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本当は怖い白雪姫 仮面の女王と鏡の塔


あるところに世間から白雪姫とうたわれる美姫がおりました。

白雪姫は、雪のように白い肌と鮮血のように赤い唇、黒檀のような漆黒の美しい髪を持ち、

誰もが見惚れる美しさでした。

それが気に障ったのは白雪姫の継母である女王です。




「鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのはだぁーれ?」




『それはあなたを除いた全人類が滅亡したのちに生き残った誰かです』




「まわりくどい!もう一度聞くわ。鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのはだぁーれ?」




『それはかつてあなたの担任の先生だったシェーラさん―――…

…の、親友のおじいさんのいとこが常連だったケーキ屋の近所のおじさんが勤めていた城の

城主の娘の継母になったあなたが今頭の中に思い浮かべているある人物です』



「それ100パー白雪姫だよなっ!意地でも”それはあなたです”って言いたくないんか!」



『…白雪姫は生まれながらにしてかなり容姿端麗であり、また生まれながらの純粋さと心のやさしさで

 幼少の頃から今に至っても姫という立場でありながら、手の届く範囲で慈善活動に勤しんでいる。

 彼女はおごることなくこれからもその姿勢を崩さないでしょう。

 世界一じゃないとしても人間としての容姿・気概は間違いなくトップクラスと断言してよい存在!

 それに比べてあなたときたら…』




「キィーッ!正論すぎてクヤシー!この鏡め!ぶち割ってやる!」





バキャアッ!!





『モシャス』





「!?」




鏡の正体はモンスターの”あくまのカガミ”であり、

白雪姫に化けて殴られ女王のうっぷんを晴らしてあげました。




『気は済みましたか』




「~~~~ッ!ちょっとすっきりしたけど硬さは鏡のままか!たぶん手の骨折れたわ!」




『自業自得』




「いちいちイラつく白雪姫なんか城から追放して森の中に捨てておけ!」




@深い森の奥。





「困ったわ…森の中に追放されてしまったわ…ここでどうやって生きていけば…。


 でも大丈夫。私が8人分になる…!”黒の白雪姫…”(ブラックプリンセス)ズズ」





白雪姫は具現化系能力者で、7人の小人たちを具現化しました。




「白雪姫!ここで僕ら(念人形)と一緒に暮らそう!誓って不自由はさせないよ!」




@お城。




「女王様!報告します!白雪姫は森の中で7人の小人たちと幸せに暮らしているそうです!」


「キィーッ!考えただけでも腹立つ!いよいよ始末にかからねばならぬか!ではわらわが自ら…!」




女王は毒入りりんごをお急ぎ便で配達させました。




@深い森の奥。




「白雪姫、りんごが配達されてきた。お城からで送り主は女王様。

 きっと毒が入ってるから食べないほうがいい。

 A〇azon…と思いきやヨ〇バシドットコムから来てるからたぶん大丈夫と思う。

 けど、でもやめとこう」


「お義母さまったら有難い…。毒の鑑定をしてから、このリンゴでパイを作って届けましょう」




白雪姫は7人の小人に毒見をさせ大丈夫らしいと確信。

その旨、手紙の添付で女王に伝えるものとしリンゴパイ作り小人たちにお城まで届けさせました。




@お城。



「ふんっ。あの小娘、毒を見抜いたか。その上でリンゴパイを差し入れるとは殊勝な心掛け。

 どれ、頂くとするか。パクッ。


 …これは…!甘さ控えめで素朴でおいしい…あの子ったらいい腕してるわ…。

 忘れていた何かを思い出した感じがする…。

 私もあの年頃、純真無垢で慈善活動にも励んでいて…いつからこんなになったのかしら…?」





『女王よ、やっと気づきましたか。美しさはあなたの心の中にも確かに存在していたのです。

  見てごらんなさい。今のあなたの晴れやかな顔!今のあなたは容姿も心も十分に気高く美しい』




「すぐに白雪姫をお城に呼び戻しなさい。そして私は白雪姫に精一杯の謝罪をしましょう」




女王の『毒』が抜けました。



これを快く思わなかったのは王様…女王の現夫であり、白雪姫の実の父である王様です。

王様は悪女や悪役令嬢が大好きな変態でした。




「ぐぬぅっ、白雪姫は悪役令嬢に育てるつもりがピュアに育ってしまったし、

 悪女だと思って結婚した妃はピュアに戻ってしまった!

 鏡よ、余は悪女好きなのにどーやったら生粋の悪女を手に入れられるのか!?」




『あなたは変わった人ですね。では私が悪女に変身し、あなたの伴侶になりましょう。くっくっく…』





女王の姿に変身した鏡は、瞳ばかりは鏡のようにギラギラしていたので

バレないように鏡の本体である仮面を付け、魔力維持のために城の隣に鏡の塔を建てました。

王様は民に不審に思われぬよう、女王と白雪姫にひっそり暮らすよう命じました。

ときに鏡の塔に閉じこもる”鏡の女王”を訝しがる者もいましたが、







………誰もが幸せに暮らしました。







(終)

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