112 救助
ムスタングに乗り崖側へ
岩が排出された穴を発見
あそこに入れば新しい通路に直通だろう
ムスタングが上手に着地
少し上り坂になってるな
奥へ急ごう
通路の前に来ると渋滞してた
どいてくれ、おい、ムスタングは敵じゃねえぞ!
なんとか押しのけ一番前へ
「なんだありゃ」
魚人?顔が魚で体は鱗だらけだが手足がある
ワニも居る
顔はワニだがやはり手足があって二足歩行してるわ
騎士団と思われる面々が撃退にあたってるが、通路が狭い上に2mを越える相手に苦戦してるな
エストックで突いて回る
頭が弱点か?
魚人はそうだったがワニは違うようだ
解んないから氷の魔法で凍らせた
「た、助かった」
「サテン!付いて来てるか!」
「はい!」
「このまま1番目の部屋まで行くぞ!」
通路の中の敵を蹴散らし進んでいく
サテンとムスタングも付いて来ている
ああ確かに通路が壊されてるな
崖まで通じたら大量のモンスターが出て来るかも知れない
一番目の部屋に出た
カオスだ
こうして見ると広い部屋だ
その中に巨大カメやらワニ人間やら魚人やら・・・ありゃなんだ?
巨大なとぐろを巻く蛇
顔が2つある
それぞれをハンターと魔法使いと騎士団が応戦していた
この前出した明かりがまだ残ってる
取りあえず目に入ったやつから氷の魔法を飛ばす
カメ、ヘビ、ワニ
魚人はエストックで始末する
一気に形勢が逆転していく
迎え撃ってた者達が安堵の息を漏らす
お、サテン上手いな
カメの下から土の壁を出してひっくり返してた
ああなってしまえばカメなんて怖くない
腹を攻撃され、次第に弱って行く
50くらい倒しただろうか
終わりが見えて来た
あ、危ない
こっちに見惚れてたハンターが魚人にぶっ飛ばされた
魚人にエストックを刺しながら振り返る
大丈夫そうだ
「ふう、終わったか?」
「た、助かりました・・・美しい・・・」
「女神だ・・・」
はいはいそういうのいいから
怪我してる人居ない?治してあげるから並んで
「敵はこれで全部?」
「いえ、奥にまだまだ居ます、上に行く通路と下に行く通路を発見済みです」
階段じゃ無くて坂道になっているらしい
大型モンスターも行き来できるくらいの通路で上下に行けるのだとか
上はたかが知れてるが、下はどこまで続いてるか解らないな
「もう1種類、巨大なクモのモンスターを確認しています」
「ええ?毒はあるの?」
「解りません、発見したハンターは逃げ戻ってきました」
・・・毒は再生の杖で治せるのかな
ふう、上から潰していくかな
全て倒しきって昇降通路を土の壁で塞げばモンスターが移動する事も無い
「私達は取りあえず上の階から潰して来ます、皆さんは無理をせずここで食い止めてください」
「め、女神さまにそんな事をさせる訳には」
「ここの通路空けちゃったのは私なんです、責任を感じています」
「それは・・・どのみち放っておいたらどうなるか解らなかったのでなんとも」
皆顔を見合わせる
悪いけど早く終わらせたい
泊まる準備して来てないから今日は帰りたいんだ
「上の通路はどっちなの?」
「その正面の通路を進むと壁に矢印が書いてあるので順に進んで行けば辿り着きますよ」
上の通路へ向かう
途中にもモンスターが居るが撃退
広いけどそこまで複雑なダンジョンでは無いな
必要最小限の通路しか無いみたい
これがそうか?
うわ、クモの巣がすごい
解りやすいな、この上にクモが居るのだろう
エストックでクモの巣を払いながら階段を上って行く
サテンとムスタングは付いて来てるか?
クモの巣を燃やせれば楽なんだけどな
「サテン、毒があるかもしれないから近づかせないようにな」
「はい」
上の階に着いた
・・・察知能力をビンビン感じる
取りあえず明かりを飛ばす
うわあ!いるわいるわ
広くて天井の高い部屋に3~5mのクモがウジャウジャいる!
「き、気持ち悪い」
「タカネ、苦手なんですか?」
すっごいグロテスクだ
毛があんなに生えてるんだな
顔らしき部分で何かがうにょうにょ動いてるし
「でも襲い掛かって来ないな」
「クモは獲物が罠にかかるのを待ちますからね」
そうか、だとしたら先制攻撃だ
氷の魔法を飛ばす
あ、避けられた
氷の魔法は方向転換できず天井にぶち当たる
クモが地面に降り、こちらに向かって来た
うわあ気持ち悪い!
サテンが壁を出して閉じ込める
た、助かったぜ
しかし他のクモがにわかに動き出した
敵の襲来に身の危険を感じたのだろうか
壁から、天井から、クモが降りて来る
氷の魔法を飛ばす
今度は避けられないよう注意して・・・
次々とクモが凍る
む、クモが口から何かを飛ばして来る
俺達の前で失速し地面に落ちた
・・・酸だ、地面がシュウシュウ言ってる
即座にそのクモを凍らせる
「気を付けろ、酸を持ってるぞ」
30匹くらい倒したかな
もうこの部屋には居ないか?
クモの巣で良く見えないな
でも察知能力に反応は無い
お、小さいクモ発見
これくらいの大きさなら通路通れるんじゃないだろうか
可哀そうだが潰しておかなければ
凍らせた
「なんでこんなとこに連れて来られたんだか」
アマゾンに居そうなモンスターばかりだ
誰が何時、何の目的で連れて来られたのだろう
解りっこないよなそんなの
連れて来た人だって生きてるかどうか
「タカネ、こっちに通路がありますよ」
「向こうにもあるな」
3部屋以上あることが確定
取りあえずこっちから行ってみるか
クモの巣がうっとおしい
もう手当たり次第に氷の魔法撃ってしまえ
クモの巣の除去が目的で撃ってみたけどあんまり効果ないや
暖簾に腕押し、クモの巣が束になるだけ
結局はエストックで除去した
「ここも広そうだな」
明かりを飛ばし、すぐさま氷の魔法を飛ばす
次々凍って行くクモ達
む、遠くで天井のゆがみに隠れてるのが居るな
氷の魔法を曲げて・・・
壁で潰してみるか
魔法の壁を出し天井まで伸ばす
潰す事に成功したがおびただしい量の液体が飛び散った
酸か?緑色の液体だ
血が緑色なのだろうか
うーん、あんまり良い方法じゃないなこれ
サテンが嫌な顔してるもの
仕方ない、氷ですべてやっつけよう
「終わったか?」
「なんとか、ここも広いですね、入って来た場所以外に通路はありますか?」
どうなのかな、クモの巣が多すぎて・・・
宝箱とかあっても見逃しそうだ
「ムスタング、クモの巣だらけじゃないか」
「ピィィーン」
いつの間にか白くなったムスタングを綺麗にしてやる
うう、ネチョネチョするなあ
凄い粘着質なクモの巣だ
動線の高さが違うからかな、下の方のクモの巣も除去してあげないと
広い部屋を隅々まで調べる
察知能力は働かないから敵は居ないはずなんだけど、通路が隠れてそうで安心できない
これは人海戦術のほうが良かったかな
2人だと時間がかかりすぎる
「一見ないように見えるけど・・・」
「風も感じませんし、他に通路は無いと思いますよ」
「そうなの?」
サテン曰く、通路が2本以上あれば風が循環するので肌で感じるらしい
1本だと空気も溜まるから肌で感じないとか何とか
「そうだな、見た感じ見当たらないしここはもういいか」
来た通路を戻り、一応通路に壁を隙間なく作っておく
ここにはもうモンスターが入り込まないように
「じゃあもう一本の通路に行ってみるか」
その後、2部屋を探索し上のフロアは4部屋ある事が解った
これ以上上の階は無いみたい
しかし1部屋が広かった
探索だけで2時間以上かかっちゃった
宝箱も全然無いし
最初の階に戻り、上の階段を塞ぐように壁を作る
これでもう上の階を密閉した
モンスターは入り込めないはずだ
新フロア1つ目の部屋に
おお、また敵が湧いたんだな
迎撃にリンフォードの人達が頑張ってた
加勢してあげる
すぐに片付いた
「上の階のモンスターはすべて駆逐しました」
「なんと、さすが女神さま」
「素晴らしい・・・」
俺の言葉を疑う事も無い
また怪我人出たの?はいはい治してあげるよ
通信鏡を見る
時間を見たかったから持って来た
今日はキリもいいしそろそろ帰ろうかな
「私達は一度帰ろうかと思います、皆さんはどうするんですか?」
「ううむ、正直耐えられるかどうか」
「では通路を土の壁で塞ぎましょうか?」
「しかし、駆逐しないと・・・」
それが目的で討伐隊が組まれたんだもんな
それに土の壁作った所でそのうち消えるはず
うーん、どうすっかな
「私はまた明後日に来ます、被害が出ないよう皆さんにも休んで欲しいんですが」
「また来て下さるんですか?・・・それなら我々だけで無理するよりも・・・」
「休んでください、ヒマが無かったでしょ?」
再生の杖を使用した人は疲労も無くなってるはずだけど、余計なことは言わなくていいや
彼らは1週間くらい休んでないはずだ
少しは気を休めないと
じゃあ土の壁で通路塞ぐよ?いい?
「待ってください、マリク達のパーティが戻ってないんです」
「ベティ達も戻ってないな、生きてるかどうか・・・」
早い段階で探索に向かったハンターパーティが戻っていないらしい
マジか・・・生きてるのかな
「戻ってないのは2組だけですか?一度点呼取って見てください」
調べて貰ったら3組が戻って来てないらしい
携帯している食料を考えてもそろそろデッドラインだとか
「ここをフロア1として、3組とも下のフロア2に向かったはずです」
ややこしいな
普通の建物と違って下に行くごとに数字が増えていくらしい
「フロア1は部屋数が8まで確認されています、フロア2は解りません」
うーん、順番としてはフロア1から攻めたかったんだけど
仕方ない、人命救助が先だ
下に降りる通路を教えてもらう
途中にモンスターは居ないな
この階も結構狩りつくしたのだろうか
ここだな、長い下り坂が見える
通路の途中に巨大カメが居るな
邪魔だ、氷らせて処理する
凍ったせいでか通路を滑り落ちてった
通路を降り始めると人影が登って来るのが見えた
ハンターかな?
一応警戒して身構える
若い4人組の男達だった
「貴方がカメをやっつけてくれたのか?助かった!」
「美しい・・・」
「通せんぼされてて動けなかったんです」
ハンターの内の1組らしい
「マリクとベティのパーティを探してるんだが」
「ベティ達は狭い通路に入って行くのを見た、マリクは解らないな」
ベティはモンスターから追われるように狭い通路に逃げ込んだらしい
ただ、3日前の話だとか
今もそこに居るかどうか解らないが、一応大体の場所を聞いた
下のフロアに着き、狭い通路を目指す
明かりを飛ばすとすぐにうじゃうじゃモンスターが見える
さっきのパーティよく平気だったな
次から次へと凍らせていく
敵を蹴散らしながら部屋を四つくらい経由し目的地へ
「ここか?ムスタングは入れないな」
屈んで人一人通るのがやっとの狭い通路だ
「サテン、ムスタングと待っててよ、ちょっと見て来るから何かあったら通路に向かって大声出してよ」
「大丈夫ですよ」
そう言うとサテンは自分達を土の壁で囲んだ
簡易要塞か、頭いいな
回りを確認できるよう隙間もちゃんと作ってある
「じゃあちょっと行って来るよ、敵が出ても無理はしないでね」
「はい、タカネも気を付けてくださいね」
狭い通路に入る
曲がりくねってるな
結構長そうな通路だ
この先に敵がウジャウジャ居たらどうしよう
ん?通路に終わりが見えて来た
明かりを飛ばす
人影が見える
だが倒れているな
背筋が凍る
「大丈夫か?!」
通路の奥は狭い部屋になっていた
そこには3人の女が倒れていた
外傷はない
衰弱だろうか、酸欠だろうか
脈を見て見る
・・・良かった、生きてる
こっちは・・・大丈夫だ
最後の一人・・・脈を診ようとしたら手を掴まれた
「み、水・・・」
はいはい、魔法で出してやる
容器持ってる?良かった
「た、助かりました」
「動ける?他の2人は大丈夫かな」
「頭がクラクラしちゃって」
酸欠だ
狭い部屋に3人だから空気の供給が追い付かなかったのだろう
俺もここに居るとヤバイ
おっと、取りあえず3人に再生の杖を使っておくか
・・・回復しないか
二人を重ね、引きずり来た道を戻る
狭いから大変だ
雑な扱いだが許してくれ
その後をもう一人が自分の脚で付いて来る
フラフラだな
「ふう、やっと出れた」
「ああ、空気が美味しい」
「タカネ、見つけたんですね」
サテンとムスタングが土の壁を解除して近づいて来た
「うわ、グリフォン?」
「大丈夫大丈夫、名前は?」
「ベティです」
「そうか、マリクのパーティを見かけなかったか?」
「この先もっと奥に入って行くのを見ましたが、3日前?くらいかな・・・すみません時間間隔があやふやで」
3日も狭く暗い部屋に居たんじゃ仕方ない
取りあえずこの3人を保護して貰うために戻ろう
気を失ってる2人をムスタングに乗せる
ベティも足元おぼつか無いからおんぶしよう
「マリク達は無茶をするので生きているかどうか・・・」
帰り道でベティが呟く
あ、ワニ人間だ
サテンが氷の魔法を飛ばす
凍り付くワニ
サテンも成長してるなぁ
いつの間にそんな魔法を撃てるようになったのか
サテンの魔法リスト
火の魔法 なかなかの大きな火の玉を飛ばせる
水の魔法 そこそこの威力の放水、氷を出せる
風の魔法 そこそこのカマイタチが出せる
土の魔法 6m四方の壁を出せるようになった
光の魔法 そこそこの威力のイナズマを出せる
オークくらいの大きさなら凍らせられるが、トロールくらいになるとまだ無理らしい
いやそれでも充分だよ
そろそろ回復魔法も使えるんじゃないか?
「はい、練習中ですよ」
「すごいな、頼りになるなぁ」
「タカネに負けてられません」
お、後ろから来てるぞ
魚人か
サテンが氷を飛ばす
避けられた
おんぶしてて撃ちにくいが俺が手を伸ばし、魔法で仕留めた
「お、お二人ともすごいですね、それに美しい・・・」
「サテンは美人の大陸1位だぞ」
「ええ!すごい!」
テンションが上がるベティ
元気じゃないか
3人を送り届けるとまたモンスターが湧いてた
どっから来るんだろうな?
同じフロアにまだまだたくさん居るという事だろうか
取りあえず一掃する
3人を保護して貰った
気を失ってる2人も大丈夫のようだ
時計を見ると16時
ああ、今日は遅くなりそうだな
「さて、マリク達を探して来ます」
「彼らは生きてるかどうか・・・」
そうは言っても放っておけないよ
俺が通路空けちゃったんだからさ
「しかし、だからと言って無謀な行動で命を縮めるのは自分の責任です」
「たしかにそうだけど・・・」
「無謀は時に仲間の命まで危険に晒します、女神様がそこまで責任を負う必要はありませんよ」
・・・自己管理か
自分の力を見誤って命を落とすのは自分の責任か
「解りました、3時間だけ調べて来ます、それで見つからなければ今日は諦めます」
リミットは19時だ
出来ることなら生きていて欲しいが・・・
俺たちはもう一度ダンジョンの奥へと向かった




