127 コニー
翌日、ポスカは各国に戦争が終わった事を通達する
攻め込んできたソビキト、ゲルマニーを追い返し、ポスカの完全勝利として
「魔王参戦は伝えるんですか?」
「いや、各国に情報が伝わり始めているみたいだが、別にわざわざ説明しなくていいだろう」
それでいい
追い返す為にポスカが頑張ったのは事実だ
魔王の手柄は語られなくて良い
「ゾイドさん忙しそうですね」
「これから壊された街の修繕、亡くなった兵士、国民達の弔い、不足した兵士の補充、やることはいっぱいある」
「俺はどうしようかな、街の修繕なら手伝えるけど」
ピエトロに帰りたいけどもうちょっと様子を見たい
ソビキトとゲルマニーの動向
各国の動向
ポスカの今後
「あ、そうだ、バチェラって村で約束があるんだった」
「バチェラ?」
「ランドルフって国の小さな村ですよ」
他所の国のちっこい村なんて知らないよな
「うーむ、今ポスカを離れられるのは・・・」
「なんかマズいですか?」
「・・・解らん」
「問題無ければ行って来たいんですが」
「・・・戻って来てくれるのか?」
「取りあえずは戻ってきますよ」
さすがに後始末ほったらかしでは帰らないよ
ある程度安定して状況みないと帰れない
「むーん仕方ない、魔王の行動を制限するなと言う王の言葉もあるしな」
王様は俺に好きに行動して良いと言ってくれた
じゃあちょっと用事を済ませに行ってきますよ
泊りになると伝えてムスタングに飛び乗る
頼むぞムスタング、東南東へ
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バチェラ
夕方になっちゃった
やはり国境を2個も越えると遠く感じるな
「おお、あんたは、大丈夫だったのか?」
「何やらポスカで魔王が誕生したと聞いたが」
村人達が集まって来た
俺が魔王だと言う事はまだ知らないらしい
「魔王と言っても可愛らしい女の子でしたよ」
「しかしゲルマニーとソビキトの軍勢を追い返したんだろ?」
「何をしたか知らないが恐ろしい事だ」
「くわばらくわばら」
知らぬが仏
余計な事を言う気は無い
俺は約束を守りに来ただけだからね
「えーっと、山の上の風神様の祠を作り直したいって話でしたっけ?」
「ああ、資材の準備と加工はすでに済んでるが・・・」
「今からじゃな、運んで貰って夜中に雨でも降ったら・・・」
「出来れば明日にして欲しい、朝一で職人を登らせよう」
資材さえ運べば一日で建てなおせるらしい
今日はちょっと遅すぎるか
仕方ない、明日の朝一から頑張ろう
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次の日
昨日は村長の家に泊めてもらった
村の中では立派な方だがベットが硬かったな
いてててて
「職人はすでに向かわせている、後1時間ほどで祠に着くだろう」
よし、それじゃあ風神の祠まで資材を運ぶか
今日はムスタングに頑張って貰うぞ
取りあえずどうやって運ぼうか
資材を直接ムスタングが掴むと傷つけちゃうかな?
ロープで吊るして運ぶか?
ムスタングが掴みやすいよう持ち手を付けて貰って
「取りあえずハシゴからやってみよう、どのみち必要な道具だ」
あんまり重いと大変だしな
俺を乗せ、ハシゴを持ち上げムスタングが浮かび上がる
バランスに気を付けて、ゆっくりでいいからな
風神の祠ってどこだっけ?あの山の中腹?
直線距離なら500mくらいかな
しかしかなりの勾配だ
歩いて行くのは一苦労だろう
よし行けムスタング
お前ならひとっ跳びだ
お、あれが職人か?
狭い山道を登る豆粒ほどの人達
10人くらいいるな
こっちに気付いて手を振って来た
険しそうな道だ
確かに資材を運ぶのは厳しそう
中腹が見えて来た
ああ、山の谷間に祠があった
直接風にさらされない場所に建っては居るがボロボロだ
相当古いのが見て解る
ムスタングで祠の前に降り立つ
ハシゴを傷つけないようにな
そこの草の上に置いてくれ
「俺が乗ってない方がたくさん運べるよな、一人で戻ってくれ」
「キュピィィィン」
「バランスに気を付けてな、落としちゃ駄目だぞ?」
「キュピィン」
任せとけと言わんばかりに飛び上がり戻って行くムスタング
いつも俺の意図を理解してくれる頼もしい相棒
・・・なんでだろう
急に疑問に感じる
と、同時に心に湧き上がる不安
魔物使いという者が居るらしい
かつての魔王イスタークがそうだったとか
俺にもひょっとしたらその力が・・・
「うう、やめておこう」
首をぶんぶん振り、嫌な考えを払拭する
無理矢理違う事を考え、頭から追い出した
「この祠は壊すんだよな?建てるのは無理だけど壊すくらいは手伝うかな」
祠を見上げる
横幅、高さ共に10mくらいの平屋の建物
1階建てにしては天井が高そうだ
半開きになって5m程もある大きなドアが揺れている
建てつけも悪そうだな
中を見てみようか
「おお、なんかでっかい像がある」
建物の中央に大きな鳥の像が置いてある
暗くて上の方は良く見えないけどでっかいクチバシだな
『だれ?』
「うわあビックリした!!」
誰かに話しかけられた
キョロキョロ見回すが誰も居ない
どっから声がしたっけ?
敵意は感じないけど相手の姿が見えないのは不安だ
『こっちこっち』
「え?どっち」
『上、上』
上?
恐る恐る見上げるとこちらを見つめる大きな2つの瞳
像だと思った大きな鳥の頭がこっちを見てた
「なっ・・・」
『・・・人間か、祀ってくれてるんだから驚かなくてもいいじゃない』
「あ・・・貴方が風神様?」
『風神?ボクは風龍だよ』
風龍?
明らかに鳥なのに
しかし水龍はウーパールーパーだったし土龍はモグラだったっけ
・・・あれ、この鳥なんだっけ?
よく見たら昔TVで見た事あるような
なんか全然動かない鳥って言う紹介されてたような
背の高さは8mくらいで元の世界の物よりかなり大きそうだが確かに見覚えがある
『ねえ、ボクはルーカス』
「あ、ああ、私はタカネです」
『言葉が解るみたいだね』
「え?・・・ああ、何故だか解るんです、サページとペイルって解ります?」
『水龍と土龍じゃないか、勿論知ってるよ』
色々説明した
水龍と土龍にも会った事
異世界からユンフィスに連れて来られたこと
この祠を建てなおそうとしてる事
『ふうん、建てなおすんだ』
『キュピーン』
「あ、ムスタングが来たみたい」
外に出るとムスタングが資材を降ろしてた
俺の姿が無いから心配してくれたようだ
祠の中のルーカスと目が合い固まるムスタング
大丈夫だからまた戻ってどんどん運んでくれ
『良いグリフォンだね』
「ええ、賢くて頼りになる相棒です」
『建てなおすなら、ボクここから出なきゃ駄目かな?』
「・・・多分」
祠から動くのがめんどくさそうだ
職人が来てからでいいよ
さっきから首を少し動かすだけ
だから像と間違えちゃったんだよな
ムスタングが何往復かするうちに職人達が登って来た
風神様を手でシッシッと追い払うように祠から出す
結構雑な扱いだな
扉に頭をくぐらせ渋々出てくる風神様
うーむ、明るい場所で見るとすごい迫力だ
外に出て眩しそうに伸びをする風神
翼を広げると横に15mくらいありそうだ
動くたびに風が巻き起こる
危ないからちょっと離れた場所で休んでてよ
「壊すなら手伝いますが」
「女の出る幕じゃないよ、風神様と一緒に休んでてくれ」
それは俺の怪力を知らんからだ
資材を一つ手に取り振り回してみる
ほれほれ、頼りになるだろうが
「わ、解った、解体するから向こうに運んでくれ」
解体した祠は後で祈祷してから燃やすんだって
神聖な物だから手順があるとか何とか
この土地の風習だろうか
職人たちがどんどん解体していくのを俺が運ぶ
その間にもムスタングが新しい資材を運んでくる
解体が終わる頃にムスタングは資材を全て運び終えたようだ
基礎はしっかりしている
そのまま使って箱だけ新しくするのか
柱を立て梁を通すとこまで手伝って俺はお役御免
後は職人の範疇か
『お疲れさま』
「ああどうも、今日中に出来上がるらしいんで安心してください」
『ボクは古いままでも良かったんだけどな、隙間風が丁度心地よかった』
そうは言ってもな
人間側からするとボロボロのままにしておくのは粗末にしていると考えてしまう物だ
『言葉が通じないからその辺の齟齬は感じるよ、以前生贄を出された事があるし』
「へ、へえ、そ、それは・・・」
なんだかデジャブを感じる
前にもこんな事あった様な
『500年前にこの辺で大規模な土砂崩れが起こった事があってね』
「そ、ソウナンダー」
『それ一回きりだったんだけどボク人間なんて食べないから困っちゃった』
「・・・・・・」
目を反らしちゃった
今は厄介事を背負いこみたくないと言う気持ちからだろうか
『仕方ないからあの山の上で氷漬けにしてあるんだけど』
風龍ルーカスの翼が遠くの雪山を刺す
髙そうな山だ
しかし聞いてないのにどんどん説明するなあ
『言葉通じる人間が来て助かったよ、生贄を連れてってくれない?』
やっぱりか
俺はガクリと項垂れた
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ムスタングに乗り、風龍の後を付いて行く
ルーカスは雄大な姿で大空に飛び立ったが飛ぶのヘタクソだし遅かった
突風に煽られるとよろよろしてるし
のんびり上昇していく
目指す山の上はかなり標高が髙く、頂上付近は雪が積もってる
季節的には初夏を迎えたのだが一年中溶けないそうだ
『ぜえはあ、ぜえはあ』
「だ、大丈夫なの?」
『遠いね、運動不足かな』
フラフラになりながら飛ぶルーカス
もっと外に出て羽を伸ばさないと駄目だと思う
「サページとペイルにも生贄の女の子を預けられたんですが」
『ボクの生贄も女の子だよ、良かったね』
いや、良かったって言うか
・・・まあ男よりは良いけどさ
というかまた500年前の生贄なんだよな
奇妙な偶然なのだろうか
「500年前にな・・・」
『あ、見えて来たよ、あの氷穴の中』
話が途切れちゃった
雪山の頂上付近にクレパスが縦に走っている
うう、風が寒い
ムスタングは平気か?
さっさと降り立ってしまおう
ルーカスを抜かし、クレパス付近に降り立つ
後からゆっくりルーカスが近づいて来る
・・・着地もヘタクソだった、滑ってひっくり返るルーカス
『い、いてて』
「怪我は無いですか?」
『大丈夫、結構丈夫なんだよ』
風神が着地に失敗して怪我したんじゃ目も当てられない
かろうじて面目は保ったな
クレパスの中は結構深そうだ
ルーカスが歩いて中に入り、奥に向かっていく
『付いて来て、中の方が暖かいよ』
風が無い分中の方が暖かい
大きなクレパスだな、天井の方がすこし明るい
天井付近は氷が薄い箇所があるのだろう、光が差し込んでいるみたいだ
しばらく歩くと広い場所に出た
・・・祭壇がある
明らかに人間の手が入った後がある
『酔狂な人間が昔ここで修業をしてたんだよ』
信仰かな
人類未開の地と思われていた山の頂上に到達して見たら、すでに人間の修行の後があったと言う話は聞いた事あるけど
祭壇の上に棺のような形をした氷が見えた
近付いて表面の霜を落としてみる
素っ裸の女の子だ
安らかな顔で眠っているように見える
『仮死状態だよ、今起こすね』
こっちの心の準備が出来る前にさっさと行動に出るルーカス
ここで起こすの?
下山してからの方が良さそうだけど
『こんな物持って降りると凍傷になるよ』
・・・そうかも
まあいいや、荷物の中に毛布があったはずだ
取りあえず包んでさっさと降りよう
ルーカスがクチバシで軽く氷を突くとガラスが割れるように氷が砕け散った
すぐに女の子を毛布で包み温めてやる
当然だが体が冷たい、死んでるようにしか見えない
可愛い子だな
15歳くらいかそれよりちょっと若いか
髪は藍色、顔が小さい
目を瞑っているので色は解らないが睫毛が長い
眉の形も整っていて綺麗だ
鼻は低く小さいが顔自体が小さいからバランスが良い
口から微かに覗く歯も綺麗だ
ん?八重歯が見えた
綺麗な歯並びに突然現れる可愛らしい八重歯
体は貧相だ
幼児体系で胸はほぼない
股間はツルツル
俺とお揃いじゃん
お、目がパッチリ開かれた
燃えるような真っ赤な瞳
起きたのか?
「気が付いた?」
「・・・何よ貴方、ここはどこかしら?」
『ボクの事覚えてる?』
「あ!鳥!・・・貴方私をこんな寒い場所に連れて来て!」
『村に返そうと思ったのに受け取って貰えなかったんだもの』
「だからってこんなトコに連れて来なくていいでしょ?!食べないなら育てなさいよ!!」
『嫌だよ』
一言だけ言ってそっぽを向くルーカス
ぐぬぬと手を伸ばし暴れる女の子
・・・どういう事だろ
返そうと思ったのに受け取って貰えなかった?
『生贄と言う名の厄介払いじゃないかな』
「な、なんですってー!!」
俺の手から飛び降り、毛布をはだけルーカスに飛びかかる女の子
氷漬けだったのに随分元気だな
素っ裸でルーカスの脚に噛み付く
お、おいおい大丈夫か?
ルーカスは何ともないようだけど・・・
「ず、随分凶暴な子だなぁ」
『と言う訳でボクも厄介払いしたいんだ』
「それで俺に?ひどい理由だな」
『このまま永遠に氷漬けにしといても良かったんだけどね』
「ガジガジ、まっずい脚ね!ガジガジ」
「ま、まあまあ、何はともあれ復活出来たんだからさ」
「貴方誰よ!この鳥の何なのよ!」
別に、何でもない
しいて言うなら親切心で手伝った挙句、厄介者を押し付けられる可哀そうな人だ
「いいわ!貴方私の子分にしてあげるわ!」
「ええ?養ってくれるの?」
「なんでよ!子分だからあなたが働きなさいよ!」
ふざけんな
子分の面倒を見るのが親分の務めだろうが
何もしないならただ煩わしいだけの存在だ
「この鳥も子分になる事を断ったのよ!生意気にも!」
『ボクは風龍、鳥じゃないって言ってるでしょ?』
「知らないわよ!」
「・・・お前、捨てられたんだな」
「な!そんな事無いわ!多分可愛い子には旅をさせろ的な何かよ!」
生贄に出されたんだからその前提はおかしい
存在を消されそうになったんだぞ?
おそらくは親と周りの手によって
・・・そんなに疎まれてたのかな
いくら凶暴でも捨てる事は無いんじゃないだろうか
「魔法を使えたから嫉妬はされたわ!みんな僻んでたのよ!」
「魔法使えるのか?」
「ふっふーん、尊敬した?ひれ伏していいわよ」
「いや、俺も使えるから」
「な!生意気ねぇ~」
「・・・なんか、やらかしたんじゃないの?だから生贄にだされたんじゃ?」
「・・・・・・」
目を反らす女の子
100%やらかした顔だ
「・・・ちょ、ちょっとだけ悪い事をしたわ」
「ほう、言ってみ?」
「・・・嫌な子を土の壁で閉じ込めて放置したのよ」
!!
そんな事したら窒息・・・
「そ、そこまで私も鬼じゃないわ!壁の下の方に小さな空気穴は作ったわよ!這いつくばって空気を吸おうとする姿は滑稽だったわ!」
「・・・何されたか知らないけどよぉ」
「な、なによその顔、そんな責めるような目で見ないでよ・・・」
幼い
体も幼いが心も幼い
そんな人間が力を持つと危険だ
・・・・・・
自分と少し被る
身に余る能力を持って持て余している
どう使えば良いか解らない
この子は俺と一緒なんじゃないか?
「・・・ふう仕方ない、俺が面倒見てやるよ」
『良かった、また凍らせるのめんどくさいしね』
「な、なによ!今度はそうやすやすと凍ってやらないわ!」
「お前名前は?」
「名前?・・・プリンセスちゃんよ!」
「嘘つけ、つか逆にダサいだろその名前」
「ぐぬぬ、じゃあ仮の名を教えてあげるわ、灼熱の緋眼コートニーちゃんよ!」
「・・・・・・」
「呼びにくいならコニーちゃんで良いわよ」
じゃあコニーで
13歳だってさ
「え?500年経ってるの?」
「ああ、お前の親も生きてはいないと思うが・・・」
「・・・嫌な奴らが全員死んでるのね、ざまあみろ!」
「お前屈折してるな」
「ねえ寒いわ、エロ鳥は私の服をどうしたのかしら?」
「切り替え早いな」
『服はそこに・・・』
氷の壁の中に何かが埋まってるのが微かに見えた
500年の間に埋もれちゃったんだな
どうせもう着れないから新しいの買ってやるよ
「さっきからチラチラ視界の隅に見え隠れしてるこの生き物は何よ?」
「グリフォンだぞ?知らないのか?」
「キュピィーン」
「子分2号ね」
「おい、1号は誰だよ」
もう、寒いからさっさと山を下りるぞ
毛布をしっかり巻き付けるコニー
跨るから脚がどうしても出てしまうな
風除けになってやるから後ろに乗れ
「しっかり掴まれよ」
「・・・おっぱい大きいわね」
「ああ、揉むなよ?」
「女同士でそんな事する訳無いでしょ」
する奴がいるんだなこれが
大空に飛び立つムスタング
「でも生意気だから揉むわ」モミモミ
「振り落とすぞこのやろう」
ルーカスを祠までしっかり送り届ける
ヘロヘロになってたからな
祠は半分くらい出来上がってた
念の為、村に寄って生贄の事を聞いてみたけど誰も知らないって
またしても歴史の闇に葬られた一度だけの生贄だったのだろうか
「ねえ、ポスカって国に行くんでしょ?早く行きましょうよ」
コニーは全然興味ないみたい
生まれた村なんじゃないの?
500年の間に随分変わっただろ?
「昔から都会にしか興味が無いわ?」
「それは田舎者の考えだからな」
「うっさいわね!さっさと行くわよ!」
なんだよ、服くらい貰ってやろうと思ったのに
村長に挨拶に行くと気を使って服をくれた
けど気にいらなかったみたいでそっぽを向くコニー
お前善意でくれるって言ってんのに・・・
村長に謝って丁重にお断りする
店も無いから近くの街に寄らないと
村の人達に礼を言われ飛び立つ
途中、大きな街に寄りコニーの服を揃える
遅くなったな、今日中にポスカに帰れるだろうが夜中になりそう
「まだ遠いの?」
「ああ、夜中になる」
「そんなに?!飛ぶのは悪くないけどどこかで泊まって行きましょうよ」
「皆、魔王の帰還を待ち望んでいるからな」
「へ?魔王?」
説明してると遅くなる
悪いが飛ばしてくれムスタング
今日は働かせっぱなしでごめんな
目指せ西北西、ポスカの首都へ




