」
「先程魔法水晶を開発出来るとか・・・」
「今後魔法水晶の開発に関わる気はありません、ニルギスに行くのは他に作りたいものがあるからです」
「それは一体?」
「テレビです、映像を離れた場所に送る道具です」
へえ、ジルが作りたいって言ってたのはテレビだったのか
携帯電話開発も一段落して更に欲が出来たのかな
「タカネさん、携帯電話は人数分作ったので番号を聞いておいてください」
「お、おう」
「あとこれ、3台余分に作ったのでタカネさんがあげたい人に使って貰ってください」
「じゃあ取りあえずエストとコニーにあげる」
「何よこれ?」
「わ、私ですか?良いんですか?」
いいよ、ゾイドさんはおっさんだし
話すなら若い女の子が良い
あと1台余ってるけど保留だ
「離れた相手と話せるの?へえ、500年の間にいろいろ変わったのね」
「ジル、もう作らないの?」
「作りますよ、でも赤コウモリの羽の確保次第ですが」
そうだっけ、量産は出来ないんだよな
量産出来れば物凄く儲かるのに
「私ももっと欲しいわぁん」
「ピオリムおう・・・姫にはたくさん材料を援助して頂いて」
ピーちゃんも仲間とかに持たせたいのかな
また作ったらユーメリアに優先的に譲ってあげなよ
次からは有料で
「1台100万で売るつもりです」
「安いのか高いのは解んないな」
「破格ですよ!どのみち数が作れないので富裕層向けになってしまうと思いますが」
いいなあ、金儲け
しかし赤コウモリの価格が高騰しそうだ
レアアースみたいに
「調書は終わりです、皆さんゆっくりおくつろぎ下さい」
エストが出て行った
まあみんな、ゆっくりしてってよ
「うーん、魔法水晶はどうしましょう?」
「ニルギスに持って行く気は無いんでしょ?」
「はい、すでに7台稼働している国ですから」
力をつけさせるだけだもんな
ジルはそれを望んでない
「お世話になるつもりですが魔法水晶開発には絶対に手を貸しません」
「強気だ」
「携帯電話を作れる私を無下には扱えないはずです」
そうだな、あれば生活が変わる携帯電話
レシピを知ってるのはジルだけだ
「じゃあ他国に売る条件でニルギスに持ち掛けてみたら?」
ユーメリアで稼働している魔法水晶はニルギスから買ったものだと聞いた
どうせ他の国からもニルギスに受注が来てるはず
代金はお前が貰う形でそれに使って貰え
「・・・じゃあ出来れば、イシュタルに売って欲しいです」
「ああ、お前が居た国か」
「少なからずお世話になった国なので」
元々はイシュタルが手に入れるはずだった魔法水晶だ
それが一番収まり良いかもな
「でもぉ、イシュタルは魔法使いのジルちゃんをニルギスに取られたと思うんじゃないのぉん?」
「それは覚悟してます、ニルギスを選んだのはイシュタルが文句を言えないような大国だからと言うのが理由の一つで」
「他にも理由があるのぉん?」
「はい、というか美人コンテストに出たいからニルギスに行くんです、他の理由は些細なものです」
魔法水晶も些細な理由になり下がるジルの情熱
物凄く出たいんだな
エロい体を大衆に晒したいんだな
「解ったわぁん、ニルギスには私も付いて行って上手く話してあげるわぁん」
「ピーちゃん良い人すぎるな」
「あらぁん、私がニルギスに優秀な人材を紹介出来るのよぉん?ユーメリアにだって利益があるはずだわぁん」
打算だったか
まあペガサスの馬車を出してくれてるんだし、それくらいのメリットがあってもいいよね
「で、いつニルギスに行くの?」
ムッ「なんですかその早く行け見たいな・・・」
「ええ?そ、そんな事無いよ」
「タカネ酷いよ!」モミモミモミ
「便乗して来るなよカオリ」
「そりゃあ私は厄介な居候だったかもしれませんが」ブツブツ
「そんなことないぞー、携帯電話やらもろもろ助かったぞー」
「あ、そういえばコニーも嫌なら出て行けって言われた、こんなとこに勝手に連れて来ておいて」
「おいやめろ、それはお前が騙されたって言ったから・・・」
「タカネ酷いよ!」モミモミモミ
穢され続ける俺の胸
魔王なのにヒエラルキーが低い
「い、一番下は譲れませんよ?」
「・・・・・・」
クリスティが何か言ってるけど無視
「痛い!よくもやったわね!」
「そっちが先ら!」
あら、メアリーとコニーが喧嘩してるわ
おいおい、どうした?やめなさい
メアリーに押さえつけられるコニー
上級ハンターに敵う訳無い
悔しそうに顔をしかめるコニー
「み、見てなさい」パシャ
「わぁ!・・・ま、魔法を人に向けて撃ったら」
「コニー!何て事するんだ!」
「な、何よ!大した魔法じゃないわ?!」
「そういう問題じゃねえ!!」
バカヤロウ!
大声に恐れをなすコニー
「死ななきゃいいとか思ってんのか?お前の魔法が強くなってさじ加減を間違えたらどうする?!」
「こ、コニーをイジメる奴なんて・・・死んじゃってもいいわよ!」
「お前にも問題あるだろうが!全面的に相手が悪い訳じゃねえだろ!」
「な、なによ・・・」
「お前は口も悪いし態度も悪い、相手にストレスを与えているんだ、だからってイジメて良い事にはならないが、相手にずっと我慢しろとでもいうのか?」
「・・・・・・」
「・・・タカネ、メアリーも悪かったら、冗談のつもりだったら、でも通じなかったら」
良くある行き違い
初対面で起こりうる誤解
距離を一気に縮めようとして失敗したか
「タカネ、もう許して上げなよ」
「・・・そんな事してたら引っ込みつかなくなるんだぞ?魔王にでもなるしか無くなったらどうすんだ?」
「タカネ・・・」
「気づくなら早い方が良い、俺みたいになったら後戻りは出来ないんだからな」
自虐だ
俺は後悔してるんだ
取り返しのつかない事になってしまった現状を
何となく、居ずらくなって部屋を出る
どこに行くわけでも無く城の中を歩いた
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中庭
「あー、言いすぎちゃったかなー」
中庭では今日も兵士達が訓練している
彼らは訓練課程の2等兵
戦争が起き、祖国の為に立ち上がった若者たち
こっちをチラチラ気にしている
しゃがんでるからパンツが見えてるのかな
魔王を気にするのは普通か
カオリが来た
「タカネ、コニーも反省してるから許してあげてよ」
サテンが理路整然といかに魔法が危ない物かしつこく説教したらしい
俺のフォローをさせてすまない
本来親がすべき教育だ
嫌いな奴を土に閉じ込めた過去も含め、どんな教育してたんだろと思う
「田舎だったからね、魔法の事教えてくれる人も居なかったんだって」
「それでも魔法を使えるもんなの?」
「カオリはそこまで解らないよ、タカネの方が解るんじゃないの?」
イメージするだけだ
自己流で使えても不思議では無い
・・・そうか
知識不足による危機管理の欠如か
本人も回りも解らなかったんだな
「それよりどうしよ?サテンとクリスティはタカネと一緒に残るつもりだよ?」
「カオリとメアリーは?」
「私はどっちでも、メアリーはビックフットに会いたいから帰るって言うと思う」
「戦争は終わったけどまだまだ予断は許さない、皆には安全なピエトロに居て欲しいんだけどな」
「サテンだってタカネの事が心配なんだよ」
「それは解ってるんだけどさ」
自分は無茶して人にはするなと言う
そりゃ納得できないだろうけど・・・
俺の我儘だけどみんなには安全な場所に居て欲しい
「ピエトロが安全かどうかも解らないよ、魔王と一緒に住んでた者が危険分子と見られない保証ある?」
「うっ・・・それに関しては本当に申し訳なく思ってます」
「まあ今のところはタカネが魔王ってバレてないけどね、でも時間の問題だと思う」
情報が伝わりにくい世界
美しい女の魔王だという話しか伝わってないみたい
「情報も錯綜しててね、白髪の魔王って噂だったり、ドラゴンに乗った魔王だって話があったり」
「ムスタングがドラゴンって事になってるの?どこをどう間違えば・・・」
「噂なんて人から人に伝わるうちに湾曲していくものだよ」
無責任に肥大していくか
嫌だな、こんなに可愛い魔王なのに
「さて、私は彼らをちょっと訓練してあげようかな」
カオリが兵士達の元に走っていく
・・・お、そこそこ可愛いからモテてるな
模擬試合で相手をどんどんふっ飛ばしていく
デレデレしていた兵士達の顔が真剣なものに変わる
「手加減してやれよー」
「手加減などいらん!本気でやってくれ!」
おっと余計なお世話だったか
早く強くなりたいともどかしいのかな
祖国の為に志願した者達だ、今回の戦争に間に合わなかった自分達を歯がゆく思ってるかもしれない
無駄にはならないよ
脅威が無くなった訳では無い
使わないで済むならそれに越した事はないが、抑止力の為の力は必要だ
・・・それってまるで核みたいだな
元の世界では核を持ってる国が核を持ってない国に作るなと言っていた
物凄い矛盾した話なんだけど、新たに核を持とうとする国は悪みたいな風潮だったな
まあ北○鮮は悪かw国民を飢えさせてるしな
でも、核保有国が核を廃棄もせずにそれを言うのはやっぱり違和感感じる
牽制の為に持ち続けるのは変えられないんだろうけど、結局自分達が覇権握りたいんでしょ?って思っちゃう
「・・・魔法水晶か」
軍事開発が始まってしまった今、核にもなりえる魔法水晶
どうするのが正解なんだろうか?
もう止めようもない気がするが・・・
俺が抱えるには余りにも大きすぎる問題
「タカネさん!」
「エストか?どうした?」
「ノルウィー国からドラゴン騎士団が来ました!『魔王討伐の為に来た』と!」