ナコルの悩み
レンのグロース。
ナコルはヤキモキしているようです。
メタルスフィアを倒してグロースを経験した俺は、かつてない程の勢いでモンスターを倒しまくった。
コボルドからは会心率アップ(小)を、リザードマンからは火耐性アップ(小)をゲットした。
オークを5匹、ロックを3匹、コボルドを4匹、リザードマンを3匹倒し、何とレアモンスターのメタルスフィアにも遭遇。
やはり俺の運が上がっている!
手こずる事もなくメタルスフィアを倒し、またグロース。
今回も8回ぐらい上がった感覚がある。
恐らく俺のレベルは、18だろう。
カウントがあっていればな。
一気に上がった。
そのせいか、四階層のモンスターは最早敵ではなくなった。
メタルスフィア様様である。
もっと来い、メタルスフィア!
この少しずつ強くなっていく感じが、まるでRPGを彷彿とさせる。
いいねぇ、この感じ!
☆
メタルスフィアと戦ってから、レンが急に強くなった。
確かにメタルスフィアはレアモンスターだが、いきなりあれ程強くなる事はない。
私も過去に一度だけメタルスフィアを倒した事があるが、飛び級で強くなるという事は無かった。
レンのグロースは異常だ。
あのまま成長を続けられたら、私なんてあっという間に追い越されてしまう。
私の五年分の成長が、頑張りが、虚しく感じてくる。
私もそろそろ戦うべきだろうか?
もう少し楽をする予定だったのに、レンの理不尽なグロースぶりに、私の計画は狂わされた。
でも背に腹はかえられない。
飼い主がペットにお株を奪われるなんて笑い話にもならない。
良し、決めた、私も戦う。
☆
ん、何だ?
ナコルの様子が少しおかしい。
足取りが重いな。
「ナコル、どうした?
強敵でも現れたか?」
「いや、そろそろ私も戦う」
「ん?
そりゃまたどういった風の吹き回しで?」
「身体が鈍る」
「ふ〜ん、そっか」
それでそんなに悩むものなのだろうか?
まぁ、ナコルにはナコルの考えがあるか。
「この先に五階層への階段がある。
その手前でお昼を食べる。
今日は行けるところまで行くつもり」
「あぁ、分かった」
俺達は階段の近くで携帯食を食べて、少し休憩を挟んだ後、五階層への階段をゆっくりと降りていった。
次回はナコルも戦闘に参加します。
果たしてレンとの共闘はうまくいくのでしょうか?