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全部神様が悪い  作者: 無二エル
ホメロス王国編
1/134

001 女体化しちゃった

ノクターンで煮詰まっちゃいまして

気分転換に書いて見た

あ、トラックだ

どーーーーん


死んだwww





暗闇の中

眼が覚める

宙に浮いてるような

水の中で漂っているような

そんな違和感を感じる


『目覚めたかい?』


脳の中に直接語り掛けるような

男とも女とも判別出来ない声


「・・・ここは?」

『異世界さ、君にとってはね』


「アンタ誰だ?」

『まず自分の事は覚えているかい?自己紹介して欲しい』


「俺か、名前は桐谷高成きりや たかなりだ、歳は17歳 高校生」


『違うよ』

「え?」

『君はまず男の子じゃない』

「・・・え?」


意味分からん

何言ってんだろ

なにか危ないヤツなのか?

あ、明かりが見えた

淡い光

こっちに近づいてくる

蛍のような光だ

何だろう


徐々に近付いてくる光

横に移動したり斜めに移動したり

寄り道をしながらゆっくり近づいてくる

なんだ?

謎の発光物に羽が見えたような

虫?

虫は苦手なんだよな

逃げたい

だが体が動かない

やがてその発光体はホバリングしながら目の前に止まった


「な、なんだ?」

「私の名前はエミールよ!よろしくね!」


発光物の正体はちっちゃい人間だった、それも羽根が生えている


「ちょ、何?一体、誰?」

「エミールって言ったわ、寝ぼけてるの?」

「い、いや、な、何?む、虫?」

「虫?失礼ねぇ、妖精よ!これから貴方のサポートをするわ」

「サポート?・・・」


サポート要請

何の?

意味が解らん


「ねえ、さっきの声は誰?俺は何で動けないの?自分の体がどうなってるのか心配なんだけど」

「さっきの声ってのは多分私を派遣した人よ、体は今見せてあげるね」


謎の発光体エミールが俺の体をなぞる、、よ、う、、に

眼だけを動かし光を追う

女の胸がある

結構デカイ

スカート?

胸が邪魔で良く見えない

でも短いスカート履いてたような

自分の細く長い足先までエミールが飛び、戻って来た


「どう?満足した?」

「・・・・・」


言葉が出ない

頭が混乱して何から聞いていいのか解らなかった


「大丈夫?とりあえずスタートしましょうか」


スタート?

何の?

エミールが自分の腰のあたりから何かを取り出した

何かのスイッチかな

病院のナースコールみたいなやつ

虹色に輝いてる


「貴方にはダイヤのスイッチを預かって来たわ、とても幸運な事なのよ」


エミールが小さい親指でボタンを押した


黒闇が遠くの一点に吸い込まれていく

まるで強力な掃除機がゴミを吸い取るかのように

回りが次第に明るくなっていく

うう、眩しい

どこかの山道だろうか

周りの景色が歪んで見える

自分の体も次第に見えてくる

スカートがはためいている

無意識にスカートを抑えてしまった

あれ?動ける

でも体勢がおかしい、空中に浮かんで寝そべってるような

正面は空

首を動かせば山道が見て取れる

一体どうなってんだ?


一点に吸われ続けた暗闇に終わりが見えてくる

すべての暗闇を吸いつくした謎の空間が最後に水の波紋のように広がり、消えていく

音が聞こえ出した

鳥の鳴き声、木々の騒めき

途端に自分の体に重力を感じる

落ちる感覚

すぐに地面にぶつかった


「いってぇ・・・」


やっぱり浮いてたのか

そんなに高く浮いてたわけではなさそうだが

どういう事だ

ここはどこだ?

なんで自分の体が女なんだ?

声も綺麗すぎて自分の声じゃ無いみたいだ

すごい違和感

深い藍色を基調とした金の刺繍の入ったシャツと白のミニスカートを履いている

ぅぅ、スースーする・・・

さっきの妖精?は・・・

あれ?

なんだ、顔に何か・・・

銀色の糸状の何かが視界に入る

何千、何万

頭を触ってみる

頭頂部から下に向けて

髪が長い

そして銀色だ


「ど、どうなっちゃったんだ俺」

「貴方は死んだのよ、だからここに居るんだわ」


声がする方を見る

さっきの、、、、え、エミールか

俺の1m先をホバリングでゆっくり上下してた

な、何か聞きたい

そういう欲求はあるものの、何から聞けば良いか解らない

落ち着け、落ち着け


「・・・ここはどこなの?」

「大まかに言うとスリーピングという世界よ」

「大まか?」

「正確に言うとスリーピングと言う世界のエルベーグ大陸のホメロス王国、ここはノッティカウンと言う村の近くの山道ってとこかしら」

「へ、へえ」


一個も解らん


「さっき俺が死んだって言ったけど」

「ええ、死んだのよ、元の世界ではね、覚えてないかも知れないけど」


いや、一瞬の事だったが覚えてる

トラックに跳ねられたんだ


「ここは、死後の世界って事?」

「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるわ」

「ど、どういう」

「あなたのような転移者は他にもいるわ、でも元からこの世界に住んでる人達もいるのよ」

「死んだら皆ここに来るって事?」

「違うわ、天寿を全うした人は来ないわね、若くして病気で亡くなったり、不慮の事故だったり事件に巻き込まりたり、悪い事して死刑になったり、そういう人達が転移してくるわ」

「・・・・・」


寿命で亡くなった人は来ない

その前に亡くなった人が運ばれてくるのか

いや、そうだとしても相当な数が運ばれて来ているんじゃないだろうか


「ほ、他にも日本人が居るって事?」

「ニホンジン?何の事か解らないけど元の世界の言葉で私に通じない言葉はそのものがこの世界には概念として無いと考えてね」

「???」

「解らない?可笑しいわね、ダイヤのスイッチのはずなのに、知能は上がらないのかしら・・・」


・・・なんかバカにされたような

待て、落ち着け、一個ずつ解決していこう


「ダイヤのスイッチって何?」

「この世界で貴方のような人達が人生を始める為のスイッチよ、ダイヤは1等みたいなもんよ、ユンフィス様に感謝する事ね」

「ユンフィス様?」

「この世界の唯一神よ、さっき、あなたの頭の中に話しかけて来たでしょう?」

「ああ、あれがそうなのか」

「あれって言うのは失礼よ、せっかくダイヤを引いてくれたのに」

「引く?引くって・・・」

「大きな透明の球体にスイッチがたくさん入っているのよ、その下についてるハンドルを一回転させるとスイッチが一つ落ちてくるの」


が、ガチャガチャかよ


「貴方は善人だったから善人ガチャからスイッチを引いたのよ」

「ちょ、ちょっと待って」


えーっと、詳しく聞くとこうだ

ガチャは3種類あるらしい

善人ガチャと一般人ガチャと悪人ガチャ

スイッチは8種類あるらしい

下から、鉄、銅、銀、金、プラチナ、エメラルド、ルビー、ダイヤ

悪人ガチャには鉄、銅、銀までしか入っていなく

一般人ガチャには銀、金、プラチナ

善人ガチャにはプラチナ、エメラルド、ルビー、ダイヤの4種類が入っている

で、スイッチの違いは何なのかと言うと、能力の差

上に行くほど高い能力を持って転移がスタートするらしい


「じゃあ俺はすごく高い能力を持って転移されたって事?」

「そうね、丁度いいわ、ここから南西に10分ほど歩くと山賊達が居るわよ、やっつけてみたら?」

「はぁ?山賊?・・・・・どうやって?」

「さあ、素手でイケるんじゃないかしら?」

「・・・・・」


手を見る

あっ

一番聞きたい事忘れてた


「ねえ、なんで俺、女になってるの?」

「性別が変わってるの?初めて聞いたわね、ダイヤのスイッチの効果かしら?」

「い、いや、困るんだけど」

「そう言われてもね、解らないわ」

「この体で山賊に勝てる訳無いでしょ?」

「この辺の山賊くらいなら楽勝じゃないかしら?」

「いや、見ろよこの細い腕」

「ちょっと走ってみたら?」

「・・・・・」


言われるがままに走ってみる

!!

は、早い

何でこんなに早く走れるんだ?

回りの景色が瞬時に遠ざかっていく

あ、誰かいる

ぶ、ぶつかる!

急ブレーキ!!


「な、なんだ!」

「お、女か?」

「こんな山の中に一人で?」

「い、いつの間に近づきやがった!」


なんだか、薄汚れた人達がたくさん

俺を見て驚いていたが次第にイヤラシイ顔になった


「おい、すげえ上玉だぜ、こんな綺麗な女見た事無い」

「ああ、上品な格好して、どこぞの貴族様じゃねえか?」

「へへっこりゃ高く売れるな」

「その前にたっぷり楽しもうぜぇ」


悪い人達だったみたい

こいつらがエミールが言ってた山賊かな

歩いて10分の場所にいるって話だったけど

30秒くらいで着いたような


「アンタらが山賊なの?」

「おいおい、見て解らねえのか?」

「ビックリして可笑しくなったのか?」

「何でも良い、捕まえろ」


山賊達が動き出す

あれ?ゆっくりだな

俺の肩に手をかけようとする山賊

避ける

後ろに3歩ほど移動する

山賊の手が空を切る

眼をパチクリさせ、首をキョロキョロ

俺を見つけて唖然とした

何してんだコイツら?


「お、おい、なんだ今の」

「い、一瞬で移動したよな?」

「な、何者なんだ」

「おい、なにかヤベエぞ!」


山賊達が武器を構えた

お、おい、なんだよ

さっきとは表情が全然違う

何だよその顔

今まで見た事の無い人間の表情だ

ちょっとビビる

何をする気だ?


「うおおおおお!」


一人が剣を振り上げた

ま、マジかよ

俺を狙ってる

怖い

殺意だ

俺を殺そうとしているのか?

だがやはり動きが遅い

に、逃げよう

だが足がすくむ

動けない

あ、剣が当たる

危ない!

俺は咄嗟に手で剣を払った


剣が吹っ飛ぶ

大きな木に当たり粉々になった

元々脆そうな汚い剣だったが、粉々に

呆気にとられる山賊達

そして俺も

何がどうなったのか


「な、何をしやがった!」

「や、ヤバイぞ逃げよう!」

「こ、こええ、人間じゃねえ!」

「ま、待ってくれ、こ、腰が抜けちまった」


散り散りに逃げていく山賊達

取り残される俺

・・・・・


「きゅ、急に走り出さないでぇ」


フラフラと飛んでくる謎の飛行物体

・・・・・エミールか

お前が走れって言ったんじゃないか


「ハァハァ、あっと言う間に、ハァハァ、見えなくなっちゃうんだもん」

「・・・なあ、俺の体どうしちゃったんだろ」


手を見つめ、指を動かしてみる

なんの変哲もない綺麗な女性の指だ


「だ、だから、能力がね、ハァハァ、ダイヤなんて、今まで出た事無いんだから、ハァハァ」


そう言いながら俺の首の後ろ、髪との間にエミールが入り込んだ

痒い、何してんだ


「迷子になったら困るでしょ?離れないように、ここに居る事にするわ」

「ちょっと痒いよ、掻いてくれない?」

「仕方ないわね」

「・・・ああ、気持ち良い、便利だな」

「こんなのが私の仕事じゃないからね」


ん?何か落ちてる

何かの袋だ

さっきの山賊達の物かな

拾い上げてみる

ジャラ

お金かな?


「これどうしよ」

「貰っておけば?」

「え?人の物だぞ?」

「山賊の物でしょ?誰かから奪ったものよ」

「交番無いの?」

「コウバン?解らないわ」


無いのか

山賊が人から奪った物か

持ち主に返せれば一番良いのだろうが


「その持ち主も生きてるかしら?山賊だって事忘れないでね」


こ、殺して奪ったのか

そういやさっき俺も殺されそうになった

な、なんて悪いヤツらだ


世界が違うんだな

元の世界の道徳観は通用しない

これが異世界なのか

なんでこんな事に・・・


「も、元の世界に戻れないのか?」

「それは無理よ、死んじゃってるもの」

「こ、この世界で死んだらどうなるの?」

「次は消滅よ、終わりになるわ」

「・・・・・」


「お、俺、この世界でどうすりゃいいの?」

「早く馴染んで暮らしていけば良いと思うわ」

「その、、、神様はなんで転移させてるの?」

「理由は良く解らないわ、でもこの世界は成長スピードが遅いとか言ってたわ、だから異世界の人間を入れて文明を活性化させようとしてるんじゃないかしら?」

「文明を?そんなの発達しないほうが本当は世界の為には良いような・・・」

「ヒマなのよ神様も、成長しない物を見てても退屈なのは解るわ」


神様のヒマ潰しかよ

それで異世界人にチート能力与えて遊んでいるのか

・・・・・

でも、どうせ死んじゃったんなら、前の人生を惜しむ事も無いのかな

ここでやり直せるならラッキーなのだろうか

しかし女の体って言う・・・

ああ、もう頭の整理がつかない


「なあ、もうちょっと落ち着いた場所で詳しく話聞きたいんだけど」

「じゃあ村に行きましょう、山賊に襲われることは無いと思うわ」

「村はどこにあるの?」

「逆方向よ、来た道戻って道沿いにあるわ」

「走るよ」

「わ、解ったわ」


俺は来た道を全速力で戻って行った

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