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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
125/134

125 茶番

「うう・・・ん、ムスタングおはよう」

「キュピィーン」


良い天気だな

戦争中とは思えない爽やかな朝だ


ゾイドさんが来た


「シェリルは吐きましたか?」

「ううむ、兵器の製造法を漏らすとなるともう国には帰れない、何か保証が欲しいと言ってな」


うむ、まあ当然と言えば当然か


「保証ってのはどういう・・・」

「身の安全の保障、怒らないと言う保証、持てはやしてくれる保証だそうだ」

「へ、へえ」

「さらにこれを魔王にも適用させろと」

「・・・・・・」


馬鹿じゃねえのアイツ


「それで、ポスカ側の意見は?」

「う、ううむ、魔王は我々の手に負えるものではないと言ったんだがな」

「当たり前ですよ、なんで26歳の女をチヤホヤしなきゃいけないの」

「な、なかなか可愛いとこもあってだな」

「おい、流れがおかしいぞ」

「ルビーのスイッチ同士だと解ると親近感がだな」


何を懐柔されてるんだよ

呑気なもんだな


「む、むう、ワシは独身でな」

「ええ?シェリルは敵ですよ?既婚者ですよ?」

「旦那は優しかったから結婚しただけだそうだ、愛していたかは微妙みたいでな」

「だからゾイドさんが寝取るの?ねえハニートラップだとは思わないの?」


何を言い出してるんだよ

大丈夫かこの国


「ゾイドさん、まだ戦争は終わってないんだからお花畑みたいな考え方じゃ困るよ」

「むう・・・すまない、確かに気の迷いがあったかもしれない」

「シェリルは敵です、兵器を開発した女です、ポスカを恐怖のどん底に落とそうとした女なんですからね」

「そうだな、命令されて無理矢理作らされたとは言え、許されるものではないだろう」


無理矢理作らされたとは言え、どんな気持ちで作ったんだろうか

ルビーの魔法使いなら反抗も出来たはずだ

それなのに兵器を完成させてしまった

どうなるか考えなかったのだろうか


水晶の間


「こんなとこに閉じ込められてたのか」

「な、何?乱暴するなら、へ、兵器の事は話さないから」


シェリルは水晶だらけの部屋に閉じ込められてた

魔法使い対策用の部屋だな

多分ここで魔法使っても水晶に吸い込まれる


「どの道、お前に選択肢は無いんだぞ?兵器の事を話さなければどうなると思う?」

「・・・こ、殺す・・・とか?」

「おい、人聞きが悪いな、どんな人畜だよ」

「え・・・じゃあ・・・どうするの?」

「お尻ぺんぺんする」

「ええ?い、嫌ぁ」

「こう、腕に抱えてぺんぺんされるんだ、子供みたいに」

「は、恥ずかしい、やめて?」

「だったら早く言いなさいよ」

「・・・・・・」


そっぽを向くシェリル

おうおう、反抗的だな


「よさないか!」


ゾイドさんが入って来た


「魔王と言えど理不尽な行為は許さん!」

「どいてくれ、口で言って解らないなら体に覚えさせなければならない」

「そんな暴挙はこのポスカ将軍ゾイドの目が黒いうちは許さん!」


俺とシェリルの間に入って立ち塞がるゾイドさん

ゾイドさんの目は茶色だけどな

言葉のあや


「わ、私を守ってくれるの?」キュン

「ああ安心しろ、敵わなくても刺し違えるくらいはしてみせる」

「・・・今日は見逃してやろう、だが兵器の事を話さないようならまた来るからな」


水晶の間を出る

茶番は終わりだ

後は打ち合わせ通りゾイドさんに任せよう

チョロそうだから上手くいくと思いたい



メイドちゃんが来た


「魔王様、北の方でドラゴンが出たらしいのですが、現在ハンターも戦争に駆り出されていまして」

「そっか、じゃあちょっと狩って来るよ」


北に行って狩った


「タカネさん、戦争に乗じて盗賊達が火事場泥棒を」


盗賊達をこらしめた


「魔王よ、ゲルマニー方面で大量に怪我人が出た」


飛んで行って治してあげた



「はあ、なんだよ忙しいな」


首都に戻って来て一休み

もう夕方か

今日は息つく暇もないほど忙しいな


「タカネ殿、シェリルが兵器の事を話してくれた」

「話してくれたと言う言い方は引っかかるけど良かったですね」

「素直な良い女だと思うが」

「・・・・・・」


ゾイドさんはまだ目が覚めてないっぽい


「そ、それでだな、しばらく風呂に入ってないので入りたいと言ってだな」

「兵器の事を話したんなら、それくらいしてあげればどうですか?」

「むう、しかし一人で入れる訳にも」

「手枷してるんだからおかしな事も出来ないでしょ・・・つか、ゾイドさんが一緒に入るとか」

「ば!!バカな事を言うな!」


えー、気を使ってそう言ってあげたのに

どうせ入りたいくせに


「メイド達も敵国の魔法使いと言う事で怖がってな」

「トイレはどうしてるんですか?」

「トイレは水晶の間にあるから一人で用を足している、だが風呂は・・・」

「・・・俺に一緒に入れって言ってるんですか?」


やだよあんなめんどくさい女

シェリルだって俺と一緒は怖いはずだ


「いや、手枷は外せないので魔王に体を洗わせると言ったら、少し嬉しそうだったが」

「俺にメイドみたいな事をさせるのが嬉しいんでしょうか?てか俺そんな事するなんて言ってないのに」

「た、頼む!この通りだ!」


頭を下げるゾイドさん

シェリルの為にそこまでするアンタが心配だ

やれやれ、仕方ないな


水晶の間に行くと、偉そうに足を組んだシェリルが待ってた

ふふんと鼻を鳴らすシェリル


「・・・大浴場に行くぞ」

「お姫様抱っこ」

「はあ?普通に歩けるだろうが」

「無理、早くして」


随分と強気だな

俺はお前をチヤホヤする気無いのに

ゾイドさん、余計な事言ってないだろうな?


「はやくぅ」

「そういう甘えは男には通用するが女には逆効果だぞ?」

「・・・みんな私が美しいからって嫉妬して」

「嫌われてたのか?お前の態度の問題だと思うけど」


むくれるシェリル

仕草が子供みたいだ

だが見た目は年相応

お前が悪い


「絶対歩かないから」

「俺は困らないけど、むしろ助かる」

「ううう、お風呂~」


入口でゾイドさんが頼むと言う目で懇願してくる

もう、甘やかすとロクな事にならんと思うぞ?


「解った行くぞ、お姫様」ヒョイ

「キュン♡」


シェリルをお姫様抱っこで持ち上げる

気が重いせいか体重も重く感じる

それを言ったら絶対ヘソ曲げるだろうから言わないけど

はーあ、なんで俺がこんな事・・・


「タカネの腕、柔らかくて気持ちいい」

「呼び捨てかよ、つか自己紹介したっけ?」

「ゾイドさんから聞いた」

「・・・・・・」

「男にお姫様抱っこされてもごつごつしてるから気持ちよくないんだよ?」

「知らんわ、女同士でこんなことしてる状況の方がおかしいわ」


あと子供みたいな喋り方辞めろ

すげーイライラする


「旦那が居るんだろうが、他の奴にお姫様抱っこをさせるのは裏切りではないだろうか?」

「タカネって真面目なんだねー」

「・・・浮気した事あるの?」

「クスクス、良い女なんだから当たり前でしょ?」


ああ、こいつ嫌いだわ

自分は何しても許されると思ってる

だから態度も横柄なんだ


「しかし・・・それも歳と共に思うようにいかなくなったと」

「・・・・・・」


沈んでやんの

当たり前だ、ちやほやされるのは若い内だけだ

ゲルマニーは特に若い子が尊ばれるんでしょ?


そうこうしてるうちに大浴場に着く

脱がせろ?

命令されるのは嫌だけど脱がせる行為はやりたいから黙ってやります

・・・下着、やっぱり付けてなかったんだな

手枷してても脱がせやすい服だった


俺も服を脱いで脱衣所から浴場までお姫様抱っこ

ちょっとの距離なんだから歩けよ

つか浴場でお姫様抱っことか滑りそうで怖くないか?

よく身を任せられるな


シェリルを降ろして取りあえずお湯を湯船にはる


「優しく洗ってね」

「何日風呂に入ってないんだ?」

「戦争が始まってからずっと、もう、来たくなかったのに」


魔法使いだろうが、自分でお湯出せないのかよ

ものぐさなのかな

全部やって貰ってたって感じだしな


「それなのにどうして兵器を作った?」

「そ、総統は偉い人だしホモだし」


ああ、そういう話だったな

お前にも容赦なかったんだな


賭け湯をして体を洗ってやる

手を拘束されてるんだから仕方ない


「おっぱいは優しく洗ってね」

「はいはい」


優しく優しく円を描くように

シェリルから変な声が出てるけど気にしない


「・・・股間も?」

「当たり前でしょ?」


望むところでもあるけどさ

でももっと若い子が良かったな

26歳は俺の守備範囲からも少し外れている


「ほれ、洗い終わったぞ、流すからな」シャー

「きゃ!・・・・・・気持ちいい」

「シャワー初めてか?」


魔法のシャワーに最初はびっくりしたが、気にいったみたい

聞けば地球以外の他の世界から来たらしい

シャワーくらいなかったのかよ

・・・兵器も無かったから作るのに躊躇しなかったのかな


「これいいね、タカネは私のメイドになりなよ」

「お前調子に乗んなよ?」

「お、怒らないでよ、光栄な事でしょ?」


馬鹿だ

現実を解ってない

いや、認める事が出来ないんだろう

チヤホヤされた思い出が忘れられない

歳と共に失っていくものに抗えない


「お前は囚人なんだぞ?本来なら裸で壁に手をつかせて冷水ぶっかけるところだ」

「ひ、ひどい、そんなの嫌、兵器の事話したのに」

「だから容赦してやってんだ、だがお前の態度次第ではこっちだって扱いを雑にするからな」

「持てはやしてくれる約束なのに」

「それはポスカとの約束だろ?俺には関係無いもの」


むくれるシェリル

めんどくせえ女だな

シャワーをやめ、一本の勢いの良いカランにする


「お尻洗うぞー」

「きゃ!な、なんか急に勢いよく!」

「これはウォッシュレットと言ってだな、俺の元の世界の伝統の・・・」

「ううう、へ、変な気持ち」

「ちなみにこれはビデと言って・・・」

「きゃあああああああああ!!!!」


シェリルがぐったりした

念の為に言っておくが俺は体を洗っただけ

だから完全にセーフ

これをアウトだと思う人は心が汚れていると思う


ぐったりシェリルを湯船に入れる

沈まないよう気を付けなきゃ

シェリルが項垂れながら口を開く


「・・・カミラを助けたいんですってね」

「ゾイドさんだな、余計な事ばっかり言って」

「私あの子嫌い、私が美人大会に出たかったのに」

「・・・・・・」


国の代表は国で決める

若いカミラちゃんが選ばれるのはゲルマニーにとっては必然


「だが、他の国は違うぞ、ホメロスの代表は子持ちの人妻で19位だった」

「・・・ゲルマニーを捨てる覚悟が出来たよ」

「軽いなwww」


そうと決まればポスカの為に尽力してくれ

旦那さんは可哀そうだが愛されてなかったんだな

こんなバカな女と結婚したんだ、自己責任だろう


風呂からあがるとエストが報告に来た


「ソビキト兵は完全に追い返しました」

「そうか、もし必要なら国境に壁を建てるよ、半年以上持つはずだ」

「軍部と相談します、あ、タカネさん」

「ん?」

「私、上等兵になりました、タカネさんとの行動を認められて・・・」

「おお、良かったね」


一等兵から上等兵になったそうな

エストは14歳なのか

若さから言うと異例らしい


「将軍が頼りないから頑張るんだぞ」

「ははは・・・まさか敵の魔法使いに恋をするとは」


困ったもんだよな

ポスカの未来はお前にかかっているのかも知れない

頑張れよ


「・・・少し、稽古をつけて貰えませんか?」

「うーん、風呂に入ったばかりなんだが」

「そ、そうですよね、すみません」

「いや、後で一緒にもう一回入るか」


やっぱ一緒に風呂に入るなら若い子の方が良い

そんな訳で中庭へ

100人くらいの兵士達が訓練していた

まだ課程訓練が終わってない二等兵らしい

国を守るために急遽志願した者達

しかし、訓練もせずに働かせれば無駄死にするだけ

歯がゆい思いをしながらも、定められた訓練を黙々とこなす


「エストはナイフ使いなのか」

「通常よりは大きいナイフなんですが、あ、勿論今は木の模造品を使いますね」


反り返った少し大きめのナイフ

喉辺りを切り裂くのに丁度良さそう

エストが俺の分の木の武器も持って来てくれる


「ここまで来ておいてなんですが、タカネさんが武器を使う機会をまだ見てませんでした」

「俺は大陸3位を瞬殺したぞ、殺してないけど」

「そ、それはすごいですね」


相手にとって不足どころか有り余る

エストが武器を構える

飛び込んで来たがそれをいなす

うん、まあ、メアリーより全然弱い

ハンターで言うと下級の真ん中くらいかな


「て、偵察兵なので」

「盾を持たないのは飛び込みが遅れるから?」

「はい、私は力よりも素早さを生かしたいです」


うん、まあ体も大きくないし適正もそうだろうな

ミヤビさんタイプを目指す方が良い

あのレベルまで行けとは言わないが


飛び込んでくるエストをいなしながら胴にエストックの腹を当てる

30回くらい死んだところでエストの息が切れてくる


「はあっ、はあっ」

「どうしたどうした?今のままじゃ祖国の役に立てないぞ?」

「ま、まだまだ!」


打たれても打たれても向かって来るエスト

根性はあるんだな

さすがは魔王に付いて来ただけの事はある


祖国の為、大事な人を守る為

エストの特訓は夜まで続いた

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