124 捕獲
朝
「じゃあ魔法使い捕まえて来ますよ」
「ああ、気を付けてな・・・気が乗らない仕事をさせてすまない」
ムスタングに乗り込み飛び立つ
今日は俺一人
魔法使い一人くらいなら乗せて飛んで来れる
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飛び続けて2時間
あれかな?西へ向かう幌馬車
馬車の前に降り立ち進路を塞ぐ
すぐにゲルマニー兵達が向かって来るがイナズマで気絶
「さて、中に居るのか?降りて来い」
「・・・・・・」
降りてこない
気配はするから居るのは間違いないのだが
「無理矢理降ろしても良いんだぞ?」
「・・・い、いや、乱暴しないで」
ん?結構弱気な声
幌馬車の中を覗くと露出の多い服を着た女が涙目で震えていた
「な、なんでも言う事聞くから」
「・・・だったら降りろ」
「ら、乱暴しない?」
「拘束はさせてもらう」
そう言って水晶の枷を見せる
目に見えて怯えが強くなった
「い、いやっ」
「そんな事言われても、魔法使いなんだから仕方ないじゃん」
「こ、来ないでっ」
おっと火の魔法を使って来た
すっと避ける
あぶねえな
あ、幌馬車に魔法の炎が燃え移った
何してんのこの人
水の魔法で火を消す
「きゃっ」
「・・・ずぶ濡れになったな」
「ひ、ひどい」
「なんでだよw」
イジめられたって顔をするんじゃない
ほれ、風の魔法で乾かしてあげるから
おお!露出の多い胸がボヨンボヨン揺れる!
ちょっと長めに魔法を使ってやった
すごく悲しそうな顔で意外と大人しく拘束される魔法使い
しかしエロいな、サテン程ではないがジルにも負けない体と美貌
青色の髪、おっぱいが半分以上見えてスリットが深く入った黒いドレス
下着着けてないんじゃないだろうか
戦争に来る服装じゃないぞ
「お前がシェリルだな?歳は?」
「に、26歳」
「もっと抵抗するかと思った、露出多い癖になんでそんなに弱気なんだよ」
「ろ、露出多いのはこうでもしないとチヤホヤされないから・・・ゲルマニーは若い女を尊ぶ国だから」
ああ!カミラちゃんがそんな事言ってたな
そうかそうか26にもなるとそんな苦労が待ってるのか
「うう、12年前にゲルマニーに来た頃はチヤホヤされたのに次第に・・・」
「そんな恨み言言われても・・・ってそうだ、お前もスイッチなのか?」
「う、うん、ルビーの万能型」
「万能型なのか」
「で、でも、剣は持った事無い・・・怖い」
俺のエストックをチラ見して身震いするシェリル
せっかくの万能型なのに剣の訓練はしてこなかったのか
勿体ないな
いや、まだ信用するのは早い
油断させといてグサリとか嫌だからな
「兵器はどこだ?」
「そ、そこの荷物の中」
「首都まで運ぶぞ」
「ヒィ!!グリフォン!!」
「大人しいから」
「首都・・・?ポスカの捕虜になるの?」
「ああ、魔王の捕虜だがポスカ預かりだ」
「な、なんでも話すから拷問だけは」
「正直に話すなら拷問は無いと思うけど」
「で、でも、知らない事聞かれて『知らない』って言っても『嘘つくな』って言われそう・・・」
「うーん、無いとは言えないけど」
「い、いやぁ、た、助けて」
「・・・お前何で戦争に来たの」
「来たくなかった、で、でも総統が無理矢理」
兵器開発者として効果を見定めて来いと言われたとの事
「乗せるぞ」
「!・・・だ、駄目!そんな脚を広げないで!」
「そんな事言われても、じゃあ腹ばいで横になって乗るか?」
「お、女の子座りじゃ駄目なの?」
「ええ?手を拘束してるんだから危ないと思うけど」
「じゃあお姫様抱っこで運んで欲しい」
「お前どんだけチヤホヤされたいんだよ」
捕虜だぞ
立場わきまえろ26歳が
「に、26歳でも女の子だもん」
「淫乱みたいな恰好で女の子とか言われても」
「い、淫乱!?ひ、ひどい」
ああ、めんどくさい女だ
あれ?結婚指輪してる
「・・・結婚してるのに女の子とか言ってんの?」
「女の子は何歳になっても女の子」
「はいはいもういいわ」
「きゃ!そ、そんなに足広げちゃ駄目ぇ~」
シェリルの股を無理矢理広げムスタングに乗せる
シェリルが泣きわめくがもう無視だ
人妻のクセにカマトトぶってんじゃねえ
ケツを叩くと少し静かになった
良いケツしてやがんな
その後ろに乗って飛び立つ
さあ戻ろう
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首都に戻ってシェリルを預ける
結局飛んでる間中泣いてたな
男の兵に連れて行かれそうになるのを嫌がる
変な事はしないと思うけど
「一応聞いておくけどエッチな尋問とかあるの?」
「ヒィッ!」
「わが国では女性に対してそのような扱いは許されておりません」
「だそうだ」
「・・・女性じゃ無くて女の子」
「だ、だそうだ」
「お、女の子として扱えと?」
めんどくせえよなw
エッロい体してるくせに
「さっきあの人にお尻叩かれた」
「お前がウダウダ五月蠅いからだろうが」
「むう、魔王の行動は私では止められない」
「・・・偉い人なら止められるの?」
「俺は誰かに仕えている訳じゃ無いからな」
「・・・・・・」
なんだよ、随分根に持たれたかも知れない
兵士に告げ口して怒って貰いたかったのだろうか
会ったばかりの人間にそんな事を期待するなよ
しかもお前は敵だぞ?
まあいいや、俺の仕事はここまでだ
後は任せよ
2時間後、ゾイドさんが来た
「あいつは甘い顔すると駄目だな」
「wwwシェリルの事?」
「かといって厳しくするとすぐ泣くしどうしろというんだ」
ゾイドさんも手を焼いたみたい
26歳なのに甘ったれだ
結婚してるのに・・・
結婚相手にも相当甘やかされてるのかな
「そうらしい、子供も育てるのが嫌だから居ないそうだ」
「でも、結婚してるのなら旦那は心配してるだろうな」
「そうだな、ノロケ話を聞かされたぞ」
「肝心な事は聞けたんですか?」
「ああ、兵器の事だが」
出来上がったのは半年前
現存してるのは戦争に持って来た5個とゲルマニーに少数
ただし今も他の魔法使いが製造中だとか
「一度、どれほどの威力か見ておきたい」
「ああ、試しに使ってみます?」
そんな訳で首都から1時間離れた荒野へ
魔力を注入すると光りはじめた
どんな仕組みなんだろうか?
おっと、飛ばさないと爆発するんだっけ
弓で遠くへ
一応もうちょっと離れる?
威力が解んないからな
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ボガアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンン!!!!!!!!!!
うおおおお!結構な威力だぞ!!
少し遅れて熱風で顔が熱くなる
熱量がすごいのかな
「な、なんと恐ろしい」
「私のメテオより効果は小さいって話だったけど・・・」
「メテオか、古の魔法だな」
「ゾイドさんは見てないっけ?見ておきます?」
「うむ、後学の為に見せてもらえるか?」
はい、メテオ
空から光の線が落ちてくる
ズガアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!
「・・・世界の終わりのようだ」
「うーん、威力は俺の魔法の方が大きいけど、兵器は爆発だから殺傷範囲が広いような」
メテオは一点集中型
隕石が落ちた場所に力が集中してる
落下地点に居たら圧死は必須だけど、少し離れれば衝撃で吹っ飛ばされるか破片で怪我はするだろうが死ぬほどではないだろう
だが兵器は広範囲に威力が伸びるように見えた
結構離れた状態でも熱を感じる
もっと近くに居たら無事ではすまないだろう
「核ってこんな感じなのかな」
「放射線は無いだろうが」
「ゾイドさんも地球から来たんですか?」
「ああ、ブルガリア人だ」
おお、ヨーグルトの
そっか、じゃあ核の事は知ってるんだな
「しかしこんな物をポスカ攻略に使おうとしてたとは・・・」
「シェリルを甘やかす必要は無いですよ、こんなもん作りやがって」
軍事開発は成功していた
もう魔法水晶を作る作らないの話じゃ無かったんだな
「はあ、ソビキトも兵器作ってるって話だし」
「こんな物を我が国も開発せねばなるぬのだろうか」
抑止力としての兵器の事を言ってるのかな
兵器開発か
シェリルを捕獲したんだから聞きだせるけどさ
・・・気が乗らないな
俺が魔法水晶開発をやめたところですでに兵器は作られていた
おそらくはもう止められないのだろう
兵器転用できるとなると各国の研究は過熱化するはずだ
他国を攻める気が無くても抑止力として持っておかねばならない
結局スイッチを転移させた結果がこれだぞ
ユンフィスは一体何を考えてるんだ?
こんな世界がユンフィスの望みだったのだろうか
「・・・始まってしまった物は仕方ない、シェリルから開発法を聞き出そう」
ゾイドさんは切り替えたか
それしかないんだろうな
解ってはいるんだが
「タカネ殿はまだ若い、憤りもあるだろうが先に進まないとしょうがないんだ」
「・・・そうですね」
ゾイドさんの中ではどうしようもない事を悩んでも仕方ないと言う結論が出ているのだろう
歳を重ねる中で導き出た結論
問題が起これば対処しなければならない
それは、早ければ早いほどいい
城に戻って来た
『・・・そう、兵器はもう作られてたんだね』
「ああ、結局止められなかったんだ」
『タカネ、元気出してよ、タカネのせいじゃないよ?』
・・・トランシーバーから聞こえるカオリの声を聴きながら考える
魔法水晶を作り出したジャミロ
兵器を作り出したシェリル
どちらもスイッチ
この世界は文明レベルをすっ飛ばして核を作り出してしまうのだろうか?
どこかの国が世界征服を考えたりするのだろうか?
『そんなの魔王様が許さないでしょ?』
「ああ、絶対に許さない」
『タカネ、カオリは正義の味方だからね』
「え?ああ、うん」
『魔王がわっるい事してたら止めるし』
「まずお前が俺の胸を揉むのをやめろ」
『小さな悪より大きな悪』
「なんの話してんだ?」
『タカネが迷ってるみたいだから背中押してあげてるんだよ、タカネが間違ったら胸を揉みに行くから好きなように動いてみたら?』
「俺が暴走しないようカオリが防波堤になってくれるのか?」
『任せといてよ』
不安だ
でも気持ちはありがたいから受け取っておく
『取りあえず早く終わらせて帰って来なよ、サテンが心配してペガサスの馬車呼ぼうとしたんだから』
「え?来る気なのか?戦争中だぞ」
『うん、だからペガサスの馬車も飛ばせて貰えなかった、早く終わらせてよ』
「うーん、簡単に言うけどな」
『早くしないとホンダとシャネルで行くからね』
解った解った
じゃあな
「魔王様、ソビキト兵は順調に撤退中らしいですよ、明日にはすべての兵を追い返せそうだとか」
メイドちゃんが嬉しそうだ
東側の制圧は時間の問題か
「国民の間でも魔王様の事が噂になり始めてますよ」
「・・・どんな噂?」
「絶え間なく水を噴射させる絶世の美女だと」
おい、なんかエッチな響きだぞ
良い噂なの?
ポジティブな物だよね?
「エッチ・・・・・・はっ!」
「メイドちゃん、今何を考えたのか正直に言いなさい」
「い、言えません」
メイドちゃんの口から俺のあられもない姿が語られる事は無かった
残念なようなホッとしたような
「よ、よろしければ良い殿方を紹介しましょうか?」
「溜まってねーわ、余計なお世話だ」
「ええ?し、親切で言ったのに」クスン
事情を知らないメイドちゃんには理不尽な言い分になっちゃったな
魔王の怖さを思い知ったか
お、エスト発見
「どうだ?状況に変化があったなら教えて欲しい」
「ゲルマニー側は一部の兵士達の撤退速度が止まりました、魔王にさらわれたシェリルの捜索をしようとしてるのかもしれません」
大半はゲルマニーに向かって撤退中らしい
だが一部は止まってしまったか
「首都で捕らえられてるとは思わないでしょう、近隣の町や村にとばっちりが行かないと良いんですが」
「残ったのは国への忠誠が強い奴らだろう、もうそいつら全員捕虜にする他ないかな」
「首都からも討伐部隊が出るようです」
だったら任せるか
今日はもう夕方だしな
その後、兵士達にふろのお湯を出してやって今日は終了
おやすみなさい




