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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ピエトロ王国編
105/134

105 感傷

次の日、今日はピエトロに帰る日だ

取りあえず朝からメイファンに会って来る


「1年か、長いのかな短いのかな」

「短いアル、タカネ様には感謝してるアル」

「出て来たらどうするんだ?またメイドとして雇ってもらうのか?」

「罪人は王宮では働けないアル・・・またハンターに戻るアル」

「ハンターは怖くなったんじゃなかったのか?」

「はい・・・でも一番稼げるのがハンターアル、たくさん稼いでホセの家族とヘンリーの集落に仕送りをするアル」


そうか、罪を償っても終わらないんだな

前科は一生残る

メイファンは一生区別される


「でもここを出たら王子のパーティに入れてもらえるアル、王子は偏見が無いアル」


偏見には慣れてるんだろうな

何故かとは言わないけど


「王子が面倒見てくれるなら安心だ」

「はい、本当に恵まれてるアル、メイファンは幸せアル」

「・・・元気でな」


メイファンがニッコリと笑う

裁かれずに罪の意識を感じながら生きているのと、裁かれて前科がついてしまうのと

果たしてどっちが幸せだったのか


メイファンは幸せだと言った

罪悪感から解放されるのは前科がつくより楽な事なのだろうか


それは、人によって違うんだろうな

メイファンは善人だった

だから罪の意識から解放された方が楽なのだろう

悪人なら罪の意識も薄いのだろう


「・・・無理に答えを出さなくていいか」


所詮俺は17歳の小娘

今までも間違えて来た

正そうと奔走してるが本当の正解なんて解らん


「間違いだらけか・・・俺はまだ善人なのかな」


今、選ばれたらどうなのだろう?

違うんじゃないだろうか

もう変わってしまったんじゃないだろうか

・・・また答えの出ない事で悩んでる

ホテルへ戻ろう


ホテル前にペガサスの馬車が来ていた

荷物を積み終わり、帰る準備が出来てる様だ


ピーちゃんも来てた


「帰るのねぇん、ざんねぇん」

「そりゃ帰るよ、ホテル予約ありがとうね、今後ともお願いしたいんだけど」

「いいわよぉん、剣技の時も美女コンテストの時も予約してあげるわぁん」

「VIPルームもお願い、今度からお金もちゃんと払うからさ」


ピーちゃんはお金も良いって言ったけど借り作り過ぎるのも嫌なんだ

またどんなしがらみに巻き込まれるか解んないしな


「ピーちゃん、色々ありがとう・・・メイファンの事よろしくな」

「解ってるわよぉん、こっちこそユーメリアの問題を片付けてくれてありがとねぇん」


ムスタングとペガサスの馬車が飛ぶ

これでユーメリアともしばらくおさらばか

次来るのは剣技大会かな

5時間かけてピエトロの我が家に帰ろう




ピエトロ


「来た来た!大陸1位が帰って来たらー!」

「みんな、帰って来たってー」


美人コンテスト優勝者サテン

ペガサスの馬車から威風堂々降り立つ


「な、なんか輝いて見えるら」

「ひ、一回り大きくなってるよね?」


ピエトロの6位と10位が委縮してる

あ、サテンが大陸にランクインしたから5位と9位か


「頭が高いぞ、5位と9位」

「うう、格差を感じるよー」

「ら、らー」

「皆さんお疲れさまですわ、戻って来たら王宮に顔を出すよう言われてますわ」

「げ!」

「タカネは来なくていいですよ、私が一人で行ってきます」

「それは駄目なの、一人で街に出たら大変な事になるの」


うん、家の前に人混みが出来てる

みな、大陸一位が帰って来るのを待っていたんだろう


「クリスティとカオリが付いて行ってあげてよ」

「解りました」

「明日で良いんじゃない?疲れたでしょ?」

「そうですわ、今日はゆっくり休んでください」

「クーリエ、倍率は何倍だったなの?」

「エリーゼ、お金の話は後でいいでしょ?」

「う、うんなの」


3倍だよ

20万の儲けだ

おめでとう


家の中に入る

オーディエンス共ががっかりする

まったく、敷地内に入って来たら魔法撃つからな


「ふいいいいい、久し振りの我が家だー」

「タカネ様、さっそくパンツが見えてるの」

「おじさんみたいだよねー」


団欒室でゴロゴロ

やっと日常が戻って来たぜ


「金庫の鍵は誰が持ってましたっけ?賞金を金庫に入れておきたいんですが」

「ああ、カオリが預かってるよー」


賞金5千万が金庫に収められる


各自所持金


タカネ   21億5000万

サテン    1億8900万

カオリ    1億4400万

メアリー      250万

クリスティ        ?

ジュリエット 1億1000万


俺は減る一方だが皆は資産を増やしておる

ジルは変わってないか


「ジルもそろそろまた生活費を・・・」

「そうだな、メアリーも月5万入れてるからお前も入れてくれ」

「5万ですか、あと180年はここに居れますね」

「家が持たんわ、つかどんだけ生きる気だよ」


自立も考えようぜ

俺だってずっとこのままピエトロに居るか解らんし


「メアリーだけ相変わらず貧乏らー」

「メアリーも順調に資産伸ばしてるじゃん」

「皆と0が二つ違うら、惨めら」

「十分儲けてる方なんだけどな」


250万アラン

日本円にすると1250万だぞ

十分すぎるよ


「ダンジョンに早く連れてって欲しいら」

「最上級になったらな、ムスタングもまだ2人乗せれないし」

「あ、タカネ、お隣のリンフォード王国にもダンジョンあるらしいよ」

「攻略されてないの?」

「うん、レベルはそんなに高くないみたいだけどね、でもあんまり良い財宝が出て来てないみたい」

「じゃあ行ってもしょうがないよ」


腕試しとしても不十分だし稼ぎも不十分じゃな

人気のないダンジョンなんだろうな


「おもしろそうら、行ってみたいら」

「興味あるのか?練習としては良いかもだけど・・・あ、複雑だとマッピングが必要だぞ?」

「うう、タカネはマッピング出来るら?」

「出来ん」

「メアリーもややこしいの苦手ら」

「サテンが一緒に行ってあげましょうか?ペガサスの馬車も呼べますし」

「サテンはパーティメンバーが居るんだからあんまり他所の国にばかり行ってたら・・・」

「そうですね、さすがに迷惑かけすぎかもしれません」

「サテン様、ハンターを続けられるんですか?」

「ん?どういう意味だシオン」

「明日王宮に行ったら危険なハンターの仕事などやめるよう言われるかもしれません」


うーむ、カミラちゃんも言ってたもんな

20傑は国の宝だ

国はハンターの仕事なんかで死んでしまっては勿体ないと考えるかもしれんな

剣技20傑ならともかく美人20傑1位がハンターの仕事で何かあった日には・・・


「嫌ですよ、剣技も20傑を目指すんですから」

「剣技の方はカオリに任せなよー」

「20位で良いんです、タカネと同じ20位」

「ピーちゃん倒すの?手ごわかったよピーちゃん」


サテンが大陸20位はまだまだ先だろう

でもピーちゃんとカオリはまだまだ上に行けると思うけどな

カオリは元17位を倒してた訳だし


「カオリは5カラットの魔法石に慣れて来たよ、まだまだ強くなるからね」

「すごいですね、クリスティはまだまだ2カラットで十分です」

「3カラットも持ってるんだっけ?大きくするときは慎重にな」

「メアリーもまだまだ1カラットに苦戦してるら」

「サテンは1カラットに慣れて来ましたがまだこのままで良いです」


ああ、無理に大きくする必要は無いよ

体に負担掛かるからな

ゆっくりやればいいんだからな


「そういう訳で鍛錬をします、タカネは重しになるように」

「えー、休みたいんだけど」

「もう十分休んだでしょ?」

「私はホンダに会いに行きたいんですが」

「外にまだ誰かいる?」

「増えてるの、たぶんペガサスの馬車を見て集まって来たの」

「困ったもんだな」


ムスタングも疲れてるよな

乗せてってあげて欲しいけど明日でいいじゃん


「しょうがないですね、早くこの騒ぎが収まって欲しいです」

「まあブームってのは一過性だ、1週間もすれば収まらないかな」

「どうかなー、求婚はしばらく続くんじゃない?」

「ふふふ、ピエトロ5位のメアリーも未だに時々求婚されるら」

「おお、そうなの?9位は?」

「・・・・・・」


カオリブームは来なかったらしい

お疲れ様です


その後鍛錬に付き合って夕飯食って風呂入って寝た



次の日、朝からサテンとカオリとクリスティが王宮へ行く

メアリーはハンター組合

俺は団欒室


2時間ほどで3人が帰って来る


「ふう、なんとか王宮と放牧場を回って来れました」

「じゃあカオリはハンター業に行ってくるねー」

「サテンはパーティメンバーに会ったのか?」

「・・・会えてません、組合に行くのはハードルが高すぎます」


人通り多い場所を通る事になるもんな


「カオリに伝言を頼んでおきました」

「そういや王宮ではなんて言われたの?」

「ハンター業をやめるよう言われましたがきっぱり断りました、それよりタカネ・・・」

「ん?」

「女王に魔法水晶の事を聞かれました、タカネが作ったのではないかと」


あーー

やっぱりまだ疑ってるのか


「私が口ごもってしまったのでカオリが違うと言ってくれましたが、怪しまれたかも知れません」

「・・・すまなかったな、余計なウソをつかせて」

「いえ・・・もっと上手く言えれば良かったのですが」


はあ、女王は諦めてないか

バルディさんも頑張ってくれてるんだろうけど

忘れてくんないかな

めんどくさいなチキショー


「はあ、不貞寝しよ」

「サテンはどうしましょう?外に出れません」

「外に行きたいならクリスティが付いて行きますが」

「いえ、大丈夫ですよ、今日は家の中に居ましょう」


予想できなかった訳じゃ無いがやっぱ反動はあるもんだ

5000万貰ったんだしそれぐらいは普通の事と言って良いだろう

騒ぐほどの事じゃ無い


「なあサテン、実は俺もハンター業を無理に続ける必要は無いと思ってるんだ」

「・・・危険な仕事ですもんね、それに現状では迷惑かけてしまいそうです」

「オーディエンス共が邪魔になりそうな気もするな、ハンター業に付いて来てしまうようなバカも当然想定出来る」

「邪魔をされては困りますね、守りながら戦うのでは危険度が増します」

「その辺の空気読めないヤツは当然居るからな」

「・・・タカネ、そろそろ私とパーティを組みませんか?」

「あ!あのー、クリスティも・・・」

「・・・過剰戦力だよ、俺達3人で何をやっつけるんだ?」

「別に過剰でも良いじゃないですか、安心が手に入りますよ」


そりゃそばに居るのが一番安心だ

元々はサテンの成長の為に他のパーティに送り出したんだっけ

俺と一緒じゃ成長が期待できなかったからな


「それにタカネなら近寄ってくる男達を追っ払ってくれるし」

「クリスティだって追っ払ってくれるだろ?」

「クリスティさんはさっき男に邪魔をするなって怒鳴られて嬉しそうな顔をしていました」

「うっ」

「そうなの?クリスティ、お前は罵ってくれるなら誰でも良いんだな」

「ち、違います!けしてそのような!」

「クリスティに任せたのは間違いだったか、役立たずめ」

「きゅぅぅぅぅん!!」


クリスティが俺の足を舐めだしたが無視しよう


「まあパーティと話し合ってみなよ、迷惑かけるようならやっぱ申し訳ないしさ」

「そうですね、一方的に抜けるのも失礼ですし、良いパーティなので未練もあります」

「そういうの大事だぞ?俺と一緒に回ってもやる事無くてヒマかもしれんし」

「それでも私が一番パーティを組みたいのはタカネなんです、その為に強くなったんですから」

「・・・」


サテンは俺の事が大好きだ

どうしてだろう?

最初に面倒を見てあげたからだろうか?

それだけでここまで好きになって貰えるもんかね


「・・・今思えば、見捨てられても仕方ないような恥ずかしいバカな事ばかり言ってたのに、タカネは見捨てなかったじゃないですか」

「ああ、懐かしいな・・・そんな事もあったっけ」

「思い出すと恥ずかしいです」

「それが今じゃ大陸20傑1位だ、すげえよ、サテンはすごい」


しっかりと自分の脚で立って生きている


「依存は抜けてないですよ?タカネと離れるのは嫌ですからね」

「俺だって嫌だよ、お互いに必要な存在なんだぞ?」

「た、タカネ!!」


サテンが抱きついて来る

うーむ、相変わらず良いおっぱい

このおっぱいを他の奴に渡したくないな

でもいつかはサテンだって他の奴を好きになるかもしれない

男を好きになるかもしれない

それが正常だ


俺はその時どうすんのかな

嫉妬しちゃうだろうな

・・・でも最終的に譲っちゃうだろうな

また諦めちゃうんだろうな


ふう、またネガティブ思考だ

最近こればっか

みんな成長してるのに俺は退行してるような気分だ


「タカネ、膝枕してあげます」

「洗練されたサテンの脚は弾力が物足りない」

「ええ?し、脂肪を付ければいいんですか?」

「勿体ないよ、キープしなよ」


そう言いながらもサテンのまたぐらに潜り込む

ああ、幸せだ

この幸せが続くと良いな


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