113 討伐戦
ダンジョンの奥に進む
行ったり来たり、大変だ
敵を蹴散らしながらベティが居た場所まで戻る
さて、この奥だっけ
新しい部屋、明かりを飛ばしていく
モンスター発見、蹴散らす
この部屋には居ないな、じゃあ次
5部屋ほど通過した
マリクは見つからない
しかし広いダンジョンだ
まだまだ奥がありそうだ
「あ、下に降りる通路だな」
「降りたのでしょうか?」
フロア3に降りる通路発見
だがフロア2もまだまだ続いている
「取り敢えずフロア2のこの奥を探しきった方が良いだろう」
「そうですね」
さて、次の部屋は・・・
居た
壁際の高くなってる台座の上に誰かが居た
台座の上でモンスターを迎え撃っていた
4人パーティだな
3人はうずくまってる
怪我してるのかな
その前には上半身裸で孤軍奮闘している男がいた
「あ、明るくなった!新手か?」
なんか言ってるわ
手を振ろう、おーい
「あ!あぶねえぞ!こんな場所に何しに来た!」
いや、助けに来たんだけど
カメの舌が男に飛ぶ
それを切り捨てる男
おお、なかなかの手練だな
モンスターが山ほどいるが台座まで届くのは蛇とカメの舌くらいだろう
クモは今のところ上のフロアでしか見てない
取り敢えずカメと蛇を凍らす
するとワニと魚人がこっちに向かってきた
サテンと協力して次々凍らせる
ウジャウジャ居るなあ
山ほど引き連れてここまで来たのか
どんどん集まってきちゃったのかな
「二人共逃げろ!おらおらおらおらぁ」
男が台座から飛び降りモンスターを攻撃し始めた
周りが見えない人みたい
「かてえ!なんだこりゃ!」
それは凍ったワニだ
ちょっと落ち着け
モンスターを片付ける
ふう、やっと落ち着いたか
「うーむ、魔法だったとは」
「大丈夫?上の3人は無事なの?」
「怪我をしているが命に別状は無い」
台座の上にジャンプ
パンツ見るなよ?
台座の上は8畳くらいしか無かった
よくこんな場所で凌ぎきったな
再生の杖で治していく
気が付き、ポカーンとする3人
「天使が居るぞ、天国か?」
「そうか、俺は死んじまったのか」
「お前らが天国行ける訳無いだろ、良く見ろ、ダンジョンの中だ」
元気そうだな、じゃあ自分で降りてね
俺は一足先に台座から飛び降りた
「何をしたんだ?骨折してる者も居たはずだが・・・さてはサキュバスか?!」
「おいマリク!お前はすぐに早とちりするんだから」
「俺はその人見た事あるぞ、この前凄く怒られた」
「取りあえず無事でよかったよ、みんな心配してるから戻ろう」
「むう、しかし我々はモンスターを駆逐せねば」
「立て直すんだよ、1組だけ先行しても意味ないでしょ?」
「そうだぞマリク、お前が突っ込むもんだから」
「そもそもなんで上半身裸なの?」
「敵が鎧を着てないのに俺が着る訳にはいかんだろう」
「ああ、気にしないでください、その人おかしいんです」
そうか、おかしいなら仕方ない
しかし3日もの間、徐々に仲間が倒れる中、一人で持ちこたえていたらしい
すごいスタミナだな
帰り道で敵と遭遇
突っ込んでいくマリク
邪魔で魔法撃てない
「仕留めたりぃぃ!!」
魚人をあっさりやっつけてた
あ、敵がぞろぞろ出て来たぞ
さらに突っ込むマリク
何してんだあいつ
魔法で加勢して事なきを得る
「無茶苦茶だな、連携とかないの?」
「悪・即・斬」
「その人おかしいんです」
そうか、おかしいなら仕方ない
これが帰り道でずっと続いた
「取りあえずこの通路は閉じます、明後日また来るので」
「むう、駆逐せねばならぬのに」
「マリクお前は3日寝てないんだから」
「そうだった、おやすみ」
こんなとこでいきなり寝ちゃった
放っておいていいのかな
「あとは我々でやっておきます、女神様は遅くなる前にお帰り下さい」
「あ、女神様、本日の謝礼を・・・」
「え?いいですよ」
「そういう訳には参りません、女神様が来なければどうなっていたか」
そう?
ここで時間つかうのもアレか
早く帰りたい
通路に隙間なく土の壁を作り密閉
一応見張りを置くらしい
明日一日は皆休んでくれ
英気を養う時間も必要だろう
ムスタングで飛び立ち、帰路を急ぐ
「遅くなりましたね」
「ああ、みんな心配してるかな」
「明後日も来るんですか?」
「うん、駆逐しないと・・・泊りがけで来る事にするよ」
「え?」
「一々帰るのも面倒だし、ダンジョンはどこまで続いてるのか解らないし」
「1人は心配です、私も付いて来ます」
「人手はいくらでもあったほうがいいかも、クリスティにペガサスの馬車呼んで貰ってもう何人か・・・」
「タカネ、私も呼べるんですよ」
「そうだったな」
「知ってますか?大陸1位は何台でも呼べるんです」
そうなの?
すげえな大陸一位
ピエトロ我が家
「遅かったの、心配したの」
「ただいまエリーゼ」
「お腹がすきましたね」
そうだな、まずは食事だ
「へえ、大変だったんだね」
「カオリ、手伝ってくれないか?」
「財宝ないんでしょ?」
「ああ、全然見かけなかった」
「うーん」
「そういえば報酬貰ってませんでした?」
「いくら?」
200万アランだった
サテンと二等分
「おー、ハンターの仕事よりは稼げるね」
「まあ次も貰えるとは限らないんだけど」
「それが貰えるんだよ、実はピエトロのハンター組合に救援依頼が来てるの」
「そうなのか?」
リンフォードからピエトロのハンター組合に正式に救援依頼が来たらしい
自分達だけでは手に負えないと判断しての事だろう
働きに応じて報酬も準備されているのだとか
「カオリのパーティメンバーも行こうかと思ってるんだって」
「クリスティも是非お共に!」
「助かるよクリスティ」
「ではサテンはパーティメンバーと相談して・・・」
「メアリーは役に立つら?」
「うーん、最上級じゃないと厳しいかも」
「つまんないら」
「メアリーはカオリのパーティに入りなよ、魔法使いが居ると助かる」
「バラバラで戦うんですか?」
「広いから分担した方がいいかもだけど・・・」
「ジルは置いてけぼりですか?」
「ジルは結構出掛けたがるよな、追われてる身なのに」
「一人で残されるのも不安です」
たしかに
それにこの家には魔法水晶もある
残したまま誰も居なくなるのは心配だよな
「じゃあやっぱカオリちゃんが残るよ、よく考えたらテント生活でしょ?」
「そうなると思う」
「カオリちゃんは育ちが良いから無理」
「メアリーはどうなるら?」
「タカネに付いていけば安全だよ」
「嫌ら、タカネは無謀だから付いていけないら」
俺ってマリクみたいなもんだったのか
ちょっとショックだ
「じゃあ留守番かな」
「魔法は遠距離なので何人居ても良いと思いますが」
「メアリーも付いていくら、タカネと一緒でも我慢するら」
「おい、主戦力に向かって失礼だな」
ああでもないこうでもない
まあいいか、他にも行くみたいだし
分担とバランス考えて現地で決めよう
次の日の夕方
「カオリちゃんのパーティメンバーは全員行くみたい、カオリはしばらくハンター業はお休みにするよ」
「そうか、家に居てくれるなら助かるが」
「ジルも残る事にします、やはり携帯電話の研究を続けたいので」
「そうだな、俺らと行動してるとあいつ誰なの?ってなるかも知れんしな」
家からは俺、サテン、クリスティ、メアリーが行く事になった
他にもピエトロのハンターの中から最上級が17人行くらしい
サテンがペガサスの馬車を5台呼んで明日の朝出発
昼頃からは討伐が始まるかな
「うふふ、タカネが居ない内にメイドちゃん達を・・・」
「気を付けるんだぞ3人共、何かあったらまたぐらを思いっきり蹴るんだ」
「それは殿方の撃退方法ですわ」
「テントを買って来たら!ムっちゃんも入れるサイズら!」
「そうか、着替えや毛布も持って行かないとな、あと指輪は絶対忘れるなよ」
「テントも毛布もリンフォードで準備してくれるそうですよ」
「ら~↓」
「良いじゃないか、折角だし持って行こう」
次の日の朝
ハンター組合前にペガサスの馬車が5台
「馬車には20人乗れるのか、じゃあ今日はムスタングに俺1人かな」
「私はパーティーメンバーと乗ります」
「メアリーはグスたんと乗るら」
「グスたんって誰だよ」
ピエトロ1位のグスタフさんだった
グスタフさんも行くのか
この前の大会は順位変動が無い大会だったのでまだ1位だ
「困った時はお互い様だからな」
グスタフさんは良い人だ
奥さんの尻に敷かれてるらしいけど
「クリスティも馬車か?俺の後ろでも良いけど」
「ムスタング様に乗るのは恐れ多いです」
「お前まだムスタングに様付けてるの?」
クリスティもグスたんと一緒に乗った
じゃあ出発するか
3時間後、リンフォードダンジョン前
「ピエトロの精鋭が来てくれたぞ」
「おお、美しい方がいっぱい」
「あの方は確か12位の・・・」
ざわざわざわ
そして土下座
ペガサスの馬車は帰って行った
「取りあえずテント張るか?」
「め、女神様をテントに寝かせる訳には」
「おい!ここに宮殿を建てろ!」
「手配します!」
「いいからやめてくれ」
こんな変な場所に宮殿建ててどうすんだ
メアリーが買ったテントを張る
おお、結構広いな
高さもあって軍隊のテントみたいだ
「せめてこちらをお使いください」
簡易ベットか
地べたで寝るよりは良い
ありがたく使わせて貰おう
隊長みたいな人が来た
「タカネ様、お戻りいただき有難うございます」
「呼び捨てで良いですよ」
「そんな恐れ多い事出来ません!」
はいはい、何でもいいよ
「さて、このような計画を立ててみたのですが如何でしょうか?」
どれどれ
なるほど、防衛ラインと討伐隊に人員を分けて1フロアずつ制圧し、防衛ラインをどんどんダンジョンの奥に前進させていくのか
うん、良いと思うよ
「取りあえずは前回と同じフロア1の第一の部屋に防衛ラインを置きます、フロア1を制圧したらフロア2の手前に防衛ラインを移して・・・」
「良いと思いますよ」
防衛隊はリンフォード騎士団とリンフォード魔法使い
討伐隊はピエトロ、リンフォード、各ハンター達が受け持つ
「広いので討伐隊は分散させた方が良いでしょう」
「その方が制圧は早いでしょうね」
「それでタカネ様には・・・」
明かり係と回復係と討伐済みの部屋の封鎖係やれって
明かりはもちろん必要だし、怪我をしたら早めに直してやるのも大事だし、討伐が終わった部屋にまたモンスターが入らないよう壁を作るのも重要だ
「タカネは主戦力じゃ無かったら?」
「・・・・・・」
「勿論苦戦している戦域では加勢して頂きたいのです」
ふーん、まあオールマイティに動き回れって事か
だったらいいよ
「あとですね、タカネ様のお連れ様のサテン様なのですが・・・」
え?大陸1位に何かあったら困るって?
「リンフォードの地でもし何かあればピエトロとの関係が・・・」
「頼りになるんだよ?おとついの探索の時もすごい助かったんだよ?」
「どうかお願いします、サテン様には上で待機して貰えるよう・・・」
土下座された
20傑ともなれば要人扱いなのだそうだ
「剣技12位も居るけど」
「頼もしい限りです」
「美人1位は?」
「危険な事はさせられません」
・・・・・・
仕方ないな
「サテン、聞いてたか?」
「はい、折角来たのに・・・メアリーはサテンのパーティに入って魔法で皆を助けて下さい」
「任せるら―」
ムスタングはサテンと一緒に居てくれ
何かあったら守ってやってくれよ
「クリスティはどうするんだ?」
「グスタフさんの即席パーティに入れてもらいます」
よし、皆準備は出来たか?
じゃあ討伐に向かいますか
ダンジョンの中を長い行列が続いている
コウモリが居ないな
どこか別の場所に住処を変えたのかな
地下6階まで来て配置につく
人が一杯だ
討伐組が前に、防衛組が左右後ろに陣取る
全部で300人くらいいるんじゃないだろうか
「じゃあ魔法を解きますよ」
「マリク、突っ込むなよ」
上半身裸の人
居るの気付いてたけどスルーしてた
よし、魔法を解く
いきなりモンスターがと身構えたが居なかった
マリクが走って行く
やれやれ
後を追い、すぐに抜かして1番目の部屋へ
お、ワニが2匹
取りあえず凍らせる
マリクどっちに行くの?
通路は入ってきた以外に3つある
左か、先回りして明かりの魔法を飛ばす
巨大カメが2匹見えたので凍らせておく
1番目の部屋へ戻り今度は右の部屋へ
明かりを飛ばし、ヘビを1匹凍らせた
ワニと魚人も複数いるが任せよう
1番目の部屋に戻ると奥の通路に走る一団が
奥は上下昇降通路に続く道だ
一昨日明かりを出したからまだ生きてるだろう
迷ったけどまた左の部屋へ行こう
マリクがガンガン蹴散らしてるな
じゃあ俺は敵を無視して先の通路へ
明かりを飛ばして戻って来る
お、もう一つ通路があるな
じゃあ今度はそっちへ
明かりを飛ばすとヘビが見えたので凍らせる
また一番目の部屋に戻って右へ
な、なんかせわしないな
結構大変だぞこれ
お、メアリーはこっちなのか
あ、火は使っちゃ駄目だよ
氷は飛ばせない?じゃあ土の壁にしといて
部屋を通り過ぎ次の部屋に明かりを飛ばす
うわ、ここはまた無茶苦茶広いな、明かり一個じゃ足りないかも
ボンボン飛ばす
ついでに大型モンスターを凍らせる
お、右手で明かりを飛ばしながら左手で氷の魔法を出せた
いつの間に左右違う魔法を出せるようになったんだろう
以前は出来なかったのにな
俺も成長してるんだな
おっと戻るか
1番目の部屋に戻り今度は奥に行ってみよう
クリスティがカメをふっ飛ばしてた
鬼のようだな
クリスティも強くなって・・・ああ、指輪で余裕なのか
まだ行って無い通路に入って明かりを飛ばす
反対側にも明かりを・・・・・・
・・・・・・・・・
「無茶苦茶大変だったぞ」
「ですが、お陰で半日でフロア1を制圧できました」
あっちへ行ったりこっちへ行ったり
明かりを出しては移動して
討伐が終わった部屋を封鎖して
ハンターを閉じ込めないよう苦心して
「全員いるよね?」
「マリクはどこだ?」
「さっきフロア2に走ってった」
慌てて連れ戻す
フロア1からフロア2に降りる通路を壁で塞ぐ
「今日はここまでにしよう、皆休んでくれ」
隊長の号令で本日はここまでとなった
「タカネ、食事を貰って来ましたよ」
「ありがとう、サテン」
上に戻って一休み
焚火の火が燃えている
じっと火を見てるってのも良いもんだな
「酔ってる奴もいるから気を付けろよ」
一日目は上手くいったせいか皆浮かれムードだ
俺としてはこの先どこまで続いているか解らんダンジョンに不安になって来ている
取りあえず明日はフロア2の攻略か
フロア3の通路は解ってるから壁を作ってしまうかな
フロア2に封じ込めて少しずつ封鎖して・・・
「タカネ、後で温水を出して欲しいのですが」
「ああ、シャワーだな、後で壁作って皆で浴びるか」
しばらく風呂の無い生活になるんだよな
「綺麗な泉はあるそうですよ、夜は男性が、朝は女性専用だとか」
「覗きとかされそうで嫌だな」
まあいいか
壁作ればいいだけだし
他の女性ハンターの裸も見てやりたいし
「しかし、食事は味気ないな」
「こういう場所なので、簡単な物になってしまうようです」
仕方ないか
あーあ、いつまで続くのやら
シャワーを浴び、テントに潜り込む
簡易ベットは肩幅くらいしかない
寝相が悪いと落ちるだろう
「メアリーはムっちゃんと寝るらー」
床に寝そべるムスタングに寄りかかるメアリー
いいなあ、俺もあっち行こうかな
さすがに2人寄りかかるとムスタングも辛いか
大人しくベットで寝た




