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第3章:旅の始まりと出会い

出航の朝、ミシラニィ島の空は、どこまでも高く澄み渡っていた。

朝陽が海面にきらめき、穏やかな波が港に打ち寄せている。

桟橋には、イリグリ港の住民たちが集まってくれていた。


ウサギ獣人のニトは、別れが辛いのか、大きな目でこちらを見つめている。

今にも泣き出しそうな顔をしている彼女を見ると、俺の胸も締め付けられるようだ。魔法具店のドリアクは静かに手を振り、その手には俺にくれた小さな魔法具が握られているのが見えた。

ドワーフのシーボスは、力強く頷いてくれた。

ドルフガングは、威厳ある佇まいで船の出発を見守っていた。

彼は、島を守る者として、外の世界へ向かう我々の安全を祈ってくれているのだろう。


「気をつけて、侑神さん。また戻ってきてくださいね! 必ずだよ!」

ニトの声が、別れを惜しむかのように風に乗って届く。

その声援に、胸が熱くなる。短い期間だったが、ミシラニィ島の人々との交流は、俺にとってかけがえのないものとなっていた。

彼らの温かさ、純粋な信頼、そして俺の知識に対する感謝。

それらは、日本でのサラリーマン生活で失いかけていた、人間らしい繋がりを思い出させてくれた。必ず、この島に良い知らせを持って戻ってこよう、と心に誓った。


特別に用意されたのは、古いが頑丈そうな小型商人船だった。

帆は擦り切れているが、船体は手入れが行き届いており、長く海を旅してきた船だとわかる。

それに乗り込むのは、俺、日紫喜部長、山部さんご夫婦、そして竜族の若き戦士ラスタ。


船の乗組員は、人間の船長と数名の魚獣人だった。

彼らは海の男らしく、日焼けした肌と、遠くを見据える鋭い目を持っていた。

船上では、皆がそれぞれの思いを抱いていた。

日紫喜部長は、ミシラニィ島での悪夢のような日々から解放されたことに安堵しているようだったが、まだ不満げな表情を崩していない。

本土に行けば何か状況が変わるかもしれないという、かすかな希望に縋っている。彼は、相変わらず自分の置かれた状況を現実として受け入れられずにいるようだった。


山部与明さんは、どこか落ち着かない様子で、遠くに見える島の影、そしてその向こうの水平線をじっと眺めていることが多かった。

地球に残してきた家族への思いが、彼を駆り立てているのだろう。

その顔には、故郷への強い想いが浮かんでいる。

妻の千映さんは、そんな夫にそっと寄り添い、優しく話しかけたり、体を労ったりしていた。

二人の間には、困難を共に乗り越えてきた夫婦だけが持つ、深い愛情と信頼があった。


竜族のラスタは、初めての本土への旅に、期待と同時に警戒心を持っているようだった。

彼は船の先端に立ち、風を受けて、遠くの海や空を見つめている。

竜族は誇り高い種族だとミシラニィ島で聞いた。

ラスタもまた、竜族の戦士として、この旅の安全を確保するという重い責任を感じているのだろう。

彼は寡黙だが、その眼差しには強い意志と、外の世界への尽きない好奇心が宿っていた。竜族が同行してくれるのは、この先の旅において非常に心強い。


船は帆に風を受け、ゆっくりとイリグリ港を離れていった。

島の姿が水平線の彼方に小さくなっていくにつれて、ミシラニィ島での日々が走馬灯のように脳裏を駆け巡った。

不便さ、絶望、そして人々の温かさ。

ニトの笑顔、ドリアクの知性、シーボスの頑丈な手、ドルフガングの威厳。

それらは、俺の人生における、忘れられない一部となった。

あの孤島での経験は、俺をサラリーマンという鎧から解き放ち、一人の人間として生きることを教えてくれた。


目的地は、異世界メレディの本土にある、ケモリーナ村近くの港町、ハジュメティシティ。

ミシラニィ島からそこまで、船でおよそ四日間の旅となる。

海は穏やかで、船は順調に進んだ。

船上での生活は、ミシラニィ島での生活とはまた違う、閉鎖的な空間での日々だった。


船旅の途中、俺は異世界の交易品や食文化に触れる機会を得た。

船の乗組員たちは、人間だけでなく、猫獣人や鳥獣人などもおり、それぞれの文化や習慣について話を聞くことができた。

彼らは皆、海と共に生きるプロフェッショナルだった。彼らが食べている食事や、交易している品々に、俺は興味を惹かれた。


船員たちが食べていた食事は、シンプルだが栄養価が高いものばかりだった。

乾燥させた魚を水で戻して野菜と一緒に煮込んだスープは、シンプルながら魚介の旨味と野菜の甘みが溶け合って、疲れた体に染み渡るような美味しさだった。

船乗りたちが休憩中に飲む茶は、独特の香りがする薬草を煮出したもので、船酔いや疲労回復に効果があるという。

俺はすぐに船長に頼んでその薬草を見せてもらい、匂いを嗅ぎ、味見し、特徴をノートにスケッチした。薬膳開発部の社員として、これは貴重なサンプルだ。


将来、この知識を日本の商品開発に活かせるかもしれないという考えは、まだ俺の中に残っていた。

また、魔法がかけられた箱に保存されていた干し肉は、硬かったが味は良く、日持ちがするため船旅には欠かせない食料らしい。

魔法による食品保存技術は、地球にはない異世界の技術だ。


興味深いのは、保存魔法だけでなく、食品の品質を保つための様々な工夫が凝らされていることだ。

例えば、特定の木の実と一緒に保存すると腐りにくいとか、特定の香辛料には防腐効果があるとか。

俺は、これらの異世界の知恵や工夫を、熱心にメモ帳に記録した。


植物の効能だけでなく、食文化、生活の知恵、異世界の技術、そして様々な種族の習慣や考え方。

すべてが、俺の薬膳開発の視野を広げてくれるものだった。

そしてそれ以上に、この未知の世界で生きていくために、これらの知識はきっと役に立つはずだ。


ミシラニィ島での経験から、自分の知識が誰かの役に立つという喜びを知った今、学ぶことへの意欲はかつてないほど高まっている。

単なる会社の命令ではなく、自分自身の知的好奇心と、誰かの役に立ちたいという思いが、俺を突き動かしていた。


日紫喜部長は、相変わらず船酔いに苦しんでいた。

甲板で波に揺られて顔色を悪くしたり、船室に閉じこもって呻いたりしていた。彼の姿は、ミシラニィ島での混乱ぶりが嘘のように、ただただ情けないものだった。

彼は、異世界でのサバイバルには全く適応できていないようだった。

俺は、部長に船酔いに効く薬草を煎じて渡したが、彼は不機嫌そうに

「こんな草なんか効くか!」

と吐き捨てた。

山部さんが代わりに受け取ってくれて、千映さんが部長に勧めてくれた。


山部さんご夫婦は、船旅の間も互いを支え合いながら過ごしていた。

千映さんは、夫が少しでも落ち着けるようにと、優しく話しかけたり、体を労ったりしていた。

山部さんは、ミシラニィ島を離れ、本土に近づいていることで、地球への帰還の可能性が少しでも高まったと感じているのだろう。

その顔には、かすかな希望の光が宿っていた。

しかし、彼らの表情には、まだ不安の色も見て取れた。


四日間の船旅を終え、ようやくハジュメティシティの港に到着した。

船が港に近づくにつれて、その規模の大きさに圧倒された。

ミシラニィ島の小さな港とは比べ物にならないほど、巨大な船が行き交い、活気に満ち溢れた場所だった。

帆船、蒸気船のようなもの、そして魔法の力を利用したらしい不思議な形の船まである。


港を取り囲むように広がる街は、石造りの頑丈な建物と、木造の優雅な建物が混在し、多様な文化が入り混じっていることを示唆していた。

異世界の主要な港町は、まさに活気と多様性の坩堝だった。

桟橋に降り立つと、潮の香りに混じって、未知の香辛料や果物の匂いが漂ってきた。


港では、様々な種族の商人たちが大きな声を出しながら商品を売り買いしている。

魚獣人の商人たちは威勢の良い声を上げ、新鮮な海産物を並べている。

その隣では、鳥獣人が色鮮やかな羽根飾りや、珍しい香辛料を売っている。

草食獣人、肉食獣人、雑食獣人、エルフ、ドワーフ、そして人間。

色とりどりの服装や、様々な言語が飛び交い、まるで世界の縮図を見ているようだった。

翻訳機のおかげで言葉は理解できるが、彼らの声のトーンや仕草からは、彼らの文化や感情が伝わってくる。


ハジュメティシティに到着すると、俺はまず、安全な宿を確保した。

異世界での長旅になる可能性を考え、多少値は張るが、清潔で頑丈そうな宿を選んだ。宿の名前は「黄金の帆亭」。

ミシラニィ島での生活とは比べ物にならないほど、設備が整っている。

日紫喜部長と山部さんご夫婦も同じ宿にチェックインした。


部長は、久しぶりの清潔な環境に安堵したようだが、相変わらず不機嫌だった。

山部さんご夫婦は、少しでも地球への帰還に近づいたことに希望を見出しているようだった。

ラスタは、竜族の伝手があるらしく、別の場所に宿を取ったが、何かあればすぐに駆けつけると言ってくれた。

彼の存在は、俺たちの旅の安全を保証してくれる。


宿に落ち着いた後、日紫喜部長と山部与明さんは、地球への連絡手段や、この地域の政府機関について情報収集を始めた。

彼らは、あくまで地球への帰還を第一の目的としている。

管理局のような組織があるかどうか、安定した転移ゲートがあるかどうか。彼らの顔には、藁をも掴むような思いが浮かんでいる。


俺も彼らの安全を願いつつ、自身の目的である『ファンタージア』に関する情報収集に努めることにした。

『ファンタージア』は、会社からの命令というよりも、今は俺自身の探求心を満たすための目標となっていた。

ミシラニィ島で聞いた老人の言葉、「そこにはきっとあなたが望むものがある」。『ファンタージア』がある山に、俺がこの異世界で見つけたいものが隠されているのかもしれない。


情報収集の場所として、港町の市場は最適だった。

様々な場所から人々が集まるため、珍しい情報も手に入りやすい。

俺は市場を歩き回り、露店の人々や、他の旅人らしき人々に話しかけた。

『ファンタージア』の名前を出すと、ほとんどの人が首を傾げたが、一部の老齢の商人や、各地を旅する冒険者からは、断片的な情報や、似たような伝説を聞くことができた。


「『ファンタージア』? ああ、聞いたことある名前だね。

ラマンギナバック山脈の奥深くに咲く、幻の花だって言われてる。見た奴は誰もいないらしいけどな」

「万病に効く薬草なら色々あるが、不老不死だなんて、それはさすがに伝説だろう。でも、ラマンギナバック山脈には、珍しい植物がたくさん自生していると聞くよ」

どうやら、『ファンタージア』は伝説上の存在として、この世界の特定の地域、特にラマンギナバック山脈と結びつけて語られているらしい。


しかし、それが本当に存在するのか、具体的な場所はどこなのか、といった確かな情報は得られなかった。

市場での情報収集は難航したが、俺は諦めなかった。

薬草を探すように、粘り強く、根気強く情報を集めた。

俺の誠実な態度と、薬草に関する知識を見せると、少しずつだが信頼を得ることができた。


特に、珍しい薬草の名前を口にしたり、病気の症状に合わせた薬草の効能を説明したりすると、彼らは興味を示し、より詳しい情報を教えてくれるようになった。

中には、俺がミシラニィ島で人助けをした話を聞いて、俺に好意的に接してくれる者もいた。

異世界は広大だが、人の繋がりは思わぬところで繋がっているものだ。


そんな中で、雑食獣人の青年・トリムとの出会いが、大きな転機となった。

彼は、市場の一角で珍しい山野草を売っていた。

俺が、彼の扱っている植物の中に、ミシラニィ島で見た薬草と似たものがあることに気づき、興味を持って声をかけたのがきっかけだった。


「この草は、腹痛に効くんだ。少し苦いが、すぐに効果が出る」

トリムは、少しぶっきらぼうだが、気さくに教えてくれた。

彼はイノシシ獣人の血を引いているらしく、がっしりとした体格だが、目は賢そうだった。

彼の指先は、植物を扱うことに慣れている者のものだ。


彼自身も植物に詳しく、特に山野草に関しては豊富な知識を持っているようだった。

彼の話を聞いていると、彼が単なる行商人ではないことがわかった。

俺は、自分がラマンギナバック山脈を目指していること、そして『ファンタージア』という幻の花を探していることを正直に話した。

トリムは目を丸くしたが、すぐに納得したような表情になった。


「ラマンギナバックか。随分と険しい場所だが、薬草を探しているなら納得だ。危険な魔物も出るし、気候も厳しい。でも、珍しい植物がたくさん自生している場所だ」

トリムはそう言って、彼の経験や、ラマンギナバック山脈に関する情報を詳しく教えてくれた。

彼の話は、エルフ村長から聞いた情報とも一致している。

彼はラマンギナバック山脈の地形や、そこに自生する植物、そして危険な場所について、驚くほど詳しく知っていた。


「実は俺も、かつて薬草を探して山岳地帯を旅していた時期があってな。ラマンギナバックにも何度か行ったことがあるんだ。危険な場所だが、魅せられるものがある」

トリムは、遠い目をしながら話した。彼の過去に、何か山に関わる出来事があったのだろう。

彼は、市場で山野草を売る現在の生活に、何か物足りなさを感じているのかもしれない。


俺は、『ファンタージア』が万病に効くという言い伝えや、それが俺の異世界での目的であることを改めて伝えた。

トリムは俺の話を真剣に聞き、深く考え込んだ後、言った。

「あんたの話を聞いてたら、昔を思い出したよ。俺も、もっとすごい薬草があるんじゃないかって、山を彷徨ってた時期があったんだ。今はこうして市場で細々とやってるが…」

彼はそこで言葉を区切り、俺の目を真っ直ぐに見つめた。


「俺の案内が役に立つかもしれない。ラマンギナバックは広大で迷いやすい。危険な場所も多い。一人で行くのは無謀だ。それに、あんたみたいな知識を持ってる奴が、危険な目に遭うのは惜しい」

トリムはそう言って、俺に同行を申し出た。彼の申し出は、砂漠でオアシスを見つけたようなものだった。

地元の知識と経験を持つ案内人は、この先の険しい旅において、何よりも頼りになる存在だ。そして、俺の知識を評価してくれたことも、純粋に嬉しかった。


俺はトリムの申し出に心から感謝し、彼の同行を受け入れた。

こうして、雑食獣人の青年トリムが、俺たちの新たな仲間に加わった。

トリムを仲間に加え、俺たちはラマンギナバック山脈を目指すための準備を整えた。

ハジュメティシティの市場で、保存食、寝袋、登山用具、そして魔物除けの道具などを買い揃えた。

トリムの助言は、物資の選定において非常に役立った。


日紫喜部長と山部与明さんは、俺が新たな仲間を見つけ、着々と山へ向かう準備を進めていることに驚いていた。

彼らも地球への連絡手段や、安定した転移ゲートについて情報収集を続けていたが、ハジュメティシティにはそういったものは存在しないことが分かったらしい。

失意の日紫喜部長だったが、このまま港町に留まるよりは、山を目指す方が状況が動くと考えたのか、あるいは俺の熱意に引っ張られたのか、旅への同行に同意した。


山部さんご夫婦も、俺たちの安全を案じつつ、同行することを選んだ。

彼らにとっても、地球への帰還の可能性を少しでも高めるためには、本土の奥地へ進むしかない、と考えたのだろう。

ラスタは、引き続き彼らの護衛を務めることになった。彼はトリムともすぐに打ち解け、新たな仲間が増えたことに安心したようだった。


その夜、黄金の帆亭の一室で、俺はミシラニィ島で書き始めたノートを開き、これまでの旅を振り返った。

日本での生活では、毎日が同じことの繰り返しだった。

会社と家の往復、決められた業務、代わり映えのない人間関係。安全で安定していたが、どこか閉塞感を感じていた。

会社の歯車の一つとして、代わりはいくらでもいる。そんな風に思っていた。


だが、ここでは違う。

異世界に来てから、一日一日が新しい発見の連続だ。

見たこともない景色、聞いたこともない話、そして予測不能な出来事。

ミシラニィ島での温かい交流、山部さんたちとの絆、ラスタの頼もしさ、そして今日出会ったトリム。


それは時に危険を伴うが、だからこそ、生きているという実感が強烈に胸に迫ってきた。

自分の知識が誰かの役に立つ、感謝される。

それは、俺にとって大きな喜びだった。

俺はもはや、ただの「独身サラリーマン」ではない。この異世界で、人々と関わり、彼らの役に立つことができる存在なのだ。


「俺は……何を求めてここにいるんだ?」

『ファンタージア』を探すという目的は確かにある。

しかし、それは、単なる会社からの「出張命令」で始まったことだ。

本当にそれだけなのか? ミシラニィ島で人々に感謝された時、トリムと異世界の植物について語り合った時、日紫喜部長や山部さんご夫婦、ラスタといった仲間と共に旅をする中で、自分の中に芽生え始めている何かがあることに気づいていた。


それは、誰かの役に立ちたいという思い。

未知の世界を知りたいという探求心。

そして、自分自身がどうありたいか、という問い。日本にいた頃は、そんなことを深く考えたこともなかった。

ただ、目の前の業務をこなし、安定した生活を送ることだけを考えていた。


でも、異世界に来て、自分の人生は、会社の命令や社会の常識に縛られる必要はないのかもしれない、と思うようになった。

ここには、俺自身の意思で、俺自身の力で切り開ける道がある。

ノートを閉じ、窓の外に広がるハジュメティシティの夜景を見つめた。

遠くの山並みは闇に沈んでいるが、その向こうに、ラマンギナバック山脈がそびえている。

そこに咲くという幻の花、『ファンタージア』。そして、あの老人の言葉。


そして翌朝。

俺たちは、トリムの案内で、ラマンギナバック山脈を目指してハジュメティシティを出発した。

背中にリュックを背負い、足元はしっかりとした登山靴。

日紫喜部長と山部さんご夫婦、そしてラスタとトリム。

彼らは、これからの過酷な旅を前に、覚悟を決めた表情をしていた。


未知なる地、未知なる出会い——

それは、単なる幻の花を探すための出張ではなかった。

自分自身の内面と向き合い、人生を変える、壮大な旅の始まりだった。

胸に抱いたのは、『ファンタージア』への期待だけではない。


この旅の先に、どんな自分と出会えるのか。

その問いへの答えを探す旅でもあった。

俺はもう、会社の命令に従うだけの社畜ではない。

この異世界で、自分の足で立ち、自分の力で生きることを選んだ一人の人間として、新たな旅へと踏み出したのだ。

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