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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
114/134

114 アンバランス

次の日の朝


「タカネ、泉で水浴びをしたいので壁を建てて欲しいと女性陣が」

「はいよー」


朝の時間は女の水浴びタイムだ

泉に行ってみるか


「おお、広いな」


泉と呼ばれる滝の水が流れ込む場所だった

小さい滝なのでそこまでの水量は無いが、常に綺麗な水を供給している

泉も水が滞留する事もなく、ゆっくりだが流れ続けている

壁を建てる、20mくらいあれば絶対覗けないか?

水の供給場所と排出場所に穴開けるのも忘れずに


「女神様、私達の為に恐れ多い」


リンフォードの女性ハンターもこんな感じなんだよな

泉で全裸土下座はやめなさい

溺れるから


「メアリーも浴びるのか?」

「せっかくだし浴びるら、広くて気持ちよさそうら」


昨日の夜暖かいシャワーを浴びたが物足りなかったか?

開放感ある場所で裸になりたいだけとか

変態だったのか

俺とサテンとクリスティは暖かく見守る


50人くらいの女の裸体が目の前ではしゃいでる

綺麗な子、そうでも無い子

あの子はリンフォードの魔法使いだな

貧乳なのが少し恥ずかしそうだな


こっちでは胸の見せ合いか?

張り合うな張り合うな

サテン、お前も脱いで格の違いを見せて来い

嫌?またまた照れちゃって

ん?


「クリスティ、あっちの方向に何かを察知した」

「御意」


クリスティが壁を飛び越え察知した方向を警戒

・・・戻って来た


「覗きでした、成敗しておきました」

「ご苦労」


クリスティも2カラットの魔法石の指輪を付けているので20mくらいの壁なら余裕で飛び越せる

力と素早さが3倍に大分慣れて来たそうだ

3カラットも持ってたよな?

そろそろ使ってみたらどうだ?


「そうですね、本日から使ってみようと思います」

「無理だと思ったらすぐに外すんだぞ」


今日はフロア2を攻略する

フロア2は結構敵を減らしたと思うんだけどな

だが他のフロアから移動して来てるかもしれないし、まだまだ広そうなフロアだった

油断はできないな



リンフォードダンジョン フロア2の手前


本日の防衛ラインはここだ

一応突破された事も考えフロア1の入口にも人員を配置


「じゃあ解除しますよ」


フロア1とフロア2の通路に作った壁を解除する

マリクが走って行く

それを抜かしてまずはフロア3へ続く通路を封鎖

これで新手は上がって来れない

マリクが降りてく心配も消えた

さあ、今日もあっちへ行ったりこっちへ行ったり


「明かりが遅い?仕方ないでしょ」


「怪我した?はいヒーリング」


広い、広すぎる

複雑ではないが広すぎる

敵もウジャウジャ居る

よくもまあここまで増えたもんだ


「食らうらー」

「メアリー上手いな、敵を前後で分断か」

「お話してる余裕は無いら、気を抜いちゃ駄目ら」

「ご、ごめん」


怒られた

あ、次の部屋に行かなきゃ


クリスティは絶好調だな

3カラットになり、鬼人のようだ

でも無茶はするなよ

どっか怪我したらすぐに言うんだぞ


おいマリク!先行しすぎだ!

行きすぎないよう壁立てておくか

この部屋が片付いたら解除してやるよ


はあ忙しい忙しい

うお、大量に敵が出て来たな

加勢するぞー

・・・・・・・・・


3時間後

怪我人の回復に追われだす

疲れが来たんだろう

休み無しで頑張ってるんだから仕方がない

再生の杖を使えば疲れも吹っ飛ぶ

しかし、分散してるから大変だ

あっちへ行っては回復、こっちへ行っては回復

ん?またお前怪我したの?

集中力が持たなくなってる?

体の疲れは取れても頭の疲れは取れないのかしら

3時間も同じ事やってれば仕方ないか

いったん休憩した方が良いのかな

ちょっと防衛ラインに行って聞いてみるか


「そうですか、集中力が落ちてると」

「そろそろお昼でしょ?暖かい物でも準備してあげて休憩しませんか?」

「解りました、何か用意させましょう」


そうと決まれば前線に戻る

休憩だから防衛ラインに戻って

この先は壁立てていったん封鎖だ

午後また頑張ろうぜ


昼、休憩中


「悠長な、休憩をしてるヒマがあるなら1匹でも多く倒したい」

「まあまあ、マリクはそうでも他は休憩が必要なんだよ」

「むむう」


個人差ってのはどうしてもある

上のペースに合わせると下は大変だ


「マリクはリンフォードの十傑?」

「いや、俺は肩書に興味が無い、大会に出た事も無い」

「強い奴と戦いたがってそうなのに」

「ううむ、あの女凄いよな、えーっと」

「クリスティか?好みなら付き合ってやってくれ、虐げると喜ぶ」

「いや、俺は結婚はもう良いんだ、3回失敗して流石に懲りた」


バツ3なのか

30歳くらいだよな?


「マリクは恋も突っ走るので失敗するんです」

「それより女神様、午後からも頑張るので罵ってください」

「数だけ居ても何の役にも立たねえな!蟻が!」

「「「ズキューン」」」


マリクのパーティが身悶えてる

それをクリスティが羨ましそうに見てた


一休みして午後の部だ

壁を解除して回るとモンスターがわらわら出て来る

これ本当に終わるのかな


・・・ああ、壁出しまくって天井で潰して一気に終わらせたいな

そもそも俺一人でやった方が早いんじゃ・・・

いや、さすがに一人だと見逃しが出ると思う

雑用に嫌気がさしておかしな事考えちゃった

・・・上のフロアのクモ、全部やっつけたよな?

残ってないよな?急に不安になって来た

あ、危ない、カメの舌が飛んで来てた

すぐに凍らせる

俺も集中力が無くなって来てるかも


「・・・・・・」

「タカネ、後ろで黙って立ってられると気が散るら」

「心配でよう」

「大丈夫ら、向こうに行くら」


なんだよメアリーのヤツ

クリスティは全く危なげないな

ああ、しかし単純作業に飽きて来た

不謹慎だが強敵出ないかなって思っちゃう

みんなが敵わないような強敵

それをあっさり倒して崇められたい

おっと、今のは俺の心の中の本音だろうか

目立ちたくないと言いながら、矛盾してるんだよな

有り余る力を持て余してスラストレーション溜まってるってのもある

チキショウ、なんで俺が雑用なんだよ!


あ、突き当りだ

ここはこれで終わりなのか?

反対側はどうだったろうか?

狭く小さい通路を見逃してないかな?

明かりをいくつも出していく


察知能力の反応が少しずつ消えていく

仲間たちが頑張っている

俺は見逃がしが無いか気を配る

お、小さい穴発見

言わんこっちゃない、こういう事があるからな

中から小さい察知能力を感じる

慎重に入ってみる

・・・小さいカメがたくさん居た

まだ生まれたばかりだろうか

後ずさり、怯えているように見える


相手が弱い者だと罪悪感が湧くな

そもそもこれが正しいのかとブレてしまう

望んだわけでも無いのに、勝手に連れて来られ、こんなとこに閉じ込められて

増えすぎたので討伐しますって・・・

・・・・・・


ごめん

そう思いながら氷の魔法を出す

静かに、あまり衝撃を与えないように

緩やかに息絶えていく小さなカメ達

生まれて間もない命が消えていく


「タカネ様、どうしたんですか?」

「・・・ああ、スマン、この辺はもう殲滅したのか?」

「はい・・・泣いてるんですか?」

「ああ、不条理を感じずにはいられなくてね」


俺は甘いんだろうな

心はダイヤのスイッチでは無い

強くは無い、アンバランスな状態


「タカネ様、涙を」

「・・・ありがとうクリスティ、綺麗なハンカチだな」

「良ければ差し上げますが・・・」

「いいよ、気持ちだけで」

「ではタカネ様の涙が染みこんだハンカチを家宝にします、返してください」

「・・・洗濯して返すよ」

「そ、そんな、勿体ない」

「文句あんのか!さっさと働け!」バシーーン

「はいぃぃ」


クリスティのケツを蹴り、気持ちを引き締める

はあ、泣いてるヒマがあったら頑張らなきゃ

小さいモンスターでも大きくなれば脅威だ

そう思ってやり切るしかない


討伐が終わった部屋を封鎖していく

閉じ込められてる人居ないよな?

しっかり確認、見逃しはないよな?


討伐が終わってない戦域に向かう

怪我した?ごめんなモタモタしてた


封鎖範囲が広がって行く

モンスターが居るエリアが狭まって行く

終わりが近いのが感覚で解る


「タカネ、封鎖ら!」ビシッ

「はいはい、残ってないよな?」

「メアリーに死角は無いら!」シャキーン

「気を付けろよ?調子に乗ってると怪我するぞ」


慣れて来た頃が危ないんだからな

敵を舐めちゃ駄目だ


「タカネ様、フロア2の討伐が終わりました」

「そうか・・・丁度夕方だ、今日はこれくらいにしておくか」

「むむう、フロア3には行かないのか?」

「マリク、付いて来るのがやっとの者も居るんだ、無理させて命を落としたら可哀そうじゃないか」

「しかし今この時にもモンスターは増えていくのではないか?」


さっきの小さなカメが脳裏に映る

不幸な命が今も生まれているかもしれない

討伐される為の命


討伐されるのが早かろうが遅かろうがどっちだって嫌に決まってる

人間の勝手な都合で殺されちゃうんだとか、こういう事を考え出すとキリが無いんだけどな

答えなんて出ないのにな・・・


「増えていくのは間違いないけど、こっちが減るよりマシでしょ?」

「ううむ、そう言われると納得せざるを得ないが」

「力が余ってるなら後で稽古しよう、俺でもクリスティでも相手するよ」

「んん?お前は強いのか?」


魔法しか見せてなかったっけ

俺は強いぞ

反則を使ってるからな


防衛ラインまで戻る

ここでも戦闘の跡が見えるな

逃げて来たモンスターも居たんだろう

だが問題無く退けたようだ


「フロア2は制圧しました」

「そうですか、本日はここまでにしましょう」


外に出ると夕焼けが綺麗だった

今日は天気良かったんだろうな

ダンジョンに潜ってるのなんて勿体ないくらいに


「タカネ、おかえりなさい、怪我はしてないですか?」


サテンが向かえてくれる

俺に抱きつき、胸を押し当ててくる


「タカネ、回復魔法を使えるようになりました」

「練習してたのか?」

「はい、何もしてないのも退屈なので、筋トレもたくさんしたんですよ」


上で待ってるだけじゃ退屈だよなぁ

サテンはピエトロに帰るか?


「いえ、タカネのそばに居ます」


んん?そんなに俺のそばに居たいのか?

こいつめぇん♡


「バカップルが居るら」

「お食事を貰って来ましたよ」

「ありがとうクリスティ」

「た、タカネ様、先程の泣いてらした件なんですが・・・」

「ば!よ、余計な事言うなよ!」

「え?!タカネ泣いてたんですか?」

「どうしたら?メアリーがナデナデしてあげるら」ニヤニヤ

「食えよさっさと!クリスティはこの後特訓だ!」


ご飯食ってクリスティをギッタギタにしごいてたらマリクが来た

ついでにギタギタにする


「む、むむう、こ、これほどの手練れだったとは」

「タフだなマリクは、まだやるのか?」

「ま、まだまだぁー!」


マリクには再生の杖使ってないのに

全然体力残ってたんだな

マリクがぶっ倒れた頃にはもう夜更けだった


「はあっ!はあっ!も、もう立てねえ!」

「お疲れさん、風邪ひくからテント行って寝なよ」

「・・・な、なんてタフな女だ」


はーあ、眠いな

俺もテントに潜り込む

メアリーは寝てるな


「終わったのですか?」

「ああ、とんでもないタフなヤツだ」

「クリスティよりタフですよ」


剣技はクリスティ程じゃないが何度地面に叩きつけられても立ち上がってくる姿は恐怖すら感じた


「俺も疲れちゃった、サテン、再生の杖を使ってくれ」

「はいタカネ、今日はシャワーは出してくれないんですか?」

「ああ・・・ごめんな忘れてたよ、メアリーも寝てるし明日泉に皆で入ろう」

「着替えてから寝てくださいね、サテンが洗っておきますから」


洗濯はサテンがやってくれる

俺は苦手だから助かるよ

あ、このハンカチも洗ってくれる?

念入りに頼む

クリスティに盗られないようにしてほしい


さて、寝るか


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