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EXPlunder 〜エクスプランダー〜  作者: ローネリア・シャングリーゼ
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強く、ただ強く!

さぁ、今回もレンは頑張ります。

少し慣れてきたようですが、大丈夫かな?

ゴブリンとの死闘を終えた俺は、湧き上がる力に震える。

勝てる、これなら勝てるぞ。

ゴブリンなんか一発KOだ。

戦闘力5のゴミめ、蹴散らしてやる!


どこから湧いてくるのか、昂揚感のままに、


「ナコル、次に行こう!」


「分かった」


俺はナコルの横に並び、自身満々に歩き出した。

もちろん俺の相棒、棍棒はしっかりと握り締めている。


「居た、またビーが一匹」


「OK、OK、俺に任せなさい」


俺はビーに向かって、コイコイと挑発する。

ビーはまたもや顔を真っ赤にして一直線に向かってきた。


「ふ、王貞治の一本足打法を見せてやる!

飛んでけ〜、弾丸場外ホームラァ〜ン!!」


タイミングを見計らってフルスイング。

俺のバット(棍棒)はビーを的確に捉えるかに見えたが、急減速してバット(棍棒)の下を掻い潜る。


「な、桑田真澄もビックリのフォークボールだとぉ!?」


ブゥンと空を虚しく切る俺の相棒。

体勢を崩した俺に、最早反撃の余地は無し。

ビーの毒針が俺を襲う。


「ぐうぉ〜、痛い〜!

針が、ぶっとい針が刺さってる。

ナコル、早く抜いてくれぇ〜」


幅1センチ、長さ10センチの針が背中に突き刺さっている。

見た目からして痛い!


「アホらし。

さっきまでの威勢の良さはどこに行った?」


俺の後ろでブンブン飛んでたビーは、ナコルにアッサリ倒された。

何故俺はこんなにも弱っちいのか。

あの昂揚感はどこへ行った?

結局、毒に侵された俺は、背中がジクジクと痛む為、ナコルはダンジョンを断念し撤退する事になった。

情けない。

そして粋がっていたあの時の俺が途轍もなく恥ずかしい。





ダンジョンをヨタヨタ歩きで何とか這い出た後、ナコルは毒消を買ってきてくれた。


「これも出世払いだから」


と冷たく言ってくるが、


「ナコル、ありがとう。

お前、優しい奴だな」


俺が礼を言うと、急に顔を赤くして、


「弱いレンが格好つけるな」


と怒られてしまった。

ただ礼を言っただけなのに。

もしかして、こいつツンデレか?

まさかな。

散々冷たくされたから、それは無いだろう。

俺は毒消が効いてきたので、ゆっくりと立ち上がる。


「この後どうするんだ?」


「お昼食べてから、またダンジョンに潜る」


「お昼代も〜」


「もちろん出世払い」


「ですよね〜、ゴチになります」


という事でギルドに戻り、二階の食堂に行く。

二人で適当な席に座り、料理を頼んだ。

俺はよく分からないので、ナコルに一任しておいた。


しばらく待って出てきたのは、豪華なステーキ定食だった。

おぉ、ナコル太っ腹!

って一瞬思ったけど、最終的には俺が払うんだよな。

何だ、全然得してねぇ。


ナコルは黙々とステーキを頬張っている。

どうやら食べ方を見る限り、どこぞのご令嬢という訳ではなさそうだ。

食い方が豪快なんだもん。

俺も負けじとステーキを平らげていく。

何の肉かは分からんが、美味い。

ちょっと午後からやる気が出てきた。


サクッと昼飯を終えた俺達は、再度ダンジョンに潜る。


「居た、トード」


「はいよ〜、頑張りますか!」


俺は棍棒を握り締め、トードの前で左右に動かす。

トードは棍棒を見つめ、舌を飛ばしてきた。


かかりやがった。


俺は狙い通り棍棒を握り締めトードを力一杯引っ張る。

すると何故か俺の方がトードに引き寄せられる。

何でだ?

ナコルは軽々引き寄せてたのに。

まぁ、とりあえず近づいて、トードの動きを封じ込めにかかる。


よし、このまま、


「ゴブリンパンチ!

ゴブリンパンチ!

ゴブリンパンチ!

ゴブリンパンチ!」


4回程スキルを使って殴りつけたら、トードはくたばった。


「ナコル、やったぞ〜!」


「トード如きにそんなに時間をかけない」


「頑張った俺に労いの言葉は無いのか」


結構地味に体力使うんだぞ。


「次のモンスターが来た。

バブルだ」


おっと一休みもさせてくれないのかよ。


俺は近くにあった石ころを拾い、バブルに狙いを定めた。


「そぉら、石ころくれてやる!」


バブルに見事ヒットした石ころは勢い良く跳ね返ってきた。


「嘘っ、マジかよ!」


痛い。

自分で投げた石ころがバブルに跳ね返されて頬に当たった。

何で?

ナコルが投げた時は一撃で仕留めてたのに。

やっぱり俺は弱いのか。

ムニョムニョとすり寄ってくるバブル。

俺は気を取り直して棍棒で叩きつける。


「これでどうだ、この野郎!

くたばれ、バブル如きが!!」


何度も何度も棍棒で殴りつけて、ようやくバブルを倒した。


「ふぅ〜、疲れた」


「よし、そろそろ二階層に降りる」


「いやいや、まだ全然早いと思うよ、俺は」


「これ以上時間がかかると出世払いしてもらうのが延びる」


「でもまだ無理があると思うなぁ、俺は。

とりあえずこの階層のモンスターを余裕をもって倒せるぐらいにならないと〜」


「私が居るから大丈夫」


「マジで行くんですか?」


「マジで行く。

お金は待ってくれない」


こうして少々強引なナコルに連れられて二階層に突入する事になるのだった。


次回、二階層に突入します。

本当に大丈夫ですかね?

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