最弱は伊達じゃない!?
どうも〜、ローネリアです。
読んでくれた皆様、ありがとうございます。
パンチの時の掛け声は、主人公の気合です。
特にスキルではありません。
深い意味もありません。
ダンジョンに潜りバブルを華麗に撃破した後、ナコルについて歩いている。
「来た、ビーだ」
そう言って、ナコルはまたも俺を前に押し出す。
「今度こそ!」
俺はビーの動きをしっかりと見ながら、石ころを投げつけた。
ポコッとスーパーマ◯オもビックリの軽い音がして、ビーの顔が赤くなった。
これ、マズイんでね?
まっすぐ俺の方に飛んでくるビー。
猫ぐらいの大きさがあるので、結構怖い。
「何してる、避けろ!」
珍しく焦った声のナコルが、俺を突き飛ばす。
ビーは俺とナコルの間を素通りして行った。
「また来る!」
ビーはカチカチと顎を鳴らしながら近づいて来る。
あれは嚙み砕きの構えか!
俺は華麗にサイドステップでかわし、横っ面にミドルをくれてやった。
「硬ぇ」
拳が痛い。
俺が拳をフーフーしていると、ビーは真っ赤な顔でお尻を突き出してきた。
「毒針か!」
それほど早くない。
これならかわせる。
右へ左へ身体をスウェーしながら、タイミングを見計らう。
「喰らえ!
必殺の豪腕ストレート!!」
スカッと空ぶった音と共に、背後から羽音が。
「ヤバい!
やられる!!」
そう思い身構えた瞬間、
「ビーは羽を潰す」
ブチっという音が聞こえ、振り返るとビーが地面でのたうち回ってた。
確かに地面に落とせば倒しやすいわな。
俺の努力は何だったんだ?
拳痛ぇ〜。
「トドメをさす」
「えっ、俺が?」
「じゃないと強くなれない」
そう言われては仕方ない。
恨みは無いがすまん。
ビーよ、俺の糧になってくれ。
俺はビーの首の辺りを踏み潰した。
するとビーの死体は消え、針のような物が残った。
「これは?」
「ビーのドロップ品、毒針」
ナコルはそれを拾い上げながら言う。
「お金になる」
「じゃあこれで情報料はオッケー?」
「何を馬鹿な、こんなんじゃ宿も取れない。
ご飯も食べれない」
「マジかよ…」
「もっと戦う必要がある」
そう言って歩き出すナコル。
俺は仕方なくついていく。
しばらく歩くと今度はトードが出てきた。
よし、今度こそ格好良く決めてやるぜ。
そう心に誓い駈け出す。
「喰らえ、必殺の豪腕ストレート!!」
俺は力一杯右拳をトード目掛けて振り抜こうとしたら、舌が飛んできた。
「おわっ!」
慌ててよけようとするが、勢いがついているので避けられず、結果、
「ぐえぇ〜〜」
トードの攻撃を腹にモロに喰らい、何とも情けない声を出す羽目になった。
「はぁ、学習能力が無い」
余計なお世話じゃ!
今度は慎重にトードに近づいて行く。
俺がパンチの構えに入ったら、飛びがかかってきやがった。
「うおっ!?」
ビックリして思わず飛びのいてしまった。
「トードは舌を掴んで、動きを封じてから倒す」
ナコルがトードの前で手を左右に動かす。
するとトードはエサだと思ったのか舌を伸ばしてきた。
成る程、トードはああして釣るのか。
ナコルはその舌をむんずと捕まえ、ぐいっとトードを引き寄せた。
引き寄せらせたトードは逃れようとジタバタ暴れるが、逃げられそうにない。
「トドメを」
「おお、すまんな」
そう言ってトードの頭に踵を落とした。
「今回はドロップ品は無しか」
「いつもある訳じゃない。
次に行く」
そのまま歩き出すナコル。
「ナコルってスゲー慣れてるよな?」
「あれぐらい町の人は誰でも出来る。
レンが不甲斐なさ過ぎるだけ」
マジですか、さり気に傷付くよ、その発言。
男のプライドをエグエグしてますよ、ナコルさん。
確かに三回戦って、全部ダメだったけどな。
俺は大器晩成型なんだよ。
そんな事を考えてると、
「居た、ゴブリン。
棍棒で殴られると痛い」
「んなもん見れば分かるよ!」
木で出来た簡易の棍棒を持った人型のモンスター、ゴブリン。
最弱モンスターとして名を馳せ、初心者冒険者にどれ程倒されてきただろうか?
「俺の糧となれ、ゴブリン!
行くぜ、ハイパーラリアート!!」
俺はゴブリンの顎目掛けて拳を打ち上げた。
しかし、かわされた。
しかもそのまま棍棒でカウンター。
「トゲトゲがめっちゃ痛ぇ〜!」
舐めてました、ゴブリンさん。
嫌だなぁ、ちょっとしたジョークじゃないですか。
冷や汗をかきつつジリジリと後退する俺。
殴られた箇所がズキズキと痛む。
最弱ゴブリンにすら、俺は勝てないのか。
あえなく俺はゴブリンにフルボッコにのされた。
そして一言。
「弱っ」
ナコルに頂きました。
トドメの一言。
グサッ。
ダメ、気力ゼロ。
シド◯よ、グフッ。
「ゴブリンは、まず棍棒をどうにかする」
そう言いながらナコルは、素早くゴブリンの棍棒をかわし、手首を捻りあげる。
「グギャア!!」
痛みに叫ぶゴブリン。
ナコルはそのまま棍棒を取り上げ、ゴブリンを殴りつけた。
アッサリやられたゴブリンは、棍棒を残してくれたようだ。
あまりの出来の良さに涙が出てくる。
見た目か弱いけど強い女の子、ニコル。
対して弱過ぎて雑魚にすら勝てない男の俺。
正直凹む。
「次に行く。
早く立て」
それでもスパルタナコルさんは俺の腕を引っ張って立たせる。
「これを使うといい」
ゴブリンから奪った棍棒を渡してくる。
ダサい武器だ。
だがこの形、野球のバットに似てるな。
よしっ、俺の攻撃方法は決まった!
次こそは必ず勝つ!!
「早く行く!」
「あ〜、はいはい。
今行くよ。
ちょっと気合を入れ直してたんだよ」
そうしてまたモンスターを探すべく歩き始めた。
弱っちい主人公、レン。
最弱ゴブリンに、バブルに勝てる日は来るのか?