011 新居
不動産屋に着いた
いろいろ物件が貼ってあるな
俺達は勿論賃貸だ
家なんて買える訳無い
手書きだが間取りも書いている
俺は間取りを見るのが好きなんだよな
新聞に入っているマンションの広告とかで見かけると、へえ、ここがこうなるのか、ここはバルコニー広くていいなとか、PSってなんだ?プレ○テ?とか考えるのが好きだった
たまにネットとかでも見てたなあ、買う訳でも無いのに
「ワンルームは1万ちょっとってのが多いな」
「風呂は勿論無し、トイレ共同・・・」
「タカネと一緒ならワンルームでも」
風呂無しワンルームでくっついて暮らすのか
それはちょっとどうなんだろう
どうせ3人で暮らすんだ、ワンルームに用は無い
「・・・お風呂がある物件もあるけど、高いね」
「この世界ではお風呂は金持ちの物らしいからな、妖精が言ってたよ」
「私は別に無くても・・・」
サテンは熱いお湯苦手か
綺麗なんだから常に綺麗にしていて貰いたいけどな
「予算はどうする?俺とサテンの財布はさっきの報酬含めて30万になったけど」
「私は60万持ってるよ」
「す、すげえ」
「盗賊を残らず退治してたからね」
小金持ちだ
しかし、毎月の支払いを払っていけないのでは仕方がない
今後のことを考え無理のない物件を選ぼう
「ここ、どうだろ、3LK 5万」
「お風呂もあるね、いいかも」
「これ、どうですか?温泉付きだそうです」
「なに?」
3LDK 温泉付き 12万 一軒家
うーん、王宮にも温泉通ってたからパイプラインがあるのかも知れないな
しかし12万か
払っていけるのかな
普通のお風呂はどんな感じなんだろ
やっぱ燃料で沸かすんだよな
それに比べると温泉は楽だよな
「3等分だと4万か、大丈夫かなぁ」
コソコソ「・・・2等分にしましょうか?サテンがあんな調子だと・・・」
「いや、良いよ、サテンの分は俺が払う」
「そう?無理はしないでね」
不動産屋に話し、物件を見に行く
高級住宅街にあるらしい
やっぱり高い物件なんだな
無理しすぎだろうか
小高い坂を上った先にあった
2階建ての一軒家
石と木の家だ
・・・ベランダから湯気が出てる
ああ、温泉はベランダにあるのか
湿気対策だろうか
見えないようにしっかり柵は高くしてあり、ベランダに屋根もついているが、屋根と柵の間が1mくらい空いており、換気はバッチリだ
中に入ってみる
入口からすぐにリビング、結構広い、20畳くらいある
一階はリビング、キッチン、ダイニング、トイレ
2階は部屋が3つ
丁度、リビングの上が部屋になっている
ひと部屋6~7畳、据え付けのクローゼット、ベットだけあるな、前の住人が置いてったんだろうか
寝るだけなら十分だ
そして、キッチン、ダイニングの上が風呂のあるベランダだ
大体8畳くらいだろうか
風呂にしては広いよね
「ねえねえ!トイレも温泉で流れるみたい!」
「水洗ならぬ湯洗かあ」
「キッチンもお湯が出ますよ」
「逆に水は出ないのか」
水は井戸があった
お湯はなんと無料
山ほど湧き出るものだもんな
「光熱費無しで12万、どうかな皆」
「私は気にいった!」
「素敵なおうちだと思います」
「よし、高級住宅街なら治安も良いだろうし決めるか」
不動産屋と契約
共同で12万払う
鍵と契約書を交わす
契約完了
バンザーイ
「ねえねえ、どうする?お風呂入る?」
「掃除して家具を見に行きたいなあ」
「そっかw日常品も買わないとね」
「掃除はサテンがします、二人は家具を見て来て下さい」
家具屋に来た
「リビングにテーブル欲しいよね」
「ああ、ソファ・・・は無いみたいだな、この世界」
「長椅子ならあるね」
「どうだろ、寄りかかれた方が良くないか?」
「じゃあこの一人用の椅子は」
「高さとクッションが丁度いいな、3つ買うか」
「ダイニングあるけど・・・」
「ダイニングテーブルはまだ良いんじゃない?」
「カオリ、料理出来る?」
「うっ」
「俺も出来ないんだよな、サテンが出来そうな気はするけど」
「じゃあ、お皿とか鍋とかもいるね」
「うーん、物入りだな」
「シーツに毛布・・・」
「私これ買おう」
「なにそれ?」
「鎧をかける棒、部屋に飾るんだ」
「カッコいい鎧だもんな」
「でしょー?」
「・・・サテンの鎧の分も買ってやるかな」
「うん、型崩れさせないためにも買った方がいいよ」
しめて6万アラン
カオリのウィンクで5万になった
すげえ
しかも荷車ですぐ持って来てくれるって
掃除終わってるかな
家に戻ると家中の窓全開で掃除に励むサテンが居た
家事は好きなようだ
要らない布を雑巾にし、家中を拭きあげていた
掃除用具も買わなきゃな
家具を設置したらもう一回行って来るか
家具を設置しもう一度買い物へ
サテンはやはり掃除してると言った
俺はカオリと商店街へ
ナンパを掻い潜り日常品を買う
「陶器の皿はあるけど高いんだね」
「日本なら100均で売ってるのにな」
「でも・・・木より陶器だよね」
「衛生的だよな」
皿どこに置こう
食器棚は高かったんだよな
もうちょっと余裕が出来てから買いたい
鍋、フライパン、まな板、包丁、等々
「あ、これって洗濯板か?」
「これで洗濯するんだね・・・」
「今までどうしてたの?」
「風呂場で揉み洗い」
「洗剤はあるのかな」
洗濯は風呂場でやればいいだろう
桶も買っていこう
掃除用具も買う
箒、塵取り、トイレ用ブラシ、たわし
その他諸諸
風呂桶、風呂椅子、バスタオル
「王宮にシャンプーあったけど」
「見当たらないね」
石鹸は見つかったがシャンプーは無かった
あれは特別な物だったのだろうか
大荷物を持ってナンパを交わしながら帰る
こんな状態の女をナンパするかね
男は節操が無いんだな
帰ったら掃除が終わってた
サテンは皿を洗い、俺達は日常品をそれぞれの場所へ
「サテン、ご飯って作れる?」
「少しですが作れますよ」
「今日の夕飯どうしよっか?」
「そういえばお昼も食べてないね」
サテンを連れて夕飯の買い物へ
今度はカオリが留守番してるって
ナンパを掻い潜り買い物
「明日の朝御飯も考えなきゃな」
「パンと軽食でいいですか?」
「うん、十分だよ」
もう夕方だ
買い物客が多くなってきた
人の多さに戸惑うサテン
怖気ずき、帰ろうと言い出す
何とか買い物を終わらせ帰宅
明かりの魔法を使う
眩しい
サテンが椅子に座り一息つく
俺も疲れたなあ
これから新しい生活が始まるんだな
サテンを見る
不安そうだ
「サテン、500年前、生贄にされる事に不満は無かったのか?」
「不満ですか?村の為になるのならと・・・」
「せっかく綺麗に生まれて魔法も使えるのに勿体ないと思わなかった?」
「・・・どうでしょう、神童と呼ばれた時は嬉しかったですが」
「俺は女になっちゃったけど生きていたいよ」
「綺麗ですよ」
「それが嬉しくないんだよな、元々女のサテンには解らないだろうけど」
「勿体ないですよ」
「そう思うでしょ?俺もサテンが湖の下に沈んでたら勿体ないと思う」
「・・・・・」
「だからあんな寂しい事もう言わないでくれ」
「・・・すみません」
「手伝うよ、夕飯を作ろう」
「はい」
サテンと夕飯を作った
「ぅぅ、おはよー」
「2階で寝てたのか?」
「ごめんー疲れちゃってたみたいで」
「ご飯出来てるよ」
「わーい」
美味しかった
「あれ?!ホンダはどうしたの?!」
「街の外の放牧場で預かって貰ってますよ」
「忘れてたの?」
「ああ、すっかり忘れてたなあ」
「ひどいです」
「ごめんごめん」
「さて、俺も疲れたし風呂入って寝るかな」
「タカネ、お背中流しますよ」
「カオリも入るー」
風呂に入る
木の風呂だ
3人くらいは余裕で入れる
年中お湯が出っぱなし
少し痛んで来てるかも
お金が貯まったら交換しよう
サテンが背中を洗ってくれる
気持ち良い
お返しに洗ってあげる
今日はサテンも良く働いた
疲れただろう
カオリはチラチラこっちを見ながら一人で洗ってた
洗おうか?と言ったら拒否された
なんだ、羨ましいわけじゃなかったのか
湯船に入る
お湯がこぼれる
少しぬるいが気持ちいい
これから毎日入ろう
温まって来たので湯船から出て、柵に近づき外の風景を見る
丁度柵の高さが胸の位置だ
外からは顔しか見えないだろう
「タカネのお尻、綺麗ですね」
「サテンも綺麗だよ」
「見たんですか?」
「背中洗う時にね」
「もう」
一緒に風呂入ってるんだ、仕方ないじゃないか
2人も柵の所まで来た
「俺達はこれからここで生きていくんだな」
「街の明かりが綺麗だね」
「淡い光が幻想的です」
「カオリ、明日はハンター組合行くんだろ?」
「うん、住むとこも決まったからね」
「私も、、、行きます」
「そうかサテン、何か欲しい装備があれば・・・」
「私はもう十分ですよ、タカネはエストックを買ってください、欲しかったのでしょ?」
「カッコいいなとは思ったけど、使えるかどうか」
「タカネ、私が教えてあげるよ」
「ははは、よろしく頼むよ」
・・・そういえば棍棒も買ったけど全然使ってない
遠距離の魔法で済ませちゃってるよな
乱戦とかなら武器の方が良いんだろうけど
風呂を上がりベットに潜り込む
王宮のベットには敵わないが落ちついて眠れる自分だけのベット
これからの事をいろいろ考える
部屋もまだ寂しい、机くらい欲しいな
本棚も買おうかな、本も嫌いじゃない
この世界の本はどんなのがあるんだろ
・・・他は思いつかない
女なら何を買うべきなんだろう
あ、鏡を買おう
・・・そのくらいだろうか
うーんzzzzz
次の日
ハンター協同組合まで行き登録を済ませる
その際また他のハンターにお尻を触られそうになったので締め上げた
やれやれ、そんなに触りたいかね
美しいって罪だな
「依頼どんなのがある?」
「最初だから簡単なのが良いかしら?」
「難しいのは引き受ける事が出来ないそうです」
「経験積まないと駄目なんだな」
「これ、どう?」
西の廃墟にゴブリンが住み着いたので退治して欲しい
ゴブリン?
なんだっけ
「ゴブリンって悪い奴らなの?」
「さあ、どうなんだろ」
聞けば家畜を盗んだり、旅行者を襲っては持ち物を奪うらしい
悪い奴らやな
「それでいいか、やってみよう」
報酬は12000、高いのか低いのか解らない
「タカネ、鎧は買わないんですか?」
「動きやすい鎧なら欲しいけど」
「武器屋と防具屋寄ってから行く?」
そんな訳で武器屋へ
ナンパされる
ああメンドイ
あしらうのだって手間なんだぞ
「エストック、13000か」
「突く武器なのね」
「ゴブリン相手には使いにくそうですね」
うん、長すぎる
デカい敵の急所つくとかならアリかも
「ショートソード安いな、これでいいや」
「盾は?」
「邪魔かな、いざとなったら左手で魔法撃ちたい」
ショートソードは2500アランでした
サテンの矢の補充も含め3000
防具屋へ
ナンパされる
溜息が出る
「この胸当てでいいかな」
「軽そうだけどこれだけでいいの?」
「動き鈍るのはイヤかな」
「ブーツくらい買ってください、肌の露出を少しでも減らさないと」
「うーん、解った」
膝上まであるブーツ、胸当て、計8000
「カオリはいいよな、最初から剣と鎧貰って悩まなくて済む」
「ダイヤに言われると嫌味に聞こえるんですが」
「だから女になっちゃったんだって」
「私も違う武器使ってみたい」
「今使ってるのは長剣になるのか?それ」
「うん、どちらかというと、叩き切る感じだけど」
「よく盗賊達を殺さずに戦えるな」
「先端しか当てないのよ」
なるほど、深い傷を与えないのか
「・・・じゃあ行ってみる?」
「そうだね、行ってみよう」
「その前にホンダの所へ寄ってください」
「連れて行くの?」
「いいえ」
ホンダは現在1日200アランで預かって貰ってた
年間契約にすれば安くなるらしい
ここに住むことに決めたんだ、年間契約で良いだろう
2万アラン払い、年間契約に変えた
勿論馬は出し入れ自由
残金が15万くらいになった
稼がなきゃ
では、いざ、西の廃墟へ!