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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
122/134

122 半信半疑

『タカネは悪い奴じゃ無いんです!バカなだけで!』

『魔王タカネ様はクリスティの崇拝する偉大な御方です』


ゾイド将軍の計らいで首都のお城城内まで入る事は出来たものの取り調べ中だ

大臣達が危険が無い事を確認させてほしいと言うもんだから快く協力中

ただしムスタングも一緒

城に入れるのはどうかと思ったが、知らない場所で離れ離れになるのは嫌


『ムっちゃんは元気ら?タカネはデブだから疲れてないか心配ら』

「これが今ピエトロに居る仲間と繋がっていると?」

「はい、元々はニルギスのジャミロが作った物を改良中でして」

『タカネに何かしたら大陸一位のサテンが許しませんよ』

「身体検査は無しで、サテンが怒るもんで」

「は、はあ」


武器は預からせてほしいそうだ

いいよ

水晶の手枷?

それって罪人に付けるヤツでしょ

それは拒否する


「し、しかし、我々としては全面的に信用する訳にも」

「どうせ壊せるよそれ、試しに付けてみる?」

「で、では」カチャ

「ほい」バキィィィ

「な、なんと」

「魔王は拘束される事を拒否します」


扱い雑だな

こんな美人に失礼だぞ

いや待て、こんな美人を拘束してあんな事やこんな事を

男ってヤツは・・・


カチャ「もういいだろ?タカネ殿を解放してやれ」

「しかしゾイド将軍、魔王ですよ?」

「いろいろ事情があるんだ」


そうそう、好きでなった訳じゃ無いんだよ

解ってくれとは言わないけどさ


「で、では、せめて水晶の間へ」

「幽閉しろと言うのか?」

「水晶の間?」


なんか水晶に囲まれた部屋があるみたい

魔法使っても水晶が吸い込む仕組みになってるんだろうな


「大丈夫だ、何かあったらワシが責任を取る」


ゾイド将軍の一声で大臣達も渋々承諾

ふう、やっと解放か


「それで状況は?」

「うむ、1万のソビキト兵は分散、まだ大半がポスカ領内に居る」

「昨日の今日じゃ、自国までは帰れないだろうけど・・・」

「いや、慌てて逃げてみたものの、魔王も追って来ないし冷静になって来たのだろう」

「うーん、それだと各街々に被害が出そうだなー」

「小さな街には討伐隊を送った、だがイエロと言うソビキト進軍コースの大きな街に敵兵が7000留まってるそうだ」

「ポスカ兵はどれくらい残ってるんですか?」

「総数3000まで減らされてしまった」

「じゃあ私がイエロまで飛んで行って更に追い立てて来ましょうか?」

「そうしてくれると助かるが・・・後、敵の将を捕獲して貰えると先導者を失ったソビキト兵は自国まで帰ると思うのだが」


そっか、将を捕獲すれば統率を失う

将は逃げる事を諫める人でもあるだろうし


「でも捕まえるのは良いけどどうやって連れて来ます?」

「近くに偵察兵が潜んでいるはずだ、渡してくれればいい」

「よし、じゃあ行って来るんでエストックを返してください」

「ああ、一応エストを連れて行くと良い、道案内をさせよう」


そんな訳でエストと一緒に飛び立つ

イエロまではどれくらい?馬なら10時間?

じゃあムスタングなら1時間ほどで着くかな


イエロ


手前でエストを降ろし潜ませる

あ、昨日別れた2人の偵察兵が出て来た

生きてたんだ良かった

すぐに飛び立ちイエロの街へ

おお、おるわおるわ


【【出てけって言っただろお前ら!!】】


ソビキト兵が一斉に空を見上げる

そこには憤怒に燃えた魔王の姿

一斉に青ざめるソビキト兵

何人かが逃げ出す

それを諫めようとする上級兵

あいつが指揮官?

解らん、取りあえずイナズマ落としておく


こちらの攻撃を見て逃げる兵が増える

慌てて建物から出てくる兵達も居る

あれ?あいつが指揮官っぽいな

解らんから取りあえずイナズマで痺れさせた


お、弓を撃って来たな

ムスタングが華麗に避ける

撃ったやつを睨むと逃げ出す

大人しく最初から逃げろよ


ゲルマニー兵の中には魔法使いが居たけどソビキト兵の中には見当たらないな

おや、あいつも指揮官っぽい

取りあえず痺れさせておく


む、街民を人質に取ってる奴がいるな

なんて卑劣な

魔王にポスカ国民の人質が通用すると思ってんのか

もちろん通用するけど

ムスタングから降り建物の影を高速で後ろから近づく

エストックで殴り気絶させた


街中が大パニックだ

良いからソビキト方面に逃げろ

おいお前おかしな方向に逃げんな

回り込んで道を塞ぐ

慌ててUターンするソビキト兵

いいぞそのままソビキト方面へ向かえ


街が大分静かになって来た

街民はどこに居るんだろ?

さっきの人質のおばさんに聞いてみる

教会と倉庫に押し込められてるのか


「タカネさん、お疲れ様です」

「何人か痺れさせたから縛っておいてよ」

「はい」

「敵兵がまだ隠れているかもしれないから注意な」


察知能力は働いて無い

だが広そうな街だ

手分けして隅々まで調べたいところだが

まず高速で街中回ってみるか


走り出してすぐ気配を感じる

俺を見て逃げ出す兵士

なんだよ逃げ遅れたのか?

どうせだから捕虜にするか


そんな感じで14人見つける

捕虜は18人か

ちょっと多いな


「この中に指揮官居るの?」

「はい、こいつが指揮官でこいつとこいつは部隊長です」

「大漁だ、任務達成だな」

「3人は我々で運びます、残りは街民にでも見張らせて後日護送しましょう」


そうだ、街民を助けないと

教会へ行き助けに来た事を伝える

怪我人は居ない?回復しますよ

うわー、結構居るな

シスターが看病してたの?

・・・可愛いな

怪我を治すと感謝して神のご加護を祈られた

魔王なのに


倉庫へ行くと外の様子を感じ取ったのか街民が出始めていた

助けに来たと説明すると安堵の表情を浮かべる

倉庫がたくさんあるな、一つ一つにもう大丈夫と伝える

街民がわんさか出てくる

うおお、可愛い子がうれし涙を流しながら抱きついて来た

おっとおっさんお前は駄目だぞ、抱きつくな


怪我をしてる人は居ませんか?

脚捻った?

はいはい、大丈夫ですよ

ぎっくり腰?

再生の杖で治せるのかな・・・治せたわ

白内障?

それは今は関係無いんじゃ・・・治せるんだ

何でもありだなこの杖


「お、お願いです、亡くなった亭主に使ってみてくれないでしょうか?」

「・・・それは」


1時間ほど前に苦しんで亡くなったらしい

さすがに無理だと思うけど

・・・一応使ってみる

・・・光が出ない

ごめん、やっぱり無理だったよ


亭主の亡骸に突っ伏し泣き崩れる奥さん

救えなかった鬱屈が俺を襲う

・・・戦争か

なんでこんな悲しい事をするんだろうな

人を死なせてまで得る物にどれほどの価値があるのか

やり切れない気持ちで倉庫を後にする


街は解放からのお祝いムード

まだ油断しないで、ソビキト兵をポスカから追い出すまで浮かれるのは早いよ


「タカネさん、私ともう一人で3人を護送します、一人はソビキト兵を追跡します」

「そうか、馬だと夜中になるな」

「タカネさんも一度首都に戻ってください」


このままソビキト兵を国境まで追い立てても良いかと思ったんだが・・・

西側も気になるしいったん帰るか



ポスカ首都

もうすっかり夕暮れだ


「ゾイド将軍、イエロからソビキト兵を追い出し指揮官と部隊長2人捕らえましたよ」

「おお!良くやってくれた!」

「エスト達が夜中には連れてきますよ、ゲルマニー方面はどうなってます?」

「同じだ、首都手前のルモンの街に7割方留まってしまった」


なんだよもうちょっと頑張って逃げろよ

また立て直して首都に向かって来るのかな


「行って来ましょうか?」

「今からだと夜になる、夜は火を使うから混乱で大火事になりかねない」

「魔法で消しますけど」

「無理をし過ぎだ、十分すぎるくらい働いてくれているんだから今日は休んでくれ」


そんな悠長な

今もなお街の人々は怯えているのに

消えてしまう命があるかもしれないのに


「我々も目まぐるしく変わる状況を把握しきれてないのだ、急いて事を仕損じたくない」

「ですが・・・」

「食事もとってないだろう?何か持ってこさせるよ」

「・・・解りました」


しょうがないか

今日は休もう

来客用の部屋を宛がわれた

入口の外には衛兵が4人

あらあら用心深いな


部屋に入ってベットに寝ころぶ

ムスタングは下で寝なさい

ああ、なんだかんだ言って疲れてたみたい

俺って基本怠け者だし


「もしもーし」

『タカネ?無事なんですか?』

「無事だよサテン、だがまだまだ時間がかかるかもしれない」

『王様や王妃様はご無事なんですか?』

「うーん、会わせて貰ってないよ、魔王だからね」

『戦争が終わったら魔王をやめる事は出来ないのでしょうか?』


ええ?出来るのかな

やっぱ魔王じゃありませんでしたーって

・・・そんな軽いもんじゃないと思うけど


「あっちこっち行って大変だけど、強い敵がいる訳じゃ無いから心配しないで」

『油断しては駄目ですよ?』

「解ってるって、今日はもう休むよ」


トランシーバーをしまう


コンコン「はーい」

「お食事をお持ちしました」


可愛いメイドちゃんだ


「毒は入ってないよね?」

「そ、そんなまさか」

「うーん、イマイチ信用されてないからなー」

「毒見しましょうか?」


おお、そう言うのなら入ってないのだろう

疑ってごめんね

つか多分毒にも察知能力働くと思うんだよな

今は反応なし

ムスタングにも調理した肉が置かれる

行儀よく食べるんだぞ


「魔王様、ポスカを救って頂きありがとうございます」

「まだ終わってないよ」

「はい、ですが本来であれば今頃ゲルマニー兵に蹂躙されていたと思います」


ポスカ兵は3000しか残っていない

ゲルマニーは1万以上居た気がする


「王様、王妃様は無事なんでしょ?」

「はい、お二人とも気丈に振る舞っては居ますが内心ではかなり参っておられると思います」

「そっか、早く安心させてあげたいよ」

「・・・お優しいんですね、なぜ魔王様になられたのですか?」

「うう、それには深い訳が」

「余計な事を聞いてしまいました、お許しください」

「はあ、お風呂って借りれるかな?」

「なにぶん戦時中ですので贅沢をするなとの上からのお達しです」

「そっか、じゃあ魔法のシャワーだけにしとくか」


バスルームは部屋にあるみたい

あとで魔法で温水だすか

・・・・・・


「と言う事はメイドさん何日も風呂に入ってないの?」

「も、元々私達は残り湯を浴びるだけです」

「でもそれも出来てないって事?」

「は、はい、今は少ないお湯で体を拭くだけで・・・」


良くない、良くないよ

衛生面が劣悪になる戦時中は病気も蔓延しやすい

こういう時こそ綺麗に保たないといけないんだ


「私がお湯を出すから皆風呂に入りなさい」

「え?で、ですが」

「大浴場はあるの?兵士達も駆けずり回って汚れてるでしょ?」


ここ何日か汗水たらして眠れぬ夜を過ごしたはずだ

少しはリラックスさせてあげたい

それが明日の活力にもつながるんだから


「そうか、ではプールにお湯を張って貰う事は可能だろうか」

「お安い御用です」


将軍に話したらプールにお湯張って兵士達を一気に洗わせようとの事

1m程の浅いプールだな

普段は訓練に使っているらしい

へえ、負荷トレーニングとかしてるんだ


お湯を出してると裸の男達が続々やって来た

おいおい、丸出しじゃないかよ


「魔王とやら!男のイチモツには慣れているか!」

「まあ珍しいもんじゃないからね」

「な、なんと、やはり魔王ともなると経験豊富なのだな・・・」


・・・なんかアバズレみたいに言われた

処女なのに


「しかし戦時中に風呂に入れるとは・・・皆有り難く頂戴しよう」

「「「おおーー」」」


ばしゃーん

う、うわ飛び込むなよ

次から次へと裸の男達が飛び込んでいく

あっという間に寿司詰め状態だ

・・・おわーお湯があっという間に茶色く

これは頻繁に入れ替えないと駄目だな

男達はそんな事も気にしてないみたいだが

お、おいおい、暴れるんじゃない

お湯を飛ばすな!


「魔王様、お召し物が汚れるのでこちらにお着換えください」

「・・・ビキニ?」


メイドさんが要らないお世話で赤のビキニ持って来た


「うーん、サイズ合うかな」

「胸がかなり大きいのではみ出してしまうかもしれませんが」

「まあいいか、サービスだな、元気を出して貰おう」

「さすが魔王様、男の扱いにも慣れてるんですね」


お前が小さいビキニ持って来たんだろうが

仕方ない、着替えてこよう

うーん、やっぱり下乳と横乳が少し出るな

プールに戻ると色めき立った


「ま、魔王よ、刺激が強いな」

「・・・ああ、今お湯から出れない状態?」

「む、むうん」


俺の右手から温かいお湯が噴出し続ける

後がつかえてるんだから綺麗になったら出てよ


「おいもうお湯が真っ黒じゃないか、排水溝はどこだ?」


汚いお湯を流しながら綺麗なお湯を出し続けよう

排水溝に飲み込まれるなよ


兵達がぼちぼち入れ替わる

最初に入って来たのは上級兵達だったようだ

つづいて下級兵が入って来た

堂々と入って来る者、恥ずかしそうに入って来る者

この辺になると恥じらいもあるんだな


「魔王とやら!どうだ私のイチモツは!」

「おいバカやめろ」

「普通じゃないかな」

「ぐっ!」

「ははは、あしらわれてやんの」


血気盛んな者

若さゆえの怖いもの知らずか

恥ずかしそうに股間を隠す者

見てないからゆっくり入りなよ

俺を信用してないぞと言う目で動向を伺う者

それも正しい反応だと思う

単純に俺の体をまじまじと見て来るもの

どや、良い体だろう?


何往復か兵の入れ替えが行われる

男性兵士が一巡してお湯を抜くとプールの底が泥だらけだ

本当に汚かったんだな

水圧で泥を流してしまおう


「お疲れさまです、次は女性兵士の為に・・・」


女性兵士は屋外と言う訳にはいかない

数も少ないし城の大浴場で羽を伸ばさせる


俺の体に見惚れる兵士達

俺も見てるぞ

男兵の時は興味無かったが今は興味津々だぞ


しかしやっぱりあっという間にお湯が濁る

女と言えど過酷な状況だ

清潔に気を使う余裕も無いのだろう

あの子は髪から泥が出てくるな

どんな任務をこなして来たのだろうか


綺麗なお湯をどんどん出してやるからな

今は一時でも羽を休めてくれ


大臣や内政官はいいの?

内勤は垢も溜まってない?

ついでだから入りゃいいのに


「メイドさんも入りなよ」

「わ、私達は残り湯を浴びるだけで」

「どうせいくらでも出せるんだからさ」

「普段も無駄使いしないようにしてるので贅沢です」


そ、そうか

まあポスカにはポスカのやり方があるんだから無理強いも良くない

・・・でもなるべく綺麗なお湯に入れ替えておいてあげよ


というか自分が入るの忘れてたな

兵士達も全員入り終わったようだし俺もひとっ風呂浴びるかな


ふう・・・一人で入る風呂か

最近無かったな

・・・異国に来て知らない場所で一人風呂

変な感じだ


魔王か

これからどうしよう

冷静になるととんでもないもん背負っちゃったな


・・・ピエトロに帰れるんだろうか?

歓迎される肩書きでは無い

どう考えても厄介者だ


普通なら受け入れてくれる国など無いだろう

ポスカなら受け入れてくれるかな

助ける事が出来たなら・・・


でも迷惑かけちゃうかも

将軍は同盟を破棄されるかもって言ってたもんな

国際的に孤立するかも知れない

それはやだな・・・

助けたんだか助けてないんだか解らなくなる


「はあ・・・」


お湯がぬるくなっていく

・・・そろそろあがるか

メイドちゃん達に少しでも温かいお湯を使って貰いたい

少し熱めのお湯を足して風呂からあがった


部屋に戻ると寝ていたムスタングが顔をあげた

衝動的に抱きついてしまう

ごめんね、眠たいだろうに

今日はお前もよく働いてくれた


「・・・いざとなったら、ラムドール大陸に連れてってくれるか?」

「キュピィン」


どうしても駄目ならエルベーグ大陸を出よう

ラムドール大陸に行って今度こそ静かに暮らそう


ベットに寝て静かに目を閉じる

明日も多分忙しいだろう

お休みムスタング


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