壮絶バトル、VS ゴブリン
サクサクと進めていきたいです。
ついにレンがやりましたよ〜。
大金星です!
さてさて、バブル、ビー、トード、ゴブリンと一通りこの階層に出てくるモンスターとは戦った。
結論、どれも俺より強いという事。
以上、終了。
ナコルからもらった棍棒をしっかりと握り締め、俺は行く。
今度という今度は何が出ようと殴り倒しちゃる!
決意新たにナコルの後を追う。
「居た、ゴブリンが二匹」
「二匹だと〜!?
何で一匹で出てこないんだよ!」
「いつも一匹とは限らない。
さぁ、早く行く!」
「じゃあ一匹はお願い出来ます?」
「手間賃は?」
「出世払いでお願いします」
「分かった」
俺はどうやら借金を増やしたようだ。
気を取り直して、ゴブリンを棍棒で殴りつける。
「おらぁ!」
バットを振る要領でフルスイング。
棍棒が手からすっぽ抜けて、明後日の方向に飛んで行った。
「あの〜、ナコルさん?」
「何?」
「棍棒、どっか行っちゃったんですけど…」
「……。
頑張れ」
「危なっ!」
話してるうちに、ゴブリンが棍棒を振り回してきた。
紙一重でかわし、ゴブリンの腕を掴む。
「おい、離しやがれ!
こら、棍棒離せ」
棍棒の奪い合いが始まる。
俺とゴブリンの壮絶なバトル。
力勝負で負けてたまるか!
ゴブリンも負けじと棍棒を握りながら、空いた手で殴りつけてくる。
一発もらったが、歯を食いしばり、殴り返してやった。
「ギャアギャ!!」
「ギャアギャア、うるせ〜んだよ!
この緑の小人が!!」
これは差別発言だろうか?
ふと脳裏によぎったが、取っ組み合いは続く。
「くのっ、このっ、オラァ!」
殴る蹴るを繰り返すが、ゴブリンは棍棒を離さない。
端から見たら最高に不恰好ではないだろうか?
ゴブリンと戯れる村人A。
想像してしまう。
「いつまでやってる」
ナコルが口を挟んできた。
どうやらもう一匹は片付いたようだ。
さすが仕事が早い。
「このゴブリンが棍棒を離さないんだよ!
離せよ、クソが!!」
俺の罵りは、ゴブリンに届かない。
「はぁ〜」
後ろでため息が聞こえた。
「おい、ナコル。
今ため息吐いただろ!
俺がゴブリンと壮絶なバトルを繰り広げているというのに、何と呑気な!!」
「何が壮絶なバトル?
ただの押し合い圧し合い」
グサッときました〜。
俺の心の奥深くを抉る一言。
俺だってこれでも必死にやってるんだぞ!
さっきも力んでは良いバッティングが出来ないから、力を抜いたら棍棒がすっぽ抜けたんだ。
仕方ないじゃないか。
雑念を捨てろ!
目の前のゴブリンに集中だ!!
俺は目の前のゴブリンを睨みつけ、必死に棍棒を奪おうと力を込める。
「くっ、うが〜!!」
すると右手の甲に何か紋章みたいなのが浮かんだ。
頭にも何となく感覚的なモノが浮かんでくる。
何だ、この感覚は?
何が何だか分からんが、
「強制強奪!!」
俺は頭に浮かんだ言葉を思い切り叫んだ。
右手の甲の紋章が輝きを増し、ゴブリンから何かを吸い上げる。
こ、これは!
頭に浮かんだのはスキル。
「喰らえ、ゴブリンパ〜ンチ!」
スキル名を叫ぶと、俺が放つパンチとは違い、腕が勝手に動く。
捻りを加えた威力のある一撃が、ゴブリンの顎を捉えた。
「グベッ」
先程のパンチよりも威力があったのか、ゴブリンの手がついに棍棒から離れた。
ふっ、こうなりゃこっちのもんだぜ。
俺は棍棒をしっかりと握り締め、そのままゴブリンの至近距離でフルスイング。
棍棒はゴブリンの頭を的確に捉え、クリーンヒット。
ゴブリンは吹っ飛び、そのまま倒れた。
「やった、やったぞ〜!
今の見たか、ナコル?
俺一人でゴブリンを倒したんだぁ!!」
舞い上がる俺。
何という充実感と昂揚感。
力が漲り、湧き上がってくる不思議な感覚が俺を包む。
その感覚に喜び勇む俺とは対照的に、
「何、今の不思議な力?」
ナコルは小さく呟いたのだった。
勝ったことに興奮して、スキルの事はすっかりのレン。
今後どうなるのでしょうか?
強くなれるのかな?
追伸、この物語ではレベルという概念は感覚的なものでしかありません。
ステータスというものも、明確に数値化はしない世界ですので、ご理解よろしくお願いします。