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EXPlunder 〜エクスプランダー〜  作者: ローネリア・シャングリーゼ
15/20

クエストを受けた結果、すんごい事になった!?

どうやら今日はクエストを受けるみたいです。

朝、爽快な気分で起きた俺は、床から立ち上がった。


「ん〜」


上に伸びをして身体をほぐす。

ナコルはまだ寝ているようだ。

顔を覗いてやると涙を流していた。

悲しい夢でも見たのか?

右手で涙を拭い、頬を撫でてやった。

すると俺の右手の甲に魔法陣が展開され、光だした。


「何、エンチャント?」


俺の頭の中にエンチャントという文字と、

物理耐性アップ(小)

素早さアップ(小)

跳躍アップ(小)

毒耐性アップ(小)

精神耐性アップ(小)

スタミナアップ(小)

みかわしアップ(小)

賢さアップ(小)

腕力アップ(小)

身の守りアップ(小)

取得経験値アップ(中)

運アップ(中)

会心率アップ(小)

火耐性アップ(小)

嗅覚アップ(小)

という言葉が浮かんでいる。


エンチャントといえば付与だよな。

これって俺が奪った特殊アビリティをナコルに付与できるってことか?

物は試し、早速やってみよう。


俺は試しに取得経験値アップ(中)をナコルに付与してみた。

見た目は何も変化がない。

だが、エンチャントの欄から取得経験値アップ(中)が消えている。

これは付与されたと見ていいだろう。

でもスキル系は付与出来ないみたいだな。

どのスキルもエンチャントの欄に出てきていないのだ。


まぁ、一応全部の特殊アビリティをエンチャントしといてやるか。

俺はそう考え、俺の取得している特殊アビリティをナコルに全てエンチャントしていった。

嗅覚アップ(小)だけは俺の楽しみに取っておこう。

これで良し。

RPGみたいにステータスが表示されないので、ちゃんと出来てるか分からないが、多分大丈夫だろう。


これでナコルも楽にレベル上げれるな。

俺はもう少しナコルの頬っぺたを堪能しつつ、今後の展開を考える。

お得なのは、やはりメタルスフィアだな。

あのモンスターは、恐らく経験値が高い。

DQでもFFでもメタル系は総じて経験値が高かったからな。

メタルスフィアにうまくエンカウント出来れば、楽に経験値を稼げてグロース出来る。


「レン、馴れ馴れしくいつまで撫でてる?」


うおっ、起きたのか。


「あぁ、ごめんごめん。

スベスベだったからついね」


俺は慌ててナコルの頬から手を離した。

ナコルはすぐに起き上がって、


「レンもある程度強くなったから、今日はギルドに行って、クエストを受ける」


「おう、分かった」


二人でギルドに向かう。

まずは二階で腹ごしらえ。

やっぱ携帯食より出来立てが美味い。

時間は有限とナコルに急かされて食事を終えると一階のクエスト掲示板へ。

壁一面に貼り付けられたクエストの中から割の良さそうなクエストを選ぶ。


「おっ、これなんかどうだ?」


「それはランクが足らない」


「あっ、そっか。

じゃあこれは?」


「それもランク不足」


「じゃあこっちは?」


「ダメ、人数が四人」


「なかなか良いのが無いな」


「この辺りがまだマシ」


「何々、メタルスフィアが落とすメタルな素材を10個で5万エリスか。

ところで5万エリスってどのくらい?」


「普通の宿屋に10日は泊まれるぐらい。

ご飯で言うと一食千エリスとして50回食分」


「へぇ〜、じゃあ1エリスは1円程度か」


「エンという単位は知らない」


「あ、いいのいいの、こっちの話」


「レンは偶に私の知らない言葉を使う。

物知りなのか、アホなのか分からない」


「それ究極の二択だよね」


ナコルの頭はどういう構造してるんだ?

まぁ、それはいいとして、


「分かった、そのクエストにしよう。

期日は一月か」


「レアエンカウントだから一月でも厳しい」


「う〜ん、そうだけど、俺とナコルなら何とかなるんじゃないか?」


「何故だ?」


「何となく」


俺はニヤリと笑う。


「うぇ、気持ち悪い」


「こら、気持ち悪いって言うな!」


そんなこんなでこのクエストを受ける事にした。

一月の間に出来るだけ多くのメタルスフィアを倒して、メタルな素材を10個集めなくてはならない。

クエストを受けてすぐ、二人で急ぎダンジョンへ潜る。

目指すは四階層だ。

他のモンスターは放っておいて、ダッシュで切り抜ける。

ナコルについて行けば、あっという間に四階層に着いた。

さてここからは時間との勝負だな。

昔のRPGのレベル上げを思い出しながら、四階層を徘徊する。


「この匂いは!」


俺の嗅覚に反応あり!


「ナコルこっちだ!」


俺は匂いがする方へ走り出した。

何度か通路を左へ右へと進むと、


「居た!」


「メタルスフィア」


ナコルも驚いてるようだ。

種明かしは簡単。

だってメタルスフィアからは金属の匂いがプンプンするんだ。

鉄臭いというか、血生臭いというか、つまりはそんな匂いがする訳だ。


「良し、俺が突っ込むからナコルは逃げないようにフォローよろしく!」


「分かった!」


俺はそのまま真っ直ぐ詰め寄り、ラッシュ。

バシンと当たり負けするメタルスフィア。

奴は俺とナコルに挟まれて戸惑っているな。

その隙にナコルが素早く背後から一撃。

メタルスフィアは目を回した。

隙あり!

俺はその場に勢い良く飛び上がり、


大切斬(だいせつざん)!」


斧を撃ち下ろす。

手応え充分。

オロオロしていたメタルスフィアは堪らず息絶えた。

おぉっ、またグロースだ!

今度も五回分くらい上がった。

ナコルの顔も驚いているな。


「な、何だ、これは?」


「ナコル、どうした?」


「身体が軽い。

今までと動きが全然違う。

それにグロースが連続して起こった」


「あぁ、それね。

一応秘密にしとけよ。

俺が持ってる特殊アビリティをナコルにもエンチャントしといた。

それと連続でグロースを経験したのは、特殊アビリティの取得経験値アップ(中)の効果だな」


「そんな事が!」


まだ信じられないのか、俺と自分の身体を交互に何度も見ている。


「今日の朝、ナコルの頬に触れた時に魔法陣が展開したんだ。

何だろうって思ってたらエンチャント出来るようだったから、試しにしてみた。

その様子じゃあ、ちゃんとエンチャント出来たみたいだな。

良かった良かった」


「そんな単純な事じゃない!

これはとても凄い事!!」


「えっ、そうなの?」


「そもそも特殊アビリティなんて聞いた事がないし、エンチャントなんてもっての外。

スキルですら達人級の人が何十年もかけて会得するもの。

レンは常識を逸脱している」


「という事は俺の方がおかしいのか?」


「何故レンはそんな事が出来る?」


「分かんねぇ。

たまたま触れたら出来ちゃったみたいな感じ」


「何故こんなちゃらんぽらんな奴が、信じられない」


「うわっ、相変わらず毒舌だな。

まるで女版の有吉と話してるみたいだわ」


俺はメタルスフィアがドロップしたメタルな素材を拾ってナコルに手渡す。


「運アップ(中)もエンチャントしてあるからレアドロップの確率も上がってると思うぜ」


「成る程、だから私とレンなら達成出来ると踏んだ?」


「そういう事!

さぁ、どんどんメタルスフィア狩ろうぜ!!」


「分かった、今回はレンに任せる」


「お任せあれ!」


こうして俺とナコルは、二人で四階層を走り回り、メタルスフィアを狩りまくった。

来る日も来る日も四階層のみを走り回る日々。

そのためどの位グロースを経験したかは、もう覚えていない。

一日1ドロップの日もあったし、一日で3ドロップした日もあった。

しかし、俺達は一月の間に10個以上のメタルな素材をゲットする事に成功した。

その結果、通常よりも短期間で多くのメタルな素材を持ち帰ったので依頼主からボーナスが出た。


「クエスト達成報酬が65,000エリスです。

ボーナスが85,000エリスとなりまして、合わせて15万エリスです。

お確かめ下さい」


「おぉ〜、スゲー!

やったな、ナコル」


「今回はレンに助けられた」


「飯、美味い飯食おうぜ!」


「その権利はある」


ナコルも嬉しそうな顔をしている。

そりゃそうだろう。

クエスト達成も嬉しいが、グロースの経験回数が半端ないんだから。

かつて無い程の勢いでメタルスフィアに遭遇し、一匹たりとて逃すことなく倒した。


その結果、一月で数えるのも嫌になるくらいのグロースを経験した。

最後の方は10匹倒してやっと1グロースぐらいになってたけどな。

俺達はこの一月で見違えるように強くなったのだ。

ナコルも嬉しくない訳がない。

最初は信じられないとか言ってたが、これだけグロースを経験すれば、信じない訳がない。


四階層だけでこれ程強くなったのは、きっと俺とナコルだけだろうな。

まぁ、今日のところは美味い飯を楽しもう。


これでもかというぐらいグロースを経験したレンとナコル。

これでもう雑魚とは呼ばせない。

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